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『オクトパストラベラー』触れれば触れるほど気持ちいい“RPGらしさ”

『オクトパストラベラー』触れれば触れるほど気持ちいい“RPGらしさ”

クラシックなコマンドバトルRPGのテイストをふんだんに盛り込みながらも、ゲームとしての手触りにはまったく古さを感じさせない『オクトパストラベラー』。8人の旅人が織りなす物語の体験は、まさにRPGファンが長年求め続けてきたものだと言える。

本稿では、プレイヤーの想像力で広がっていく世界、本作のプレイを通して堪能できる心地いい“RPGらしさ”、プレイを進めれば進めるほど面白くなっていく本作の魅力に迫っていく。システム面のみならず、プレイを通して体感できる世界にも「これを求めていた!」と声を上げたくなってしまうことは間違いない。

文 / 村田征二朗


プレイするほど広がる世界

最近のファンタジーと言えば、現実世界から異世界に転生、召喚されて戦いに巻き込まれていく、現実世界を舞台にしながら超能力などで戦う、などの作品が多く見られます。そんないま登場した『オクトパストラベラー』は、剣と魔法とモンスターの世界を舞台に、その世界の住人たちがその世界でのリアリティを保ちながら紡いでいく物語になっています。王道と言われるジャンルですが、やはり普遍的な魅力があります。

前回の記事で、ドット絵には物や人を詳細に描き切らないからこそ生まれる想像の余地がある、と述べましたが、そのドット絵自体の魅力と同様に、『オクトパストラベラー』が描く世界はプレイヤーの想像力を刺激し、脳内に作品の世界を広げていってくれるのです。

▲改めて言うまでもなく本作のグラフィックは魅力的ですが、想像の余地を残しているのはそのビジュアルだけではありません

メインで描かれる物語や世界が面白ければ、その作品は当然魅力的になります。しかしある意味で、メインストーリーなどと同じくらい重要なのが、メインストーリーにほとんど関わらないような脇役の存在です。寄り道的に楽しむことのできるサブストーリーの物語やキャラクターたちが印象的であればこそ、作品全体の広がり、世界の奥行が感じられ、物語ひとつひとつ、キャラクターひとりひとりの魅力をより強固に支えてくれるというものです。

『オクトパストラベラー』では、かつてドット絵時代の作品がそうだったように、キャラクターによっては序盤から意外なまでに残酷な展開を見せたり、因果応報でありながらも少し同情してしまう敵キャラクターが出てきたりと、思わず引き込まれるシリアスなメインストーリーが展開します。

▲父親の仇を追うために踊子に身を落としたプリムロゼのストーリーでは、彼女の置かれている環境の苛烈さが垣間見え、プレイヤーの感情を引き込ませます

メインストーリーでは信頼と裏切り、命を救うことの意味など、キャラクターごとにさまざまなテーマの物語が描かれます。そんな物語の周りを彩ってくれるのが、各地で発生するサブストーリーです。町や街道などにいるキャラクターたちのなかには、特定のアイテムや人物を探していたり、トラブルに巻き込まれていたりと、助けを必要としている人がおり、プレイヤーは特技を使い、その人たちを助けることができます。

▲ときには道をふさぐキャラクターと戦って道を開く必要もあります。町人だからと侮っていると痛い目を見ることも……!

RPGの寄り道要素としては定番のサブストーリーですが、本作ではアイテムを渡すだけで終わる単発のものだけではなく、行く先々で連続して発生するものもあります。連続するサブストーリーは物語性の強いものが多く、なんならその話をメインに据えてひとつのゲームが作れてしまうのでは、と思えてしまうものもあります。

▲夢のお告げでドラゴンの卵を託された女の子を助け、卵の行く末を見届ける一連のクエストなど、連続するサブストーリーにはその後の展開がかなり気になるものが用意されています

▲クエストによっては戦いを挑んで敢えて負けることでストーリーが展開するものもあるなど、その進行にもバリエーションがあり、ゲーム性としても楽しめます

ゲームのボリュームや遊びの幅を広げつつ、物語でも作品の世界を広げてくれるサブストーリーは、もはやサブとは言えないほどに本作の大きな魅力となっています。サブストーリーは自由なタイミングで進めることができるので、メインストーリーの続きを見たくて足早でプレイした人も、ぜひさまざまな街に立ち寄ってサブクエストをプレイしてほしいところです!

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