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ASKAがステージに還ってくる──今秋開催されるオーケストラとの共演に寄せる期待

ASKAがステージに還ってくる──今秋開催されるオーケストラとの共演に寄せる期待

音楽に関わってきた者、歌をうたう者としての矜持が、そこには在る

すでに報じられているとおり、11月5日、ASKAがステージに還ってくる。今回は、ビルボードジャパンのポップス&ロックとクラシックの融合公演〈billboard classics〉シリーズに、ヴォーカリストとして招かれる形である。この日、東京国際フォーラムでスタートし、全国8都市で地元の交響楽団と共演。千秋楽は、12月19日の地元・福岡となる。

この原稿を書いているのが8月初旬で、初日は3ヵ月後だ。なにしろ久しぶりのステージなので、すでにこちらも興奮気味である。ちなみに11月5日は何の日かを調べたら、いい(11)ご(5)縁ということで「縁結びの日」だという。彼とファンとの今後の縁が、深く広く生まれる日になれば最高だなぁと思いつつ、もちろんチケットは、プラチナ必至だろう。

コンサートの正式名称は〈billboard classics ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018-THE PRIDE-〉。レパートリー的にはCHAGE and ASKA名義も含む彼の作品から選ばれるという。コンサート・タイトルの最後に“-THE PRIDE-”とあるが、彼の作品でも認知度の高い「PRIDE」に掛けているのだろう。

実はここ最近、ASKAに会って話した際、彼はいろいろなところで、改めて「あの曲が好きだ」という人間に出会ったという。そして、コンサート・タイトルにこの言葉が掲げられた意味を探るなら、つまりは音楽に関わってきた者、歌をうたう者としての矜持が、そこには在るのだろう。

充実した内容だった昨年の『Too many people』と『Black&White』のアルバム、今年に入り3月から毎月配信されている「虹の花」、「未来の人よ」、「修羅を行く」、「イイ天気」、「憲兵も王様も居ない城」といった新作を、まだステージで聴いた人間はいない。今回は〈PREMIUM SYMPHONIC CONCERT〉なので、そのコンセプトに見合った選曲だろうけど、ぜひこれらの新作からも、聴いてみたいものである(逆にこのコンセプトだからこそ、「FUKUOKA」あたりはぜひ聴いてみたい!)

両者が対等に、時には対峙し、または融和し、音の宇宙を醸し出していた

ここで、ASKAと交響楽団について書いておこう。
ちょうど10年ほど前、彼は〈ASKA SYMPHONIC CONCERT TOUR 2008 “SCENE”〉と題し、2008年4月12日の東京での“Premium Preview”を皮切りに、シンガポール、タイ、中国、そして国内を回る、14公演を成功させている。その際、オーケストラの指揮をしたのが藤原いくろうであり、実は今回も、彼がタクトを振るのである。

今回は、10年前とは別物になるだろう。ただ、ASKAが交響楽団と共演することでは共通する。なので当時のことを、少し振り返っておく。それは普段、我々がASKAというヴォーカリストに感じていた歌の“表現のスケール”を、改めて“計測し直す”かのような出来事でもあったのだ。

通常、ポップ歌手が交響楽団と共演すると、楽団がセミ・クラシック的になるというか、歌いやすい伴奏の形に歩み寄ることにもなる。ざっと聴いた印象は、リズム・セクションがいないことは特徴的だけど、通常とさほど変わらないものだったりもする。ASKAの共演も、そうしたものだろうとタカをくくって観に行ったのが10年前のことだった。違った。両者が対等に、時には対峙し、または融和し、音の宇宙を醸し出していたのだった。正直、たまげた。

さっき、“表現のスケール”を“計測し直す”などと書いたが、まさにそんな感じだったのだ。通常、私たちは彼の歌に“豊かさ”を感じる。その“声”自体、ヴォーカリストとして得がたい倍音構造のものであり、しかも甘んじることなく、様々な発声法やフレージングなど、ありとあらゆる創意を作品に込めることで“豊かさ”が生まれるのだ。それを普段、ASKAという肉体に私たちが忍び込み、体感しつつ聴いている。なので一体になれるし、共感もする。

交響楽団との場合は逆というか、肉体に忍び込むのではなく、多くの楽器に包まれたことで輪郭が際立つ、そんな彼の肉体を外から眺める感覚なのだ。音の背景に、彼が浮き上がる。でも、ただ包まれるだけじゃなく、両者の関係は有機的に変化して、時に楽団が塊となってASKAに挑み、彼がそれを押し戻したり、両者が溶け合い、遥かな音の地平線を描いたりもするわけである。

当時の自分のコンサート・レポートを読み直すと、僕はタイのバンコクで聴いた「月が近づけば少しはましだろう」に、いたく感激している。ASKAの歌には、聴く者の様々な願いや想いを引き連れ、前へと進んでいける力がある。それを当時、僕は“歌のトルク”と表現している。でも、今回の〈billboard classics ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018 -THE PRIDE-〉でも、内容は違うだろうけど、同質のものは感じられるはずだ。

この原稿を書いている間にも、少しだけ11月5日が近づいた。まだまだ先だけど、数時間、近づいた。

文 / 小貫信昭

billboard classics
ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018 -THE PRIDE-

2018年11月5日(月)東京国際フォーラム ホールA(東京フィルハーモニー交響楽団)
2018年11月14日(水)大阪 フェスティバルホール(大阪交響楽団)
2018年11月26日(月)仙台サンプラザホール(東京フィルハーモニー交響楽団)
2018年12月3日(月)東京国際フォーラム ホールA(東京フィルハーモニー交響楽団)
2018年12月6日(木)東京国際フォーラム ホールA(東京フィルハーモニー交響楽団)
2018年12月8日(土)兵庫県立芸術文化センター 大ホール(ビルボードクラシックスオーケストラ)
2018年12月10日(月)ロームシアター京都(大阪フィルハーモニー交響楽団)
2018年12月13日(木)札幌コンサートホールKitara(札幌交響楽団)
2018年12月15日(土)神奈川県民ホール 大ホール(東京フィルハーモニー交響楽団)
2018年12月19日(水)福岡サンパレス(九州交響楽団)

ASKA(アスカ)

1979年にCHAGE and ASKAとして「ひとり咲き」でデビュー。「SAY YES」「YAH YAH YAH」「めぐり逢い」など、数々のミリオンヒット曲を生む。並行して、音楽家として楽曲提供や、ソロ活動も行い、1991年発表の「はじまりはいつも雨」がミリオンセールスを記録。同年リリースのアルバム『SCENEⅡ』もベストセラーに。また、アジアのミュージシャンとしては初めて「MTV Unplugged」へも出演。2017年には、自主レーベル「DADA label」より、アルバム『Too many people』『Black&White』等をリリース。2018年3月にはファンが選ぶベスト盤『We are the Fellows』(期間限定発売)をリリースし、同月25日より、毎月新曲をWeare(Weareサイトはこちら)より配信。また、7月25日には『Black&White』のMusic Video集を発売したほか、今年秋にはベスト盤のリリースも決定している。

オフィシャルサイト

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