2018年夏アニメ主題歌特集  vol. 9

Interview

オーイシマサヨシ×Tom-H@ck アニメ『オーバーロード』シリーズの全主題歌に関わるふたりの“天才”! 原作・アニメ・楽曲への作品愛がアツい!

オーイシマサヨシ×Tom-H@ck アニメ『オーバーロード』シリーズの全主題歌に関わるふたりの“天才”! 原作・アニメ・楽曲への作品愛がアツい!

7月より第3期の放送がスタートしたTVアニメ『オーバーロード』。本作の主題歌は、オーイシマサヨシとTom-H@ckによるユニット「OxT」と、Tom-H@ckを中心としたコンテンポラリー・クリエイティブ・ユニット「MYTH & ROID」が担当している。今回はオーイシマサヨシとTom-H@ckのふたりに、『オーバーロード』の主題歌について、最新シリーズの楽曲を中心に話を聞いた。

取材・文 / えびさわなち


世界観と設定の細かさがファン心理をくすぐる『オーバーロード』(オーイシ)

『オーバーロード』とのお付き合いも長くなった感のあるOxTとMYTH & ROIDですが、今、この作品に対してはどのようなことをお感じになっていらっしゃいますか?

オーイシマサヨシ もう3期目になりますね。長いコンテンツになりました。元々この原作も長編で、まだまだ原作自体も続いていて、原作から考えればアニメのストーリーはまだ半分も来ていないですし。それでも見所がたくさんあって、アニメの方も気持ちよく観せていただいております。

Tom-H@ck 右に同じです。

オーイシ わりと引用します(笑)。

この作品の人気はどこにあると思われますか?

オーイシ ふたりで話してたんですが、設定の細かさですよね。ユグドラシルとか世界を構築するすべての要素の破綻していない感じ。例えば戦闘能力とか、本当に隅々まで構築されている世界観と設定の細かさがファン心理をくすぐるのかなと個人的には思いますね。

とある動画サイトやSNSでは「考察班」がいるんですよ。アニメだけだと説明しきれない部分を補足してくれるような方々がいらっしゃったりして。そういう方の閲覧数がめちゃくちゃ伸びていたりするんですよね。それだけ設定の細かさ含めて、きめ細やかなストーリーをみんなで追っていきたいという流れが出来ているんじゃないかな。その謎めいた部分やまだ解き明かされていない部分をみんなで察しあっている感じが、よりユーザーの冒険心や探究心みたいなものをくすぐっているんじゃないかなと思ったりもしますね。

あらかじめたたき台が出来た上でストーリーが展開しているとしか思えない精巧さと緻密さがあるかなとも思いますしね。書籍になっているバージョンとWEBサイト「小説家になろう」版ではセリフまわしや設定がちょっと違っていたりもするし、呪文の強さも違ったり、いろいろとパワーバランスが違っていたりもするんですけど、そのWEB小説を経ての書籍だったりするので、なおさら設定が緻密になっているのかな、とも思います。ただ、相当頭が良くないとできないことだなとも感じますよね。僕らふたりも原作にすごくハマっています。

『オーバーロード』の曲だからこそ面白い挑戦ができた(Tom-H@ck)

OxTとして『オーバーロード』に楽曲を作るときにはどんなことを意識されているのでしょうか。

オーイシ 『オバロ』ではわりと一貫していますね。世界観を崩さないとか、すごくハードでラウドで、なおかつちょっとゴシカルというか。アインズ様の、ナザリックの雰囲気を壊さない感じで作っていくというのはあります。あとテンポが速いものになりますね。今回は違いますが。でも一貫していますね、テーマは。制作側からいただく要素としても同じで。なので、そこで焼き回し感が出ないように。同じオーダーやテーマ性の中でどういう楽曲が出来て、アガっていくのか、ということは毎回頭を捻ったりとかしています。

これまでのオープニングとエンディングをOxTとMYTH &ROIDが交互にやられているだけに、こと『オバロ』に関しては「オープニングはこう」「エンディングはこう」、みたいなビジョンはあるんでしょうか。

オーイシ 実際、1期と2期とでも変わってくると思うんです。1期の場合はMYTH & ROIDのエンディングもオープニングを喰うくらいの勢いの楽曲でしたし、2期は打って変わってバラードで、スゥっと静かなところから激情が走るように、それこそTomさんの領域ですが、対比感はその時々にトリミングするシーンや話数や章によっても変わってくるんだろうなと思いますけど。

Tom-H@ck 僕たちが『オーバーロード』に関わらせてもらっているときは、音楽作家としてだけではなく、アーティストとして関わるので。今、大石さんが言っていたように焼き回し感、同じようなことを何回も、1期も2期も3期もやるというのは僕たち自身も飽きが来るし、リスナーにも飽きがくる。それを回避したいがためのギャップだったりは意識していますね。

「2期で急にエンディングがバラードになったなぁ」とか。3期のエンディグでは、OxTがハードバラードみたいな感じなので、そこでもこれまでと違う手法をとっているのはあって。そこらへんは『オーバーロード』で意識していることとしてある「存在意義」みたいなものだと思ってやっていますね。

今回のオープニング曲はMYTH & ROIDの「VORACITY」です。この曲ではどのようにその世界を表現したのでしょうか?

Tom-H@ck 残虐さですね。大量に人を殺めるシーンもけっこうあったりするし、そのやり方もグロテスクな感じなので、そういう、ちょっと狂気を超す感じ。狂気ってまだ華やかさのある言葉だと僕自身は思っていて。それをひと回りふた回りするとグロテスクというか。もうどうしようもない人間の気持ち悪さをオープニングでは表現したいなと思いました。そのうえで、人の耳につくようなキャッチーさも出しました。

特に「ここだ」とポイントにしたのはどんなところですか?

Tom-H@ck いろいろあるんですけど、めっちゃ細かい話をすると、アーティストとしてもそうだけど、クリエイターとしての脳になってくると、いつもとは違うことをやってみたいという欲はあるんですよ。

それで今回は、海外で使われている太鼓の音源を、日本のポップスに入れてみようと思ったんです。この曲にある太鼓の音はハリウッドなんかで流れているものと同じ音像をしていて。いままでそれをやったことがなかったけど、試してみたらうまくハマって。それが今回の楽曲の中では面白い挑戦だったかなと思いますね。

『オーバーロード』の曲だからこそやりたいと思ったんです。実は今までの曲もそうなんですけど、日本人ってメロディとコードが濃い方が好きなんですよ。特にコードは。で、今回やりたかったのが、コード進行はあまり濃くせずに、リズムと低音でもっていきたいなと。それで売れる曲が出来たら、それはまた新しい境地にいけるなと思ったんです。

だから今回は音がめちゃくちゃ少ないんですよ。多く聞こえるんですけど、トラック的には5個くらいしか使っていない。全部が中心の下にある、というのがオープニングでこだわったポイントですね。

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