松本孝弘、入魂のソロアルバム『enigma』  vol. 1

Interview

B'z、松本孝弘。6本の弦が紡ぐ、至高のギターミュージック 【前編】

B'z、松本孝弘。6本の弦が紡ぐ、至高のギターミュージック 【前編】

B’z 松本孝弘

僕は僕なので、あまりジャンルは考えていませんでした

――で、『enigma』っていうタイトルを付けたのは、自分の人生も振り返ってみたけれども謎な部分が多いっていうことですかね。

まあそうですよね。もうホントに、いいことも悪いこともいろんなことがあるけれども、ねえ、謎というか、不思議ですよね。

――不思議ですよねえ。という感覚になったんですね。

そうですねえ。

――いやあ、いい話じゃないですか。

いやいや(笑)。僕、あんまりインタビュー上手じゃないから、上手く自分の思ってることを言葉で表現できないんですけど(苦笑)。

――いやいや。で、今回作ったアルバムの音楽的なセグメントみたいなものって、松本さんは意識してるんですか? たとえばスムーズ・ジャズとかそういう。

いや、ジャンルについては全然そんな意識してなくて、自分自身のたとえば演奏、ギター・プレイは、結局、音が歪んでたり歪んでなかったりするだけで、やってることってあんまり変わってないので、まあ僕のギター・プレイは…僕は僕なので、あんまりジャンルとかそういうことは考えていないですね。

――アメリカだと、ラジオ局がすごく細かく分かれてるので、そのラジオ局にかけるためっていうのは変だけど、そこの局の人にわかりやすくするために、自分でセグメントを決めるっていう場合がミュージシャンの中にもありますけど、松本さんはそういうことはしないんですか?

今回のアルバムに関しては、特にそういうことは気にしていなかったですね。

――前の『New Horizon』とかそういうのには多少はありました?

ありましたね、Larry & Takからの流れもあったので。やっぱりラリーさんとやった影響で少しああいう感じのジャンルというか音楽も、自分自身が創ることに興味が出たので。

――なるほど。で、セレクトしたミュージシャンなんですけど、B’zの「juice」で叩いたドラマーの……。

ああ、ブライアン・ティッシーですね?

――ブライアンが入ってたり、そのミュージシャンのセレクトは松本さん的には、その曲に対してのプレイヤーっていうことなんですよね。

そうですね。まず、ブライアンは久しぶりに――彼はホントに僕、大好きなドラマーなので、ぜひ何曲か彼にはやっていただきたいなと思ってたんですよ。で、ツアーが決まっていたので、ツアー・メンバーを探してたときに、ジェイソン・サター(Ds)、僕は映像を見てとっても気に入ったので、彼をツアーのメンバーの候補にしようかなあなんて思ってたときに、そのままレコーディングも始まったので、試しにまず彼にやってみてもらったんですよね。そしたらすごく良かったので、結局アルバムのほとんどは彼なんですよね。

――ジェイソン・サター、なるほど。このジェイソンのプレイが松本さん的に良かったのはどの辺なんですか?

もちろん技術的にはもう全然、ブライアンもそうだし、ジェイソンもものすごいテクニシャンなんだけども、でも、ジェイソンの良さはやっぱりビートですよね。なんかフツーの、フィルなんかしないでずーっとビートを叩いてても、非常に気持ちいいというか、素晴らしいんですよね。グルーヴが。

――手数の多いこととかあんまりやらないんですね。

やればやれると思うけどね。だけど、基本は、ブライアンとかに比べるとシンプルなタイプだと思う。

――比べるとね。なるほど。ベースに関してはどうですか?

ベースのジョン・アルデレーテは、『ACTION』のときに結構やってくれてて。ジョンは、マーズボルタのベーシストだった。バンドは解散しちゃったらしいんだけど。で、なんか久しぶりにね……彼とはこっちではときどきバッタリ会ったりして、そんなに久しぶりじゃなかったんだけど(笑)、レコーディングを一緒にやるのは久しぶりでしたね。あと、ショーン・ハーリーも『ACTION』の時期に確か一緒に。

――「永遠の翼」とか「ロンリースターズ」は時期的にはだいたい同じくらいだから。

そうだよね。あ、でも「黒い青春」のウッドベース弾いてるのは確かショーンだよね。

――なるほど。

そうそう。だから、ショーンもなんか久しぶりに。で、ジェイソンとショーンと、オルガンのジェフ・バブコ、この3人はすごい仲良しなんだよね。僕、それはあとで知ったんだけど、ジェイソンとジェフは大学の同級生。それをあとで、ダビングしてるときにジェフが言ってたんですよね。

――ということは、松本さんの選んだ人間が、結構結びつきが強かったということじゃないですか。

そうですね、自然と。

――へぇー、音に出るものっていうのが何かあるのかもしれないですね。

そうかもしれないですねえ。

フライングVを持ったことがなかったけど、そろそろいいかなと使ってみたらすごく音が良かったんです

――今回レコーディングで使ったギターのリストを拝見したんですけど、フライングVが、ことのほか目立ったような気が僕はしたんですけど。

そうですねえ。これはホントに、音の良さで、その曲に合ったいい音がするのを選んでるので、Vが結構勝ち残ったんですね。

――勝ち残った(笑)。それは圧倒的に音が違うんですか?

音、すごくいいんですよ。最初は、僕がフライングVを今まで自分で持ったことが一回もなくて、そろそろいいかなと思って一昨年買ったんですよね。で、レコーディングで試しに使ってみたらすーごく音が良かったので、『EPIC DAY』のときも使って、結局ツアーでも使って。で、自然とこのレコーディングのギターラックの中にも入ってて、やっぱり曲に合わせて弾いたときに非常に良かった。

――松本さんがフライングVをずっと持たなかった理由ってあるんですか?

自分で似合わないと思ってたから。だから僕はマイケル・シェンカーの大のフリークだったけど、Vは自分で持ったことはなかったですね。所有したことはなかったです。弾いたこともほとんどないですね。

――で、そろそろいいかなと思えたのはなんでなんですか?

ロスのギター屋さんでコリーナのVを売ってて、「どうしようかな、これいいなあ」なんて思ってたんだけど、そしたらいつの間にか売れちゃって(苦笑)。

――ははは!

それで、急に欲しくなって(笑)。

――売れちゃったからね。

そう、売れちゃったもんだから。それで、日本に戻ったときに、昔からいろいろオールド・ギター、ヴィンテージ・ギターのお世話をしてくれてるギター屋さんがあるんだけども、そこのお店に頼んだら1本探してくれて、それを買ったんですよね。そしたらすーごい良かったんです。

――それで、「じゃあ欲しくなったことだし、ここら辺で買って弾いてみようかな」って思ったんですね。

そうですねえ。

――マイケル・シェンカー……だって「イントゥ・ジ・アリーナ」とかカバーしたことあるじゃないですか。

うん。

――なのにVを持たなかったのは、何か逆に「使わない」っていう執着があったのかなあと。

マイケル・シェンカーみたいなプレイにはとっても憧れてたけども、「敢えてVじゃなくて」っていうところはあったかもしれない。

――ああ、なるほど。Vを使わずに、たとえば「イントゥ・ジ・アリーナ」とかをコピーしたいと。

うん。実際、カバーした「イントゥ・ジ・アリーナ」はVを使ってないんですよね。あれは確かミュージックマン。

――逆にそこが松本さんのこだわりかもしれないじゃないですか。

そうですね。

――そうか。そういうところも松本さんのギター歴に通ずるようなものがあるのかもしれない。

うん、そうですね。

――アコースティック・ギターのマーティンのジョン・メイヤー・シグネチャーって、これは使いやすいんですか?

これは、こっちに来てから、アコースティック・ギターのいいのは全部日本に置いてあるので、レコーディング用に1本いいのがないのかなあと思って買ったんですよね。でもだんだん良くなってきてる。使わないと良くならないので、だんだん良くなってきてますね。

――使えば使うほど音ができてくるっていうところはあるんですかねえ。

やっぱり木だし、鳴ってくるんじゃないですかね。

――やっぱりロスでギターの響きは違いますか?

いやあ、それはどうですかねえ(笑)。

――ははは!

あんまり気にしたことはないですけど。

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