全話レビュー!『幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX』リリース記念特集  vol. 2

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24年を経て待望のBlu-ray化実現! 劇場版『幽☆遊☆白書 冥界死闘篇 炎の絆』はなぜ“特別な一本”だったのか?【レビュー&上映イベントレポ】

24年を経て待望のBlu-ray化実現! 劇場版『幽☆遊☆白書 冥界死闘篇 炎の絆』はなぜ“特別な一本”だったのか?【レビュー&上映イベントレポ】

「週刊少年ジャンプ」にて連載(著:冨樫義博)の漫画をTVアニメ化し、1990年代に絶大な人気を誇った『幽☆遊☆白書』。その長編作品である劇場版『幽☆遊☆白書 冥界死闘篇 炎の絆』(1994年公開)が、2018年7月27日発売のTVアニメ25周年記念Blu-ray BOXに収録された。公開以後、パッケージとしては入手困難だったが、ついにBlu-ray化された本作の魅力について、今回は7月29日に行われた上映イベントの模様とともに改めてレビューする。

構成・文 / 柳 雄大


TVアニメから単体での劇場アニメに。1994年当時の“特別感”

かつて『幽☆遊☆白書』の映画は2作品が作られた。その2作目である『冥界死闘篇 炎の絆』は、初の長編作品であり、(映画パンフレットによれば)7万枚ものセル画が使用されたという大作だ。作品のシナリオはこの劇場版のためのオリジナルで、登場する新キャラのデザインは原作者の冨樫義博が手がけた。当時はまだ小学生だった筆者も、「ジャンプ」に掲載される新作映画の情報を見ながら「この映画は何か特別だ……!」と子どもながらに感じたことをよく覚えている。

1990年代当時はTVアニメ、特に「ジャンプ」原作作品が単体で映画化されることはあまりなかった。『幽☆遊☆白書』の場合も、劇場版第1作では『ドラゴンボールZ』、『Dr.スランプ アラレちゃん』とあわせた3本立てとして、“東映アニメフェア”にて短編映画が公開されている。その翌年、東宝配給による『冥界死闘篇 炎の絆』は本作単体での公開となり、上映時間も93分と大きくボリュームアップ。これだけの映画が作られたのは、やはり当時のアニメの中でも『幽☆遊☆白書』にとてつもない人気があり、特別な作品だったからだと考えて間違いないと思う。

そんな『冥界死闘篇 炎の絆』だが、これまで映像ソフト化される機会が少なく、実はBlu-rayはおろかDVDでも発売されたことがない。今回リリースされた『幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX』には晴れて映像特典として収録されたが、これはなんとVHS版以来の商品化だという。

霊界を危機に陥れる“冥界”との戦いを描くオリジナルストーリー

未曽有の豪雨に見舞われ、水没の危機に瀕した霊界。異常事態を察知したコエンマは、人間界の浦飯幽助たちに助けを求めるべく、霊界案内人のぼたんに伝令を急がせた。やがてボロボロになりながら人間界にたどり着くも、力を使い果たし倒れてしまうぼたん。彼女の残した言葉から、霊界案内人・ひなげしと出会った幽助たちは、霊界を救うための方法を探し始める。

その裏で暗躍していたのは、かつて霊界に封印された“冥界”の者たちだった。冥界の支配者・耶雲(やくも)は、部下の“三獄神”を率いて幽助たちの前に姿を現す。彼らの目的は、かつて存在した冥界を人間界に復活させること。幽助たちは圧倒的パワーを誇る耶雲たちを相手に、霊界を、そして人間界を救うことができるのか……?

『冥界死闘篇 炎の絆』では上記のような物語が描かれている。幽助とともに戦う仲間としては桑原、蔵馬、飛影、幻海のほか、コエンマ、ぼたんや雪村螢子、雪菜といったTVシリーズのメインキャラクターたちが登場。これに、ひなげし、冥界の耶雲、三獄神といった本作ならではのキャラが加わってオリジナルのシナリオが展開されていく。作中では言及されないが、『幽☆遊☆白書』のストーリーとしては「暗黒武術会編」と「仙水編」の中間ぐらいにあたるエピソードとなっているようだ(ちなみに、本作が公開された1994年4月9日は、TVシリーズの第75話「シーマン・雨に潜む罠」の放送当日でもあった)。

24年を経てあらためて観た、『冥界死闘篇 炎の絆』に思うこと

まずは冒頭から、“三途の川が氾濫する”というムチャな設定が『幽☆遊☆白書』っぽくて良い! その映像のスペクタクルぶりと、オーケストラを用いた劇伴音楽が表現する劇場版らしいスケールの大きさ。そして普段は呑気なコエンマと秘書・ジョルジュ早乙女の会話から伝わってくる危機感が、映画の導入として最高の盛り上がりを作っている。さらに、後のシーンで登場する蔵馬が「霊界は……なくなってたよ……」と表現するが、これもまた『幽☆遊☆白書』らしい驚きが感じられるいい台詞だ。

水没する霊界をイントロで見せつつも、本作では人間界が主な舞台になっているのもポイント。『幽☆遊☆白書』のバトルといえば霊界、魔界や暗黒武術会会場など異世界的な空間が多いため、そうしたTVシリーズとはひと味違った雰囲気だ。夜の高速道路をバックに飛影が戦うシーンなど、リアルな街並みの中でバトルが繰り広げられるのは映像的にとても見ごたえがある。後半には渋谷と思われるスクランブル交差点も登場し、これもかなり印象的なシーンになった。

本作の大きな目玉であるオリジナルキャラクターたちもいい感じだ。ぼたんの親友・ひなげし(声:横山智佐)のほか、冥界の耶雲(声:鈴置洋孝)、黒鵺(くろぬえ/声:大塚芳忠)、魔舎裏(まじゃり/声:三ツ矢雄二)、頼光(らいごう/声:福田信昭)など、そうそうたるキャストがそろっている。中でも耶雲は「ハッハッハ!」という高笑いが似合う、とにかく強くて魅力的なボスキャラだ。『幽☆遊☆白書』には他作品で主役(ヒーロー)を演じたことのあるキャストが強敵の役を好演する例が少なくないが、鈴置洋孝が演じた耶雲もそんな中にピタッとハマる、悪役ながら声も含めカッコいいキャラクターになっていた。

また、物語としては、幽助たちが「霊界と人間界を救う」話でありつつ、「ぼたんを救う」話でもあった本作。『幽☆遊☆白書』TVシリーズではあくまでお助けキャラというポジションの、あのぼたんがかなり中心的にフィーチャーされているのが特徴的だった。朝焼けの中でぼたんが目を覚ますラストシーンは、ぼたんファンの筆者としては(そうでない人でもきっと!)かなりグッとくるワンカットだ。

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