LIVE SHUTTLE  vol. 11

Report

Every Little Thing 東京国際フォーラム(ホールA) 2016.03.20

Every Little Thing 東京国際フォーラム(ホールA) 2016.03.20

客電が落ち、シースルーの紗幕の向こうでステージが薄暗く浮かび上がる。どうやらそこは、ガランとした倉庫風のリハスタのよう。無音のなかまず静かに入ってきたのは、持田その人だった。目に見えない決まった動線があるかのように、角を直角に曲がりつつ舞台中央にたどり着くと、手を伸ばして小さな明かりを点けた。まるで演出の一部であるかのごとく客席から拍手が起こる。当の持田は何事もなかったようにベンチに腰掛けて、やおらストレッチを始める気配だ。バレエの心得がある彼女の一連の動きは、とてもしなやかで、優雅で、まるでコンテンポラリー・ダンスの一コマかと見ているようだ。

気づけばミュージシャンも、ひとり、またひとりとステージに登場して、明かりを灯す。スタッフがドラムやキーボードの乗った演奏台をスーッと運んでくるのも、光景の一部として溶け込んでいる。ふと気づけば、さっきまでガランとしていた「倉庫リハスタ」は、すっかり本日のステージへと変身していた。最後に明かりを灯したのは伊藤だった。ことさらに大きな拍手。準備完了のようだ。

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と、そこでブラックアウト。そして、眩しい光のなか上がる紗幕とともに、バーンと「Shapes Of Love」のイントロが奏でられた。客席から驚きと歓喜の声。その反応に持田も伊藤も本当にうれしそう。「Every Little Thing 20th Anniversary Best Hit Tour 2015-2016〜Tabitabi〜」のオープニングは、長い時間をかけて世の中に浸透したふたりのキャラそのまんまの、 じわじわくる実に洒落た演出だった。

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1曲目からエネルギーを放出する持田。伊藤のギター・ソロもアームで暴れまくる。ELTライブ史上初のホーン・セクションも加わって、音にも文字通り20年の厚みと深みと遊びが感じられる。持田の高い足蹴りが出た「Free Walkin’」、虹色のムービングライトがポップな「ANATA TO」と、まずは思いっきりハイテンションで駆け抜けた。

一転、粋なイントロに乗せて「一緒に歌ってください」と始まった「Time goes by」は、ボビー・コールドウェルを彷彿とさせるAORな雰囲気。アコースティックな響きが軽やかな「ソラアイ」では、持田もゆったりと椅子に座り、言葉を慈しむように歌う。ファルセットをうまく交えながらその歌唱は、今だからこその魅力にあふれていた。

「今日が初めての人」と会場を眺める持田。そう聞いておいて、手を挙げたお客さんに「初めて?」と驚き、「20年やってるんですけどね。いやいや、けっしてイヤミじゃないですよ。私も『STAR WARS』を急に思い立って観たりしますから」と返す持田に、クスクス笑いがさざめく。その気取らなさにつられて飛び交う声にいちいち反応する持田。いじられても仏の笑顔の伊藤。ホールクラスを数多く回ることにこだわってきたELTならではの空間に、ほっこりさせられた。

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そんな流れのなかで持田がエレキを肩にかけた。ちょっとしたどよめき。その姿はもちろん新鮮なのだが、なんだかずっと前からそうやって歌っていたかのように違和感がない。何事においても親和性が高いのは、天性の柔軟さのなせるワザだろう。そんな持田の弾きっぷりを先輩として眺める伊藤。最新作『Tabitabi』からのブリットポップ風ナンバー「レインボー」、「Everything」は、さりげなさのなかにこだわりをしのばせるふたりの匂いだなと、楽しく耳を傾けた。

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中盤「azur moon」、「water(s)」ではジャズ的なアプローチも。ソプラノ・サックス、フルート、トロンボーンなど、ホーン隊があの手この手を使って柔らかいトーンを添えていく。音数の少ないなかで紡がれるドラマチックさに、持田の歌声もグングンと表情を増していった。デビュー当時では考えられないオーガニックさ。でもそれはけっして突然の変化ではない。ELTのふたりがずっと内側で静かに求め、忍耐強く育ててきたものが、20年という時を経てようやく開花したというべきだろう。

ここで持田は一旦ハケて、真っ赤なギターを抱えた伊藤が中央に躍り出た。「Phone jamming」。茶目っ気たっぷりなホーン隊とファンキーなバトルを仕掛け合う姿がカッコいい。ここばかりは譲れないといつもよりたっぷり独壇場を占拠する伊藤。そのグルーヴィーかつ豪快なギター・プレイに会場は沸きに沸いた。その熱を、ビビッドなワンピに着替えた持田がガシッと掴みにかかる。「東京〜!」とドスの効いた声を上げると銀テープが舞い、「Feel My Heart」になだれこんだ。観客は堰を切ったように拳を上げて熱狂モードに。「アホになる気はあるのか、オマエラ〜!」と、ラストスパート定番のべらんめぇ口調になった持田。そして、賑やかなラテン風味で「出逢った頃のように」、「これからも前を向いて突き進んでいくという思いで歌います」と「ON AND ON」。ライブでの歌との向き合い方に長年悩んできた持田だが、仁王立ちになって全身全霊を注ぐその姿からは、たとえ迷いがたちはだかろうと闘うことを放棄しないという強靭さがにじみ出ていた。

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アンコール、3月24日が誕生日の持田にサプライズ・ケーキが運ばれると、「38歳ですけど何か?」という表情。これにはみんな大ウケだった。そりゃ20周年だもの、歳はとる。それよりなにより、男女二人組のグループが、それぞれ家庭を持ってなお、変化しながら一線で活動できてるって稀有だよなとふと思った。

今回ひょっとしたら、「“Best Hit Tour”と銘打っているのに、当時のサウンドを再現してくれなかった」と思った人がいたかもしれない。が、実はその移り変わりにこそELTの価値はあるのではないだろうか。穏やかに見えても、こうと思えば頑固にひたむきに向かっていくふたり。そんな20年が、究極のオーガニック・ナンバーといえるラストの「このは」に凝縮されていた。人生を奏でる美しいこの曲は、ELTの新たなスタンダードとして、この先長く愛されていくにちがいない。

取材・文 / 藤井美保

Every Little Thing 20th Anniversary Best Hit ttour 2015-2016 3月20日(日)東京国際フォーラムホールA セットリスト

1.Shapes Of Love
2.Free Walkin’
3.ANATA TO
4.Time goes by
5.ソラアイ
6.レインポー
7.Everything
8.fragile ′
9.azure moon
10.water(s)
11.jump
12. Phone jamming (lnstrumental)
13.Feel My Heart
14.Grip!
15.出逢つた頃のように
16.ON AND ONEN1.KIRA KIRA

<アンコール>
EN2.Dear My Friend
EN3.このは

リリース情報

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Single

KIRA KIRA / AKARI【CDシングル+DVD】
AVCD-83389/B ¥2,000+税

<Disc 1 CD>
01 KIRA KIRA
「Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!パンプキン王国のたからもの」 主題歌
02 AKARI 「ホシザキ」CMソング
03 KIRA KIRA(instrumental)
04 AKARI(instrumental)

<Disc 2 DVD>
01 KIRA KIRA Music Video
「Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!パンプキン王国のたからもの」 主題歌
「KIRA KIRA / AKARI」


ELT_KIRA_cdJK

KIRA KIRA / AKARI【CDシングル】
AVCD-83390 ¥1,200+税

<Disc 1>
01 KIRA KIRA
02 AKARI 「ホシザキ」CMソング
03 KIRA KIRA(instrumental)
04 AKARI(instrumental)


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Album

Tabitabi
AVCD-93229 ¥3,000+税

<収録内容>
01 MY LIFE
02 ANATA TO
03 さよなら
04 Everything
05 レインボー
06 いいかえれば
07 Phone jamming (Instrumental)
08 Little Dancer
09 Best Boyfriend
10 このは
11 下町
12 旅旅

ライブ情報

Every Little Thing 20th Anniversary Live(仮) 開催決定!衝撃のデビューからはや20年、2016年8月7日にデビュー20周年を迎えるEvery Little Thing。「出逢った頃のように」「Time goes by」「fragile」など数々のヒット曲を生み出してきたEvery Little Thingのデビュー20周年を記念する2日間限りのスペシャルライブが開催決定!珠玉の名曲とともに贈るアニバーサリーライブをお見逃しなく!

◆2016年8月5日(金)【東京】国立代々木競技場第二体育館
開場18:00 開演19:00(予定)【問】キョードー東京 0570-550-799

◆2016年8月7日(日)【東京】国立代々木競技場第二体育館
開場16:00 開演17:00(予定) 【問】キョードー東京 0570-550-799

※開場/開演時間は変更の可能性がございますので、ご注意ください。

オフィシャルサイト http://avex.jp/elt/

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