Interview

バトルキャラをミニフィギュアとして完全再現!『FGO』から派生した『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』の魅力とは!?

バトルキャラをミニフィギュアとして完全再現!『FGO』から派生した『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』の魅力とは!?

性別や世代を超え、圧倒的な人気を誇るスマートフォン向け「Fate」RPG『Fate/Grand Order』(以下、『FGO』)。今年春より第2部「Cosmos in the Lostbelt」の配信が開始し、ますます人気を高めている『FGO』から生まれた新ゲーム『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』が8月に発売を開始。これは『FGO』に登場する英霊(サーヴァント)のバトルキャラクターを再現したミニフィギュアとコマンドカードを使って遊ぶ1対1の対戦型のボードゲーム。『FGO』の開発・運営を行うディライトワークスとアニプレックスが共同開発を行っている。
なかでもファンの注目を集めているのが、スケールモデルと遜色ない圧倒的クオリティを誇るサーヴァントのミニフィギュアだ。高価なスケールモデル相当のクオリティを、ミニフィギュアでどうやって実現できたのか。そのクリエイティブのこだわりと開発秘話、『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』の魅力を、アニプレックスのフィギュア担当ディレクター・後神智昭氏にたっぷり語ってもらった。

取材・文 / 阿部美香
撮影 / ANIPLEX+、エンタメステーション編集部

スケールモデルよりも手軽なミニフィギュアなら、たくさんの『FGO』ファンの方に楽しんでいただけるチャンス

『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』(以下、『FGO Duel』)は、ミニフィギュアとコマンドカードを用いた“英霊召喚ボードゲーム”がコラボレーションした、全く新しいコンセプトの新規『Fate/Grand Order』(以下、『FGO』)ゲームプロジェクトですね。開発はどういうキッカケで始まったのでしょうか?

企画がスタートしたのは、2017年の夏くらいだったと思います。僕は3年間、『FGO』や『冴えない彼女の育てかた』シリーズのスケールフィギュア(※対象物をスケール=縮尺に基づいて忠実に再現した模型)や『きゃらふぉるむ+』シリーズの企画などを担当してきたんですが、自分が手がけてみたい野望の一つに、ミニフィギュアがあったんです。

アニプレックスのオリジナル商品に精巧なスケールモデルはたくさんありますが、そういえばまだミニフィギュアのラインナップは少ないですね。

そうなんですよ。会社としても新しいラインは必要なので、ぜひアニプレックスならではのオリジナリティのあるミニフィギュアを手がけてみたかったんです。ところが、日本で企画される大半のフィギュアは、量産を中国の工場に頼っており、中国の生産コストは年々上がっていて、安価にミニフィギュアをリリースすることが非常に難しくなっているんです。そこで、よりお手頃な価格で、フィギュアを楽しんでもらえるにはどうしたらよいのか、、、と探っていたときに、『FGO』が爆発的なヒットとなりました。『FGO』には魅力的なキャラクターが多数登場するのでシリーズ化も可能。スケールモデルよりも手軽なミニフィギュアなら、よりたくさんの『FGO』ファンの方に楽しんでいただけるチャンスがある。そんな気持ちで『FGO』のミニフィギュアシリーズを企画したんです。

フィギュアディレクター / 後神智昭

まずは後神さんの、気軽にミニフィギュアを楽しんでもらいたいという想いがあったんですね。

はい。スケールフィギュアは、クオリティにこだわればこだわるほど高価になってしまうので、マニア向けのものになりがちです。でも僕は、ミニフィギュアを通じて、もっと手軽に、より多くの人にフィギュアを愛でる楽しみを感じていただきたかった。さらに、ちょうど同じ時期、『FGO』の開発を手がけているディライトワークスさんから、『FGO』が題材のカードバトル型ボードゲームを企画しているという話を聞きまして。ボードゲームの駒をサーヴァントのミニフィギュアで遊べたら、もっと『FGO』らしくなると思い、両方のアイディアを合体した『FGO Duel』をブランディングしていこうと考えました。

海外では『スター・ウォーズ』や『ハリー・ポッター』など、人気作品のキャラクターを駒にしたチェスセットが発売されていますが、あの感覚ですね?

まさにそうですね。しかも『FGO Duel』はミニフィギュア同士がバトルすることに、物語としてもちゃんと意味があるので、ゲームとしての面白みも反映させやすいんですよ。最近は、アナログのボードゲームも非常に注目されているので、ボードゲームファンに『FGO』の面白さを知っていただく良い機会ですし、フィギュアファンにも『FGO』を新たにアピールできる。従来の『FGO』ファンには、サーヴァントをコレクションする楽しみを味わっていただける……と良いことづくめで(笑)。そういった意図と経緯があって、『FGO Duel』はボードゲームの内容とミニフィギュアの制作が同時進行していきました。

©TYPE-MOON / FGO PROJECT

では、まずはミニフィギュアの制作についてお聞きします。今ここには、出来上がったばかりの『FGO Duel』シリーズ第1弾、第2弾ラインナップの試作品をお持ちいただいたんですが……ミニフィギュアとは思えないクオリティの高さに驚きました!

ありがとうございます。そういっていただけるだけで、苦労が報われた気がします(笑)。僕も『FGO』のスケールモデルは多数ディレクションしてきましたが、ミニフィギュアのディレクション経験は少ないので、原型制作からすべてが試行錯誤の繰り返しでした。

素人考えでは、スケールモデルの作り方をそのままミニフィギュアに落とし込めばいいのでは?と思ってしまうんですが、そういうわけにはいかないんですね。

いかないんですよ、それが(笑)。もちろん、キャラクターを再現するという意味ではスケールモデルのノウハウを存分に生かしていますが、フィギュアというのは、仕様の細かさが作業工程数の大小に直結し、作業工程が多くなれば、それがダイレクトにコストに影響します。しかし、僕が今回最もこだわったのは、「省略しない」ことでした。今回、ミニフィギュア化したサーヴァントは、バトルタイプのボードゲームであるという特性に合わせて、『FGO』内の「バトルキャラクター」を採用しているんですが、バトルキャラクターの絵に描かれている要素は「サイズが小さくなってもすべて再現する」ことを重視しました。小さくなればなるほどディテールの完全再現は困難になるのですが、もっとも大事な「顔を綺麗に再現するサイズ」、「持った時、あるいはコレクションフィギュアとして並べた際に良いサイズ」にしました。

セイバー/アルトリア・ペンドラゴン ©TYPE-MOON / FGO PROJECT

サーヴァントによって大小ありますが、平均すると約15㎝前後でしょうか。これはサーヴァントの設定伸長から考えると、何分の何サイズになるのでしょうか?

正確にはノンスケールですね。各サーヴァントの設定身長から割り出した規定のスケールで統一するのではなく、設定に忠実にサイズに差異を出して、並べたときに違和感がないようにしています。

ミニサイズで忠実に再現するための細部へのこだわりとは…

「バトルキャラクター」がフィギュア化されるのは、これが初めて。『FGO』フィギュアとしてのレア度も非常に高いですが、原型制作で後神さんがこだわったことは?

それもスケールフィギュアと同じです。まず人体構造がちゃんとしていることですね。2Dで表現されているものを3D化するにあたっては、360度どこから見ても違和感のないよう、骨格と筋肉の構造を意識しながら、バトルキャラクターのポージングを再現しなければならない。「シールダー/マシュ・キリエライト」などは以前スケールフィギュアを制作した経験がミニフィギュアのサイズ設定に生きていると思います。また、原型師さんにこの『FGO Duel』のコンセプトを伝える事も大変でしたね。

とくに苦労された点はどこですか?

すべてが苦労なんですけど(笑)……『FGO』をプレイされている方はよくご存じだと思いますが、ゲーム内で閲覧できるバトルキャラクターは、斜め向きに描かれています。なかでも口の表現は独特で、正面から見て口元全体が見えるように、斜めに描かれているんですね。原型の段階で、その口を立体として違和感なく見せるようにするのは難しかったです。例えば、「バーサーカー/クー・フーリン〔オルタ〕」などが分かりやすいんですが、開けた口の向かって右の口角を、左より上げることで、それを表現しています。またポーズ付けには、口だけでなく、体、特に左腕をどこに位置付けるかが難しかったですね。

バーサーカー/クー・フーリン〔オルタ〕 ©TYPE-MOON / FGO PROJECT

たしかに、ニヤリと笑っている感じになっていますね。顔のパーツ表現は、非常に細かいこだわりが反映されているんですね。

はい。同じように、絵として特徴的なのが目の表現なんです。遠目では分かりにくいですが、瞳の色や目の形はもちろん、白目の部分に影がどれくらいかかっているか、ハイライトがどう入っているかなどの細部は、サーヴァントそれぞれで違う。目のコントラストなどは「アーチャー/ギルガメッシュ」が分かりやすいかと。目の表現には、かなりこだわりを反映しているので、ぜひゲームと見比べていただきたい部分ですね。

アーチャー/ギルガメッシュ ©TYPE-MOON / FGO PROJECT

各サーヴァントのコスチュームも、非常に凝った作りをそのままに再現していますね。

そうなんです! どの部分も自慢なんですけど(笑)、複雑なコスチューム、髪の毛の形など、装飾的な部分までミニサイズでバトルキャラクターを忠実に再現しているのは、自慢のひとつ。それに加えて、髪、肌、アーマーなど、素材感の違いや質感を彩色でいかに表現するかは、フィギュアのクオリティを決定づける要素のひとつなので、非常にこだわりました。これも「バーサーカー/クー・フーリン〔オルタ〕」が非常に分かりやすいんですが、胴体など広い面はエアブラシを使い、線状の部分の色づけは筆で手塗り、胸のシンボルマークはハンコのように柄を押して彩色するタンポ印刷で行っています。「アサシン/“山の翁”」はコスチュームの黒も、部分によって微妙に色やツヤ感を変えて彩色しているので、違いを見て頂けたら嬉しいですね。

「キャスター/マーリン」の杖の色分けも細かいですよね。

色のグラデーションもちゃんと再現しています。同じ色合いのものでもそれぞれ塗料を変えて、メタリックなものはメタリックに、自然素材のものは例えばマットに色分けしたりと、質感の違いを表現しています。

それがすべて手作業だというのがすごいですね。

そうなんです。中国の工場のみなさんの技術力の高さがあってこそですね。ただ、これを実現するまでに、相当、密に現地とやりとりをしました。彩色へのこだわりは、作業工程の増加に直結する。『FGO Duel』専用の人員も増やさなければならないので、工場側のリスクも大きいんですよ。何度も「そこまでやる必要があるのか?」と言われましたね。

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