『機動戦士ガンダムNT』公開記念特集  vol. 2

Column

ガンダム「宇宙世紀」はもはや“歴史学” 11月公開『機動戦士ガンダムNT』をもっと深く楽しむために…シリーズ総復習のすすめ

ガンダム「宇宙世紀」はもはや“歴史学” 11月公開『機動戦士ガンダムNT』をもっと深く楽しむために…シリーズ総復習のすすめ

今年4月に制作発表が行われ、続報が待たれていたガンダムシリーズ新作アニメ『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』の詳細がいよいよ判明した。驚かされたのは、本作が、完全新作“映画”として、11月30日(金)より、全国90劇場でロードショーされること。 “OVA作品を映画館で先行イベント上映した”という前作『機動戦士ガンダムUC』(episode 7「虹の彼方に」では全国35劇場で実施)とは、そのスタンスが大きく異なっているのだ。宇宙世紀シリーズの完全新作映画は『機動戦士ガンダムF91』(1991年)以来、実に27年ぶりとなる。

文 / 山下達也(ジアスワークス)


宇宙世紀シリーズ27年ぶりの完全新作映画『機動戦士ガンダムNT』

『機動戦士ガンダムNT』のNTとは、「ナラティブ(narrative)」=“語り”あるいは“物語”の意味で、古くは文芸用語として、近年では医療用語、マーケティング用語としても使われるようになってきたもの。「ストーリー」とは対になる用語とされており、ストーリーが書き手によって語られる物語のことだとすると、「ナラティブ」は読み手によって語り直される物語という意味がある。本作タイトルにこの言葉が使われた“真意”はいまだ明らかにされていないが、ガンダムという作品が、この約40年間、ファン(読み手)によって語り直されてきたものであることとは無関係ではないだろう。

なお、『機動戦士ガンダムUC』のUCが「ユニコーン(可能性の獣)」と「宇宙世紀(U.C.=Universal Century)」のダブルミーニングであったのと同様、NTも「ナラティブ」と、「ニュータイプ」のダブルミーニングになっている。脚本を担当した、作家・福井晴敏曰く「ニュータイプ神話に対して句読点が打たれるような作品」になるとのことだ。

『機動戦士ガンダムNT』先行場面カットより

物語は、『機動戦士ガンダムUC』完結から1年後のU.C.0097が舞台。あれほどの騒乱が起きたにもかかわらず、その有り様を大きく変えることはなかった地球圏に、かつて消息不明となっていたRX-0 ユニコーンガンダム3号機、その名も「フェネクス(不死鳥)」が姿を現して……というもの。このフェネクスは、すでに福井晴敏書き下ろしの小説『機動戦士ガンダムUC 不死鳥狩り』など、複数の外伝的作品に登場済みだが、新作映画は新たに語りなおされる“その後”の物語となるらしい。

発表直後は、フェネクスのそれまでの立ち位置から、今作もやはり外伝的な内容になるのではと予想されていた『機動戦士ガンダムNT』。しかし、宇宙世紀シリーズ27年ぶりの完全新作映画ということになると、全く話が違ってくる。これはもう、堂々たる“正伝”だ。

そのキャッチコピーは『ニュータイプ神話の行き着く先――』。ガンダムという作品に哲学性を付与し、多くのファン(読み手)たちに語り尽くされてきた「ニュータイプ」という概念は、果たしてどこに行き着くのか。ぜひ、映画館で、同じくこの作品を愛し続けてきた仲間たちと、その物語(ナラティブ)を共有してほしい。

ガンダムシリーズは新たな“時代”を切りひらいていく

『機動戦士ガンダムNT』先行場面カットより

さて、そんな『機動戦士ガンダムNT』だが、宇宙世紀ガンダムの“祭”は、まだまだ終わらない。実は本作は、サンライズが掲げる新プロジェクト「UC NexT 0100」の第1弾という位置付けで、今後も、続々と100年に渡る宇宙世紀の物語が紡がれていくと言うのだ。

……と、ここまで当然のように「宇宙世紀」という言葉を使ってきたが、読者の皆さんは、これについて、どれくらいご存じだろうか?

最もシンプルに解説すると、「宇宙世紀」とは、『機動戦士ガンダム』以降の世界で使われている作品世界の年号だ(以下、「U.C.」と表記)。『機動戦士ガンダム』でアムロ・レイがガンダムに乗り込んだのがU.C.0079。続編の『機動戦士Zガンダム』がU.C.0087年、アムロとシャアの因縁に決着がつけられた『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』がU.C.0093となる。外伝的OVA作品『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』や『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』は、それぞれその年号がタイトル化されている。

『機動戦士ガンダム』は、いわゆる「巨大ロボット」を「兵器」として扱ったことが高年齢層に支持される理由の1つとなったが、この「宇宙世紀」というギミックも、作品世界にリアリティを付与することに貢献、あたかも戦史を読み解いているかのような興奮を視聴者に与えることに成功した。特にその傾向は、先に言及したOVA作品『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』以降に加速。以降、年表の隙間を埋めるように、宇宙世紀サーガが作り込まれていくことになった(ただし、1994年のテレビシリーズ『機動武闘伝Gガンダム』以降、別世界で展開される“アナザーガンダム”も登場している)。

『機動戦士ガンダムNT』先行場面カットより

なお、『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダムNT』含め、多くの宇宙世紀シリーズは、『機動戦士ガンダム』開始のU.C.0079から20年程度の範囲に収まっているが、一部には、それ以降の時代を舞台にしたものも存在する。1991年に公開された劇場映画『機動戦士ガンダムF91』はU.C.0123を、1993年のテレビシリーズ『機動戦士Vガンダム』はU.C.0153を舞台にした作品だ。この時代では「ニュータイプ」や「ガンダム」という言葉は忘れられようとしており、地球連邦軍も弱体化・形骸化しつつある。こうした時の流れを作中で感じさせてくれるのも宇宙世紀シリーズの興味深いところ。「UC NexT 0100」プロジェクトが、今後、そうした時代のどのあたりを切り出してくるか、ガンダムファンとして楽しみにしたい。

アニメはもう全部観た? だったら「ガンダム」コミックを読もう!

まるで現実の歴史を追うような感覚で楽しめる宇宙世紀シリーズ。実は、対象となるのはテレビシリーズや映画、OVA作品だけではない。もっと宇宙世紀サーガを楽しみたいのであれば、数多く発表されているコミック作品にも目を向けてみよう。

まず絶対に読んでもらいたいのが、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(作・安彦良和)。ガンダムの生みの親の1人とされる安彦良和が、自ら『機動戦士ガンダム』をコミカライズしたという作品で(ベースは劇場版三部作)、アニメでは語られなかった細かなディテールの補完や過去編の追加がうれしい。言うまでもなく、圧倒的に“本物”な絵柄で楽しめるのもポイント。「今から40年近く前のテレビアニメを観るのはちょっと……」と言う、若いガンダム入門者にも読んでもらいたい大傑作だ。

そのほか、『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』で活躍した名脇役カイ・シデンを主人公にした『機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのメモリーより―』(作・ことぶきつかさ)もおすすめ。カイの視点から、あの戦いの裏を語ることで、この2作品に深みと厚みを与えている。

別視点という点では、『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』(作・北爪宏幸)も要注目。こちらは、なんとシャア・アズナブルが主人公。映像作品ではいまだ語られたことのない、『機動戦士ガンダム』後の空白の7年間を明らかにしたものだ。若き日のハマーン・カーンの描写にはきっと驚かされるはず。

『機動戦士ガンダム』期の作品は、ほかにも多くの作品が執筆されており、一年戦争当時にあったというジオン公国総帥ギレン・ザビの暗殺計画をドキュメンタリー形式でコミック化した『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』(作・Ark Performance)、ガンプラ世代には懐かしいジョニー・ライデン少佐の謎を描いた『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』(作・Ark Performance)、まさかのジムを主役メカに据えたバトルアクション『機動戦士ガンダム オレら連邦愚連隊』(曽野由大)など、枚挙に暇がない。それぞれに独自の解釈で宇宙世紀のエピソードを見事に切り出しており、こちらもおすすめだ。

アニメ作品を補完するような作品が多いコミック作品だが、テレビシリーズに負けない“正伝”感を狙った作品もある。その筆頭が、数々の名作SFコミックを手掛けてきた長谷川裕一作画の『機動戦士クロスボーン・ガンダム』。本作の何がすごいかと言うと、原作を『機動戦士ガンダム』の生みの親、富野由悠季監督が手掛けていること。U.C.0123を舞台とした『機動戦士ガンダムF91』の正統続編で、もちろん、シーブックやセシリーといった主演キャラはそのまま登場。ラストに向けた大きな盛り上がりはファンの間でも評価が高く、いまだ、アニメ化を期待する声も根強い。

「宇宙世紀」はもはや歴史学。11月の『機動戦士ガンダムNT』公開に向けて、コミックを含めた、他の宇宙世紀シリーズ作品を徹底的に予習しておきたい。それによって、より一層、この作品を深く楽しむことができるようになるはずだ。

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フェア特設ページ

劇場版アニメ『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』

『機動戦士ガンダムUC』のその先を描く、宇宙世紀サーガ最新作!
11月30日(金)より全国90劇場でロードショー!!

【あらすじ】
U.C.0097――。『ラプラスの箱』が、『ラプラス事変』と呼ばれた争乱の結果として世に示されて一年が経過した。だが、ニュータイプの存在とその権利に言及した『箱』=『宇宙世紀憲章』の存在が明かされても、世界の枠組みに大きな変化はなかった。

一方、『ラプラス事変』において、ネオ・ジオン残党軍『袖付き』は一時的に瓦解し、活動は停滞。また、争乱における主役となった“ユニコーンガンダム”と呼ばれる2機のモビルスーツは、人智の及ばぬ能力を発揮したことで危険視され、秘密裏に封印されていた。しかし、2年前に消息不明となり、歴史から抹消されていたRX-0 ユニコーンガンダム3号機が、地球圏に再びその姿を見せる。“フェネクス”と称されるその機体を巡り、再び動き出す人々。フェネクス争奪戦には、地球連邦軍や『袖付き』だけでなく、アナハイム・エレクトロニクス社とも関連の深い大企業、ルオ商会も介入する。

新たなモビルスーツ「ナラティブガンダム」を投入した彼らの真の目的とは……。

【キャスト】
ヨナ・バシュタ:榎木淳弥
ミシェル・ルオ:村中 知
リタ・ベルナル:松浦愛弓

【スタッフ】
企画・制作:サンライズ
原作:矢立 肇、富野由悠季
監督:吉沢俊一
脚本:福井晴敏
メインキャラクター原案:高橋久美子
キャラクターデザイン:金 世俊
メカニカルデザイン:カトキハジメ、小松英司
色彩設計:すずきたかこ
CGディレクター:藤江智洋
モニターデザイン:佐山善則
美術監督:丸山由紀子、峯田佳実
特殊効果ディレクター:谷口久美子
撮影監督:脇 顯太朗
編集:今井大介
音響監督:木村絵理子
音楽:澤野弘之
アニメーション制作:サンライズ
配給:松竹

【前売券情報】
劇場限定ムビチケ前売券 第2弾

特製ブックレット「報告書-U.C.0097-」付き(A4/20ページ/オールカラー) ¥2,500(税込)
『機動戦士ガンダムUC』に登場する“マーサ・ビスト・カーバイン“らに聞き取り調査を行い、ルオ商会がまとめた極秘の報告資料。『UC計画』にまつわるモビルスーツ及び関連勢力の現状をまとめた貴重なレポート資料が付属!
上映劇場 他にて、8月17日(金)より発売開始!!
※数に限りがございます。無くなり次第終了となります。
※前売券及び特典・バンドル商品の単品販売はございません。

『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』オフィシャルサイト
©創通・サンライズ

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