モリコメンド 一本釣り  vol. 79

Column

Cellchrome 透明感のあるハイトーンボイス、カラフルなサウンドの魅力を備えたニューカマー

Cellchrome 透明感のあるハイトーンボイス、カラフルなサウンドの魅力を備えたニューカマー

幅広いリスナーに訴求するポップ感度の高さ、音楽的なトレンドをバランスよく取り入れるセンス、そして、ライブバンドとしての魅力。全方位的にアピールできる、カラフルな魅力を備えたニューカマーが登場した。名古屋出身のCellchrome。Mizki(Vo)、陽介(Gt)、ニワケン(Ba)、tatsuma(Dr)による4ピースバンドだ。

2015年11月に名古屋で結成されたCellchromeは、メンバー4人がルーツとしているロックサウンドを基盤した楽曲でライブ活動をスタートさせた。それぞれのフェイバリットは、MizukiがL’Arc〜en〜Ciel、GLAY、X JAPANなど、ニワケンはマキシマム ザ ホルモンなどのヘビィロックとバラバラだが、メンバー全員に共通しているのはSHAM SHADE。オーセンティックなハードロックを軸に持ち、優れた演奏能力とわかりやすいポップネスを兼ね備えたSHAM SHADEは確かに、Cellchromeのスタイルに大きな影響を与えているようだ。

親しみやすいメンバーのキャラクター、本格的なロックバンドとしての存在感、クオリティに高い楽曲によって少しずつ支持を集めた4人は、2016年に結成1周年のワンマンライブを名古屋ell.FITS ALLで開催。その後も確実にライブ動員力を高める一方、翌2017年には、やはり地元・愛知県のFM局ZIP-FMでレギュラー番組「MIDNIGHT CHROME」がスタート。そして同年8月にシングル「Stand Up Now」でメジャーデビューを果たした。

バンド結成から2年足らずという驚異的なスピードでメジャーシーンに進出したCellchromeだが、彼らはまず、名古屋を中心とした地道な(?)活動を選んだ。イオンモール、名古屋パルコなどのインストアライブを数多く行い、幅広い層のリスナーに訴求。ライブハウスに足しげく通うロックキッズだけではなく、デパートで買い物をしている老若男女にしっかりアピールできるフレンドリーな雰囲気もまた、このバンドの大きなチャームポイントなのだろう。

Cellchromeの魅力の中心にあるのは、やはり楽曲。質の高いポップネス、バンドとしての力強さを併せ持った彼らの楽曲は、リリースを重ねるごとに進化を遂げている。1stシングル「Stand Up Now」は切れ味のいいギターフレーズ、きらびやかなシンセサウンド、“真っ向勝負で進め!”という前向きなメッセージがひとつになったポップナンバー。80’sテイストをちりばめたカラフルなサウンドとMizukiの透明感のあるハイトーンボイスのバランスも素晴らしい。

2ndシングル「Don’t Let Me Down」はエレクトロのテイストをグッと強めたダンサブルな楽曲。華やかで力強い打ち込みのビートを取り入れたアレンジは、ここ数年の世界的な潮流である“ロックバンド×EDM”というスタイルにも沿っている。そして、3rdシングル「Everything OK!!」は放送22周年を迎えた国民的アニメ「名探偵コナン」の オープニングテーマに抜擢され、大きな注目を集めた。エッジ—の効いたギターサウンド、ディスコティックなバンドグルーヴ、色彩豊かなメロディ、そして、(楽曲タイトル通り)とことん前向きに振り切ったリリックがひとつになったこの曲は、「名探偵コナン」とのコラボレーションという役割を果たすと同時にバンドの個性をしっかりと打ち出し、リスナーの層を一気に広げることにつながった。

そしてデビュー1周年の2018年8月22日、Cellchromeは4枚目のシングル「アダムトイブ」をリリース。前作で知名度を上げた彼らにとって今作は、まさに勝負の1枚と言えるだろう。

トロピカルな雰囲気のトラック、バウンシーに飛び跳ねるリズム、解放感に溢れたボーカルライン、浜辺を舞台にした恋の始まりを鮮やかに映し出す歌詞。表題曲「アダムトイブ」は、このバンドの得意技であるキラキラのポップ・ロック・チューンに仕上がっている。ポップス濃度を高めてもバンドとしての存在感は失われず、Mizukiのエモーショナルでしなやかなボーカリゼーションもさらに向上。デビュー前からのファン、そして、「名探偵コナン」をきっかけに彼らの名前を知ったリスナーの両方を十分に満足させるナンバーと言えそうだ。

カップリング曲の「She’s So Nice」はギターサウンドを軸にしたバンドグルーヴを前面に押し出した楽曲。歌詞のシチュエーションは「アダムトイブ」と同じく“ビーチ”で、ふたつの楽曲がしっかりとつながっている。ギターソロ、スラップベースなどメンバーのプレイもたっぷり楽しめる、ライブ映えする楽曲になりそうだ。

SPYAIR、04Limited Sazabysなどに続く“次世代東海エリア最重要バンド”としての認知度を高めているCellchrome。ポップとロックを併せ持ったこのバンドが本格的なブレイクを果たすのは、それほど遠い未来ではないだろう。

文 / 森朋之

オフィシャルサイト
http://www.cellchrome.com

vol.78
vol.79
vol.80