LIVE SHUTTLE  vol. 286

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[ALEXANDROS] バンドにとって初のスタジアム公演。ファン感謝祭的イベント“VIP PARTY 2018”をレポート

[ALEXANDROS] バンドにとって初のスタジアム公演。ファン感謝祭的イベント“VIP PARTY 2018”をレポート

[ALEXANDROS] VIP PARTY 2018
2018年8月16日 千葉・幕張ZOZOマリンスタジアム

夕暮れの野球場に、強い潮風が吹いている。雲はほんのり紅く染まり、湿度は高いが雨の気配はない。毎年恒例、[ALEXANDROS]によるファン感謝祭的イベント“VIP PARTY 2018”の舞台は、バンドにとって初のスタジアム公演。ZOZOMARINE STUDIUMは、グラウンドもスタンドも見渡す限りの人、人、人、35000人のオーディエンスでぎっしり満員だ。

午後6時15分。総勢8名の弦楽器隊が厳かなフレーズを奏でる中、ゆっくりと登場した庄村聡泰が、力強くマーチング・リズムを叩き出す。高まる大歓声の波をくぐって、磯部寛之、白井眞輝がステージに上がり、音に厚みを加えてゆく。最後に川上洋平が、グラウンドから花道へと駆け上がった瞬間、会場内のボルテージは一気に頂点へ。オープニングは「ワタリドリ」だ。ありもしないストーリーを、描いてみせるよ――。35000人が一斉に手を振り上げる光景と、歌詞のイメージが重なり合う。彼らは本当に、描いた夢を一つ一つ叶え、ついにここまでやって来た。

この日の進行はちょっと変わっていて、ここまでがいわば前奏。“VIP PARTY”のヒストリー映像を紹介したあと、「For Freedom」からライブ再開になるのだが、その理由はあとでわかる。「city」「cat2」「Waitress,Waitress」と、高速疾走チューンを立て続けにぶちかます、川上はすでに汗びっしょりだ。「手を上げろ!行けるかチバ!」、煽る白井の声が上ずっている。この場にいる誰もが興奮を隠せない。強風に揺らめく音が、臨場感を倍増させる。

弦楽器隊を加えた柔らかいロックバラード「spy」から、広い景色がよく似合うスタジアム・ロックチューン「Forever Young」ヘ。陽が落ちるにつれ照明の輝きが増し、幻想的なムードの中、35000人の大合唱が円形のスタジアムにこだまする。その中で聴いた「Starrrrrrr」の、かつて感じたことのないほどのエモさに鳥肌が立った。どこまでも私は私だから。貫いて、誰に何を言われようとも――。この曲が書かれた時のエピソードを知っているファンは、みな同じ気持ちだっただろう。それは自分たちが超えてきた過去への、美しいリベンジだ。

この日の演出は、本当に面白い。4年前、武道館のステージ上で改名発表するシーンを映像で振り返り、次の瞬間、[ALEXANDROS]として演奏した最初の1曲「Droshky!」へ。鮮やかな時空転換を経て、再びスピードを上げ、強力な四つ打ちダンスロック「Run Away」から「Girl A」へ。川上がマイクをつかんで花道を駆け抜け、「踊れ!」「飛べ!」と煽りまくる。暮れ切った空に、赤と緑のレーザービームが突き刺さる。巨大な月面の映像をバックに、ミドルバラードとダンスロックの両面を併せ持つ「ムーンソング」の、美しい旋律が映える。が、海沿いの天気は変わりやすい。このあたりからポツポツと、雨が落ちてきた。

「ぶっ通しでやってきましたけど、みなさん楽しんでますか!」

川上による、この日初めてのMCタイム。「雨が降ったら使えなかったんだけど。大丈夫でしょう」と、花道の先端に作られたセンターステージでの演奏決行宣言に、場内が沸いた。ここでのセットリストは、ファンから公募したリクエストトップ10だ。「レア曲もあるから、「ワタリドリ」しか知らないという人は、盛り上がってる振りしてください(笑)」とジョークを飛ばすが、もちろんそんなファンはここにはいない。リクエスト上位に入っていた「Starrrrrrr」を、もう一度、ワンフレーズだけ演奏したあと、自然発生したスタジアムいっぱいの大合唱に、磯部が「感動した!」と本音を漏らす。ジョークを感動で倍返しする、[ALEXANDROS]のファンは最高だ。

リクエストによるセットリストは、「Oblivion」から「Travel」まで8曲を一気に演奏する、メドレー形式で。シングルのカップリング曲だった「Waterdrop」「Thunder」などが、今や欠かせない人気曲にのし上がっているのも、ライブバンド・[ALEXANDROS]らしい展開だ。そして「この曲が1位になるとは思わなかった」と川上も驚いた、「Leaving Grapefruits」のみしっかりとフルコーラスで。サポート・キーボードのROSEが弾く、リズミカルなピアノの音色に乗って大きく揺れる、35000人のワイパーが壮観だ。弱い雨は降り続けるが、強烈なライトに照らされた雨粒がとても美しく、天然の演出だと思えばまるで気にはならない。

「すでにお気づきの方もいると思いますが。今日のセットリストはファースト・アルバムから順を追って演奏しています」

そうか、今日の裏テーマは、[ALEXANDROS]のヒストリーをたどり直すことだったのかと、ここで気づく。初期からのファンには、懐かしい曲をふんだんに盛り込んで感慨深く。ドラマ主題歌などで知った新しいファンには、「こんな曲もあるんだぜ」と、長年磨き上げてきた自信曲をたっぷりと。ならば次は、未来のビジョンを見せる番だ。「11月にリリースのニューアルバムの曲をやります!」と、川上が意気揚々と叫ぶ。タイトルも決まっていない新作からの新曲「LAST MINUTE」は、庄村の叩く硬質なダンスビートに、浮遊感いっぱいの柔らかいメロディが乗る、絶妙なバランスが面白い曲だ。

さあ、フィナーレが近づいてきた。強力なダンスロック・チューン「明日、また」に続き、轟音とともに発射された大量の銀テープが、強風に煽られ宙を舞う。磯部が叩く情熱的なパーカッションがリードする、猛烈にアッパーな「I Don’t Believe In You」を経て、ラストチューンはやはりこの曲、最新シングル「Mosquito Bite」だ。甘味成分ゼロ、尖ったミクスチャーロック。ド派手なレーザービームが雲を突き刺し、ギターソロを決めた白井と川上が、「やったぜ!」というように拳を合わせる。メドレーを含めておよそ2時間で25曲をやりきり、すがすがしい笑顔を浮かべるメンバーに降り注ぐ、すさまじい拍手と歓声。気が付けばもう、雨はほとんど降っていない。高い空の向こうに、星がいくつも輝いて見える。

アンコール。35000人が灯す、携帯電話のバックライトで埋め尽くされた客席を見て、「すげえな、これ!」と叫ぶ磯部。「照明の〇〇さん、このままやっていい?」と、突然の演出変更を言い出す川上。美しいハプニングの中で歌われた美しいロックバラード「ハナウタ」は、東京メトロのCMソングとしてお馴染みの曲だが、フルバージョンはライブ初披露だ。続けて「Adventure」を歌う川上の表情は、本編の緊張感から解き放たれたように、とてもリラックスして見える。これだけ歌い続けてまったく声量が落ちない、無尽蔵のスタミナが本当にすごい。

「ラスト1曲、お祭り騒ぎ、行きますか!」

残ったパワーの最後の一滴までを出し尽くす、ラストチューンは超攻撃的メタル・ダンスロック「Kick&Spin」だ。ステージでは何本もの巨大な火柱が上がり、すべてのオーディエンスが飛び跳ね、歌い、狂喜乱舞を繰り返す。なんと賑やかな、幸福なフィナーレだろう。演奏を終えた磯部が、「楽しかったぞ!」と絶叫する。川上が35000人にウェーブを呼び掛け、その絶景を満足げに眺めている。雨上がりの涼しい風が、スタジアムを包み込むように心地よく流れている。

[ALEXANDROS]、初のスタジアム公演。ここが頂点か、通過点かを問うのは愚問だろう。4人の目は、すでにその先へと向いている。年末からはライブハウスツアーが、そして来年の春からは、初のアリーナツアーの開催も決まった。バンドは最高到達地点を更新しながら、誰も到達したことのない高みへと、さらにスピードを上げて走ってゆく。

文 / 宮本英夫
撮影 / AZUSA TAKADA、河本悠貴、山川哲矢

[ALEXANDROS] VIP PARTY 2018
2018年8月16日 千葉・幕張ZOZOマリンスタジアム

セットリスト
01.ワタリドリ
02.For Freedom
03.city
04.Cat 2
05.Waitress, Waitress!
06.spy
07.Forever Young
08.Starrrrrrr
09.Droshky!
10.Run Away
11.Girl A
12.ムーンソング
13.Oblivion
14.This is Teenage
15.Wanna Get Out
16.Famous Day
17.Kill Me If You Can
18.Waterdrop
19.Thunder
20.Travel
21.Leaving Grapefruits
22.LAST MINUTE
23.明日、また
24.I Don’t Believe In You
25.Mosquito Bite
(Encore)
01.ハナウタ
02.Adventure
03.Kick&Spin

リリース情報

2018年11月 ニューアルバム発売決定!

ライブ情報

<第一弾ライブハウスツアー>
12月4日 愛知県 Zepp Nagoyaよりスタート
<第二弾アリーナツアー>
2019年03月02日 宮城県  ゼビオアリーナ仙台よりスタート

<[ALEXANDROS] Live in Kuala Lumpur 2018>
9/22  Kuala Lumpur @ KL LIVE

<[ALEXANDROS] USA TOUR 2018>
10/14 Dallas, TX @ Canton Hall
10/15 Houston, TX @ Scout Bar
10/17 Oklahoma City, OK @ Diamond Ballroom
10/22 Washington D.C. @ U Street Music Hall
10/23 New York, NY @ Gramercy Theatre

ライブの詳細はオフィシャルサイトにてhttps://alexandros.jp

[ALEXANDROS]

[ALEXANDROS]は、2007年本格始動。2015年よりユニバーサルミュージックとグローバル契約を結び、3月に10th Single「ワタリドリ/Dracula La」をリリースし、オリコンウィークリーシングルランキング初登場5位を記録。6月には約2年ぶりとなる5枚目のフルアルバム「ALXD」をリリース、オリコンウィークリーアルバムランキング初登場3位を獲得。12月に11th Single「Girl A」をリリース、オリコンウィークリーシングル初登場3位を獲得。7月には2度目の日本武道館単独公演を成功させ、全国各地の音楽フェスに数多く出演しヘッドライナーも務める。またMUSE・PRIMAL SCREAM・KASABIAN等の海外アーティスト来日公演のサポートアクトや、アメリカの“SXSW”、イギリスの“THE GREAT ESCAPE”への出演、台湾でのワンマンライブを行うなど海外を視野に入れた活動を続けている。2016年3月30日LIVE DVD&Blu-ray「[Alexandros]live at Makuhari Messe “大変美味しゅうございました”」発売。4月には2016年第一弾となるDouble A Side Single「NEW WALL / I want u to love me」発売。8月に発売したシングル「Swan」はドラマ・映画・CMのトリプルタイアップが付いたシングルとなり、スマッシュヒットを飛ばした。11月には6枚目のフルアルバムとなる「EXIST!」をリリースし、オリコンウィークリーチャートで初登場1位を獲得。2017年2月にはCMタイアップで話題となった14th Single「SNOW SOUND/今まで君が泣いた分取り戻そう」をリリースし話題となる。7月にはLive Blu-ray&DVD『We Come In Peace Tour & Documentary』を発売し、オリコン総合ミュージックDVD・BDランキングでアルバム「EXIST!」に続き1位を獲得。11月には、15thシングル「明日、また」を発売し、2018年5月には16thシングル「KABUTO」、7月には映画主題歌となった「Mosquito Bite」をリリース。自身初となるスタジアムライブを開催し、秋にはアルバムも発売予定と、今年の活動に目が離せない注目のロックバンドである。

オフィシャルサイト
https://alexandros.jp

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