黒選!メディアコンテンツ研究家・黒川文雄がテーマで選ぶ 3+1  vol. 40

Column

ここまで進化した!ロボットアクションゲーム『ボーダーブレイク』が家庭用に! 3+1選

ここまで進化した!ロボットアクションゲーム『ボーダーブレイク』が家庭用に! 3+1選

株式会社セガ・エンタープライゼス(現在の株式会社セガゲームス)の業務用ゲーム(以下アーケードゲーム)は、1980年代後半から1990年代の中盤にかけて、『ハングオン』『アフターバーナー』などの大型体感ゲームや、『バーチャファイター』『デイトナUSA』などのヒット作品が数多く生まれました。それらの作品は大きな利益となり、その利益をもとに新しいゲームコンテンツやアーケード用のゲーム基盤、さらには次世代機と呼ばれた32ビット家庭用ゲーム機『セガサターン』などを、矢継ぎ早に開発し市場に導入しました。

そのなかで生まれた対戦型ロボットアクションゲームが、1995年12月にリリースされたアーケードゲーム『電脳戦機バーチャロン』です。しかし、発売にこぎつけるまでは「ロボットものは売れない・・・」と何度も企画が却下されました。しかし、新たなチャレンジとして「あえて失敗させるためのプロジェクト」・・・という経営判断のもと、第三AM研究開発部での開発許可が下りたという逸話が残っています。

実際に開発された『電脳戦機バーチャロン』は、それまでのロボットゲームにありがちだった複雑な操作系統を見直し、二つのツインスティックだけで操縦可能としました。左右に取り付けられたトリガーとボタンのみと言うシンプルな操作方法を採用。二つのスティックの操作で、方向転換、移動、ダッシュ、ジャンプ、が可能です。トリガーを使った攻撃はメイン武器とボムというシンプルな構成となっています。スティック操作と組み合わせると、しゃがんでショットを撃ち込んだり、敵との距離が近ければ接近戦用武器で戦うなど、初めての人でも直感的にわかりやすい操作が可能でした。

価格についても、すでに『バーチャファイター2』や『デイトナUSA』などで使われているアーケードハードの「MODEL2」を使用したため低価格を実現。また、対戦を前提にしたゲームであることから、『デイトナUSA』のツイン筐体のようなタイプまで作られました。

低価格でシンプルな操作を実現した『電脳戦機バーチャロン』は、社内の予想を大きく覆しアーケードに登場するや否や対戦型ロボットアクションゲームの金字塔として大ヒットしました。

その後、セガサターンへの移植はもちろんのこと、Windows、PlayStation2、PlayStation3、Xbox360など、数多くの機種に移植されました。そして、現在もコラボ企画が推進するなど長期に渡ってユーザーに愛されています。

かくして、セガの経営陣の考えた・・・「あえて失敗させるためのプロジェクト」は大成功を収めました。その後はみなさんもご存知のように、対戦型ロボットアクションゲームがたくさん作られ、現在も新作が登場し続けています。

今回は、そんなロボットアクションゲームの進化系である、人気シリーズ『ボーダーブレイク』の家庭用ゲーム移植記念として、『ボーダーブレイク』を知るための3+1をお届けします。

では、どうぞ。


ロボットアクションゲームの正当進化!アーケードゲーム 初代『ボーダーブレイク』

2009年9月9日にアーケード向けタイトルとしてリリースされた『ボーダーブレイク』。
前書きで紹介した『電脳戦機バーチャロン』のヒットの後に、ロボットアクションゲームの正当な進化系として花を咲かせた、新たなオリジンとなる作品です。

これまでのアーケードゲームで常識的だった1コインで1プレイを遊ぶという概念から、コインを投入してGP(ゲームポイント)を購入し、プレイ時間やアイテム購入に使うという課金タイプを導入しました。

また、オンライン通信によって10vs10というチーム戦で戦うシステムを導入し、ハイレベルな遊びを提供しました。

ハイエンドかつ安定的な、次世代業務用アーケードCG基盤「RINGEDGE」と呼ばれるPCのようなハード構成を採用。そして、「ALL.Net」というセガ・インタラクティブが提供するネットワークを使ったサービスを利用し、全国のアーケードでほぼ一律の条件でプレイ環境を提供するものでした。

さらに、『ボーダーブレイク』は専用筐体で作られており、操縦コントローラーも独自仕様です。スティック型のLグリップとマウスのようなRグリップ、そして、タッチパネルによる操作が可能となっており、これまでのアーケードゲームのコントローラーの常識を根本から変えるものでした。

そして、周りの騒音によってプレイに集中しにくい環境を考慮して、ヘッドフォンジャックも採用されています。プレイヤーはアーケードに居ながらも、ゲームに集中することが出来るようになっています。

ゲームデータは専用ICカードにセーブされ、全国どこのアーケードからでもプレイ可能という利便性から人気を博し、土日になるとゲーム座席が満席というお店もたくさんありました。

2009年の時点では、家庭用ネットワークの通信速度にはバラつきも多く、普及しているPCスペックの問題もあり、こういった大掛かりなネットワークゲームは、安定した環境でプレイ出来るアーケードへ行って楽しむというスタイルでした。・・・そして、この作品のコミュニティネットワーク上でのバトルの面白さに魅了され、ユーザーが次第に増えていきました。

『ボーダーブレイク』が成功したのは、ゲーム本来の面白さは言うに及ばず、ドリームキャスト時代から積極的に培って来たネットワークサービス、長年携わって来たアーケードでのコミュニティビジネス、「MODEL1.2」などの専用CG基盤を開発した技術力、開発力、それらすべての結晶が詰め込まれているからです。

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