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『世界樹の迷宮X』ニンテンドー3DS最後の迷宮探索は遊び応え抜群

『世界樹の迷宮X』ニンテンドー3DS最後の迷宮探索は遊び応え抜群

タッチペンで地図を書きながら、秘宝を求めてモンスターがはびこる迷宮を踏破する3DダンジョンRPG『世界樹の迷宮』シリーズの最新作にして、ニンテンドー3DSでリリースされる最後のシリーズ作品となる『世界樹の迷宮X(クロス)』(以下、『世界樹の迷宮X』)。シリーズ最大級の冒険と謳っているだけあって、より遊びやすく、より楽しめる作品となっている。本稿では、マッピングを中心としたダンジョン攻略の面白さ、骨太ながら強敵に挑みたくなる絶妙な戦闘バランスなど、シンプルながらかなりの遊び応えを誇る『世界樹の迷宮X』の魅力に迫っていく。

文 / 村田征二朗


アナログな面白さをデジタルで 

2007年の初代『世界樹の迷宮』以降、11年以上に渡って高い人気を誇っている同シリーズ。ときには迷宮に眠る秘宝を求め、ときには人々を脅かすモンスターを退治するため、キャラメイクで作成した自分だけのキャラクターたちでパーティーを組み、迷宮を踏破していく、という作品です(作品によってはキャラメイクではなく固定のキャラクターで進みますが)。

▲戦闘中はモンスターがよく動き、スキルを使えば派手な演出が飛び出すなど画面がにぎやかです

▲宿泊施設の受付を務める無気力系少女ヴィヴィアンや、各種アイテムの売買を行ってくれる商魂たくましいネイピアなど、個性豊かなキャラクターたちが登場します

既存キャラクターやキャラメイクで作成したメンバーでパーティーを組み、マス目状に区切られた3Dダンジョンを一人称視点で探索していく。そんな3DダンジョンRPGの作品は現在でも数多くリリースされていますが、そのなかでも『世界樹の迷宮』シリーズを際目立たせているのが、ニンテンドー3DSのタッチパネルを120%活用したマッピング機能です。

ビデオゲーム黎明期のころはゲーム内でマップを表示・確認できなかったため、プレイヤーが方眼紙などに手書きの地図を書き込んでいった、このマッピング。デジタルなゲームを遊びながら地図を手書きするというアナログなギャップもあり、クラシカルな3DダンジョンRPGを語るうえでは欠かせない要素ですが、それをゲームシステムとして魅力的に取り込んだのが『世界樹の迷宮』シリーズなのです。

▲上画面には3Dダンジョンが、下画面には白紙の地図が表示されます。下画面の右上にあるパレットでツールを切り替えながら、壁や通路、部屋の形を書き込んでいくのです

▲右下にあるアイコンをドラッグすれば階段や宝箱の位置を地図に表示でき、気になるものがあった場所にはメモに書き込むこともできます(画像は下画面)

タイトルに“迷宮”とあるとおり、本作のダンジョンには枝分かれした通路やさりげなく壁に用意された隠し通路など、プレイヤーを迷わせる要素がふんだんに盛り込まれています。ダンジョンはいずれもそれなりの広さとなっており、そのほとんどは複数のフロアを攻略する必要があります。

記憶を頼りに攻略しようとすると、ゲームを開始して最初に入るダンジョンですらあっさり迷う羽目になるので、マッピングによって迷宮の姿を解き明かしていくことがかなり重要なのです。

▲右下からドラッグするアイコンは、隠し通路の開通まえなら水色、開通したあとは黄色、というように色などの変化で状態がわかる親切設計となっています(画像は下画面)

▲鮮やかな草花があるなど、周りとは違った特徴的な壁はその向こう側の通路に出るショートカットになっており、上画面に表示されるダンジョンにも攻略のヒントが潜んでいます。現実と同じく、地図だけを見て歩くのは危険!(画像は上画面)

細かくは後述しますが、本作は戦闘も骨太なバランスとなっており、初めて挑むダンジョンを1回で攻略できるほど甘くはありません。ボス以外の敵と戦う際にもスキルを使った攻撃を行うことが多く、おまけに、スキルを使うのに必要なTPを回復するアイテムは簡単には手に入りません。そのため、マッピングが進んでいない状態では手探りで進むぶん敵とのエンカウントも増え、TPが尽きて撤退せざるを得なくなるのも早くなります。

▲どこからでも街に帰還できる“アリアドネの糸”は探索の必需品です。うっかり忘れてダンジョンの深くに潜ると、帰り道は戦闘開始直後に逃げるコマンド一択という情けないうえに恐ろしいことになってしまいます(画像は上画面)

限られたTPで、安全を考慮して早めに撤退するか、はたまたギリギリまで探索を進めるか、という選択は常にプレイヤーを悩ませるものですが、その苦悩が楽しいのです。そして地図なしで挑むダンジョンが手強いからこそ、マッピングが進んで快適に進むことができるようになったときの爽快感が大きくなってきます。

▲ダンジョン探索中には“Adventure Episode”と呼ばれるミニイベントが発生することがあり、イベントでHPやTPを回復するというラッキーな効果を得られることもあります(画像は上画面)

▲ゲーム全体で言えることですが、Adventure EpisodeではテーブルトークRPGライクなテキストがいい雰囲気を演出してくれます(画像は上画面)

マッピングを進めるなかでの戦闘でパーティーは成長し、装備も充実していくので、探索のスムーズさとともに戦闘もより有利に進められるようになっていきます。「このダンジョンを踏破してやった!」という感覚がたまらないのです。

▲敵の落とした素材やダンジョン内で取得した素材を売却することで資金を得られるのはもちろん、アイテムの種類によってショップのラインアップも充実します。販売される武器の多くは素材を使って性能を強化することが可能です(画像は上画面)

マッピングはデジタル化しているおかげで床の色変更や各種アイコンの配置など、非常に使い勝手がいいシステムとして機能しており、アナログな雰囲気ながら快適なプレイを阻害することはありません。

それでいて、深夜のプレイ中に寝ぼけて壁がない場所に線を引いてしまい、あとから迷宮に入った際に自分で書き込んでしまった幻の壁に騙されて迷ってしまうなど、手動マッピングならではのアクシデントも楽しめます。迷ってから間違いに気づき、再び探索を進められるようになったときは喜びを感じたりします。ある意味、このうっかりミスを一度も体験しないのはもったいないかも……?(何度も経験したいかと言えば話は別ですが)

▲間違いに気づきさえすれば、該当部分を消して書き直すだけなので修正は簡単に行えます。右上にある矢印のアイコンをタッチすれば地図編集のやり直しもできるので、正しい壁や床を消してしまったときにも安心です

自動でマップを更新してくれる作品では味わえない、ダンジョンの構造そのものを自分の手で攻略するという面白さは、まさに『世界樹の迷宮』シリーズならではです。

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