IDOL ~Blossoms 2016 spring~  vol. 2

Column

坂道シリーズの物語

坂道シリーズの物語

 

2011年に誕生し、昨年は念願の紅白歌合戦初出場も果たした乃木坂46。人気グループに成長した彼女たちに続けとばかりに「坂道シリーズ第2弾」として欅坂46が誕生した。今、まだ始まったばかりの、このストーリーを追う。

文 / 大貫真之介


 AKB48をはじめとする48グループと、AKB48の公式ライバルグループとして誕生した乃木坂46の一番の違いは「劇場がないこと」。48Gのメンバーは人気が出てテレビ出演が活動の中心になろうと、グループから卒業する時は劇場で最後を迎えるのが通例だ。48Gは劇場にそれだけ重きを置いているのだ。
 では、乃木坂46にとって「劇場がないこと」がマイナスだったかといえば、決してそうではない。「劇場がないこと」を逆手にとって、48Gにはない色を打ち出しているのだ。そのひとつが『16人のプリンシパル』という演劇公演。第一幕の自己PRや演技を観客が評価して、第二幕の出演者を選ぶというシステムになっている公演で舞台に立つことの基本を学んだ彼女たちは、後に前田司郎やケラリーノ・サンドロヴィッチによる難易度の高い舞台に挑んでいった。

 シングルCDにおいては、ジャケット写真やMVにドラマ性を持たせて作品性を高めていった。特に、一人ひとりのメンバーにスポットを当てた映像作品「個人PV」は、クリエイターの自由度とメンバーが持つ可能性が融合して数々の良作を生み出した。
 個人活動にも積極的に取り組んでいる。『Ray』の白石麻衣、『sweet』の齋藤飛鳥をはじめとして7人が専属モデルとして活躍しているほか、伊藤かりんは『将棋フォーカス』(NHK Eテレ)で司会を務めるなど、選抜メンバー以外も各分野で活躍中だ。
 また、ライブパフォーマンスでは一般的にアイドルと聞いて想像される「明るく元気で笑顔」という表現よりも、グッと入り込んだ表情で時折微笑むような表現が多い。曲や歌詞の世界観がそうさせるのだろうが、孤独な青春時代を送った“非リア充”のメンバーが多いことも理由のひとつに違いない。

 その乃木坂46に続く坂道シリーズ第2弾という位置付けで、2015年8月21日に誕生したグループが欅坂46だ。乃木坂46 運営委員会委員長の今野義雄氏が関わっていることから、坂道シリーズならではの色を随所に見ることができるだろうと思われた。
 その全貌が明らかになったのは結成から半年後の2016年3月。欅坂46はデビュー曲「サイレントマジョリティー」のMVで、戦闘服のような勇ましい制服衣装を身にまとい、渋谷の旧東急東横線渋谷駅の跡地で激しく踊り、メッセージ性の高いリリックを歌っていた。2016年2月の変わりゆく渋谷と、変わりゆく少女たちが重ね合わさり、クオリティの高い作品になっていた。

 3月18日に東京国際フォーラムで行なわれたデビューカウントダウンライブでは、表題曲以外にも5曲を披露。その振り付けは舞踏のようで、乃木坂46を含めたこれまでのアイドルグループとは一線を画していた。その目には強い意志が宿っていた。欅坂46は乃木坂46の美点は受け継ぎつつ、差別化されたグループになるのかもしれない。

 欅坂46には物静かなメンバーが多いが、中でもセンターの平手友梨奈や、小林由依、菅井友香などは「自分を変えたい」という想いでオーディションを受けたという。乃木坂46のドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方』でも聞かれた言葉である。その想いが欅坂46を大きく成長させるはずだ。

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