Interview

伊藤節生&馬場良馬が伝えたい“兄弟のかたち”とは。「舞台『モブサイコ100』~裏対裏~」まもなく開演!

伊藤節生&馬場良馬が伝えたい“兄弟のかたち”とは。「舞台『モブサイコ100』~裏対裏~」まもなく開演!

今年1月に上演されたばかりの舞台『モブサイコ100』の続編が早くも天王洲 銀河劇場と新神戸オリエンタル劇場に帰ってくる!
原作は、小学館のマンガアプリ「マンガワン」で連載されていたONEによる人気漫画。普段は大人しくて目立たないのに、超能力者である“モブ”こと影山茂夫の“イケテナイ”かもしれない中学生活をユーモアとペーソスを交えて描く物語だ。
初演に引き続き出演する前作が初舞台の影山茂夫 役の伊藤節生と、霊幻新隆 役の馬場良馬にインタビューを敢行。彼らの舞台にかける意気込みから、本作のテーマである“兄弟愛”まで語ってもらった。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 増田慶


「お久しぶり!」

今年1月に初演されたばかりの舞台『モブサイコ100』が、装いも新たに帰ってきます。まずは、再び集結したカンパニーに戻ってきた感想を聞かせてください。

伊藤節生

伊藤節生 初演が今年の1月だったので、みんなで集まった時は「お久しぶり!」という気がしました。しかも、続投組だけではなく、新しいキャストの方もいらっしゃるし、また同じカンパニーで舞台に立てるのが楽しみで、お話をいただいてから、稽古が始まるのが待ち遠しかったです。

馬場良馬

馬場良馬 続編が上演できるのは、前作の舞台『モブサイコ100』がお客様に支持されたからだと思いますし、せっちゃん(伊藤節生の愛称)と話していたのですが、年内に続編が上演できるとは思っていなかったので、とても嬉しいです。もちろん、それだけ期待されているわけですから、良い作品を作ろうというモチベーションは前作以上にあります。僕もせっちゃんみたいに、懐かしさよりホームに帰ってきた気がしますね。顔なじみのメンバー、プラス新しいメンバーと面白い化学反応を劇場に巻き起こしたいです。

舞台『モブサイコ100』は演劇的な作り方

前作を拝見させていただいて、独特の雰囲気があるカンパニーだと思いました。このカンパニーの特徴はありますか。

伊藤 みんな仲が良くて、稽古の合間にもいっぱい笑っていられる親密な空気感が、舞台に繋がってお客様にも伝わってくれる。ただ、内容は前作とは違いますから、カンパニーも新しく生まれ変わっているので、新鮮な風が吹いています。

馬場 この作品は、漫画だけでなく、アニメや実写ドラマも放送されていますから、いわゆる2.5次元舞台で、エンターテインメント作品ではありますが、舞台畑のお芝居が好きな人が集まっているせいもあって、とても演劇的な作り方なんです。前作も稽古終わりにみんなでよく飲みに行ったり、そういうことも含めて、“お芝居”を作っている気がしたので、いい意味で悪ふざけができるカンパニーになっています。

前作から比べてシリアスになっているとはいえ……

川尻恵太さんの脚本をお読みになれていかがですか。

伊藤 前作から比べてシリアスになっています。もちろん、クスッと笑える部分があるからこそ味が出てくる作品なので、今回は“脳感電波部”といった、“モブ”の通っている中学にいるキャラクターたちが、コミカルな部分を担ってくれるので、彼らにも注目してもらいたいです。原作を知っている方でも、「原作のそんなところもやるんだ」という驚きのシーンが多くあるので、楽しみにしてください。

馬場 お笑いの部分はもちろんありますが、原作の良さは、“ユル”っと読めるけれど、意外と心に刺さって考えさせられるバランス加減なんです。今作は“モブ”の弟である影山 律(松本 岳)が、兄とは違い、超能力を使えないゆえのコンプレックスから、悩んだり、葛藤したり、そこから成長するお話になっていて、本読みの段階から感動しました。“兄弟って素敵やん”って(笑)。岳はそれを知っているので、「メインになれるように頑張ります」というモチベーションで稽古場にやってくるし、彼の気合いに応えながら、川尻さんの演出でさらに磨き上げたいと思います。

そこから改めて原作をお読みになられた感想はいかがでしょう。

伊藤 もともとコメディ漫画で、日常シーンは笑えますし、その中でも大切なことに気づかされることが散りばめられています。霊幻新隆という自称霊能力者が言った言葉がどういうわけか“モブ”にグサっとくるし、読者にも刺さって来る。シリアスの中にある笑いや、笑いの中にあるシリアスの温度差で、人間の本質を表現しています。

馬場 主人公である影山茂夫は“モブ”と呼ばれて超能力を持っているのですが、それをひけらかすことなく、普通に生活したいとブレずに思っていて、返って周りが“モブ”から感化される。今作は、“律”がいい例ですが、“モブ”だけは芯が通っているかっこよさがあります。霊幻も薄っぺらく見えて、しっかりコンプレックスを抱えているのが人間くさくて、だからこそ、一言一言に重みがある。ユルく見せながら油断していると相手の深層心理を見事に暴いてしまうキャラクターたちが好きです。

影山茂夫は超能力者。霊幻新隆は“ズルかっこいい”詐欺師まがいの霊能力者

そんな舞台『モブサイコ100』~裏対裏~で伊藤さんは、影山茂夫を、馬場さんは霊幻新隆を演じます。役どころを聞かせてください。

伊藤 モブは自分の感情を表に出すのが苦手ですが、決して暗いわけではなくて、女の子にモテたいし、人生に悩んでいる、どこにでもいる14歳の中学生です。けれど、彼のすごいところは超能力が使えることです。日常的に使いたいわけではなくて、感情が100%になると爆発してしまう。その超能力とどう向き合って行くのか悩みながら日々を生きているキャラクターです。

馬場 霊幻新隆は、20代後半の詐欺師まがいの自称霊能力者です。とあるきっかけでモブと出会って行動を共にしています。“モブ”とは極端に年齢が離れている間柄でありながら、お互いが気づかない潜在的なところで支え合って、ふたりで成長していく姿が面白いですね。霊幻の胡散臭さは、かっこいい大人には見えないし、のらりくらりと生きているけれど、気づけばしっかりといろいろな問題に真摯に向き合っている。それが“ズルかっこいい”ですよね。周りに影響されすぎず、だからといってなびかないで、こういう大人になりたいと思わせるキャラクターです。

ここまでの稽古はいかがですか。

伊藤 和気藹々と稽古をしているのは、前作と一緒ですが、新キャストが入ることで、気を引き締めるところもあって。今作は特に弟の“律”のことを心配するシーンが多く、それは前作にないシリアスな部分なので稽古をしていて新鮮です。

馬場 “モブ”は、前作はずっと舞台上に立っていましたが、今作は“モブ”がいないシーンもありますから、見え方が変わってくると思います。まだ、全体の流れをつかんでいる段階ですが、メインキャラのキャストが増え、霊幻の場合であれば、舞台オリジナルのシーンもあります。なので、楽しんでいただければ幸いですし、思考錯誤をしながら稽古をしています。

そんな稽古の中心になる川尻さんの演出を受けていかがですか。

伊藤 もともとの脚本のシーンの台詞にプラスアルファで言葉を足していかれるんです。脚本を読むと、ずっとシリアスに展開するのかなと思うと、唐突に小ネタを挟んで笑いを産み出す演出は、川尻さんならではだと思います。

馬場 そうだね。川尻さんの演出は、稽古初日に、みんなで輪になって、役者はどんな名前で呼ばれているのか、年齢のこと、今は何に興味があるのか、稽古場でディスカッションをしてくださったんです。お互い話しやすい空気を作ってくださる方なので、「これはどうですか」と僕らが提案すれば「それをやってみよう」と受け入れてくれるし、どこか飄々とされているけれど、自分の世界観がしっかりある方ですし、それを稽古で共有していきたいと思います。

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