全話レビュー!『幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX』リリース記念特集  vol. 3

Review

飛影の黒龍波、覆面戦士の謎…おもしろさの加速が止まらない! TVアニメ『幽☆遊☆白書』全話レビュー:暗黒武術会編・前編(第27話~第43話)

飛影の黒龍波、覆面戦士の謎…おもしろさの加速が止まらない! TVアニメ『幽☆遊☆白書』全話レビュー:暗黒武術会編・前編(第27話~第43話)

冨樫義博原作、伝説のTVアニメ『幽☆遊☆白書』が放送開始から25周年。その記念碑的アイテムとして、TVシリーズ全話と映像特典の数々を収録した『25th Anniversary Blu-ray BOX』(全4巻)が2018年7月より順次発売中だ。これを祝し、本作を今あらためて観なおして全エピソードをレビューするという短期集中連載。TVアニメ放送リアルタイム世代のライター陣が、小~中学生だった当時にはわからなかった演出、声の演技などにも注目しながら各話を振り返る! 今回からは、40話におよぶ長編「暗黒武術会編」を前・後編にわたってレビューしていく。

文 / 柳 雄大(担当話:#27,30,34-39,43)
逆井マリ(担当話:#28-33,40-42)

次々登場する強敵。すべてを出し尽くす…まさにアイデアの宝庫!

暗黒武術会とは、裏社会の富豪や実力者たちが、それぞれ5名のメンバーを集めバトルを繰り広げる格闘技戦である。闇の世界に深く関わる人間が、ゲストとして強制的にエントリーされ、拒否することは死を意味する。生き残るすべは勝ち残ることのみ――。

特に1990年代当時、格闘ものの長編作品には欠かせない展開のひとつだった“武術大会”。これは同時に、読者・視聴者にとって抗いがたい魅力的展開であったことの裏付けでもある。というわけで、子どもごころ的にはまさしく待望だった『幽☆遊☆白書』の暗黒武術会編。ここから40話もあるので、非常に長い旅になりそうだが……あらためて一気に観てみると意外なほどハイペースで物語が進んでいく。何より、次から次へと新しい強敵が登場するわくわく感がたまらない。ユニークな戦士たちの造形、対戦者組み合わせの妙など、一度の大会にすべてを出しつくすアイデアの宝庫として見るべきところは非常に多い。

出しつくす、という意味では、主人公・浦飯幽助率いる「浦飯チーム」が勝ち抜いていく4戦が“初戦から総力戦”となったのも印象的だ。特に飛影・禁断の必殺技「邪王炎殺黒龍波」が第1回戦で出たことは以後の(不利な)展開にも大きく影響している。以後、極端なハンディキャップ戦を強いられるチームを支えた覆面戦士、その謎もまた暗黒武術会編を通じた見どころとなった。

〈第27話~第43話「暗黒武術会編」(前編)主題歌データ〉
OPテーマ「微笑みの爆弾」 歌:馬渡松子
EDテーマ「ホームワークが終わらない」(~第29話) 歌:馬渡松子
EDテーマ「さよならbyebye」(第30話~) 歌:馬渡松子

「今のは幽助のショットガン……! あいつは一体……?」

第27話 死の船出!地獄の島へ
脚本:大橋志吉 絵コンテ・演出:小柴純弥 作画監督:増谷三郎
(1993年4月24日放送)

幽助、桑原、飛影、蔵馬、そして謎の覆面戦士。5人は暗黒武術会が行われる首くくり島へと向かう船上にいた。この船で開催されるバトルロイヤル式の武術予選会で、彼らはこれまでに鍛えた強さを試されることになる。

船上に出現した闘技場、周りには腕自慢の妖怪がうじゃうじゃ……。そんな状況のなか、なんと幽助がグーグーと眠り始めてしまい、代わりに動きだす覆面戦士が実力の片鱗を見せるというエピソードだ。熟睡した幽助がいつになったら目覚めるのか、これも暗黒武術会編・序盤の見どころになっていく。

「だれの……首を折ったって? ふざけやがって、万倍にして返してやんぜ」

第28話 小さな強敵!鈴駒の秘技
脚本:富田祐弘 絵コンテ:高橋資祐 演出:水野和則 作画監督:高橋資祐
(1993年5月1日放送)

ついに暗黒武術会が開幕。螢子、桑原の姉・静流、ぼたん、コエンマ、戸愚呂チームのオーナー兼大将・左京など、幕開けらしくキーパーソンも続々と顔を揃えた。

第1試合・浦飯チーム対六遊怪チーム戦は、1対1のバトルとなった。しかし幽助はいまだ昏々と眠り続け、対戦相手である六遊怪・是流(ぜる/声:真殿光昭)の挑発にも目を覚まさない(この是流のただならぬ妖気によって客席まで焼き尽くされるシーンは、当時子供心にビクビクとした記憶がある……)。初戦では桑原が六遊怪のナンバー・2、鈴駒(りんく/声:近藤玲子)と戦うことに。小柄な鈴駒は軽やかな身のこなしで桑原を翻弄するが、桑原の粘り強さが勝負を変えていく。クールな静流の「あたしの弟だもの」というセリフの情感にグッとくる。

「皮肉だね。悪党の血の方がきれいな花がさく」

第29話 血の花を咲かす蔵馬!
脚本:隅沢克之 絵コンテ:松井仁之 演出:中山晴夫 作画監督:有沢 誠
(1993年5月8日放送)

鈴駒の秘技・魔妖妖 (デビルヨーヨー)を受けた桑原は絶体絶命のピンチ。曲がる霊剣を使って相打ちに持ち込むが、鈴駒の気転で桑原は負けてしまう。続く2戦目は蔵馬と六遊怪チーム・呂屠(ろと)との勝負。蔵馬は母を人質にとられ手出しができない状態になるが、蔵馬は秘かに相手の体に“シマネキ草”を植え付け呂賭を葬る。「大切なもの」に危害を加えられたら、いくらでも非情になれるという蔵馬の本質を表した戦いであった。

この回からぼたんが霊界トレーナーとして参加するほか、勝負の裏では静流、アニメオリジナルキャラであるジョルジュ早乙女ら、個性の際立つ発言が炸裂しているのも見どころだ。

「邪眼の力をなめるなよ……!」

第30話 未完の奥義・炎殺黒龍波
脚本:橋本裕志 絵コンテ・演出:新房昭之 作画監督:若林厚史
(1993年5月15日放送)

続いては、飛影と火炎術者・是流との戦いに。最初は是流が圧倒していたものの、飛影は未完成の奥義・邪王炎殺黒龍波を使うことで勝利する(その技を目の前にして「あまりの凄さにイカ焼きの味が分からなかった!」とコエンマ)。圧倒的な強さを見せた飛影だったが、その代償に右腕を犠牲にしていた。飛影のセリフひとつひとつに“中二ごころ”を揺さぶられる。

そして次の戦いに繰り出したのは酔っ払いの酎。その酒の匂いと奇妙な妖気を感じとり、ついに目覚めた幽助がリングに上がる。つかみどころのない酎だが、得体のしれない妖気を放っていて……? どうなる、幽助。

この30話から、エンディングテーマの楽曲が「さよならbyebye」に。これまでの「ホームワークが終わらない」と同じく馬渡松子が歌う楽曲で、暗黒武術会の死闘の合間のひとときを演出するようなポップかつ穏やかなムードが魅力的だ。螢子をメインに据えた映像の背景には横幅6メートルにも及ぶ巨大な1枚絵が使用され、それを8時間かけて撮影されたという逸話も残っている。

「一瞬の隙が死を招くってわけか。なのになんでだろうな、すっげぇ楽しいんだよ」

第31話 よいどれ戦士!酎の酔拳
脚本:大橋志吉 絵コンテ・演出:松井仁之 作画監督:田中 良
(1993年5月22日放送)

六遊怪チームの大将として登場した酔っ払いの酎(声:若本規夫)。自身の妖気を魔界の酒とブレンドして戦う酎に、正面から向かっていく幽助。情に深く豪快な性格、かつバトルマニアと共通する点が多く、戦いながらも共鳴していく2人。原作でも強烈な登場を果たした酎だが、TVアニメ版ではさらに人柄の良さがにじみ出ている。勝負の行方は果たして……。

白熱する戦いの序盤戦、ジョルジュが食べていたおでんをコエンマが取り上げるシーンが癒しポイント。

「浦飯は相手のためにも戦ってるんだ。格闘技っていうのは一度戦えば相手のことは全部分かるんだ」

第32話 ナイフエッジデスマッチ
脚本:大橋志吉 絵コンテ・演出:水野和則 作画監督:菅野宏紀
(1993年5月29日放送)

互いに力を使い果たした幽助と酎。酎はこの勝負に決着をつけるため、お互い一歩も後ろに退けない肉弾戦である“ナイフエッジデスマッチ”を行うことを提案する。2人の戦いを冷静に見つめるキャラクターたちのそれぞれの解説・解釈が面白い。また、勝利した幽助の「元気になったらまたやろうぜ!」という言葉が、なんとも彼らしくて良い。

また、この戦いの裏で、静流が左京と出会うアニメオリジナルのシーンが初めて登場する。

「今日はでかい奴の厄日だね……」

第33話 激突!ベスト8出そろう
脚本:富田祐弘 絵コンテ:榎本明広 演出:うえだしげる 作画監督:榎本明広
(1993年6月5日放送)

2回戦進出を決めた浦飯チーム。しかし、それぞれが力を使い果たしたことで幽助は霊丸を打てなくなり、飛影は右腕が使い物にならなくなっていた。それぞれが苦悩するなか、2回戦・戸愚呂チームと魔界狂戦士チームの戦いが始まる。

ぼたん曰く「並みのチームではない」魔界狂戦士チームだったが、戸愚呂弟一人による独擅場に……。そして、遂にベスト8が決まった。殺伐としたシーンが多い回ではあるが、ホテルに集まった女性陣のキャピキャピ感が可愛らしくて和む(特にぼたんのカール姿)。

「もう抜けられないのさ。オレもお前もな、殺るか殺られるかだ……」

第34話 勝率0.05%の死闘!
脚本:隅沢克之 絵コンテ・演出:小柴純弥 作画監督:増谷三郎
(1993年6月12日放送)

幽助たちが次に挑む相手は、謎の武道家集団・Dr.イチガキチーム。しかし試合当日の会場には、お互いチームメンバーが2人ずつ足りない状態で現れた。卑劣な罠を仕掛け待つ、Dr.イチガキ(声:槐 柳二)の弾きだした勝率は“99.95%”……!

いきなり蔵馬・飛影を欠いた浦飯チームをリードするのは……あの覆面戦士。Dr.イチガキチーム戦で絶妙な活躍をみせ、ついに喋る覆面! エンディングでは、声の出演として「覆面:林原めぐみ」というクレジットも入るようになっている。

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