全話レビュー!『幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX』リリース記念特集  vol. 4

Review

幻海、50年越しの因縁。そして戸愚呂100%との死闘! TVアニメ『幽☆遊☆白書』全話レビュー:暗黒武術会編・後編(第44話~第66話)

幻海、50年越しの因縁。そして戸愚呂100%との死闘! TVアニメ『幽☆遊☆白書』全話レビュー:暗黒武術会編・後編(第44話~第66話)

冨樫義博原作、伝説のTVアニメ『幽☆遊☆白書』。その放送開始25周年を記念して4か月連続リリース中の『25th Anniversary Blu-ray BOX』(全4巻)にあわせ、TVシリーズ全話をプレイバック! かつて本作にリアルタイムで熱中したライター陣が、小~中学生の当時は気づかなかった細かい演出などにも注目しながら魅力を紐解いていく。第3回となる今回は、「暗黒武術会編」準決勝から、浦飯チームVS戸愚呂チームの決勝戦までを描く第44話以降を総力レビューする。

文 / 柳 雄大(担当話:#44-47,51-54,59-62)、
逆井マリ(担当話:#48-50,55-58,63-66)

「秘められた真のパワー」を極限まで面白く見せる演出力

登場人物たちの戦いという意味でも、作品の創意工夫という意味でも、激しい総力戦が繰り広げられる『幽☆遊☆白書』暗黒武術会編。準決勝が始まる第44話以降は、謎多き戸愚呂チームの面々を筆頭に、「彼らが枷をはずし真の力を出したらどうなるのか?」そこに純粋な興味をかき立てられる内容が続く。ざっくり言ってしまえば「真の姿」「真の力」合戦ということになるが……練り上げられたキャラクターの魅力や演出も相まって、最後までとにかく掛け値なしに面白い。

演出に関しては、蔵馬の“前世の姿”=妖狐(ようこ)の登場回(第47話)、飛影が奥義・邪王炎殺黒龍波を撃つ2度目のエピソード(第58話)をはじめ、重要な回でたびたび絵コンテ・演出にクレジットされている“新房昭之”の名前は見逃せない。後に『魔法少女まどか☆マギカ』などで監督をつとめることになる新房昭之の仕事ぶり、今からでもぜひ確認してみてほしい。

ちなみに、ストーリーの本筋ではないためレビュー本文ではあまり紹介できないが……劇中で試合の審判・実況をつとめる小兎(こと/声:折笠愛)、樹里(じゅり/声:遠藤勝代)という2人の存在感は大きく、殺伐とした武術会に華を添えた。特に、ネコ耳の小兎役・折笠愛は、桑原の姉でクールな静流と1人2役を好演。まったくテンションの異なる2人のキャラ、その両方にマッチしたハマり役として印象深い。

樹里、小兎

〈第44話~第66話「暗黒武術会編」(後編)主題歌データ〉
OPテーマ「微笑みの爆弾」 歌:馬渡松子
EDテーマ「さよならbyebye」(~第59話) 歌:馬渡松子
EDテーマ「アンバランスなKissをして」(第60話~) 歌:高橋ひろ

「流れのままに生き、そして死ぬ。あたしはそれでいいと思っている。次の世代に望みをたくせればな」

第44話 幻海からの最大の試練
脚本:大橋志吉 絵コンテ・演出:松井仁之 作画監督:田中 良
(1993年8月21日放送)

浦飯チーム・覆面戦士の正体はあの幻海だった。幻海は、幽助に霊光波動拳の奥義を託すため、“最後にして最大の試練”を与える。「あたしを殺す覚悟が出来たらこい」と言い残し、洞窟の奥へと消える幻海。降りしきる雨、動揺する幽助……。

暗黒武術会編・後半戦にかけて非常に重要なエピソード。幻海が幽助に課す試練を描くAパートは言うまでもないが、Bパート、彼らの帰りを待たずして始まってしまう準決勝=裏御伽(うらおとぎ)チーム戦もかなりの盛り上がりだ。久々の戦いにうずうずしていた飛影は、このBパート内だけで早くも一勝をもぎとる。

また、ここにきてギャグシーンも冴えている。ホテルでトランプ(ババ抜き)に興じる桑原と蔵馬(そこに飛影も誘うが、飛影は「やらん!(怒)」)、これまでの試合の審判から、準決勝以降は実況に専念することになった小兎の試合前コメント(「色即是空、疾風怒濤、空前絶後、焼肉定食~!」とノリノリで口にしていた)など……シリアスな場面が続く一方で、こうした緩急のつけ方がなかなか見事。

「ヤツの炎殺拳をお前の体が記憶したとき……黒桃太郎、お前の勝ちさ」

第45話 飛影連戦! 撃て黒龍波!
脚本:富田祐弘 絵コンテ:高橋資祐 演出:新房昭之 作画監督:高橋資祐
(1993年8月28日放送)

恐るべき早業で魔金太郎に勝利した飛影。次なる対戦相手は、相手の技と威力を記憶する闇アイテム・「奇美団子」(きびだんご)を持つ黒桃太郎。最大の必殺技・邪王炎殺黒龍波が撃てない飛影に勝機はあるのか?

戸愚呂チームとの戦いを前に、浦飯チームに立ちふさがる強敵・裏御伽チーム。日本のおとぎ話に現れる人物たちをモチーフに「闇アイテム」というエッセンスが加わった、まさに一人一人がアイデアの結晶! 相手を瞬殺し勝つことが多い飛影を苦しめたことで、「奇美団子」を得た黒桃太郎(声:青森 伸)の強さも印象に残った。

「この技だけは使うまいと思っていたが……」

第46話 戦慄! 黒桃太郎の変身
脚本:隅沢克之 絵コンテ・演出:小柴純弥 作画監督:菅野宏紀
(1993年9月4日放送)

猿・キジ・犬の3形態へと次々に変身する黒桃太郎に対し、飛影は奥の手・“邪王炎殺剣”によって勝利を収めた。死々若丸(ししわかまる)のふるサイコロが決める、次の一戦は……蔵馬VS裏浦島。

幽助、覆面(幻海)不在のまま次々と進められていく準決勝、この回はAパートで早くもサブタイトルを回収しており、Bパートでまた別の大きな事件が起きる。「まさかまた、この姿に戻る日がくるとは……」蔵馬の姿と声が変わった、衝撃的展開の真相は次回へ!

「さあ、おしおきの時間だ。オレを怒らせた罪は重い!!」

第47話 伝説の盗賊! 妖狐・蔵馬
脚本:橋本裕志 絵コンテ・演出:新房昭之 作画監督:増谷三郎
(1993年9月11日放送)

裏浦島(声:二又一成)の持つ闇アイテム・「逆玉手箱」は、あの「浦島太郎」の玉手箱とは逆に、煙を吸ったものを赤ん坊以前まで若返らせるというものだった。胎児以前まで戻され大ピンチを迎える……はずの蔵馬だったが、なんと人間に転生する以前の姿まで逆戻りした。その正体は、伝説の極悪盗賊・妖狐蔵馬! 逆に圧倒的な強さとなった妖狐を前に、裏浦島は命乞いを始める。

妖狐となった蔵馬は姿とともに声もがらりと変わり(こちらを演じるのは中原茂)、戦い方も残忍さを増したものとなる。植物を操る能力こそ蔵馬と同じだが、美しい容姿とは裏腹にグロテスクなものを呼び出すこのギャップ……! しかし当時の小学生視聴者としては、恐ろしさよりもその圧倒的強さにシビれるものがあった。

再び展開の早いこの回では、妖狐蔵馬の衝撃も冷めやらぬ中、幻海から授かった霊光波動拳を幽助が克服する重要な場面も。その上で、ゆるい場面にも抜かりない演出は続き……「逆玉手箱」の煙に巻き込まれて幼児になってしまう審判・樹里(幼児から大人の姿に戻る何気ない瞬間にも力が入っていて……その変身シーンに “ぴえろ魔法少女シリーズ”かよ!とツッコんだ人は少なくないはず)、対戦者を決めるために桑原・飛影・蔵馬が必死にジャンケンをするところなど、しっかり笑わせてくれる面白シーンも多い。

「そのちょこざいな霊力でオレと一戦交じえようとは笑止千万!」

第48話 闇アイテム・死出の羽衣
脚本:大橋志吉 絵コンテ・演出:下田正美 作画監督:若林厚史
(1993年9月18日放送)

幽助は試練に耐え抜き、霊光波動拳を継承することに成功した。闘技場では、死々若丸(声:森川智之)との対戦に桑原が臨んだが、闇アイテム“死出の羽衣”によってどこかへと飛ばされてしまう。続く浦飯チームから飛影が出ようとしたその時、覆面戦士が戻ってきた。

桑原が飛ばされていた先には、現在の会場がわからず迷っていたぼたんたち女性陣が。そして彼らが一緒に会場へと向かう途中、傷ついて眠る幽助とプーの姿があった。試練に耐え抜いた幽助の、一皮むけた表情や姿の違いに注目してほしい。プーも頑張ったね!

「その姿、今のおまえなら惚れてたかも、な……」

第49話 残された力! 幻海の死闘
脚本:富田祐弘 絵コンテ:榎本明広 演出:うえだしげる 作画監督:榎本明広
(1993年9月25日放送)

幻海に残された力は、霊丸にして残り3発。魔哭鳴斬剣(まこくめいざんけん)を駆使して華麗に戦う死々若丸は、観客から“若様”と呼ばれる風貌から、鬼のような形相に変わって襲いかかる。一方の幻海は相手の霊力を取り込む霊光鏡反衝(れいこうきょうはんしょう)で死々若丸を討つ。アニメ版ではこの技を2回放つことで、幻海の技の威力を生々しく描写した。技を出す直前に少女に戻る幻海、その美しい姿に死々若丸は目を見張る。

正義を憎む死々若丸に対して幻海が言い放った「あんたはあたしを正義といったが、そんなつもりは全くないよ。たまたま嫌いな奴に悪党が多いだけのことさ」、試合を見ていた戸愚呂・弟の「妖力での技術戦で幻海を倒そうとするのは無駄だ。やつをくだくのは技を超える限りなき力(パワー)!」など、名ゼリフがちりばめられた回。また余談だが、コエンマの秘書・ジョルジュ早乙女が「カセットで聖飢魔Ⅱの音楽を聴いている」というくだりは今観るとちょっと驚き。カセットプレイヤー、懐かしい……。

「私は千の姿と千の技を持つ、美しい魔闘家鈴木、美しい魔闘家鈴木だ!」

第50話 魔闘家・鈴木の挑戦!
脚本:隅沢克之 絵コンテ・演出:小柴純弥 作画監督:菅野宏紀
(1993年10月2日放送)

昏々と眠る無防備な幽助と、それを見守る螢子が、武術会場外にいた妖怪たちに命を狙われてしまう。しかし浦飯チームと戦った酎、鈴駒、陣、凍矢がこれを間一髪で助ける。会場内では、敵将・怨爺と桑原が戦っていたが、桑原は怨爺の技によって再びどこかへ飛ばされてしまう。サイコロが示した次の対戦相手は覆面=幻海。幻海は怨爺の変装を見破り、 “美しい魔闘家鈴木”(声:曽我部和恭)が現れる。怨爺の正体は、「美しいとは私のためにある言葉」と自信満々のナルシストであったが……。

放送当時のリアルタイム世代なら特に、「で、でた~~!」という声を出してしまうであろう、美しい魔闘家・鈴木。飛び道具的な立ち位置のキャラではあるが、美意識の裏にあるコンプレックスがなんだか切ない。

「少々髪がいたんでいるな。トリートメントはしているか?」

第51話 宿命の対決! 戸愚呂の影
脚本:橋本裕志 絵コンテ・演出:松井仁之 作画監督:田中 良
(1993年10月9日放送)

裏御伽チームVS浦飯チームの死闘に続く、準決勝第2試合は戸愚呂チームVS五連邪チーム。そこに戸愚呂・弟の姿はなかったが、戸愚呂・兄、鴉(からす)、武威(ぶい)という3人がそれぞれの力を見せつける。

勝敗の決着そのものはあっけないが、謎に包まれていた戸愚呂チームがようやく出てくるということで試合前後は見どころ満載(初めてまともにしゃべる戸愚呂・兄、そして戦いの視察に訪れた蔵馬を挑発する鴉のセリフが印象的!)。この戦いと、再び眠りつづける幽助、戸愚呂・弟と再会する幻海といった各パートが交互に映し出される。またこの回で特筆すべきは次回予告で、通常とはまったく異なる音楽と演出が次回に起きるドラマを示唆している。エンディングテーマ「さよならbyebye」のニュアンスも、いつにも増して重く感じられる……。

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