全話レビュー!『幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX』リリース記念特集  vol. 4

Review

幻海、50年越しの因縁。そして戸愚呂100%との死闘! TVアニメ『幽☆遊☆白書』全話レビュー:暗黒武術会編・後編(第44話~第66話)

幻海、50年越しの因縁。そして戸愚呂100%との死闘! TVアニメ『幽☆遊☆白書』全話レビュー:暗黒武術会編・後編(第44話~第66話)

「力が欲しい、戸愚呂とはまったく違う力が……あたしは死んでもいい……せめて、戸愚呂の目をさますことができるだけの力を!」

第52話 幻海散る! 50年目の決着
脚本:大橋志吉 絵コンテ・演出:新房昭之 作画監督:若林厚史
(1993年10月16日放送)

対峙する幻海と戸愚呂。かつては仲間として共に戦ったふたりが、なぜこうまで決定的に道を違えてしまったのか。残る霊力すべてをぶつける幻海に応え、戸愚呂“80%”のパワーが大地を揺らす。

前回での予告とサブタイトルにより、結末があらかじめ明示されているとはいえ、そこに向かう過程を重厚かつ丁寧に描ききった名作。冒頭の回想シーンが、通常のような前回シーンの再編集ではなく新作カットで構成されているところからも力の入り具合がうかがえる。幻海と戸愚呂、お互いまったく譲れない理由と美学のぶつかり合いは美しくて儚い……。エンタメ性たっぷりに描かれてきた暗黒武術会編だが、この先に待つラストバトルはいよいよ別格の深みを持つことになる。

「幻海の試練とは、この悲しみを乗り越えることでもあるのだ……強くなれ、幽助」

第53話 嵐の前! 悲しみを越えて
脚本:富田祐弘 絵コンテ:高橋資祐 演出:水野和則 作画監督:高橋資祐
(1993年10月23日放送)

幻海の死を間近に見た幽助は、怒りの一撃を戸愚呂にぶつけるも、さらに圧倒的なパワーで弾き返されてしまう。そして、黒龍波が使えないままの飛影、戸愚呂チームの鴉に殺される様子をイメージしてしまう蔵馬……それぞれが決勝戦に向けて苦悩していた。

今回のポイントは、まさかの再登場を果たす“美しい魔闘家・鈴木”と、戸愚呂チームの黒幕・左京が初めて語る真の目的という2点。初めて素顔で現れ「今のオレはただのピエロになりさがった……」と口にする鈴木は、一連のやりとりが真面目なのに微妙にコミカルで、ここで鈴木ファンになったという視聴者は少なくなかったはず(笑)。そして、魔界と人間界をつなぐ大穴を開けたいという左京の野望は、本作の暗黒武術編以後に関わる物語のカギでもあった。

「私は一番見やすい場所で浦飯チームの死を見届けたいだけだ。大将の私までまわってくる可能性は……0だ!!」

第54話 波瀾の決勝戦開始!
脚本:隅沢克之 絵コンテ:上妻晋作 演出:小柴純弥 作画監督:増谷三郎
(1993年10月30日放送)

美しい魔闘家・鈴木から「試しの剣」「前世の実」なる闇アイテムを受け取った桑原と蔵馬。コエンマから受け取った幻海の最後の言葉で立ち上がった幽助。右腕をボロボロにしながらも戻ってきた飛影。浦飯チームの面々は決意を新たに決勝戦へとおもむいた。

暗黒武術会編の中では珍しくバトルのない回が続き、嵐の前の静けさを際立たせる。ここで注目するべきは、“桑原だけはまだ幻海の死を知らない”ということ。「ばーさんは、今日は戻らない」と伝える幽助、その後に続く「結局、幽助はそれ以上言うことはありませんでした」以降のナレーション……! ここはおおむね原作に準じたものだが、珍しい「です・ます」調ということもあってか、ぼたんの声で語られることになったのが印象的。まさに“粋”な演出だった。

「好きなものにどんなに愛情を注いでも、いつかは老いて死んでゆく……ならば!私の手で殺してやる!!」

第55話 爆烈! 目覚めた妖狐
脚本:隅沢克之 絵コンテ・演出:下田正美 作画監督:時矢義則
(1993年11月6日放送)

いよいよ迎えた決勝戦、第一試合は蔵馬VS鴉。美しいものを好み、それを自らの手で殺すことに快感を覚える鴉(声:堀川りょう)は「私の手で殺してやる」と蔵馬に対してサディストな一面を見せつける。苦戦する蔵馬だったが、闇アイテム・前世の実が効いてきたところで妖狐に変身。試合の雲行きが変わっていく。

冷静沈着で鋭い洞察力、中性的な顔立ちと何かと共通点の多い蔵馬と鴉。2人の華麗な頭脳戦は原作・アニメともに人気の高いエピソードだ。今年のTOKYO MX再放送(2018年8月20日)では、蔵馬役の緒方恵美、鴉役の堀川りょう、妖狐蔵馬役の中原茂による新規収録のコメンタリー副音声付きでの放送となり話題になった。それにしても、妖狐になった蔵馬のドSっぷりよ……何年経っても親指を立てたくなる。

「カウントなどいらん、生きるか死ぬかだ」「ちがうな……お前も死ぬんだ!!」

第56話「決死の蔵馬! 最後の手段」
脚本:大橋志吉 絵コンテ:榎本明広 演出:うえだしげる 作画監督:榎本明広
(1993年11月13日放送)

一度は妖狐に変身した蔵馬だが、鴉からの反撃を受け絶体絶命のピンチに。マスクが外れた鴉は、火器物質を体内に取り込み金髪となり、地下爆弾(マッディボム)を使って蔵馬を敢えてゆっくりと追い詰めていく。その裏で、蔵馬は最後の奥の手にすべてを懸ける。

鴉の絶妙な表情や笑い声から蔵馬への歪な愛を顕著に感じさせる第56話。多くの名ゼリフが飛び交うが、蔵馬が(こめかみに指を当てて)「BANG!」をやり返すシーンが最高だ。息をするのも忘れるようなバトルが終わったあと、浦飯チームが喜びをあらわにするシーンにもホッとさせられる。こういったほのぼのとした瞬間にかかるゆるやかなBGMも素晴らしい。

「もう後もどりはできんぞ、巻き方を忘れちまったからな」

第57話 脅威! 鎧を外した武威
脚本:隅沢克之 絵コンテ・演出:小柴純弥 作画監督:山沢 実
(1993年11月20日放送)

捨て身の攻撃で逆転勝利を収めたように見えた蔵馬だったが、鴉が倒れたのは蔵馬ダウンの10カウント後。勝負に勝って試合に負けた状態となってしまった。そして次の戦いは飛影VS武威。巨大なオノを振り回す武威に「いい加減にしろ」「本気を出せ」と言い放つ飛影。飛影の実力を認めやっと鎧を脱いだ武威も「本気を出せ」と飛影に迫る。黒龍を封じている右手の忌呪帯法(いじゅたいほう)をゆっくりと解きながらとニヤりと笑う飛影だったが……。

素顔は意外にも(!?)イケメンの武威(声:金尾哲夫)。アニメ版の武威の登場シーンは、額の古傷を強く印象付けるものになっている。そんな試合のかたわら、「忌呪帯法」を聞きとれず「二世帯住宅」と言う桑原に「忌呪帯法だ」と蔵馬が冷静に訂正するやりとりが笑える。緊迫したバトルでの中での「二世帯住宅」、じわじわくる……。

「フン、死にたきゃ勝手に死ね。オレは指図されるのが嫌いでな」

第58話 究極奥義! ほえろ黒龍波
脚本:隅沢克之 絵コンテ・演出:新房昭之 作画監督:若林厚史
(1993年11月27日放送)

凄まじい武装闘気(バトルオーラ)を放つ武威に対して、奥義・邪王炎殺黒龍波を使った飛影。しかし武威は古傷に隠されたある想いを胸に「負けるわけにはいかない」と底力を見せ、邪王炎殺黒龍波をはじき返す。飛影は技に飲み込まれたように思えたが、飲み込まれたのではなく逆に“喰った”のだった。

有名な「見せてやる 極めた炎殺黒龍波をな」や、決め台詞の「邪眼の力をなめるなよ!」が聞ける……飛影ファンにはたまらない、飛影ファンのための第57話~第58話の展開(武威、すまん)。飛影のセリフは胸をバンバン射貫いてくるなぁと改めて。試合後、力を使い果たして眠ってしまう飛影もたまらなく愛しい。

「くくく……お前が切ったのはオレの体で作った生き人形、擬態さ」

第59話 戸愚呂兄の不気味な影
脚本:橋本裕志 絵コンテ・演出:松井仁之 作画監督:増谷三郎
(1993年12月4日放送)

浦飯チームの桑原を、敵方の戸愚呂・兄が挑発する。「お前は確実に死ぬ!」……不気味な笑い声に桑原はひるんでいた。桑原は、闇アイテム・試しの剣で得たパワーを信じて試合に臨む。

特攻服を着込んで決勝戦に現れた桑原。特に誰も突っ込まないが、その特攻服の背中にでっかく刻まれた「健康第一」の四文字がいい味を出している。霊感の高さゆえに、強敵に対する警戒心も強いのは桑原のチャームポイント(!?)で、そこがまさに今回の戸愚呂・兄の恐ろしさとの対比になっていた。戸愚呂・兄(声:鈴木勝美)は作中でも指折りの外道キャラだが、戦い方のグロさと「くっくっく」と笑う狂い具合から、当時の小学生男子たちの間で意外と人気だったことは触れておきたい(笑)。

「こいつは本当に便利な道具だぜ……今のオレの気分とピッタリに変形してくれやがった」

第60話 怒り爆発! 桑原の反撃
脚本:富田祐弘 絵コンテ:もりたけし 演出:中山晴夫 作画監督:越智信次
(1993年12月11日放送)

幻海の死を、自身の肉体を変形させた“人形劇”によって桑原に見せつけた戸愚呂・兄。倒しても倒しても復活する敵を相手に、桑原の怒りの一撃が炸裂した。そして……静まり返った場内、戸愚呂チームの左京は、自身の命とひきかえに“事実上の優勝決定戦”のプランを提案する。

暗黒武術会を牛耳るに至るまでの左京の過去、そして“巨大な破壊”を止められない理由が本人の口から語られた重要な回。優勝決定戦スタートを前に、戸愚呂・兄まさかの再登場と「オレは品性まで売った覚えはない」と告げる戸愚呂・弟、この兄弟の最後のやりとりも見逃せない。

また、この第60話からエンディングテーマが3代目の「アンバランスなKissをして」に変更。本作のエンディング楽曲は全5種類あるが、その変わり目のタイミングに一定の法則がない(物語の切れ目や、放送のクールとは連動していない)ことから、当時は歌が変わるたびにかなり驚いたものだ。「アンバランスなKissをして」(歌:高橋ひろ)は『幽☆遊☆白書』主題歌では初めての男性ボーカルという新鮮さ、楽曲のキャッチーさ、そこに加わるダークでカッコいいフィルムと、とりわけ印象の強い一作だった。このエンディングの映像、幽助たちが向かう先には……暗黒武術会編のその後に待つ人物の姿も。

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