全話レビュー!『幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX』リリース記念特集  vol. 4

Review

幻海、50年越しの因縁。そして戸愚呂100%との死闘! TVアニメ『幽☆遊☆白書』全話レビュー:暗黒武術会編・後編(第44話~第66話)

幻海、50年越しの因縁。そして戸愚呂100%との死闘! TVアニメ『幽☆遊☆白書』全話レビュー:暗黒武術会編・後編(第44話~第66話)

「自分自身不思議だぜ……妙に気分が落ち着いていやがる、あまりにひでーケガをすると痛みを感じなくなるって言うが」

第61話 宿命の対決! 嵐の大将戦開始
脚本:大橋志吉 絵コンテ:高橋資祐 演出:水野和則 作画監督:高橋資祐
(1993年12月18日放送)

幽助と戸愚呂、最後の戦いが始まった。戸愚呂が発する妖気は、観客の低級妖怪たちでは見ているだけで体が溶け出すほどの強さだ。両者の応酬が始まり、まずは幽助が渾身の霊丸に力をこめる。

これまで暗黒武術会編では、一戦を長くても2話構成にとどめるハイスピードな展開が続いたが、さすがのラストバトルは4話を使ってじっくりと見せる。その初回はまず、幽助がパワーアップした霊丸をベストな状態で撃つとどうなるか? という一点にスポットがあてられている。結果、戸愚呂は無傷のままだったものの、サングラスが取れて素顔がついに露わに!

「元人間のオレからみて……今のおまえに足りないものがある。危機感だよ」

第62話 戸愚呂100%の恐怖!
脚本:隅沢克之 絵コンテ:榎本明広 演出:うえだしげる 作画監督:榎本明広
(1994年1月8日放送)

霊丸をまともにくらってもダメージを受けていない戸愚呂。しかし、幽助はまだ最後のハンデを残して戦っていた。「呪霊錠(じゅれいじょう)・修の行」……幻海師範いわく“霊力向上ギプス”である手錠を全身から外し、パワーを解放した幽助が攻勢に転じる。拳のラッシュを受けた戸愚呂は、これまでとは違う痩せこけた肉体と不気味な雰囲気をさらした。

出しつくしていない強さを%(パーセント)で表現するゆえに、全力を出す瞬間が長く待ち望まれた戸愚呂。その100%がついに明らかになる。隆起する筋肉、光り輝く肉体、次々に溶け出す観客、闇に包まれる場内……。演出としても“100%らしさ”を描ききり、うめき声とともに“100%の戸愚呂”が現れる。

戸愚呂は筋力操作による変身が特徴的だが、実は戦い自体はかなりシンプルだ。パンチ・キックによる肉弾攻撃と、目立った技といえば、親指をはじいて撃ち出す空気圧=「指弾」ぐらいのもの。これまでの多くの妖怪たちとは違い、派手な飛び道具もカッコいい技名も出てこないが、それだけに純粋なパワーへの強いこだわりを感じる。100%になったビジュアル、玄田哲章による貫録ある演技を含め、やはりトータルの魅力で歴史に残る名キャラクターだと思う。

「情けねェ。仲間一人助けられねェよ。許せねー。誰よりオレ自身を……許せねーよ」

第63話 幽助! 限界への悲しい試練
脚本:橋本裕志 絵コンテ・演出:下田正美 作画監督:時矢義則
(1994年1月15日放送)

100%の戸愚呂の力はあまりに圧倒的だった。戸愚呂は幽助の強さを引き出すためにあらゆる手段を取るが、幽助は互角に戦うことができない。幽助を見守っていた螢子は、呆然自失の状態に……。そんな時、霊界獣・プーに憑依した幻海がリングへ。幽助の真の力を引き出すために、なんと浦飯チームのひとりを殺すことを戸愚呂に提案する。「それはオレも考えていた」という戸愚呂が桑原を指名した。

リアルタイムで観たときは、その圧倒的なパワーとムキムキのビジュアルに絶望的な想いにすらさせられた100%の戸愚呂。特に筋肉がぷちぷちと増殖していく瞬間はゾッとしたものだが、今改めて見ても恐ろしさは健在だ。Bパート後半、幽助の「おれは…無力だ…」という言葉がクローズアップされる演出は、本作スタッフの強いこだわりを感じた。さらにその直後、戸愚呂の前に自ら出ていく桑原の男気にすべてを持っていかれる。

「てめぇのすべてを壊してオレが勝つ」

第64話 死闘決着! 最後のフルパワー
脚本:富田祐弘 絵コンテ・演出:小柴純弥 作画監督:山沢 実
(1994年1月22日放送)

自ら戸愚呂の犠牲になった桑原に対し、自分の無力さを痛感する幽助。悲しみを強さに変えて立ち上がった幽助は「オレは捨てねー!! しがみついても守る!!」と叫ぶ。全てを捨てて強さを手に入れた者と、全てを捨てても守りたいモノがある者。二人の本質の違いが描かれ、戦いはラストスパートへ。仲間のためにすべてをかけて戦う幽助は、戸愚呂に全身全霊の霊丸を2発撃つ。フルパワーでぶつかった両者の決着は……。

“ここ”にたどり着くまでの過程が丁寧に描かれていただけに、幽助の覚醒~クライマックスまでは「あっ!」という間に収束していくような印象があるが、その展開の早さが幽助の強さをより強調した形となっている。「他の誰かのために120%の力が出せる、それがお前達の強さ」──と気づいた戸愚呂の表情が切ない。戸愚呂との戦いがついに終わった、としみじみ思うとともに、終わってしまったことに不思議と寂しさを覚えた回であった。

「戸愚呂は待っていたのかもな、浦飯くんのような男が現れるのを……」

第65話 闘技場と共に消える野望
脚本:大橋志吉 絵コンテ・演出:松井仁之 作画監督:増谷三郎
(1994年1月29日放送)

長い戦いが終わった。暗黒武術会は浦飯チームの優勝で幕を閉じた。桑原も生きていたことが判明し、ギャグシーンたっぷり、久しぶりにホッとする展開の序盤だが、和やかなムードもそう長くは続かない。コエンマとの賭けに負けた左京が、闘技場とともに自らの命を絶つことを宣言。左京の野望も戸愚呂の屍も全て焼き尽くすという……。

この戦いは一体なんだったのか。敵の人物像・心情を含めて、視聴者がキャラクターと共に考えさせられる第65話~第66話。蔵馬が分析していたように、戸愚呂の本心を考察すると複雑な気持ちになる。そういった想いも相まって、浦飯チームの面々が闘技場が崩れていく瞬間を見つめるシーンは実にエモーショナルだ。そして、アニメオリジナル展開である静流の淡い恋物語(?)も同時に終わってしまった。静流がいたことで左京は救われたのだろうか……。蛇足ながら、左京が静流に渡したジッポに「S.N」の文字が刻まれていたことが気になった。彼はいったいどんなフルネームだったのだろう?

「たいしたもんだよ、あんたのバカも。死んでもなおりゃしないんだから……」

第66話 戸愚呂の償い・一番の望み
脚本:大橋志吉 絵コンテ・演出:新房昭之 作画監督:若林厚史
(1994年2月5日放送)

ついに戦いの舞台である首くくり島から旅立つ時がきた。「そういや、のんびり海を見ている暇もなかったよな」(幽助)、「1年ぐらい戦ってたような感じだしな」(桑原)……と、それぞれが想いを口にする。一方、久々に霊界に戻ったコエンマ。戦いに敗れた戸愚呂を呼び出し、審判により罪を償わせようとするが、戸愚呂は地獄の中で最も過酷な「冥獄界」に行くことを決めているという。格闘家としての功績を考えれば軽い地獄の罪で済む、とコエンマは説得にかかるが、戸愚呂の決意は固かった。戸愚呂が去ったあと、彼の悲しい過去を知ったコエンマは「まさしく拷問のような人生だな。強さを求めると自分を偽って。不器用な男だ」とその人生を評した。

冥獄界へと突き進んでいく戸愚呂。そこに、若かりし頃の姿で訪れた幻海に対して「あんたには世話ばかりかけちまったな」とつぶやいたときの、サングラスを外した表情が哀しい。「論理的に矛盾だらけ」の戸愚呂の生き様。一連のやりとりから、戸愚呂が人間らしさを取り戻すための戦いでもあったことを感じさせる。最後は責任を取る形で、男の背中を見せたのだった。そしてラスト、武術大会の“最後の望み”が叶えられた。幽助、よかったね! 本当によかった……!

〈【仙水編】第67話~第94話につづく〉

TVアニメ『幽☆遊☆白書』

【スタッフ】
原作:冨樫義博(集英社「ジャンプコミックス」刊)
シリーズ構成:大橋志吉
キャラクターデザイン:北山真理・大西雅也・山沢 実
美術監督:池田祐二・高田茂祝
撮影監督:福島敏行
音楽:本間勇輔
音響監督:水本 完
監督:阿部紀之(現:阿部記之)
製作:フジテレビ・読売広告社・ぴえろ

【キャスト】
浦飯幽助:佐々木 望
桑原和真:千葉 繁
蔵馬:緒方恵美
飛影:檜山修之
コエンマ:田中真弓
ぼたん:深雪さなえ
雪村螢子:天野由梨
幻海:京田尚子
戸愚呂弟:玄田哲章
ナレーション:西村知道
ほか

リリース情報

幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX

暗黒武術会編【TVシリーズ第27話~第66話収録】
2018年8月28日発売 ¥24,000(税抜)
※TV放送されたキャストによる第55話副音声コメンタリーも収録!

暗黒武術会編 Blu-ray BOXジャケット

霊界探偵編【TVシリーズ第1話~第26話収録】
2018年7月27日発売 ¥18,000(税抜)
※劇場版『幽☆遊☆白書 冥界死闘篇 炎の絆』も収録!

仙水編【TVシリーズ第67話~第94話収録】
2018年9月26日発売 ¥17,000(税抜)

魔界編 【TVシリーズ第95話~第112話収録】
2018年10月26日発売 ¥13,000(税抜)
※「魔界編」には映像特典として、初の映像化となる完全新作アニメーション「TWO SHOTS」「のるか そるか」を収録!

★全4巻共通仕様:BOXおよびインナージャケットは描き下ろしイラスト
★各巻先着購入特典:描き下ろしイラストミニ色紙(対象店舗のみ)

原作/冨樫義博「幽☆遊☆白書」(集英社「ジャンプコミックス」刊)©Yoshihiro Togashi 1990年-1994年 ©ぴえろ/集英社

原作コミック 『幽☆遊☆白書』

 

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