映画『ちはやふる』特集  vol. 2

Review

映画『ちはやふる』百人一首講座【上の句 編】

映画『ちはやふる』百人一首講座【上の句 編】

ダイナミックな”競技かるた”の世界をバックに、等身大の高校生たちによる熱いストーリーを描く、コミック累計部数1500万部突破の末次由紀著書『ちはやふる』が実写映画化され、大ヒット公開中です。


1200年経っても廃ることない想い歌である『百人一首』。
百人一首は百首の内、四十三首は恋の歌!千年も前から人を愛する心は変わりません。
映画『ちはやふる』では恋だけでなく、恋以外にも共感を覚える歌が登場します。
それは1200年前と現代を生きる私たちが繋がる感動的な瞬間とも言えます!

そんなストーリーのキーポイントになる数首を訳と解説を交えながら紹介します。

百人一首講座 映画『ちはやふる』【上の句 編】

紅葉の見事さの陰には密かな恋心

ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは  (在原業平朝臣)

訳:不思議なことが多かった神代の昔にはこんなことは聞いたことがない。
散り流れる紅葉が竜田川の水面を覆い尽くして真っ赤に染め上げる。

「朗詠 小倉百人一首」ブックレットより引用 ©2016「ちはやふる」製作委員会 ©末次由紀/講談社

「朗詠 小倉百人一首」ブックレットより引用
©2016「ちはやふる」製作委員会 ©末次由紀/講談社

主人公・綾瀬千早の代名詞といっても過言ではない歌ですね!
訳を紐解いていくと情景描写を歌っているように聞こえますが…
皇太子と結婚するために別れることになった恋仲の二条の后を想い、
「私の燃える想いが、竜田川の流れを真っ赤に染め上げてしまうほど、今でもあなたを愛しています。」と在原業平の恋心を詠んだ歌です。
「ちはやぶる」は「千早ぶる」と表記し、荒々しく勢いがあることを意味しますが、「荒ぶる」と異なるところは支点が定まり一点に集中していることです。

祈っても、甲斐のない嘆き

憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを  (源俊頼朝臣)

訳:観音様につれないあの人をなびかせてとお祈りしたのに
山おろしの風のように冷たくなれとは祈らなかったのに…

あの人と両想いになりたいとお祈りしたのに、全く持って自分のほうには振り向いてくれない。
という切ない恋心を詠んだ歌です。
「山おろしよ」と字余になっているところがポイント!
嗚呼、ついに観音様に祈るまでになってしまったかと溜め息混じりで悶々としている状況を表現しています。

百人一首講座 映画『ちはやふる』【上の句 編】

神様にお供えしたいほど美しい紅葉

このたびは ぬさもとりあえず 手向山 もみぢの錦 神のまにまに (菅家)

訳:急な旅だったためお供え物も用意できていません。
せめても代わりにこの美しい手向山の紅葉を捧げますので、後のご判断は神の御心にお任せします。

「朗詠 小倉百人一首」ブックレットより引用 ©2016「ちはやふる」製作委員会 ©末次由紀/講談社

「朗詠 小倉百人一首」ブックレットより引用
©2016「ちはやふる」製作委員会 ©末次由紀/講談社

どんな状況でも自分のベストを尽くして結果を待とう!と、気持ちを鼓舞してくれるような歌とも解釈できる歌です。
「このたび」の「たび」は掛言葉になっており、「この度」と「この旅」をかけています。
また、作者の菅家は菅原道真の尊称です。

百人一首講座 映画『ちはやふる』【上の句 編】

雄大な富士山の神々しい美しさ

田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ

訳:田子の浦に出て見渡すと白い布を被ったような富士の山頂に雪が降り積もっている。

まさに自然の情景を詠んでいます!
千年前に生きていた人も変わらず同じ景色を眺めていたと思うととても考え深い歌ですね。
富士山の不変さや壮大さを見習って、大きな心で物事を捉えてみよう!
という気持ちにさせてくれます。

映画『ちはやふる』では太一と奏がある秘密を共有するシーンで登場するので要チェックです!

百人一首講座 映画『ちはやふる』【上の句 編】

友人の有り難さを思い知る

誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに

訳:誰を親しい友人とすればいいのか。
私同様に長生きしている高砂の松も、昔からの友人ではないというのに。
昔からの友人はもう誰もいなくなってしまた

孤独な心境に置かれた時にぴったりな歌です。
一人でいるのが寂しいというのは、なってみないと気付かないもの…
友人が側にいることの有り難さを身に浸みて感じられます。
支えてくれる優しい存在を大切にしてくださいね。

百人一首講座 映画『ちはやふる』【上の句 編】

百人一首は31文字で詠むツイートのようなもの。
込められた歌には自然の美しい情景描写に合わせて、誰かのことを強く想う気持ちが隠されているのです。
それは現代を生きる私たちとも共通しています。

映画公開に伴って主要キャスト陣が作中に出てくる歌を詠みあげたトラックを聞くことができる『朗詠 小倉百人一首』発売!ボーナストラックとして収録されていますので、チェックしてください。

取材・文 / 新 麻記子(girls Artalk)

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『朗詠 小倉百人一首』ボーナストラックレコーディングレポート

『朗詠 小倉百人一首』

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ジャケットスリーブ表面(映画「ちはやふる」絵柄)

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ジャケットスリーブ裏面(末次由紀先生描き下ろし)

ジャケットスリーブ裏面(末次由紀先生描き下ろし)

朗詠:前田邦夫八段(監修:全日本かるた協会)1970年録音
ボーナス朗詠:映画「ちはやふる」より、広瀬すず、野村周平、真剣佑、松岡茉優 2016録音
発売日:2016年4月6日 MHCL30348-9
価格:¥2,500+税(2枚組。高音質Blue-spec CD2仕様) ※先行配信3/17より開始
・末次由紀先生描き下ろしジャケット
・映画連動、八つ折り・末次由紀先生 描き下ろしポスターブックレット。
・オリジナルLP「百人一首」解説書復刻封入。


<収録内容>
DISC1:前田八段の朗詠百首を収録。
DISC2:出演キャスト朗詠七首を収録。
・広瀬すず/綾瀬千早:「ちはやぶる」、「もろともに」
・野村周平/真島太一:「このたびは」、「たごのうらに」
・真剣佑/綿谷新:「ひとはいさ」、「せをはやみ」
・松岡茉優/若宮詩暢:「しのぶれど」

商品詳細はこちら(OTONANO)

リリース情報

映画『ちはやふる』オリジナル・サウンドトラック

映画『ちはやふる』オリジナル・サウンドトラック
音楽:横山 克
UPCH-2076 ¥3,000+税

映画の名シーンを鮮やかに彩る音楽を存分に収録したサウンドトラック。音楽を担当するのは、映画、ドラマ、アニメなど数々の映像作品の音楽を担当してきた横山克。

こいのうた ~inspired by 映画『ちはやふる』

こいのうた ~inspired by 映画『ちはやふる』
UPCH-2076 ¥3,000+税

01.Perfume / Dream Fighter
02.GReeeeN / 桜color
03.秦 基博 / アイ
04.チャットモンチー / 恋愛スピリッツ
05.HY / エール
06.FUNKY MONKEY BABYS / それでも信じてる
07.フジファブリック / 若者のすべて
08.大橋トリオ / A BIRD
09.藤原さくら / Just one girl (Original Ver.)
10.クリープハイプ / 寝癖
11.Base Ball Bear / 17才
12.Softly / キミがいい
13.WEAVER / キミノトモダチ
14.東京事変 / 閃光少女

映画「ちはやふる-上の句-」2016年3月19日より全国ロードショー
映画「ちはやふる-下の句-」2016年4月29日より全国ロードショー

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小学生の千早は、幼なじみの太一、新と一緒にいつも競技かるたで遊んでいた。しかし彼女にかるたを教えてくれた新が、家庭の事情で故郷の福井県へ戻り、離ればなれになってしまう。「新にもう一度会って、強くなったと言われたい」と願い、1人でかるたを続けてきた千早は、高校で再会した太一とともに競技かるた部を創設。初心者も含めなんとか集まった部員5人で、弱小チームながら全国大会を目指すことに。新に会いたい一心でかるたに情熱を燃やす千早と、その気持ちを知りながら千早に思いを寄せる太一。そして離れて過ごす新は、1人ある悩みを抱えていて……。

<スタッフ>
原作:末次由紀(講談社「BE・LOVE」にて連載中)/監督・脚本:小泉徳宏
主題歌:Perfume「FLASH」

<キャスト>
綾瀬千早:広瀬すず/真島太一:野村周平/綿谷新:真剣佑/大江奏:上白石萌音/西田優征:矢本悠馬/駒野勉:森永悠希/須藤暁人:清水尋也/木梨浩:坂口涼太郎/若宮詩暢:松岡茉優/宮内妙子:松田美由紀/原田秀雄:國村隼

オフィシャルサイト http://chihayafuru-movie.com/
オフィシャルTwitter https://twitter.com/chihaya_koshiki

映画『ちはやふる』の原作コミック(末次由紀/講談社)

ちはやふる

2007年から『BE・LOVE』で連載がスタートし、現在も好評連載中の末次由紀の人気漫画。魅力的な登場人物たちの人間ドラマと、かるたの迫力のある試合描写が高く評価されていて、2009年に第2回マンガ大賞2009を受賞、「このマンガがすごい!2010」のオンナ編1位を獲得、2011年には第35回講談社漫画賞少女部門を受賞している。2011年には日本テレビ系でアニメ化され、こちらも人気を呼んだ。

©2016「ちはやふる」製作委員会
©末次由紀/講談社

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