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尾上松也の熱きシャウトに大原櫻子の悪妻っぷり。さらにメタルと演歌の融合!? また新しい新感線☆RS『メタルマクベス』の幕が開く──。

尾上松也の熱きシャウトに大原櫻子の悪妻っぷり。さらにメタルと演歌の融合!? また新しい新感線☆RS『メタルマクベス』の幕が開く──。

9月15日(土)よりIHIステージアラウンド東京(豊洲)にて開幕するONWARD presents新感線☆RS『メタルマクベス』disc2 Produced by TBS。劇団☆新感線と宮藤官九郎がタッグを組み2006年に初演された本作が今年、宮藤が脚本に手を加え、いのうえひでのりが演出にアレンジを施し、12年ぶりに生まれ変わった。好評を博した『髑髏城の七人』同様、同会場にてキャストを変え3作が上演中ななか、7〜8月の“disc1”に続き、“disc2”の囲み取材と公開稽古が9月9日(日)に実施され、囲み取材には今作でランダムスター / マクベス魔Ⅱ夜を演じる、歌舞伎役者の尾上松也と、ランダムスター夫人 / ローズ役で出演するシンガーで女優の大原櫻子が出席した。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 中原幸

メタルロックと『マクベス』を融合した作品はここにしかない。唯一無二の作品を楽しんで

開幕を1週間後に控えた心境を聞かれた尾上松也は「劇場に入って4日目。稽古場では理解できなかったことが会場入りして体で実感できるようになってきています。お客様に楽しんでいただける要素が満載のこの劇場のスペシャル感を肌で感じております。残り1週間、みんなでできることを一生懸命にやって、初日には大盛り上がりできるように稽古に励みたいと思います」と意気込みを語った。

大好評のうちに千秋楽を迎えた“disc1”に足を運んだという大原櫻子は、「客席で観させていただいたんですが、キャストの団結力を感じました。(濱田)めぐみさんと(橋本)さとしさんからすごいエネルギーをもらいましたし、めぐみさんからは『死ぬ気で頑張ってね。死ぬ気で応援するから』というメールをいただきました」と明かした。

本作で特に重視されている生バンドの演奏による歌唱に関して、ミュージカル作品にも多数出演している尾上松也は「浅くではありますが、メタルロックも通ってきたと思っていますし、今までに歌ったことのないような曲調に乗せて歌うのは本当に楽しい。何よりもこの劇場でロックを聴くだけで、ものすごくテンションが上がるので、お客さんと共有できたら楽しいだろうなと思います」とコメント。大原櫻子も「生バンドなのでより激しさを感じます。音楽が体で鳴っている感覚が味わえています。この劇場でメタルロックを聴けるのは特別なことだなと思います」と続けた。

また、気になる“disc1”と“disc2”の違いについては、ふたりが「全然違う」と声を合わせ、尾上松也は「大まかなストーリーは一緒ですけど、夫人の歌のテイストも違いますし、何より王の専属シンガーが徳永ゆうきくんになってる。“disc1”の冠(徹弥)さんはメタルが本職でしたが、徳永くんは演歌が主流ですからね。“disc1”を観た方でも十分に違いを楽しんでいただけるものになっています」とアピール。

囲み取材の最後には尾上松也が「ランダムスターとマクベスの2役で、過去と未来を行き来する。この劇場にすごく合っていると思います。何よりも皆さんにはメタルロックの音楽に身を委ねていただきたい。世界中を探してもメタルロックとシェイクスピアの『マクベス』を融合した作品はここにしかないと思うので、唯一無二の作品を楽しんでいただきたいなと思います」と見どころを話すと、大原櫻子は「映像も音楽も豪華なんですけど、宮藤官九郎さんが描かれた台詞のやりとり、ひとつひとつが本当に面白いので、笑って楽しんでいただきたいなと思います」と熱意を込めて語った。

各キャラクターにキャストそれぞれの個性を生かした味付けがさらにされている

続けて行われた公開での通し稽古は一幕のみ。まだ稽古中のため、開演までに修正も入ると思うが、囲み取材で尾上松也が「大まかなストーリーは一緒だけど、“disc1”とは全然違う」と言っていたように、様々な相違点があった。全体としては、“disc1”で最も目を奪われていたのは、12年ぶりの『メタルマクベス』ということ、1997年に劇団☆新感線を退団した橋本さとしが21年ぶりに古巣のステージに帰還したというトピックだった。橋本さとしと橋本じゅん(盟友のエクスプローラー役)の名コンビの復活は、当時から応援していたファンを感涙させた。何と言っても20年ぶりだ。もう復帰はないと思っていたバンドがまさかの再結成を果たしたようなもので、ふたりが軸となることで劇団☆新感線のあの頃が瞬時に甦る、阿吽の呼吸を見せる仕上がりになっていた。一方の“disc2”は、ストーリー展開はそのままに、各キャラクターにキャストそれぞれの個性を生かした味付けがさらにされているうえに、笑いの種も数多く巻かれていた。その露払いを務めたのは、劇団☆新感線の高田聖子を含む3人の魔女たち。オープニングでいきなりハリウッドスターKen Watanabeばりの熱演を見せ笑いを誘い、原作はシェイクスピアながらも、声を上げて笑ってもいい芝居なんだということを観客に知らせてくれた。

続いて、尾上松也がエレキギターを高々と掲げながら登場。主題歌「きれいは汚い、ただしオレ以外」を熱唱する。その横ではエクスプローラー役の岡本健一が実際にエレキギターをプレイ。吉川晃司と布袋寅泰によるCOMPLEXのような立ち振る舞いが実に様になっており、バイクでステージを滑走する姿勢も躍動感があった。

そして、何よりも観客を爆笑させたのは、徳永君役の徳永ゆうきである。元駅員で演歌歌手であるという特色を生かし、構内アナウンスの披露に続き、ハードロックと演歌を共存させた「炎の報告」、その歌詞にも鉄ちゃんネタが散りばめられ、秀逸の一曲だった。

大原は、BABY METALならぬHEAVY MENTALこと、3人の魔女の一員としてステージに初登場すると、ゴスロリの衣裳でヘドバンを繰り広げながら「イジメ、ダメ、ゼッタイ」ではなく、「ヨリメ、ダメ、ゼッタイ」などを歌い上げた。心が顔に出てしまうランダムスター(尾上松也)の変顔は、大きな劇場ではわかりづらい面もあるが、岡本の的確なツッコミによって笑いに昇華されていた。

また、1980年代に活躍したバンド、メタルマクベスによる演奏は、“disc1”では「リンスはお湯に溶かして使え」だったが、“disc2”では「ダイエースプレー買うてこいや」にチェンジ。一瞬しか登場しないが、ランダムスター夫人(大原櫻子)がリモコンのストップボタンを押したあともマネキンチャレンジをしているので、客席の回転に惑わされずに凝視していて欲しい。

 

そして、ランダムスターがメイプル城に帰還し、夫妻が初めて揃ってから、尾上松也&大原櫻子ふたりの多才ぶりが際立つようになる。大原は伝令や門番には甲高い声でキーキーとわがままを言い、夫のランダムスターには時に低く重い声で悪女の一面を垣間見せる。松也はさらに変幻自在に声色を変え、様々なモノマネもフィーチャーしながら観客を笑わせつつ、決めるところはしっかりと決め、歌舞伎特有の見得の動作もとり見せ場をつくる。思わず、「音羽屋!」と声をあげたくなる場面もあったが、やはり劇団☆新感線と歌舞伎役者の相性の良さを再確認させられた思いがした。

また、松也は妻の前だけ“甘えん坊”になるランダムスターのギャップをもチャーミングに演じていた。主演ドラマ『さぼリーマン甘太朗』で見せた恍惚の表情と喘ぎ声でも話題を集めていたが、彼ほどコメディができる歌舞伎役者はいないのではないかと思う。どんな変顔をしても、どんなに奇妙な声を出しても、笑いになるのは、彼個人の愛らしいキャラクター性によるものだろう。つまり、松也による『メタルマクベス』は、メタルとシェイクスピアの融合だけではなく、ロック、歌舞伎、ネタものと劇団☆新感線の様々なシリーズが結合したような作品へと仕上がっているのだ。

一幕は、徳永君(徳永ゆうき)が歌い、エクスプロラー(岡本健一)が泣きのギターソロを見せるロックバラード「王を弔う」で締め括られる。肩を寄せ合って後ろ向きで去っていくランダムスター夫妻は王を殺めた罪の意識からこれから眠れぬ夜を過ごし、次第に正気を失っていく──。一方、王殺しの容疑をかけられ城を抜け出したレスポールJr(原嘉孝 / 宇宙Six)が、二幕でどんな活躍を見せるのか……。二幕もどう新しさを増しているのだろうか。楽しみでならない。

本公演は9月15日(土)よりIHIステージアラウンド東京(豊洲)にて上演。10月25日(木)まで全46公演を駆け抜ける。

ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc2 Produced by TBS

2018年9月15日(土)~10月25日(木)IHIステージアラウンド東京(豊洲)

作:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
音楽:岡崎 司
振付&ステージング:川崎悦子
原作:ウィリアム・シェイクスピア「マクベス」松岡和子翻訳版より

出演:
尾上松也 大原櫻子/
原 嘉孝(宇宙 Six / ジャニーズ Jr.) 浅利陽介/
高田聖子 河野まさと 村木よし子/
岡本健一/木場勝己 ほか

オフィシャルサイト

ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc3 Produced by TBS

2018年11月9日(金)~12月31日(月)IHIステージアラウンド東京(豊洲)

作:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
音楽:岡崎 司
振付&ステージング:川崎悦子
原作:ウィリアム・シェイクスピア「マクベス」松岡和子翻訳版より

出演:
浦井健治 長澤まさみ/
高杉真宙 柳下 大/峯村リエ 粟根まこと 右近健一/
橋下じゅん/ラサール石井 ほか

オフィシャルサイト