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これぞ、エンターテインメントショー! THE CONVOY SHOW「星屑バンプ」が開幕。本田礼生や加藤良輔らの魅了するパフォーマンス

これぞ、エンターテインメントショー! THE CONVOY SHOW「星屑バンプ」が開幕。本田礼生や加藤良輔らの魅了するパフォーマンス

“全員が脇役で主役!”をモットーに30数年。演劇界のトップを走り続け、北野 武(ビートたけし)に「死ぬまでに一度は観るべきだ」と言わしめた集団THE CONVOY SHOW(ザ・コンボイ・ショウ)。そんなカンパニーが昨年上演した『星屑バンプ』が好評につき、9月7日より博品館劇場にて再演されている。そのゲネプロに立ち会うことができた。

取材・文・撮影 / 竹下力

“おっさん”と“若者”の邂逅が、彼らの人生を変え始める

幕が開いたら、まずは彼らの目をまっすぐに見てみよう。“おっさん”たち(瀬下尚人、黒須洋壬、今村ねずみ)の目に淀みはあるだろうか? “若者”たち(佐久間雄生、本田礼生、伊藤壮太郎、加藤良輔)の目の輝きは失われているだろうか? そんなことはない。彼らの目は太陽のように燃え、つねに明日を衒いなく見つめている。まるで「過去なんか捨てておけ」と言っているようだ。そして、彼らからほとばしる汗。開演ブザーが鳴れば、“おっさん”&“若者”が怒涛のダンス、歌、芝居と、他の誰にも止められないテンションで粋なエンターテインメントショーを見せてくれる。

幕開きからクールでかっこいい。「ダン、ダン、ダン」とビートが鳴り響けば、スーツを着たサングラス姿のメンバーが横並びで、ヒップホップダンスのポージングを決めながらブイブイと踊り始める。“準備はいいか?”そんな挑発的なクールネスを発散させ、「星屑バンプ」は開演する。

一転、暗転し、シンプルな舞台装置に牛とペンギンの着ぐるみを着た2人の姿がある。一瞬にして、ザ・脱力。そこはデパートの屋上らしく、1回目のファミリーイベントを終えたばかりの“東京シャイニングブラザーズ”の“おっさん”たちが着ぐるみのまま、互いにダメ出しをし合っている。どうやらそれぞれの演技が気に食わなかったらしい。「演技は結構ちゃんとするほうだからさ」などと真面目に言っているのだが、なんだか間が抜けていて笑える。

そんなグダグダな空気を醸しながら“おっさん”たちが2回目の出番を待っていると、突如、4色のヘルメット&スーツに変装した戦隊ものヒーロー軍団“ビックバンジェッツ”の“若者”メンバーが現れる。やけに背筋をピンと伸ばしながら「誰か、この特注のピンクのヘルメットをかぶれる方はいませんか!?」と声高に叫び始めるのだが、「そんなこと急に言われても」と“おっさん”たちは嫌々ながら答えている。けれど、どこかまんざらでもない様子。そこへ、クマの着ぐるみを着たもうひとりの“おっさん”がやってくる。この思いがけない“おっさん”と“若者”の邂逅が、彼らの人生を変え始める……そう、明日の夢へ向かって。

歌にダンス、芝居とすべてが渾然一体となった唯一無二のエンターテインメント

“THE CONVOY SHOW”は、歌にダンス、芝居とすべてが渾然一体となった唯一無二のエンターテインメント集団。60年代歌謡曲に、ヒップホップ、ヘヴィメタもさらりと歌ってしまう。ダンスだって、日舞っぽい踊りから、ブレイクダンス、暗黒舞踏までなんでもござれ。“THE CONVOY SHOW”に“してはいけない”というルールはない。演劇界において無法地帯を作り出すブルドーザーのようなカンパニーなのだ。

初演からブラッシュアップされた、キレのいいダンス、芝居、歌、コントに注目して欲しい。ダンスはソリッドで、歌はエモーショナル。芝居は腹を抱えて笑えて、目頭をおさえて涙する。笑いでも、“おっさん”組が世の中を斜めに見ながら“すかし”を入れれば、“若者”組はすかさずキレのいいツッコミをぶち込んで正面衝突。しかし、そこから生み出される優しいケミストリーは、現代のどこかのっぺらぼうとした上司と部下、先輩と後輩、そんな関係を蹴飛ばしているようにも見える。

何より作・構成・演出の今村ねずみが、7者7様の当て書きをしているのも見どころだ。今村の手にかかると役者が、演じているその人そのものに見えてくるのだ。

瀬下尚人演じる“おっさん”は、子供たちの笑顔を見たいという切なる思いを持って着ぐるみだって着て演じているという役者の覚悟を感じさせた。「富士山の天辺でてめえの小ささを感じて、明日のために生きなくちゃいけない」と決意をしたから、たとえ誰に見向きもされなくても踊り続ける。みんなが笑ってくれるなら、おバカだってなんだってする。そんな真剣な姿、いったい誰が笑えるだろう? そしてこれは、瀬下自身の思いに重なるところかもしれない。だから、なんだかリアルに感じられる。

“おっさん”組のもうひとり、様々なカンパニーで振付もこなす黒須洋壬。踊りで世の中を渡り歩いて生きてきた男の渾身のダンスは、よどみなく、キレ味も冴えていた。中には、孔雀の求愛ダンスのようにエロティックなものもあり、キャリアが見せる技は圧巻だった。さらに、30年にわたって培ってきた迫真のボケには笑いを堪えずにはいられない。

そして、おそらく座長・今村ねずみからの激しい叱責も、励ましもたくさん受けたであろう“若者”組だって負けてはいない。

佐久間雄生は“ビックバンジェッツ”のリーダーを闊達に演じていた。彼の迫真の演技は熱い何かを感じさせる。役名の“りょう”とは、初演のパンフレットに書いてあったが、彼の亡くなった8つ上の兄と同じ名前だという。今村ねずみの粋な計らいか。彼は兄と共にこの舞台上に生き、初演、再演を経て兄と同化し、やがて兄を追い越してゆくのだろう。彼の成長した姿の背後を慮って涙が溢れてくる。

佐久間や本田と共に初演に引き続き出演している伊藤壮太郎も、スーツアクターで売れない役者をやっているが、明日への希望を捨てない“若者”組のひとりを好演。いつの日かビッグになる。彼の表情から溢れる不屈の闘志。これらもまた、伊藤自身の決意に重なって見えてくる。

今作から“THE CONVOY SHOW”に初参加した加藤良輔。おそらく稽古場で今村から激昂されたこともあるだろう、悩んだこともあるだろう。けれど、それらを乗り切った清々しさが舞台には漂っていた。ダンスシーンで時折り見せる、今村や本田とそっと笑みをかわす仕草に、彼の果てなき努力の甲斐を見た。インタビューでは今村ねずみが「“シャイなこんちくしょう”にする」と言っていたけれど、この座組を経て、彼はあきらかに変わったのではないかと思う。

本田礼生は、役柄的には思ったままに感情を吐露してしまう、“ビックバンジェッツ”の中では最も若者らしい若者を演じていたが、舞台に立つ彼の存在感は抜きん出ており、若手チームのリーダー、精神的支柱に見えた。決して偉そうにしているわけではない。踊りで、歌で、芝居で、メンバーたちを引っ張っていた。

時にはうまくいかないと思い悩むこともあるけれど、そんなことは“ナンセンス”とがむしゃらに生き抜く彼が演じる“若者”の姿は、この舞台に臨んでいる生身の本田礼生の一面にも通じる。うまくいかなければ、立ち止まってもいい、泣いてもいい、笑ってもいい、叫んでもいい、そんなことを言ってくれるようで、涙腺は崩壊寸前だった。

作・構成・演出の今村ねずみは、7者7様の当て書きを役者にしているわけだから、自らにも当て書きをしている。自分がどんな人間なのか、彼らはどんな人物なのか、何を伝えたいのかに向き合い、キャラクターに思いを宿して如実に物語っていく。もちろん、「虚実ない交ぜ」と本人は語っているから、100パーセントリアルではない。けれど、瀬下尚人、黒須洋壬、佐久間雄生、本田礼生、伊藤壮太郎、加藤良輔、今村ねずみという現実の彼らが板の上に立っているように見えた。そして、最後の激しいレビューショーの終わりに、すべての虚飾を剥ぎ取った“人間”たちがそこにはいた。

光り輝く明日に向かって一緒に行ってみないか?

物語を要約すれば、“おじさん”と“若者”のジェネレーションギャップのお話である。噛み合わなくて喧嘩をすることもある。噛み合いすぎて仲良くなりすぎることもある。ただ、笑い合い、泣き合いながら、彼らはキラキラ輝いている。そんな彼らを見ていると、夢や希望、迷いも不安も、挫折だって、誰しもが一緒だと教えてくれる。「光りあるものは自ずと輝き、光りなきものは照らされて輝く」と本作の合言葉があるけれど、誰だって夢を見る資格はある、どんな年齢にだって明日に旅立つ資格がある。

「なあ、光り輝く明日に向かって一緒に行ってみないか」。そんな彼らからの誘いを受けて、観客はグレートジャーニーに旅立つ。こんなにドキドキが止まらない旅はあるだろうか。きっと7人があなたを星空まで連れて行ってくれる。そこで観客は星になり、永遠にキラキラと輝き続けるのだ。

今村ねずみが「THE CONVOY SHOWは何かとは説明できない」とも言っていた。そのとおりだと思う。この舞台だけで、彼らのこと、“THE CONVOY SHOW”のことを理解できるわけではない。ここに記していることだって、彼らの伝えたいことの10パーセントにも満たないかもしれない。それでも彼らのことを書きたい。だから筆を取り、明日この舞台を観劇するであろう誰かのために彼らへの想いを綴る。そういう私自身も今村ねずみに当て書きをされて彼の掌の上で踊っているのかもしれない。でも、たまらなく気持ちいいのだ。
だから、こう言い続けたい。「星屑バンプ」は絶対に観るべきだ、と。

本作は、9月17日(月)まで東京公演を。そのあと、大阪、札幌、新潟、仙台、福岡、名古屋を巡演し、10月21日(日)に大千穐楽を迎える。

さらにゲネプロ終了後、12月14日(金)〜12月17日(月)TBS赤坂ACTシアターにてTHE CONVOY SHOW vol.36「ONE!」が上演されることが発表された。いったいどんな世界が待っているのか、心して待っていよう。この公演で、“THE CONVOY SHOW”のことがさらに深く理解できれば幸せだ。

THE CONVOY SHOW vol.35「星屑バンプ」

東京公演:2018年9月7日(金)〜9月17日(月)博品館劇場
大阪公演:2018年9月29日(土)〜9月30日(日)森ノ宮ピロティホール
札幌公演:2018年10月2日(火)教育文化会館 大ホール
新潟公演:2018年10月4日(木)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
仙台公演:2018年10月6日(土)電力ホール
福岡公演:2018年10月12日(金)〜10月13日(土)ももちパレス
名古屋公演:2018年10月19日(金)〜10月21日(日)名古屋市芸術創造センター

STORY
デパートの屋上で1回目のファミリーイベントを終えた「東京シャイニングブラザース」の面々。着ぐるみのまま控え室で2回目の出番を待っていると、そこへ、マスクとスーツで武装した戦隊ものヒーロー軍団「ビックバンジェッツ」のメンバーが突然現れ、「誰か、この特注の仮面をかぶれる方はいませんか!?」と叫ぶ──。
この思いがけない出会いが彼らを偶然結びつける。
光りあるものは自ずと輝き、光りなきものは照らされて輝く。
「なぁ、夢じゃなくてちょっとした未来に一緒にいってみないか……」
互いの歯車が動き出したとき、星屑たちが輝きだす──。

作・構成・演出:今村ねずみ

出演:
瀬下尚人 舘形比呂一 黒須洋壬
佐久間雄生 本田礼生 伊藤壮太郎 加藤良輔
今村ねずみ

オフィシャルサイト

上演決定!
THE CONVOY SHOW vol.36「ONE!」

2018年12月14日(金)〜12月17日(月)TBS赤坂ACTシアター
*公演詳細は後日発表

作・構成・演出:今村ねずみ

出演:
瀬下尚人 石坂 勇 舘形比呂一 黒須洋壬 トクナガクニハル
後藤健流 佐久間雄生 本田礼生 伊藤壮太郎 加藤良輔
今村ねずみ

オフィシャルサイト