2018年夏アニメ主題歌特集  vol. 15

Interview

もっと知られるべき珠玉のアニソン! 祝アニメ化『ムヒョロジ』EDテーマ担当・ORESAMAに聞く。80s'ディスコ+ロックの独自解釈が光る名作「ホトハシル」

もっと知られるべき珠玉のアニソン! 祝アニメ化『ムヒョロジ』EDテーマ担当・ORESAMAに聞く。80s'ディスコ+ロックの独自解釈が光る名作「ホトハシル」

ボーカル・ぽん、ギター&トラックメイカー・小島英也からなる音楽ユニットのORESAMAが、ニュー・シングル「ホトハシル」を完成させた。表題曲はTVアニメ『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』のエンディングテーマとして制作された、彼らとしては珍しい〈ロック〉の要素を取り入れたクールかつ疾走感のあるナンバー。とはいえ、そこはディスコをトレードマークに活動してきたORESAMAのこと、アニメの世界観ともマッチさせつつ、一筋縄ではいかないダンサブルなポップ・チューンに仕上がっている。カップリングを含め新基軸に挑戦した本作について、ふたりに話を聞いた。

取材・文 / 北野 創


ロックをキーワードに、いままで見せたことのないORESAMAを

ニュー・シングルの表題曲「ホトハシル」は、現在放送中のTVアニメ『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』のエンディングテーマですね。

ぽん 今年の4月にアルバム(『Hi-Fi POPS』)をリリースして、チームとしても「次はどうしようか?」と考えてたときに今回のタイアップのお話をいただいたんです。タイアップでないとチャレンジできないことがあると思うし、先方からもこれまでのORESAMAにはない要素をリクエストしていただけたので、いままでに見せたことのないORESAMAを見せられたらと思って制作に取り組みました。

小島英也 僕は今回、あえて原作のマンガを読む前に曲を作ったんです。作品の世界はぽんちゃんが歌詞で表現してくれるし、アニメの89秒という尺で曲を作ることにも慣れてきたので、僕はORESAMAとしての楽曲作りに集中したら、それとぽんちゃんの表現した歌詞とが合わさることでまた新しいものができるんじゃないかと思って。

では、どういった部分を足掛かりに楽曲を作っていかれたのでしょうか?

小島 まず「ロックなテイスト」というリクエストをいただいたんです。いままでORESAMAでは「ロック」というキーワードをあまり意識してこなかったので、今回は作り始める前から新しいチャレンジでした。いちばん気を付けたのは、「ロック」をどのようにORESAMAなりに解釈していくかで、最初は疾走感とかダークかつクールなイメージで曲を作っていったんです。そこから、僕的には、「ロック」は8ビートでリズムを刻む曲が多い印象なので、ORESAMAらしく16ビートにして、なおかつちょっと跳ねたリズムを組み込むことで、疾走感はあるけどグルーヴ感を生み出して。だから出来上がったものは、一般的には「ロック」とは呼ばれないサウンドになりました(笑)。

ぽんさんは『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』のどんな部分を歌詞で表現しようとされたのですか?

ぽん タイアップのお話をいただいたのをきっかけに原作を読ませていただいたんですけど、最初は小分けにして読もうと思っていたのに、結局一晩で一気に読んでしまうほどおもしろくて。ジャンプの作品で「魔法律」という言葉が出てくるぐらいですし、ムヒョとロージーのふたりも見るからにバディ感があるので、戦いがメインの作品かなと想像していたんですけど、私が思っていた以上に人との絆や人間模様が描かれていたんです。霊が出てくる作品なので必ず人の死がテーマにあるし、私はその大切な人の死や、自分自身を乗り越えようとする姿勢に励まされて、読んで感じたそのままの感情と自分自身のリンクした部分を抽出して歌詞を書いていきました。

『ムヒョとロージー』のどんなところに励まされたのでしょうか?

ぽん 自分自身や大切な人のために何かを乗り越えようとする姿ですね。私は生きていて、前に進みたいのにどうしても打ちひしがれてしまうことがよくあるんですけど、それは自分との闘いになるわけじゃないですか。でも、みんなの強い気持ちにすごく励まされて、私も立ち止まっていられないと思ったので、どうしたら自分自身を奮い立たせることができるかを意識して歌詞を書いたんです。

歌詞には“負けない明日をつかまえにゆこう”など、いつにも増して力強い言葉が並んでますものね。

ぽん 『ムヒョとロージー』の世界を意識しつつ言葉を選んでいったんですけど、やっぱりいままでになく強くてストレートな言葉というのは意識しました。

いつもより歌詞がストレートな分、フックを付けたタイトルに

タイトルが「ホトハシル」という聞き慣れない言葉になってるのもおもしろいですね。

ぽん 「ホトバシル」にすると受け手が雰囲気を想像しやすいかなと思ったんです。濁音を取るだけで呪文っぽくなるし、「“ホトハシル”って何だろう?」って考える時間も生まれると思うんですよ。いつもより歌詞がストレートな分、タイトルで一瞬考える間があったらおもしろいなと。それに「ハシル(走る)」という言葉にも焦点が当たるし、いいタイトルになるなと思って。

小島 僕は最初、言葉の響きだけで意味や内容はあまり気にしてなかったんですけど、曲が出来上がってみるとたしかに「ホトバシル」よりも「ホトハシル」というイメージがピッタリだなと思って。濁点を取ったという発想もぽんちゃんらしいし、これしかない感覚はありますね。

歌声やサウンドのクールな雰囲気も含め、新しいORESAMA像を打ち出した楽曲になりましたね。

ぽん そこは狙ったところですね。MVに関しても、これまでは(イラストレーターの)うとまるさんだけにイラストを描いていただいてましたけど、今回は、うとまるさんの他にもいろんなクリエイターの方に参加していただいてるんです。情報量が多くて、たぶん1回で全部は見きれないと思うぐらいで。歌詞もすべてアートワークの一部にしていただいて、「言葉の強さ」という自分の表現したかった部分も伝わりやすく作っていただいてるので、ぜひご覧いただければと思います。

映画『ゴーストバスターズ』っぽい恰好をはじめ、おふたりをモデルにしたいろんなタッチのイラストのキャラクターが出てきますが、実際に出演もされてますよね。撮影はいかがでしたか?

ぽん これまでのCGをつけていただくMVの撮影はかなり時間をかけてて、「Hi-Fi TRAIN」(アルバム『Hi-Fi POPS』のリード曲)のMVは撮影に3日ぐらいかかったんですけど、今回はすぐに終わったんです。でも、完成したMVを見たら本当にたくさんのクリエイターの方々に参加していただいてたので、私たちの撮影が短かったことも「なるほど!」と納得しました。小島くん、三角の図形の中でギターを弾いたりしてて、すごくかっこよくしてもらってたよね?

小島 そうだね(笑)。MVを見ると加工技術やエフェクト処理がたくさん使われてて、「素材をいかに加工してカッコよくするか」という曲作りの工程を思い出したりもしましたね。

ぽんさんの振り付けもいつも以上にカッコいい感じで。

ぽん 今回の振りは魔法のようなものを意識して作っていただいたんですけど、サビの部分のみで、動くのは上半身だけだったのに、いままででいちばん難しかったんです。曲のテンポが速かったこともあるし、いままでは繰り返しの動きが多かったんですけど、今回は動きが全部違うんですよ。

終盤にふたりが背中合わせになるところも、『ムヒョとロージー』のバディ感が出てていいですよね。

ぽん でも、あれはもともと別々で撮っていて合成なんです。実写のふたりで映っているシーンがなかったので気を使っていただいて。

小島 別に気を使ったわけじゃないでしょ(笑)。

ぽん そっか(笑)。アニメとのリンクも考えていただいて。

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