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時は来た!PS4『ファイプロ ワールド』まさかの新日コラボで生まれ変わったプロレスゲーム

時は来た!PS4『ファイプロ ワールド』まさかの新日コラボで生まれ変わったプロレスゲーム

2017年7月にSteamでアーリーアクセス版が配信されてから約1年、30年近い歴史を誇るプロレスゲーム『ファイヤープロレスリング』(以下、『ファイプロ』)シリーズの最新作『ファイヤープロレスリング ワールド』(以下、ファイプロ ワールド』)が、とうとう家庭用ゲーム機に帰ってきた。Steamでのアーリーアクセス版が配信された際にも本作の魅力について触れたが、本稿ではPlayStation®4版にフォーカスしていく。PlayStation®4版はリリース直後に、オンライン経由のデータダウンロードや試合中のラグに関する不具合が発生していたが、現在はアップデートによりほぼ解消されている。

新日本プロレスとのコラボによる実名選手の登場という、『ファイプロ』シリーズの常識を覆す衝撃の内容とともにカムバックを遂げた本作。プロレスに興味を持っていたゲームファン、ゲームが好きだったプロレスファンにはぜひ注目してほしい作品だ。本稿では、プロレスの面白さをゲームに落とし込んだ『ファイプロ ワールド』の魅力はもちろん、コラボのレベルを超えた本気度が伺える新日本プロレス公認のストーリーモードの面白さにも迫っていく。

文 / 村田征二朗


13年ぶりの復活でまさかのコラボ! 

ひし形にリングを見下ろす視点で2Dのレスラーたちが戦いをくり広げる、プロレスゲームの元祖とも言える『ファイプロ』シリーズ。相手と組み合った瞬間にタイミングよくボタンを押すことで技を出すという独特の操作でおなじみの本シリーズは、PlayStation®2(なんと2世代まえ!)で発売された前作『ファイプロ・リターンズ』からなんと13年もの時を経ての復活となります。

▲相手に接触すると組み合いが発生し、組み合ったタイミングでボタンを押せば技が出せるというシンプル操作。一度タイミングを掴んでしまえば操作自体は簡単ですが、シンプルなだけに対人戦はけっこう燃えるのです

画像を見てもわかるように、最新機種での発売ながらあえてグラフィックはリアルに寄せすぎず、『ファイプロ』シリーズらしい想像の余地を残したテイストにしてある点にも注目です。細かくはのちほど触れますが、本シリーズの大きな魅力である選手のエディットにおいて、本作のリアルすぎないグラフィックはプレイヤーが自分のエディットレスラーに満足するためのハードルを大きく下げてくれるのです。

そして、『ファイプロ ワールド』最大の衝撃は、何と言っても新日本プロレスとのコラボでしょう。大人の事情で従来のような実在の選手にそっくりだけど名前はちょっと違う、“ファイプロネーム”な選手たちが登場できなくなったわけですが、そこでまさかの本物が登場したのです。なお、Steam版でも9月にはダウンロードコンテンツとして新日本プロレスコラボの内容は配信される予定なので、引き続きSteamでプレイを楽しむこともできます。

▲総勢39名もの実名選手が登場しており、選手たちのトレードマークとなる得意技も数多く収録されています

▲新日本プロレスでは開催されていない金網デスマッチを敢行するなど、ゲームならではのドリームマッチを組むこともできてしまいます

自分でレスラーを操作して戦うだけではなく、AI同士による試合を観戦するのも『ファイプロ』シリーズの醍醐味です。本シリーズでは各種技の使用率はもちろん、そもそも相手と組みにいくか距離を取るか、どの技のあとにどんな行動を取るか、試合はアグレッシブに攻めるのか慎重に進めるか、など状況ごとに細かくロジックを設定することができるので、AIが操作する試合でもその立ち回りを見るだけで楽しむことができます。また、自分で選手をエディットする際にもこだわり抜けるポイントなのです。

▲本作はシリーズ初のオンライン対戦にも対応しており、オンラインでもプレイヤー操作だけでなくAI同士の対決ができます。対戦ルームにはプロレスらしい試合を求めるプロレススタイルと勝ち負けにこだわった勝負を行う“セメント”スタイルを設定できるのもユニークです

今回の新日本プロレスコラボで『ファイプロ ワールド』に興味を持った人は、ぜひ試しに自分の知っている新日本プロレスの選手をAI同士で戦わせてみてください。得意技を決めた直後に定番のアピールを決めるなど、その選手のファンであれば「あるある!」となってしまう動きは、想像以上に楽しめるものとなっています。

ストーリーモードの本気っぷりがガチ!

現時点では新日本プロレスの選手に限るとはいえ、『ファイプロ』シリーズに実名の選手が登場した、という事実だけでもファンにとってはかなり衝撃的なのですが、それをさらに上回るインパクトを持っているのが、『ファイプロ ワールド』に搭載されているストーリーモード“ファイティングロード”です。

こちらはなんと新日本プロレス公認のストーリーとなっており、新日本プロレスへの入門から練習生としての生活、そしてヤングライオン(新日本プロレスにおける若手選手の総称)としてのデビューと活躍、海外での武者修行を経てユニット(軍団)へ所属し、最終的にはIWGPヘビー級王者に輝く……、というサクセスストーリーを体験できるのです。

▲試合中の写真も使用されているうえに、各選手の名セリフなどはボイス付きという豪華仕様となっています。コラボのレェェェヴェルが違う!

▲主人公はかなりのお調子者で、師匠的な存在となる永田選手といっしょにツッコミを入れたくなる場面が満載で、ちょくちょく笑わされてしまいます。なお、主人公の名前や外見はデフォルトで設定されていて、上記写真では山下になっていますが、当然自分好みに変更することができます

ファイティングロードの後半では、どのユニットに所属するかによって物語の展開が変化します。通常のアドベンチャーゲーム同様、ストーリー中で登場する選択肢が分岐の鍵を握るのはもちろんですが、プロレスゲームなだけあって、試合中のファイトスタイルなども分岐に関わる要素となっているのがユニークなところです。

▲ヤングライオン時代に各ユニットと共闘する場面があり、そこで提示されるミッションがユニット所属へのヒントとなります

“本隊”と呼ばれる、いわゆるベビー(善玉)を目指すのであれば正統派な発言と試合運びを、制御不能な暴れっぷりを見せながらも観客から絶大な支持を集めるユニット“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”に入りたいなら、ヒール(悪役)らしい発言や動きをしながらも観客の人気を集めるのが大事などなど、そのユニット“らしい”言動によって分岐のフラグが立つようになっており、なりきりプレイ的な面白さが楽しめます。なお、2周目に入れば好きなユニットを選択して所属できるという親切設計になっており、全ユニットを制覇したいという人にはありがたいところです。

▲選択肢はそのときそのときで方向性がブレてしまわないように、キャラクター性を意識していくと狙ったユニットに入りやすい……かも?

『ファイプロ ワールド』の総合監督を務め、ファイティングロードのストーリーを執筆した松本朋幸氏は各メディアのインタビューで、ストーリーが23万字以上に及んだと語っているとおり、そのボリュームは相当なものです。試合の前後など、ストーリー中に用意されたセーブポイントでは“シナリオ達成度”を確認できるのですが、数時間プレイしても達成度がなかなかふた桁に突入せず、どれだけボリュームがあるのかと驚かされてしまいます。

▲こちらは入門編、練習生編、ヤングライオン編を終えて海外へ武者修行に出たころのデータです。まだまだわずか5.3%!

新日本プロレスコラボのストーリーだと、新日本プロレスファン以外にはよくわからないのではないか、と思う人もいるかもしれません。が、その心配はまったくありません。各選手が初登場した際には簡単な選手紹介が入るうえに、あくまでひとりのレスラーが成長していく物語の舞台として新日本プロレスが、そしてそのライバルとして新日本プロレスの選手たちが登場するので、登場する選手たちを知らないから楽しめない、ということはないのです。

▲最近の新日本プロレスを知らない人にとっても、「いまはこんな選手がいるのか」と改めて興味を持つきっかけになるかもしれません

▲ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンと共闘するまえのミーティングで内藤選手からファミレスに呼び出されるなど、ファンならニヤリとしてしまうネタも用意されています

新日本プロレスファンがストーリーといっしょに『ファイプロ』を楽しむのにも、『ファイプロ』ファンがいまの新日本プロレスに触れて新しい『ファイプロ』を楽しむのにも最適なファイティングロードは、まさに“新日×『ファイプロ』”コラボの集大成とも言えるモードです。後述するエディットモードに負けない時間泥棒となっていますので、睡眠時間を奪われ過ぎないように要注意です!

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