Interview

【ネタバレ注意】18年ぶり『フリクリ』新作で描かれたのは… “毎日続いていたものが突然壊れていくあの感じ” 新たなJK主人公を好演、美山加恋インタビュー

【ネタバレ注意】18年ぶり『フリクリ』新作で描かれたのは… “毎日続いていたものが突然壊れていくあの感じ” 新たなJK主人公を好演、美山加恋インタビュー

心地よい関係を壊したくなかったヒジリーとペッツ

演者である女性陣でも「リアルだね」という話はされましたか?

美山 「このシーン、やばいよね」とか話していました。ヒジリーが働いているカラオケ店のシーンもそうですね。ヒジリー以外は盛り上がっているけど彼女はすごくもやもやしていて、ついカナのマイクを投げてしまう。でもすぐに「うそ」ってなるところはみんなでワーワー言っていました。「女子高生だ!」って(笑)。

あの後、モッさんはヒジリーの異変に気づくんですが踏み込みません。あれは女子の距離感ですね。

美山 そうなんですよ。仲がいいからこそ、この仲のよさをどこかでちょっと理想としていて、それを崩せない、崩したくない。そういう気持ちの子もいますね。

カナが特にそうですね。

美山 カナは特にそうです。でもヒジリーもペッツも同じ気持ちを持っていました。カナとは方向性は違いますけど、ヒジリーも4人の関係性が心地よかったですし、ペッツが「嫌い」と言い出せなかったのは、あの関係性がどこか好きだったからなんです。あの輪の中での心地よさを描くことがすごく大事なんですけど、そこがとてもリアルだったと思います。

自分を大人だと思って、大人ぶりたいヒジリーですけど実はまだ子供で。カナたちといるとその部分を自然に出せるから壊したくないんです。だからカラオケのシーンは、ああやって冗談めかして言わないと関係がなくなってしまうと恐れているんですよね。気持ちが爆発したあと、「あ、ダメダメ」って冷静になっていました。そういう部分も「あー、女子高生だな」って思っていました。

女子の友達関係には危うさを感じますね。

美山 危ういと思います。

男子の方が壊れても修復がききやすいというか、女子の場合、壊れたら二度と戻らないという恐れを持っている気がします。

美山 そうですね。どうしてでしょうね。根に持つからかな(笑)。

逆に、カナが感情を爆発させたのがラストシーンでした。演じる身としてはどのような気持ちでしたか? ネタバレになってしまいますが。

美山 だいぶネタバレですね(笑)。あそこのセリフは、カナが6話分積み重ねてきたことすべてなんですよ。自分の中で感じていた違和感も、ペッツとのどうにもできなかった関係性も、大人になりたいけどなれなかったヒジリーのことも、応援したかったのに邪魔をして怒られてしまったモッさんとのことも、全部要約したのがあのシーンなんです。

カナ自身は世界を救おうとは思っていませんよね。なので、自分に印が宿る理由も考えていなくて、とにかくあそこは「ペッツが行ってしまった」という事実に対して、どこにもぶつけられずに悶々としていた気持ちを初めて叫んだんです。世界を救うとかどうでもよくて、「毎日続くと思った大切な時間を続けられないの!?」っていう怒りをペッツに対してぶつけるだけでした。地面が割れようが、ものが浮こうが(笑)。

とすると、絵面はああいうシーンではありましたが、気持ちとしては日常シーンの延長に近い?

美山 はい。そんな感じでした(笑)。「自分が大好きなこの時間を続けるために私はどうしたらいいの?」というところで「叫べ17歳」と言われたから、「わかった! 叫ぶ!」って感じですね(笑)。

甘えていた時間はすごくキラキラしていた

『オルタナ』を『フリクリ』の続編として見た場合、どのような作品だと感じますか?

美山 「やっぱり『フリクリ』は不思議だな」と感じました。『オルタナ』はすごく日常的なことを描いていますけど、アイロンが街にいたり、カナがいきなりエヌオーに目覚めたり、いきなりロボットが現れても女子高生たちの反応は「きんもっ」だけだったり(笑)。でも、日常の中に『フリクリ』的な要素が入ってきている違和感がかっこいいというか、「どうしてこんなにもかけ離れているもの同士がこんなにもマッチするんだろう」というのはすごく感じました。

カナたちは街中で蒸気を出しているアイロンを見て「暑いのはアイロンのせいだよね」とか言っているんですけど、アイロンがあることは気にならないし、火星にみんなが飛び立つ世界だし、そこはアフレコしていても違和感があったんですよ、「不思議な世界感だな」って。でもやっぱりかっこいいんです。

逆に、『オルタナ』という一つの作品として見たとき、描かれる物語についてどのような印象を抱きましたか?

美山 「変わらないものってないんだな」とは感じました。青春の形をすごく表しているというか。毎日続いていたものが突然壊れていくあの感じって、例えて言えば、大学受験を控えた学生が今までチャラチャラと楽しく過ごしていたら急に「あ、やぱい。大学受験、どうしよう」って将来のことを考えだすような感じと似ていると思うんです。ペッツがいなくなるなんてまさに友達とも進路が別れる感じで。ロボットがたくさん現れますけど、「青春の終わり」の感じ方だと思うんですね。だから、ペッツがいなくなってすごく悲しいけど、そこで一つ大人になるというか、「進路を決めた高校生と同じなのかな」と思いました。

ちなみに美山さんにとって青春ってどんなイメージですか?

美山 私の青春ってなんだったかなあ……あ、あくまで「イメージ」か(笑)。イメージということならやっぱり「変わらない日常」だと思います。今の自分は、仕事で一つ一つステップアップしていくため、人生を長い目で見つめながら組み立てていますけど、学生時代は1年間やってきたことがどう積み重なっていくかなんて考えていませんよね。そういう時間の使い方が青春なのかな。だからこそ、毎日がずっと続くと思っていたカナにすごく共感できます。友達と放課後に遊んでいる時間にちょっと甘えている自分って、今思うとすごくキラキラしていましたよね。そのときの自分はただダラダラしていただけだけど。でもすごく楽しかったし。時間を無駄にしてたことが多分青春かな。無駄じゃないですけど、全然。

フォトギャラリー

劇場版『フリクリ オルタナ』

2018年9月7日(金)公開

モヤついている高校生・河本カナ。
嵐のごとく登場するハル子。その時カナの額にお花が生えた!
煙を吐きながら街をぶっ潰すアイロン。
毎日が、毎日毎日続いていくと思っていた・・・
力を手に入れたカナはアイロンをぶっ飛ばせるのか!?

■スタッフ
監督:上村泰
副監督:鈴木清崇
脚本:岩井秀人
キャラクター原案:貞本義行
キャラクターデザイン:高橋裕一
メカデザイン:押山清高(スタジオドリアン)
衣装デザイン:谷口宏美
プロップデザイン:細越裕治/秋篠Denforword日和(Aki Production)
美術監督:藤井綾香
色彩設計:中村千穂
CGディレクター:さいとうつかさ
撮影監督:頓所信二
編集:神宮司由美
音楽監督・音楽:R・O・N
音響監督:なかのとおる
主題歌:the pillows「Star overhead」
スーパーバイザー:鶴巻和哉
総監督:本広克行
アニメーション制作:Production I.G × NUT × REVOROOT
配給:東宝映像事業部
製作:劇場版フリクリ製作委員会

■キャスト
ハルハラ・ハル子:新谷真弓
河本カナ:美山加恋
辺田友美(ペッツ):吉田有里
矢島聖(ヒジリ―);飯田里穂
本山満(モッさん):田村睦心
須藤 完:小西克幸
佐々木 門:永塚拓馬
相田 弁:鈴木崚汰
河本静香:伊藤美紀
河本文太:真坂美帆
デニス用賀:森 功至
木滝真希:松谷彼哉
神田束太:青山穣

©2018 Production I.G / 東宝

劇場版『フリクリ』オフィシャルサイト

< 1 2