LIVE SHUTTLE  vol. 20

Report

桐嶋ノドカ @Shibuya WWW 2016.04.02

桐嶋ノドカ @Shibuya WWW 2016.04.02

取材・文/田中 大


昨年7月、ミニアルバム『round voice』でメジャーデビューした桐嶋ノドカ。音楽プロデューサー・小林武史に見出され、ライブ活動を積み重ねて磨かれた歌声の魅力は計り知れない。楽曲の世界に完全に入り込み、全身全霊で表現される彼女の歌は、今後さらにたくさんの人々を魅了するだろう。『桐嶋ノドカ 1st ワンマンライブツアー2016』のファイナル公演となった4月2日、Shibuya WWWの模様をレポートする。

バンドメンバーたちがスタンバイしたのに続き、ステージに登場した桐嶋ノドカ。イントロの演奏が始まり、両腕を広げた彼女を明るい照明が照らす。そしてスタートした1曲目は「Bomb」。観客が打ち鳴らすクラップに包まれながらスタンドマイクに向かい、歌声を雄大に響かせる姿が凛々しい。続いて、ハンドマイク体勢となって歌い始めた「スピード」。時折身体を軽く前傾させたりもしつつ、ビートを巧みに乗りこなしながら歌う彼女に釘付けになりながら、観客はますます興奮を露わにする。歌声の桁外れの魅力と存在感を目いっぱいに実感したオープニングであった。

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“こんばんは。桐嶋ノドカです。今日は来てくださってありがとうございます。ツアー最終日になりました。悔いのないように全生命を注ぎ込んで風を送りますので、楽しんでいってください”という挨拶の言葉を挟み、ますます伸び伸びと響き渡った彼女の音楽。天高く飛翔するかのように広がる歌声が素晴らしかった「キミのいない世界」。透明感に溢れたメロディをじっくりと堪能させてくれた「恋愛小説」……2曲を披露した後、次に歌う曲について彼女は語った。“次は夜の歌を歌おうと思います。夜はよく曲を書いたり、心に向き合うために使う時間。大切な人のことを夜に想う。そういう歌です”、そしてスタートしたのは「28時」。情景や主人公の姿が浮かぶ豊かな表現力に息を呑まされた。

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「Star Fishing」の後、再び迎えたインターバル。桐嶋はバンドメンバーたちを紹介したのだが、各人を自身の曲に喩える様子から仲の良さが自ずと伝わってくる。そして、彼女は想いをじっくりと語った。“最初は1人で勝手に歌ってただけ。それがいつの間にか集まってくださる人が増えて、不思議だけど嬉しいです。誰に向けられたものでもなかった歌が受け止めてもらえるようになって、私は救われます。何回で言うよ。ありがとございます!”と感謝の気持ちを露わにした後、幼き日々のこともふと振り返った。健やかに育ちつつも、“生きるってなんだろう?”とずっと考えていた幼年時代。しかし、歌を歌うことを通じて“これが生きるって感覚なんだ”と知り、歌が人に伝わることによって“生きてることって嬉しい”と感じるようになったのだという。“昔の私みたいな人がいたら、少しでも嬉しい、幸せだと思って頂けるように歌の力を伝えたい。そう思って歌ってきました。歌うのは戦い。でも、これからも歌いたいと思います”。彼女のアーティストとしての核にあるものが窺われる印象的なMCだった。

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後半は「風」からスタート。力強い意思を感じる歌声に耳を傾けていると、自ずと心と身体に清々しいエネルギーが漲るのを感じた。続いて「世紀末のこども」と「柔らかな物体」も披露され、会場全体に爽やかな興奮が広がる。そして、彼女は観客に語りかけた。“今日を迎えるのが本当に嫌だったんです。こんなにもたくさんのみなさんが集まってくれるのが嬉しくて嬉しくて……重かった(笑)。でも、ステージに飛び出したら天国のような気持ちになりました。デビューまで3年間、CDを作らず地道にライブだけやってきました。最初のライブから歌ってた曲です”というMCを経て歌い始めたのは「ボーダーライン」。観客は全力のクラップで応える。その熱気のまま突入した「END」は、盛り上がるフロアの風景を眺めながら彼女が浮かべていた笑顔が眩しかった。

“歌ってくれますか? 「Wahの歌」の「Wah」は、みんなの心の中の言葉にできない、でも、誰かに伝えたい気持ちの「Wah」。心の中に「Wah」はありますか? 全部出し切ってください”と呼びかけてからスタートし、大合唱を巻き起こした「Wahの歌」で締めくくられた本編。しかし、観客の興奮は全く収まらない。鳴りやまない拍手と歓声に応えてアンコールが行われた。ステージに誰よりも早く戻ってきたのは桐嶋。アンコールを心から喜んでいる様子だった。まず披露されたのは「坂の上から」。デビュー前から彼女が月1レギュラーで出演していたFM802のラジオ番組『RADIO MASTERS』の「歌う!のんちゃん!」というコーナーから生まれたこの曲。番組に対する感謝の気持ちを形にしたくて、リスナーから寄せられた卒業エピソードを反映して制作されたのだという。前向きな意思を感じる歌声と温かいサウンドがとても感動的だった。

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“今、ゼロ地点に立っている気持ちです。これからも迷いながら一歩ずつ前に進もうと思います。一旦、制作に入ってみなさんとおさらば。暑くなった頃に何かお見せしたいと思います。それまで私のことを忘れないように(笑)”、初ワンマンツアーのファイナル公演という1つの節目に対する気持ちが語られた後、いよいよラストの曲。「私が初めて書いたに近い曲。大切な人の明日をまっすぐに祈る曲です。みなさんの明日からを祈りながら歌いたいと思います」という言葉を添えて「Good night(ぐんない)」が披露された。子守歌のような安らぎ湛えた歌声が美しい。穏やかなムードのエンディングとなった。“みんな、お元気で。どうもありがとうございました!”、挨拶をしてステージを後にした彼女を見送った大きな拍手と歓声。全篇で至高の歌声を体感させてくれたライブであった。

セットリスト

1.Bomb
2.スピード
3.キミのいない世界
4.恋愛小説
5.28時
6.Star Fishing
7.風
8.世紀末のこども
9.柔らない物体
10.ボーダーライン
11.END
12.Wahの歌EN1.坂の上から
EN2.Goodd night(ぐんない)

リリース情報

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Mini Album
round voice
発売中

AZCS-1046  ¥1,600+税

1.風
2.キミのいない世界
3.ボーダーライン(album ver)
4.Wahの歌(album ver)
5.世紀末のこども

New Single ※配信限定

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柔らかな物体


プロフィール

桐嶋ノドカ


1991年5月5日生まれ 、横浜出身のシンガーソングライター。
3歳からピアノを始め、聖歌隊、合唱部と物心ついたときから歌と共に生きてきた彼女は、2012年夏、デモ音源を音楽プロデューサー・小林武史へ送ったことがきっかけとなり、同氏のスタジオに通い始める。
曲作りを続けながらライブハウスへ出演し始めると、コアな音楽リスナーが集まる音楽配信サイト「OTOTOY」が、真っ先に彼女の才能に注目。
2014年3月「ボーダーライン(DEMO ver.)」のフリーダウンロードをスタートしたところ、全く無名の新人にして約1 ヶ月で2,000DL を記録。
2014年7月にテレビ東京ドラマ「ラスト・ドクター ~監察医アキタの検死報告~」の主題歌に「Wah の歌」が起用され話題に。初めての配信リリースが決定。
その後もCDリリースをしないままライブハウスeggmanを中心にライブ活動を続けるが、
2014年秋から毎月大阪のFM802でスタジオ生ライブをスタート。
グラミー賞にもノミネートされたSia の「Chandelier」をカバーすると、圧倒的な歌唱力に大きな反響を得る。
そして2015年7月、3年という時間をかけて満を持してミニアルバム「round voice」でA-sketchよりメジャーデビュー。
デビュー作には椎名林檎や東京事変などの楽曲を多数手がけてきた井上うに氏がレコーディングエンジニアとして全曲参加。
彼女に対し「一耳惚れなどほとんどしないのだが、桐嶋ノドカの声にやられた。」と、圧倒的な歌声を絶賛している。
同年夏には代々木第一体育館で行われた「GIRLS’ FACTORY 15」をはじめ「情熱大陸ライブ」「SWEET LOVE SHOWER」など大型フェスにも出演。
また、2015年11月21日公開の映画「流れ星が消えないうちに」の挿入歌となった「柔らかな物体」を11月20日に配信リリースすることが決定。
生命力溢れる力強さと聖母のような優しさを併せ持った唯一無二の歌声は、人の心にダイレクトに訴えかける。

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