Interview

FIVE NEW OLD “孤独”がテーマの新作。ベーシストが正式加入し、さらに意欲的に進化し続ける4人の音世界について訊く。

FIVE NEW OLD “孤独”がテーマの新作。ベーシストが正式加入し、さらに意欲的に進化し続ける4人の音世界について訊く。

R&B、ロック、ゴスペルなどを自在に取り入れたソフィスティケイトされた楽曲、卓越した演奏力とエモーショナルなステージングがひとつになったライブによって、急激に注目度を高めているFIVE NEW OLD。ベーシスト・SHUNの正式加入後、最初の作品となるEP「For A LonelyHeart」には、新曲「Gotta Find A Light」「Youth」「Melt」に加え、1stフルアルバム『Too Much Is Never Enough』を引っ提げた全国ツアーのファイナル公演の音源を収録。意欲的な進化を続けるFIVE NEW OLDの新たな表現をぜひ体感してほしい。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 映美

純粋に“自分たちの音楽がここまで届いているんだな”と思えた(HIROSHI)

今年1月に1stフルアルバム『Too Much Is Never Enough』をリリース。春の全国ツアーでは、ファイナルの渋谷WWW公演がソールドアウトするなど大盛況となりましたが、メンバーのみなさんの手応えはどうでしたか?

HIROSHI 純粋に“自分たちの音楽がここまで届いているんだな”と思えたし、それが自信にもつながって。ツアーを経て、自分たちの楽曲を聴いてくれる人の生活にどうやって溶け込ませるか?ということをより考えるようになりましたね。

HAYATO 今回のEPに音源が収録されているファイナル公演(2018年4月14日/渋谷WWW)でもすごくいい景色を見ることができて。自分たちの音楽が認められた感覚もあったし、アルバムをリリースできて本当に良かったなと改めて思いました。

WATARU 自分たちの曲を演奏して届けること、それを理解してくれて、一緒に楽しめるお客さんがいてくれることの嬉しさを感じられるツアーでした。ライブならではの表現もできたんじゃないかなって。

かなり長尺のギターソロもありますからね。

WATARU 弾いてる本人は“もっと聴け”という感じなんですけど(笑)。

HAYATO いいと思うよ(笑)。

SHUN うん。今回のツアーを通して、バンドの成長を実感できたんですよね。いままで以上に試行錯誤したし、ライブについてしっかり話し合って。落ち込む日も“すごく良かった”という日もあったし、お客さんの反応もいろいろだったけど、それを含めて“ライブはバンド、スタッフ、お客さん全員で作り上げるもの”ということを改めて感じられる機会になりました。

このバンドと一緒にやれるのはすごくワクワクしたし、即答で“やります”と言いましたね(SHUN)

SHUNさんは7月に正式メンバーとして加入。

SHUN サポートとして参加したときから、バンド全体を俯瞰で見つつ、演奏するときはメンバーと同じ気持ちでやるようにしていて。加入してからも意識は変わらないですね。

HIROSHI メジャーデビューのタイミングでベーシスト、アレンジャーとして参加してもらってたんですよ。ちょうど曲作りで悩んでいた時期だったので、話を聞いてもらったり。

SHUN マネージャーさんに“話を聞いてあげてくださいよ”と言われて。飲みの席でちょっと偉そうに話したり(笑)。

HAYATO その場にいたかった(笑)。

SHUN その前からライブは観ていて、めちゃくちゃオシャレでカッコいいバンドだなと思っていたんですよ。このバンドと一緒にやれるのはすごくワクワクしたし、即答で“やります”と言いましたね。

ルーツとなる音楽も共有していたんですか?

SHUN いや、そこはちょっと違うかも。移動の車のなかでポップパンクやメロコアがかかって、みんなが“懐かしい”って盛り上がっていても、僕だけわからなかったりするので(笑)。好きですけどね。

HIROSHI 運転している人が好きな曲をかけることが多いんですよ。僕もたまに運転しますけど、落語を聴いたりしてます(笑)。

“リスナーの生活にどう溶け込むか?”ということも考えたし、どういうシチュエーションで聴いてもらいたいか?ということも意識しながら(HIROSHI)

では、新作EP「For A LonelyHeart」について。制作はツアー終了後ですか?

HIROSHI はい。さっきも言ったように“リスナーの生活にどう溶け込むか?”ということも考えたし、どういうシチュエーションで聴いてもらいたいか?ということも意識しながら制作に入って。もちろん、基本的には自分たちがやりたいことを好きなようにカタチにしてるんですけどね。そこにどういう感情を乗せるか?ということを考えるというか。

収録されている3曲も、それぞれ方向性が違いますからね。3曲とも新曲ですか?

HIROSHI そうですね。ストックしている曲もあるんですけど、制作に入ると“新しく作りたい”と思っちゃうんですよ。0から1を作る方が好きというか。メンバーが“このストック曲を使うのはどう?”と提案してくれることもあるし、そこはバランスが取れているのかなと。

なるほど。1曲目の「Gotta Find A Light」はリズムのアプローチがすごく面白い曲だなと。

HIROSHI これもツアーの経験が活かされた曲ですね。もっと大きいキャパの会場でみんなで声を出したり、踊ったりできる曲がほしいと思って作り始めたので。リズムとしては、ハウスと2ステップ、あとはトラップのビートが混ざっていて、そこにゴスペルの要素が乗っかってる感じですね。

HAYATO うん。ハウスのビートを基軸にしながら、トラップを取り入れて緩急を付けるというか。

FIVE NEW OLDには“この楽器が入っていないとダメ”という縛りはないんですよね(WATARU)

確かにそうですね。言葉で説明されてもわからないかもしれないけど(笑)。

HIROSHI (笑)でも、いろんなものをミックスする時代になっているし、こういう感覚が当たり前だと思うんですよね。

SHUN アレンジの段階では何パターンか試しましたけど、さっきHIROSHIくんが言ったように“大きい場所で鳴らす”というゴールがはっきりしていたから、一歩ずつ迷わず進めたというか。

WATARU 「Gotta Find A Light」はギターが入ってないんですよ。僕は鍵盤を弾いてるんですけど、FIVE NEW OLDには“この楽器が入っていないとダメ”という縛りはないんですよね。

歌詞に関しては?

HIROSHI これもツアーのときに感じたことなんですが、自分たちの良さは、いいところ、弱いところを含めて、正直にオーディエンスと向き合って表現できることだと思って。この曲に関しては、なんとなく自分のなかにある疎外感、孤独感をテーマにしています。“これって自分だけの感覚だろうか?”とも思うし、いまの社会を見ても、これだけいろんなものに囲まれていても、孤独を感じている人は多い印象があって。ネガティブなことを歌っているのではなくて、“みんなが孤独”ということをみんなに知ってほしいんですよね。そこに気付けば、前に進めるきっかけになるんじゃないかなと。

ドラマーとしては、自分がもともと持っているパンクのテイストを素直に出せたと思っていて(HAYATO)

2曲目の「Youth」は80’sのテイストが感じられますね。

HIROSHI 最初のアイデアはそこですね。A-haとかドラムマシーンが登場したばかりの時期のアーティストのイメージというか。そこに違うアプローチを加えて、いまのカタチになりました。さっきも話に出てたけど、僕らはもともとポップパンク、メロコアが好きで、ポストパンクなども聴いていて。その要素を加えたらどうなるか?という。結果的にキャッチ—だけどヒネくれたる曲になったと思います。

HAYATO うん。ドラマーとしては、自分がもともと持っているパンクのテイストを素直に出せたと思っていて。最初にバンドで合わせたときも気持ちよかったし、比較的スムーズにアレンジも決まった気がします。

HIROSHI そう、もともと持っていたものが自然と出ているんですよね。組み合わせ方を少し変えるだけで、ぜんぜん違うものになるというか。それもこのバンドの面白さだと思います。

WATARU 混ぜちゃいけないものはなくて、いつも“まずは1回やってみようぜ”という感じなんですよ。それを続けることで、バンドにも深みが出て来ると思うし。

SHUN 実験的なことをやっても、最後はポップになることが多いですからね。

HIROSHI うん。歌詞に関しては、けっこう自分たちの世代のことを歌ってますね。ゆとり世代とかミレニアム世代と言われがちなので…。

自分たちの世代の特徴って、あると思います?

HIROSHI そうですね…。いろいろな情報がある分、軸を作りづらい反面、多様性を受け入れるところはあると思います。音楽に関しても、いろいろな年代、ジャンルを聴くのが当たり前というか。液体的なのかもしれないですね、もしかしたら。

“あ、メロディ浮かんだ!”ってすぐにケータイに録ってました(笑)(WATARU)

3曲目の「Melt」というタイトルにもつながってますね、それは。

HIROSHI 溶けてますからね(笑)。壊れてるというより溶けてるイメージがあったんですよね。サイケデリックなギターが入っていたりとか…。この曲はWATARUと曲作りをしているときに、たまたま出来た曲なんです。ネタを持ち寄ってたんだけど、なかなか上手くいかなくて。気分転換にコンビニに行ったときにパッとメロディが浮かんできたんですよ。

WATARU “あ、メロディ浮かんだ!”ってすぐにケータイに録ってました(笑)。

HIROSHI アレンジはWATARUが組み立ててくれました。ロバート・グラスパーみたいなエクスペリメンタルなジャズのテイストを取り入れて、また新しい感じになったかなと。

WATARU 意識的に取り入れようとしたわけではなくて、自然とこういう形になったんですけどね。実際に弾いてみたときも、めちゃくちゃ難しいという感じもなく、“これ、イケるやつやん”って(笑)。

結果的にはしっかり歌が立ってますからね。今回のEPのなかでも特に歌モノのテイストが強いというか。

HIROSHI 特にこちらからは何も言ってないんですけど、エンジニアの方も“この曲は歌を立たせよう”と言ってくれて。曲のテイストを汲み取ってくれて、いちばんいいカタチにしてくれたというか。

気持ちの部分が音に追いつこうとしている時期なんだと思います、いまは(HIROSHI)

バンドのやりたいことが周りのスタッフにも浸透しているんでしょうね。「For A LonelyHeart」というタイトルについては?

HIROSHI 「Gotta Find A Light」の歌詞もそうですけど、孤独がテーマになっていて。自分が生きてるなかで、どう居場所を見つけるか?というのが、僕が音楽をはじめた理由でもあるんですよ。リスナーのすべてがそうだとは思わないけど、居心地の悪さを感じてる人も多いだろうし、そういう人たちに寄り添える音楽を作りたいという気持ちもあって。ここが僕らのめんどくさいところなんですが(笑)、もう一歩踏み込んできてくれたら、受け入れる準備はできてるんですよ。日常を彩るような気持ちのいい音楽を提供したいというのが軸になってるんだけど、もっと奥まで来てもらえたら“救われた”とか“落ち込んだときにそばにいてくれた”と感じてもらえるんじゃないかなって。気持ちの部分が音に追いつこうとしている時期なんだと思います、いまは。

このEPの楽曲がセットリストに入ってくると、ライブの雰囲気にも影響がありそうですね。

HIROSHI そうですね。次のツアーには“ONE MORE DRIP”というタイトルを付けたんですが、楽しい気分を増すだけではなくて、悲しいときにも寄り添いたいという思いを込めていて。言葉、歌詞だけではなく、演出、演奏を含めて、自分たちの気持ちを伝えられるライブにしたいですね。

その他のFIVE NEW OLDの作品はこちらへ

ライブ情報

【ONEMAN TOUR “ONE MORE DRIP”】

9月30日(日) 宮城・仙台enn 2nd
10月8日(月) 石川・金沢vanvan V4
10月14日(日) 北海道・札幌Sound Lab mole
10月26日(金) 香川・高松TOONICE
11月1 日(木) 広島・広島Cave-Be
11月2 日(金) 福岡・福岡DRUM Be-1
11月8日(木) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
11月10日(土) 大阪・梅田TRAD

– TOUR FINAL - 

11月18 日(日) 東京・恵比寿LIQUIDROOM

FIVE NEW OLD

HIROSHI (Vo., Gt.)、WATARU (Gt., Key., Cho.)、HAYATO (Dr., Cho.)、SHUN(Ba.Cho.)。
2010年神戸にて結成。R&B、ブラックミュージック、80’sなどの要素を昇華させたオルタナティブなロックサウンドに、英語で歌われる爽やかなメロディーとコーラスラインはスタイリッシュな洋楽ポップスさながらで、アーバンかつソウルフルな楽曲が心地よくノれると、幅広い世代からの支持を受ける。これまでに邦楽・洋楽の垣根を超え、さらにジャンルレスな顔ぶれのアーティストとの対バンを重ね、ライブバンドとしてのキャリアを確実に積んでいる。
2017年6月21日「BY YOUR SIDE EP」でメジャーデビュー。 同年「BY YOUR SIDE TOUR」にて東京・新代田LIVE HOUSE FEVER、大阪・梅田Shangri-Laでの自身初のワンマンライブをソールドアウトさせる。2017年8月、これからの活躍が期待されるアーティストをサポートするYouTube主催の企画「YouTube Music Sessions」に参加。
2018年1月、メジャー1stアルバム「Too Much Is Never Enough」をリリース。全国16公演の「Too Much Is Never Enough Tour」を開催し、ツアーファイナル・渋谷WWW公演をソールドアウトさせたほか、初の海外公演としてバンコクにてライブを行う。2018年7月サポートベーシストのSHUNが正式加入。

オフィシャルサイトhttp://fivenewold.com

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