Interview

谷口賢志&多和田秀弥&荒木宏文が開幕直前の稽古場で自信をのぞかせる舞台「文豪ストレイドッグス 黒の時代」

谷口賢志&多和田秀弥&荒木宏文が開幕直前の稽古場で自信をのぞかせる舞台「文豪ストレイドッグス 黒の時代」

舞台「文豪ストレイドッグス 黒の時代」がまもなく開幕する。
文豪の名前を懐く登場人物たちが異能力で戦うバトルアクション。コミックスは15巻を数え、原作・朝霧カフカ自ら執筆している小説、さらにはアニメも人気だ。
初舞台化は昨年12月。気鋭の演出家・中屋敷法仁が作・御笠ノ忠次とタッグを組み、異能力バトルとドラマを見事に具現化し好評を博した。第2弾舞台となる今回は原作でも絶大な人気エピソード“黒の時代”を描く。
ポートマフィアに属しながら“人を殺さない”ポリシーを持つ最下級構成員・織田作之助を演じる谷口賢志、マフィア最年少幹部である太宰 治を演じる多和田秀弥、秘密情報員として謎の多い坂口安吾を演じる荒木宏文。キャラクター同様、キャスト同士もキャリア・年齢と違いはあるが、谷口が「イイ感じになっている」と語る3人の関係性、本作への意気込みが溢れ出る鼎談を届ける。

取材・文 / 片桐ユウ 撮影 / nk


良いケンカの売り方。演出家と役者のセッション

まもなく初日ですが、現在のお稽古の様子をお話しいただきたいと思います。通し稽古が早かったとお聞きしましたが……。

谷口賢志 稽古初日に、もう立って動きながらの読み合わせを最後までやっていました。そのあと飲みに行ったとき、中屋敷・天才演出家から「明後日に通し(稽古)をしようと思っています」と言われて……あのセリフ量で!

多和田秀弥荒木宏文 (笑)。

谷口 いくつになっても役者はセリフ覚えって慣れないものなんですよ。“暗記パン”とかあればいいんですけど、ないし。中屋敷さんの首を絞めてやろうかと思いつつ(笑)、僕が覚えないと話にならないのでなんとか覚えまして、稽古3日目には通していましたね。

谷口賢志

多和田 僕は初演にも出演しているのですが、初演の稽古は途中参加だったので序盤感は体験できていなかったのですが、江戸川乱歩 役の長江崚行に聞いたら「前回もテンポは早かったけど、それ以上だわ」と言っていました(笑)。

荒木 僕も別舞台の本番とこの稽古日程が重なっていたので途中から参加だったのですが、稽古2日目に稽古場に一度顔を出しに行ったら「翌日くらいには通しをやります」と話していて。けど、しかもその時点でもう、谷口さんが台本を持っていなかったんですよ。「エグイなこの人!」と思いました(笑)。

谷口 いや、俺がエグイんじゃない、現場がエグイんだよ!

荒木 (笑)。「そんなペースでやっていくんですか!?」って驚きました。本当にすごいセリフ量なんです。それを2日目で覚えてくる谷口さんのスピードでやっていくなら、そりゃ通しも稽古序盤で入ってくるわと思っていました。

谷口 いやいや、俺も場面ごとに稽古していくんだと思っていたよ(笑)。だから「明後日に……」と言われたときは「ああ、これは良いケンカの売り方をされたな」と思って。

多和田 ケンカ!!(笑)

谷口 良いケンカの売り方ね、演出家としての。「セリフを覚えてこい」と言われたわけではないけど「わかった。なら、俺もセリフを覚えていこう」と、ケンカを買ったんです。「その代わり、お前も面白い演出を考えてこいよ?」っていう、演出家と役者のセッションです。

多和田秀弥

多和田 本当に先陣を切って、この作品の織田作(織田作之助)と同じように先を走ってくださったので、僕らも「ついていかなきゃ、置いていかれないように頑張らなきゃ!」となりました。でも谷口さん、僕らには「急がなくていいんだよ」とおっしゃってくださって、優しいなと思いました。先輩がセリフを覚えているんだから、僕らが覚えていなかったらキレられてもおかしくないのに……。

谷口 いや、俺も覚えるのキライだから、わかるの、気持ち。先輩がさっさと覚えてきたら「ちょっとは気を遣えよ!」って思うもん。

多和田荒木 (爆笑)。

谷口 俺、若気の至りで、ある現場でキレたことがあるんですよ。「忙しくてセリフ覚えていません~」っていう奴らに対して「ナメんなコノヤロー!」って。あの頃は自分も若かったし、もっとうまくなりたいっていう焦りとかもあって。西田大輔(AND ENDLESS主宰)の現場だったんだけど、「この演出家さんは台本持っているヤツには演出付けねえんだよ。これじゃ稽古できないだろうが!」ってそいつらに怒鳴って、もう大喧嘩。

荒木 へえ~!

谷口 それがヘンに尾ヒレが付いて「谷口のいる現場に台本を持っていったら殺される」って噂が広まっちゃったんだよね。だからね、因果応報だなと思っている(笑)。今はもう「ね、ね! みんなでつくっていこうね~?」って。

多和田荒木 (笑)。

荒木 その噂を聞いたことはなかったですけど、理想は僕もそこにある人間ではあるので。それを形にしている方だったので「スゴイなこの人」って思いました。しかもそれを周りに強要しない。「俺もそのペースについていきたい!」って、周りもやりたくなる空気をつくってくれるんです。すごく恵まれた環境だと思いましたし、自分の中の目標を高く持つことができました。稽古の効率をより上げる環境を自然につくってくれていましたね。

荒木宏文

谷口 そう言うふたりも、台本を離すの早かったですよ。別の本番を抱えながら、稽古に入ったときにはもう(台本を)持っていなかったし。

荒木 意地の張り合いです(笑)。みんなで「どうせ裏切るんだろー?」って心の中で思いながら。

多和田 「明日にはお前も台本離してるんだろ?」「そんなコトないですよー」って言い合いながらやっていました(笑)。

谷口 結果、良かったです(笑)。このスピードでやっていたから、できたこともいっぱいありますし、先にセリフを全部入れているからこそ見える景色もありました。宏文からも「賢志さん、このセリフ量は、覚えたら絶対気持ち良くなるヤツですよ」と言われていて、本当にそのとおりだったなと。この稽古スタイルや演出は初めてでしたけど、何回も通しながら肉付けをしていくという面白い稽古で進んでいます。

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