Interview

映画『食べる女』出演・沢尻エリカに学ぶ、シンプルで素敵な女性になるためのヒント。「自分の欲求にストレートに生きる」

映画『食べる女』出演・沢尻エリカに学ぶ、シンプルで素敵な女性になるためのヒント。「自分の欲求にストレートに生きる」

年齢も職業も恋愛に関する考え方も、人生における価値観もまったく異なる8人の女たちが、おいしいものを作って食べながら語らい、心を通わせ、本当の自分を模索してゆく映画『食べる女』がいよいよ9月21日(金)に公開される。

豪華女優の共演でも話題の本作において、小泉今日子演じる主人公・敦子の担当編集者・圭子(通称ドド)を演じているのが沢尻エリカだ。仕事も順調だし、マンションも買ったし、今さらつまらない男なんか必要ないと思っていたけれどーー。ひょんなことから出会った男の手料理を食べるうちに、身も心もいい具合に解放されてゆくドドの姿がなんとも微笑ましく、こういうシンプルなことでいいんだ! と目からウロコが落ちる思い。さまざまなモノや情報があふれ、ともすれば自分を見失いがちな時代だからこそ、本当に自分が食べたいもの、本当に自分が欲しい幸せを見極めたい。そんなすべての女性のヒントとなる素敵なお話を伺った。

取材・文 / 井口啓子 撮影 / 増永彩子

仕事に結婚に出産…女性の三十代はいちばん悩む時期。だからこそ、生きる基本として一番大事なのは「食」!

今回出演の話が来たときの率直な感想を教えていただけますか?

まず、いろんな世代の女優さんが出る映画で、「女性が中心の話」というのがおもしろそうだなって。主演の小泉今日子さんともずっと一緒にお仕事をしたいと思っていたので、絶対やりたい!と思いました。

沢尻さんが演じられたドドについてはいかがでしょう。小泉さん演じる敦子の担当編集者であるドドは、男に求めるのはトキメキだけでいいと強がりながら、どこか自分にセーブを掛けているところもある女性ですが…。

すごく理解できる。映画に出てくる女性の中では年齢的にもですが、自分にいちばん近いと思います。女性の三十代っていちばん悩む時期じゃないですか? 二十代はまだそんなに先のことは考えない、今が楽しければいいやっていう時期だと思うんですが、三十代になると今の仕事をずっと続けていくのか、結婚はするのかとか、必然的にいろいろ考えちゃう。

確かに…。 仕事が楽しくなる一方で、結婚・出産のプレッシャーも出てくる。三十代は女性にとって良くも悪くもライフステージの大きな節目という気がします。

そうなんです。仕事もうまくいってるし、恋愛にうつつぬかす? みたいな…、いろんなことがシビアに見えちゃう時期で、自分はどこに行こう? って迷いながらも、とりあえず地に足をつけるために、自分のお城を築くドドの気持ちはすごくわかるし…。でも、たまにはときめきも欲しいよねって(笑)。割り切るしかやっていけないみたいなところもすごく共感できるし。実際の私はもっと貪欲なタイプだから性格的には全然違うんですけど(笑)、セーブしてしまう気持ちもわかるわかる…って思いながらドドを演じてました。

女性なら誰もが共感できる部分があるからこそ、ドドがタナベの料理とセックスによって身も心も解放されてゆく姿には見ているこちらまで幸せになれます。

タナべはすごい特殊な男性ですよね。下心があるのかないのか、真意が読めない。料理がうまいし、嫌な気もしないし、こっちもついついその気になったら、あれ、帰るんだ!みたいな(笑)。でも、だからこそドド的にも好感が持てたんだと思う。単純に人の優しさに触れたじゃないけど、恋愛以外にも人と人の繋がりってあるよねって感じられたのかなって。

タナベの作るごはんがまたすごくおいしそうで、新鮮な魚をまるごと裁いてしゃぶしゃぶとか、ドドが羨ましすぎました。

すごいですよね。男性で料理が作れる人はそれだけでかなりポイント高い。今までそういう人はいかなったので(笑)。

お料理が作れる男性は貴重な存在ですよね。そんなドドとタナベのシーン以外でも、本作では「食」が人を癒し、人と人を繋ぐ重要なモチーフになっています。食べるシーンも多くて、作中で敦子がドドに「あんた食べてるとき、ほんといい顔してるわ」というシーンがありますが、本当においしそうに食べられるので見ているだけで元気が沸いてきました。

食べるシーンが多いので、とにかくおいしく食べようと思ってたんですけど、作品に出てくる料理が本当においしくて、リハーサルでも本番でも本気で食べていました(笑)。手羽先の岩塩焼きとか、菜の花の昆布締めとか、鯵のサワークリーム和えとか、シンプルだけどちょっとヒネってて、本当においしい。私は全部大好きで、レシピ本が欲しい!って思っています。

料理を作ったり、食べたりすることはお好きですか?

大好きです。ママが料理人なので作るのも食べるのも好きで、敦子さんみたいに家に人を呼んで一緒にごはんを食べるのも好き。私、すごい食べるんですよ。ここ数年、すごく運動しているので代謝が上がっていて、むしろ食べないと痩せちゃうので普段から三食、お肉も炭水化物も食べます。今回の撮影現場は差し入れも豪華で、常においしいものがある現場だったので、すごく贅沢でしたね。おいしいものがあると現場の雰囲気もいいんです。待ち時間もみんなで女子会みたいにわいわい喋って食べて…、撮影のことも忘れそうなくらい! すごく自然で楽しい現場でした。

では、「食」と「恋愛」とでは、「食」が優先?

それ難しいですね。でも、やっぱり食かな。だって毎日食べるから! おいしいものを食べるのが日々のモチベーションになっていると思います。基本的に、男性でも女性でも一緒にごはんを食べていて楽しい人が好きなんです。だから、生きることの基本としてまず食があって、その下に恋愛とか仕事とか遊びがくるかな。

みんな同じ幸せを目指さなくていい。私も今、自分なりの人生をがんばって追求している最中。

映画のラストシーンで女たちが各々ひとりでたまごかけごはんを食べるシーンがフューチャーされますが、ああいう「シンプルでいいんだ」みたいなのって、生き方にも繋がりますよね。

そう思います。食でもファッションでもインテリアでも、シンプルがいいなって思うようになってきたし、ここ最近はずっとそういう気持ちで、自分がこれ食べたいと思ったらそれを食べたり、これがしたいと思ったらやったり、あまり考えすぎないで自分の直観にしたがって生きている気がします。

沢尻さんの場合、いわゆるナチュラル系女子みたいなシンプル主義というわけでもなく、その時々の自分の欲望にすごく素直に生きられているという気がします。昔から「媚びない方」という印象がありますが、それって自分に正直ということでもありますよね。

そうですね。もうちょっと媚びてもいいんじゃない? ってぐらい媚びてない(笑)。でも、私が欲しいのはここじゃないみたいなのって、決してわがままではなく、自分の理想を追求していくことなので、そこは今も昔も妥協したくないなって。

逆に年齢とともに変わってきた部分はありますか?

年を重ねるにつれて、よりストレートになってきたと思います。若い頃はもっと天の邪鬼でしたね。こうしなきゃいけないって自分の中の変な概念に縛られてたりとか、本当はこうしたいのにできないとか。グルグルして本当に大変でした(笑)。でも三十も超えて、自分のこともやっとわかってきたし、すごくラクになったぶん、自分の欲求にストレートに生きられるようになったかなって。

今の時代、情報も多いぶん女の人自身が欲することも、女の人が世の中から欲されることも多すぎて、しんどいな…と感じている人は少なくないと思うのですが、本当の自分の欲求を見極めてストレートに生きられる秘訣はありますか?

やっぱり、自分の気持ちに素直になるしかないですよね。ちゃんと自分の心に耳を傾けて、周りにふりまわされないように自分をちゃんと持って生きるって、私はすごく素敵なことだと思います。

この映画に出てくる女たちは迷いながらも食べて恋をして、一歩前に進んでいきますが、決して恋愛が成就するとか、結婚するとかいう紋切りのハッピーエンドではありません。でも、だからこそ、そこがゴールじゃないし、それぞれの人生を生きればいいんだと背中を押されます。

出てくる女たちみんなにそれぞれのカタチがありますよね。それが本当にリアルだと思う。みんな同じ意見で、同じ幸せを目指さなくていい。これが正解とか、勝ち組とか無いと思うし、自分の欲求に正直に生きて、自分なりの幸せに気付いていければいいんじゃないかなって。私も今、私なりの人生をがんばって追求している最中ですよ。

沢尻エリカ

1986年、東京都生まれ。2003年に女優デビュー後、TVドラマ『1リットルの涙』(05/CX)『タイヨウのうた』(06/TBS)など話題作に出演。映画『パッチギ』(05)では「第29回日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞、映画『ヘルタースケルター』(12)で「第36回日本アカデミー賞」優秀主演女優賞し着実に演技派女優へと君臨した。2018年は本作のほか『不能犯』『猫は抱くもの』がすでに公開されており、今後も『億男』(10月19日公開)の公開が控える。

オフィシャルサイト
http://www.erikatokyo.com

フォトギャラリー

映画『食べる女』

9月21日(金)全国公開

【STORY】
とある東京の古びた日本家屋の一軒家、通称”モチの家”。家の主は雑文筆家である、古書店を営む・敦子(トン子)。女主人はおいしい料理を作って、迷える女たちを迎え入れる。男をよせつけない書籍編集者、いけない魅力をふりまくごはんやの女将、2児の母であり夫と別居中のパーツモデル、ぬるい彼に物足りないドラマ制作会社AP、求められると断れない古着セレクトショップ店員、料理ができないあまり夫に逃げられた主婦、BARの手伝いをしながら愛をつらぬくタフな女……。今日も、人生に貪欲で食欲旺盛な女たちの心と体を満たす、おいしくて、楽しい宴が始まる。

キャスト:小泉今日子、前田敦子、広瀬アリス、山田 優、壇蜜、シャーロット・ケイト・フォックス、鈴木京香、ユースケ・サンタマリア、池内博之、勝地 涼、小池徹平、笠原秀幸、間宮祥太朗、遠藤史也、RYO(ORANGE RANGE)、PANTA(頭脳警察)、眞木蔵人
監督:生野慈朗
原作・脚本:筒井ともみ『食べる女  決定版』(新潮文庫)
音楽:富貴晴美
PG12
© 2018「食べる女」倶楽部

オフィシャルサイト
http://www.taberuonna.jp/

関連本

いとしい人と、おいしい食卓 「食べる女」のレシピ46

筒井ともみ
講談社

「おいしい食事は細胞を元気にし、五感をくっきりさせてくれる。愛情やセックスについて、自分が何を求めているかもはっきりさせてくれる」――食べることへのプリミティブな希求と、料理についての自由な精神が詰まったエッセイは、食が心も体も、人生も開放し、豊かにすることを教えてくれます。女優たちにもその味にファンの多い筒井さんによる料理レシピも紹介。ササッとつくれてしみじみおいしい恋愛が深まるごはんです。