LIVE SHUTTLE  vol. 293

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シド ライブハウスツアーの幕開けとなったCLUB CITTA’2Daysで見せたファンとのつながり

シド ライブハウスツアーの幕開けとなったCLUB CITTA’2Daysで見せたファンとのつながり

現在、バンド初のミニアルバム『いちばん好きな場所』を携え、“SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR「いちばん好きな場所2018」”を開催中のシド。ここでは、その記念すべき幕開けとなった9月3日、4日に神奈川県・CLUB CITTA’で開催したライブから初日の様子を中心に、なるべくネタバレのないかたちでリポートしていく。このCLUB CITTA’2Daysを皮切りに3ヵ月に渡って全国31公演を行なう今回のライブハウスツアー。そして、結成15周年のグランドファイナル公演として、2019年3月10日、バンド初となる横浜アリーナでワンマンライブを行うことも初日公演のなかで発表したシド。グランドファイナルに向けて、彼らとファンの思いがここからつながっていくーー。

取材・文 / 東條祥恵 撮影 / 今元秀明

8年ぶりにシドが“いちばん好きな場所”に帰ってきた!

「“いちばん好きな場所ツアー”は前に1回、2回とやらせてもらってて。意味合いは少しずつ違ってるんだけど。15年経ったいまでも、“俺たちのいちばん好きな場所って?”と考えたときに“やっぱライブハウスだよね”って言える自分が、自分でも素敵だなと思います。何年経ってもこのツアーがやれるバンドでいたいな」(マオ)

シドが、ライブハウスに帰ってきた!!

そもそも“いちばん好きな場所”というのはシドが自分たちの原点に戻るための重要な時期、いわばバンドのターニングポイントとなった2008年、2010年に開催したライブハウスツアーのタイトルだ。それを、15周年のアニバーサリー企画として、このタイミングで行なうことを決めたシド。8年ぶりの“いちばん好きな場所”復活が伝えられると、シドを小ぶりのライブハウスで観られるまたとないチャンス到来にツアー前からファンは大興奮。それをあおるように、ライブハウスに似合う楽曲を集めた新譜『いちばん好きな場所』まで制作。そのリード曲として「いちばん好きな場所」というタイトルのバラードまで用意した。とどめはファンをフィーチャーしたあの「いちばん好きな場所」のMV。あれを見せられたファンなら誰もが是が非でも行きたくなる。だから、いちばん好きな場所なのだ。

「ここから31本、みんなとたくさん愛し合おうと思います」(マオ)

ツアー幕開けとなった9月3日は、当然、初日からシドのライブハウスを楽しむ気満々の人々で大盛況!! OPENING SEが流れるなか、順番にメンバーが現れるとオーディエンスがいっせいに前に押し寄せていく。ゆうやのドラムが響くなか、マオが「行こうか、川崎!」と叫んで、ライブはミニアルバム『いちばん好きな場所』同様、「VOICE」で幕開け。前回のツアーから披露してきたこともあって、たちまちフロア一丸となって勇ましい掛け声を上げる。そこから間髪入れずに始まった「reverb」では、マオが「ギター!」と叫び、アーム奏法を使ったShinjiのギターがバースト。そこから「XYZ」へと進む構成は鳥肌もののカッコよさ。曲中にマオが舞台からフロアに足を延ばすとものすごい悲鳴が上がり、ステージ下手では明希が「もっと来いよ!」という表情でオーディエンスをあおりまくる。ライブハウスならではの迫力あるパフォーマンス、サウンドで場内をおおいに揺さぶったあと「改めまして、シドです」とマオが挨拶。「ここから31本、みんなとたくさん愛し合おう思います。愛し合うのは最初が肝心。もっともっと愛し合っていこう」と甘い言葉を囁くと、超満員のフロアは大喜び。この日を「待ちに待ってた」と告げた明希は、続けて「私事をひとついいですか? 新しいヤツです」といって自慢げな表情で真新しいベースを掲げた。次にShinjiが18年前、ここのステージに初めて立ったときはお客さんが3人しかいなかったと話したあと「それでも僕はガンガン頭振ってやった。3人だろうと1000人だろうとやることは一緒! 楽しんでください」と、自身の意気込みを熱く伝えたと思ったら、そのあとゆうやが「SE流れて緊張した?(観客「した!」)俺も。でも、そろそろちったぁほぐれた?」とチッタを使ったダジャレをぶち込み、他のメンバーは苦笑いを浮かべる中、お客さんの緊張をほぐすという流れは、シドならでは。また、他の場面ではマオの「31本のロングツアーは初めて」という発言に対して「初めてじゃない」といつまでもファンがざわついていると「なに、まだざわざわしてんの? ぶっ殺すぞ!(笑)」とマオからドS発言が飛び出し、観客は絶叫。続けて「もー、初日からぶっ殺すとか言いたくないから頼むよ〜」と困り顔を浮かべると、ファンがバタバタとキュン死していったやりとりなどは、メンバーとファンの距離が近いライブハウスだからこその光景といえるだろう。

“運命的な日”にグランドファイナル・横浜アリーナ公演開催を発表

中盤戦は「ここからはアニメの主題歌をお届けしていこうと思います」というマオの言葉に続いて「硝子の瞳」など数々のアニソンを手掛けてきたシドならではのヒット曲を、次々とパフォーマンスしていった。シドならではの哀愁感あるポップなメロディーが放たれると、ライブハウスに彩りが生まれ、華やかな空間を作り上げていった。そうして、マオの「この曲はね、歌詞を書きながらこれを歌うことによって、みんなの何かとつながっていけたらいいなという思いを歌にしました」という説明に続いて、始まったのは「その未来へ」だった。いつもならきっとアコギ、エレキを持ち替えて演奏するだろうギターも、今回はエレキ1本でプレイ。パッションで押していくライブハウスを考慮してのShinjiなりの選択なのだろう。マオが歌うサビに3人のプレーヤーの声が重なり、ユニゾンになると同時に照明がフロアを照らすシーンは本当に感動的だった。このような温もりあるミドルテンポの楽曲で、今後フロアを巻き込んだシンガロングで人間味のある一体感が作れるようになっていったら、きっとこの感動はもっともっと倍増していくに違いない。そんなハートウォーミングな空気でチッタを包んだあと、後半戦は懐かしい「マスカラ」からミニアルバム収録曲「ラバーソール」まで新旧織り交ぜて本編ラストまでヒートアップ。マオからは、今回のセットリストについて「いままでは人気の曲入れなきゃ、盛り上がる曲入れなきゃと思って作ってたんだけど、いまは(全体を)引きで見て、流れを大事にした組み方をしてます」と伝えられ、それを実際に今日のライブで歌っていたら「すごく楽しめました」という感想が届けられた。

アンコールに呼ばれ、再びシドはステージへ。

「ここでシドから大切なお知らせがあります。俺たちシド、15周年。いまもまだ途中ですけど。このZeppツアーから続いてきた長いツアーのグランドファイナルを来年3月10日に横浜アリーナでやります」

マオの突然の発表に、フロアはこの日一番の大きな拍手とともに歓喜の声に包まれた。「シドとしては“dead stock TOUR 2011”のとき、震災で1回飛ばしてるんでやりたかった。しかも震災の前日、3月10日が取れて。運命感じるよね」と語りかけるマオ。そうして、最後に「いちばん好きな場所」を届け、壮大なエンディングで初日のラストをピースフルな空気のなかで締めくくった。

「今日はシドの魅力ハラスメントにしちゃってもいいですか?」(Shinji)

翌9月4日は日本列島に台風21号が上陸。西日本を中心に台風は猛威をふるい、関東の交通機関も混乱するという悪条件にも関わらず、ファンは遠方からも会場に駆け付け、前日同様超満員で迎えたCLUB CITTA’公演2日目。オーディエンスは、台風に負けない熱い熱気で、「VOICE」で幕を開けたシドを出迎えた。メンバーは昨日とは違う衣装をまとい、セットリストも本編、アンコールも含め1日目とは違う。この日は、前日よりも新旧織り交ぜたライブ映えする、より攻撃的なナンバーを多く入れ込んだ内容になっている。そのせいか、マオは積極的にオーディエンスを扇動。楽器隊もライブハウスならではのエモーショナルなパフォーマンスで、会場のテンションをあげていく。そうして熱い興奮状態に包まれながらも、メンバーそれぞれの巧みなプレイを凝視できたり、心地よいグルーヴや爆音をダイレクトに全身であびることができるのはこのツアーの醍醐味。それぐらい、シドはライブハウスで観ても圧倒的に音響が素晴らしいということだ。

トークの場面では、各々が台風のなか集まってくれたことに対して感謝の気持ちを口にした。そのあと、明希は「でも、この会場のほうが台風的。大きな渦を作りましょう」といい放ち、続けて「台風とかパワハラとか世知辛い世の中。でも、今日はシドの魅力ハラスメントにしちゃってもいいですか? ギターの魅力ハラスメントにしちゃってもいいですか?」とShinjiが散々あおり立てたあと、ゆうやが「昨晩は牛丼、今日はとろろそばで元気バツグン!!」といって観客の笑いを誘った。また、いいライブができた後は美味しいお酒が飲みたくなるという話の流れから、最初は「俺の酒のつまみになってよ!」とファンに懇願していたマオが突然、「俺のつまみになれ!!」という命令口調で、1日目同様ドSマオに変貌すると(笑)、フロアは悲鳴のような絶叫に包まれた。

昨日同様、アンコールではグッズ紹介もやりきり、この日もフルセットで会場に熱狂の渦を作り上げたシド。「台風は天災だからどうしようもできないけど、今日来られなかった人たちのためにも、気持ちを込めて演奏して、気持ちを込めて届くように歌いました」とマオが伝え、最後は「いちばん好きな場所」をみんなに届きますようにと願いを込めるようにパフォーマンスしていった。

ツアー幕開けとなったこの2日間のライブで、とくにミニアルバム『いちばん好きな場所』収録曲のパフォーマンス、オーディエンスの反応にかなりの手応えをつかんだ様子だった4人。残り29本。彼らは各地のライブ会場を回り、シドとファンとの思いを確認しあい、その思いを2019年3月10日の横浜アリーナへとつないでいくーー。

シド

SID(シド)/2003年結成。マオ(Vo)、Shinji(Gt)、明希(Bs)、ゆうや(Dr)からなる4人組ロックバンド。
2008年10月、TVアニメ『黒執事』オープニングテーマ「モノクロのキス」でメジャーデビュー。2010年の東京ドーム公演では4万人を動員。結成10周年となった2013年1月には、初のベストアルバムをリリースし、オリコンウイークリー1位を獲得。同年、横浜スタジアムで10周年記念ライブを開催、夏には初の野外ツアーで4都市5公演で5万人を動員し大成功を収めた。
2017年9月、3年6ヵ月ぶりのオリジナルアルバム『NOMAD』をリリース。同月からは全国ツアー16公演を実施した。
そして2018年1月1日。記念すべき15周年のアニバーサリーイヤーを、ワンマンライブ“シド 結成十五周年記念公演 「シド初め」”(Zepp Tokyo)で幕開け。5月からは“SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018”を敢行。そして9月より、2010年以来となるライブハウスツアー“いちばん好きな場所2018”がスタートした。

オフィシャルサイトhttp://sid-web.info/

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