Interview

嘘とカメレオンが「特別な一枚」と語るメジャー1stアルバム『ヲトシアナ』。5人の“今”を証明する、彼らの奇跡的な運命が鳴らす音

嘘とカメレオンが「特別な一枚」と語るメジャー1stアルバム『ヲトシアナ』。5人の“今”を証明する、彼らの奇跡的な運命が鳴らす音

ジャンルにとらわれることのない変幻自在のサウンドや曲調、古い言い回しや言葉遊びも自在に操る独創的な日本語詞、そして個性的かつ表現力豊かなボーカルと卓越した演奏力。5つの個性や才能が絶妙に絡み合って生まれる不思議でポップな楽曲世界は、嘘か真か!?
2016年に自身でYouTubeにアップした「されど奇術師は賽を振る」のMVがネット上で大きな話題を集め、その名を広く知らしめた、5人組ロックバンド・嘘とカメレオンが、メジャー1stアルバム『ヲトシアナ』をリリースした。自身も「自分たちが選んできたものは何も間違ってなかった」と語る、これまでの活動の集大成的な意味もありながら、充実したバンドの現在をギュッと凝縮した作品となった今作。完成したアルバムについて、そしてバンドの音楽性や方向性に大きな影響を与えた、あの出来事についても語ってくれた。

取材・文 / フジジュン

「何も間違ってなかった」。一点の濁りもないアルバム

1stアルバム『ヲトシアナ』を完成した、嘘とカメレオン。聴くたびに歌や演奏に新しい発見がある、聴き応え十分なアルバムになりましたね。

チャム(.△) 今作は紆余曲折ありながら半年くらいかけて作り上げた、私たちにとってすごく大切な作品で。「自分たちが選んできたものは何も間違ってなかった」と思える、一点の濁りもないアルバムになったと思います。今回、新曲と以前からあった曲が半々くらいなんですけど、昔の曲もすべて再レコーディングしていて。バンドも私自身も一秒ごとに考え方やいろんなことが変わるけど、この作品からは嘘とカメレオンの現在というものをすごく感じられる。最後、「キンイロノ」で終わる感じとか、ここから先の未来も照らせていると思います。

渡辺壮亮 活動するなかで曲調の変換期もあったけど、「ジャンルレスでやっていきたい」という気持ちは最初から強くて。それを突き通してきた結果として、今作があると思います。

渋江アサヒ 曲の振り幅の広さがすごいですよね? さらに昔の曲にはなかった音を足したり、3曲目「JOHN DOE」にスクラッチ音が入ってたり、やりたいことが全部詰め込めて。好奇心を詰め込んだら、カッコよくなった、みたいな感じはありますね。

渡辺 「JOHN DOE」に僕のラップも入ってるんですけど、もともとあの曲はチャム(.△)さんが一貫して歌う予定で作っていて。雑談の中で「歌っちゃえば?」みたいな話になって、ノリでラップを書いたら、それが正式採用されちゃったんです。

チャム(.△)

「ババアの話し声」って、意味わからなすぎですもんね(笑)。菅野くんはどうです?

菅野悠太 初期からやってる曲もあれば最新の曲もあって、「並列に並べて大丈夫かな?」と思ってたんですけど。並べたら全然違和感もなかったし、名刺代わりの一枚になりました。

ちなみに初期の曲って、どれになるんですか?

菅野 「うみねこの鳴く街で」ですね。あと、「キンイロノ」とかもかなり古い曲で。

渡辺 最初の頃は激しい曲が少なかったんです。僕が女性ボーカルの曲を作ったことがなくてこのバンドで初めてだったんで、激しい曲の作り方がわからなくて。激しい曲を作る転換期としては、メンバーの中で一番激しい曲を聴いてきた、渋江くんの加入が大きかったです。

渋江 「こういうのを作ったらどう?」って、壮ちゃん(渡辺)に発注して作ったり。壮ちゃんも自分の中にないものを消化して、激しめの曲が出来たりしました。

渡辺壮亮

チャム(.△)さんから「こういう曲が歌いたい」って発注することもある?

チャム(.△) 私はないです。感覚派なので、そこは楽器隊に任せてます。

渡辺 僕が曲を作って渡して、チャム(.△)さんはそこからインスピレーションを受けて歌詞を書くという作り方が多くて。そこに生まれる化学反応を大事にしてるので、演奏の部分は楽器隊だけでディスカッションすることが多いです。チャム(.△)さんからは自分の中の世界観とまったく違うものが返ってくるし、その混合したものが嘘とカメレオンだと思うので、やってて面白いですね。

渡辺くんは「女性ボーカルの曲を作ったことがなかった」と話してましたが、女性が歌うことを意識するより、チャム(.△)さんの魅力や人柄を活かす曲の作り方をしてますよね?

渡辺 そうですね、チャム(.△)さん以外に曲を作ったこともないですしね。チャム(.△)って、普通の女性とも違う特徴的な歌声をしてるし、あまりいないタイプの感性を持った人だと思うので(笑)。そこと向き合って作ってきて、自分の作曲センスが磨かれてきたので、女性ボーカルの曲を書いてきたというよりは、チャム(.△)の曲を書いてきたというほうが正しいです。

菅野悠太

青山くんはアルバムが完成しての感想はいかがですか?

青山拓心 起承転結がありますよね。「されど奇術師は賽を振る」で本編が終わって、「キンイロノ」がアンコールみたいな、ライヴのセットリストのようなライヴ想定の並びになってるし。永遠にひたすら聴ける一枚になったと思います。

「されど奇術師は賽を振る」は「みんなに刺さる」という確信があった

バンドの歴史を振り返ったとき、やはり「されど奇術師は賽を振る」の存在は大きい?

チャム(.△) そうですね、たくさんの人に知ってもらえるキッカケになりましたね。

渡辺 MVを撮りたいって構想はもっと前からあったんですが、「されど奇術師は賽を振る」が出来たとき、「今までの曲以上にみんなに刺さるんじゃないか?」という確信があって。「せっかくいい曲が出来たから、MV撮りたいね」って話になったのを覚えてます。

チャム(.△) 私は盲目なほどに毎回、「私たちの曲ってカッコいい!」と思ってるんですが。この曲に関しては、私自身の感性よりもメンバーが「カッコいい」とすごく言ってたのを信じたところがありました。この曲は菅野くんも結構、アイデア出したよね?

菅野 あの曲は異質だったし、初めて曲をもらったときに「これはすごい!」と思ったし、「絶対にたくさんの人に聴いてもらいたい」と思って。最初、演奏のキメの部分とかが違ったんですけど、「もっとわかりやすくして」って注文をしました。

チャム(.△) 歌詞に関してもこの曲をMVにするってことが決まって、より大衆性を考えて書いたのを覚えてます。それまではもっと独自の世界観で難解な単語を使って書いてたんですが、「さァ 踊れヤ 歌え」を繰り返す歌詞とか、自分なりに大衆性を意識して書きました。

渡辺 チャム(.△)さんはあまり断定しきらない余白を残した歌詞が多くて、聴く人によって答えが違うような、ロジック的なものを用いている印象はありますね。

チャム(.△) 言葉遊びしてる感じを楽しんでもらえて、それぞれの解釈をしてくれる歌詞というのが正解だと思ってて。聴いた人のいろんな感想を聴くのが、私もすごく楽しみなんです。

1 2 >