Interview

Uru 新作はアニメ映画「劇場版 夏目友人帳 〜うつせみに結ぶ〜」の主題歌。原作や映画脚本にインスパイアされ仕上げられたバラードに込めた思いとは? 

Uru 新作はアニメ映画「劇場版 夏目友人帳 〜うつせみに結ぶ〜」の主題歌。原作や映画脚本にインスパイアされ仕上げられたバラードに込めた思いとは? 

昨年12月に1stアルバム『モノクローム』をリリースし、今年3月にはワンマンライブを開催。同年6月にメジャーデビュー2周年を迎えたシンガーシングライターのUruが、セカンドステージの幕開けとなるニューシングル「remember」をリリースした。
2018年第1弾となる新曲はこの秋、公開のアニメ映画「劇場版 夏目友人帳 〜うつせみに結ぶ〜」の主題歌。原作コミックと映画の脚本を読んで書き下ろしたというハートフルなバラードに込めた思いとは。

取材・文 / 永堀アツオ

2ndシーズンでは、変わらない部分は残しつつも、今まであまり見せてこなかった雰囲気をもうちょっと見せていけたらいいなと思っていて

今年6月にデビュー2周年を迎え、3年目に突入しました。

「デビューしたときや1年目は、もちろん、期待や楽しみももちろんあったんですけど、これからちゃんとできるのかな?っていう不安もあったし、はじめの一歩が怖かったんですよね。あんまり周りが見えてなかったし、周りどころか自分も見えてなかったと思うんです。でも、1stアルバムを出して、ライブもやらせていただいた今、少しずつ、自分を客観的に見れるようになってきて。あと、できないことを頑張ったり、克服しようとするのはすごくいいことなんですけど、ものすごく頑張って頑張ってできなかったときの苦しさを責めてしまうのであれば、得意なことをむしろ伸ばし、苦手なことは、それが得意な人にお任せしようっていう良い意味で割り切る事もできるようになりました。余裕……はまだないんですけど」

3月に昭和女子大学人見記念講堂で行われたライブを終えてからの日々はどう過ごしてました?

「今まで途中までしか作っていなかった曲をフルで完成させたりする時間があって。自分のオリジナル曲を増やす時間が作れたかなと思います」

ここから2ndシーズンの始まりと捉えていいですか?

「そうですね。昨年末にファーストアルバムを出したので、そこからまた新たに始まる感じがあります。なので、2ndシーズンでは、変わらない部分は残しつつも、今まであまり見せてこなかった雰囲気をもうちょっと見せていけたらいいなと思っていて。いろいろと挑戦したりしてますね」

変わらない部分というのは?

「日常を歌うアーティストだということですね。どんなアーティストでもそうだと思うんですけど、すぐそばにあるような歌でいたいなって。時代が流れていって、たくさんの新しいものが生まれても、変わらずにそこにある、ホッとできるようなアーティストでいたいなと思ってますね」

では、新しい季節の幕開けをどんな曲で飾りたいと考えてました? これまでに見せてこなかった面から始めるのか、それとも、変わらない部分を見せるのか。

「どういう曲で始まろうとは考えてなかったですね。『劇場版 夏目友人帳 〜うつせみに結ぶ〜』の主題歌のお話をいただいたので、この曲で始まるんだなっていう感じで。結果としては、作詞・作曲ともに私らしい曲ができたので、新しい自分は、ここからまた少しずつ見せていけたらいいかなって(笑)。安心できる私らしさからスタート出来たと思います」

(笑)『劇場版 夏目友人帳 〜うつせみに結ぶ〜』の主題歌を歌うことに関してはどんな心境ですか?

「最初に主題歌を担当しますというニュースが上がったときのレスポンスがすごくて。すごくたくさんの方に愛されている作品なので、ちょっとプレッシャーはあったんですけど、その分、光栄なことだなって感じたのと、物語がとにかく素晴らしいなと思いました。小さなお子さんでも楽しめる、情操教育にもいいお話ですし、大人にも響くお話なので、私を選んでいただけて、嬉しいなと思いました」

人との関わりの中で学んでいくものが凝縮されているし、心の動きが絵からもすごく感じられて。たくさんの人に愛されている理由がわかった気がします

原作コミックを読んだ感想は?

「すごく綺麗な情景が描かれていますよね。山とか川とか、自然の中が舞台で、人や妖(あやかし)との関わり合いの中で出会いと別れがあって。読み終わると、優しくなれたみたいな、ホッとした気持ちになれる。切ない場面もたくさんあるんですけど、切ないだけじゃなくて、気づくと心が豊かになれるようなお話がたくさんあるので、素敵だなって思いました。しかも、主人公の夏目は最初から全部うまく行くわけじゃなくて、少しずつっていう成長していく歩みの姿が描かれていて。人との関わりの中で学んでいくものが凝縮されているし、心の動きが絵からもすごく感じられて。たくさんの人に愛されている理由がわかった気がします」

その後、劇場版の脚本を読んで、どんな曲を書こうと思いました?

「原作コミックの中にあった<旅立ちの日は別れの日ではない>っていうセリフがすごく響いて。『夏目友人帳』自体が、常に出会いと別れの物語なんですけど、映画の主題歌も同じテーマで書かせていただいて。夏目の気持ちでもあり、妖(あやかし)側の気持ちでもあるんですけど、離れる方も見送る方もお互いに同じ気持ちを持ってるっていう」

同じ気持ちなんですね。だから、<さよならじゃない>と言ってる人の人称が明記されてないんですね。“私”や“僕”を使わずに歌ってる。

「夏目は常に出てくる妖(あやかし)に自分を重ねているんですよね。周りに溶け込めないことや、孤独感とか。常に自分の気持ちを重ねて、だからこそ、わかろうとしてっていうのがあるので、両方からの気持ちを歌っていますね」

Aメロに出てくる<青いリンドウ>がとても鮮やかに脳裏に浮かびました。

「原作者の緑川さんが熊本県出身で、リンドウは熊本県の花なんですね。映画の脚本に描かれている夏の情景ともリンクするので、緑川さんの地元のお花を入れたいなと思って歌詞にしました」

集団の中でポツンといると、さみしくはないけど、自分だけ違う人種なのかなとか、たまに思ったりもする

歌詞の中では<見たこともなかった境界線>というフレーズも気になりました。これは、人間と妖(あやかし)の境界線であると同時に、人間社会の中でも感じてるものですよね。

「私も、街の中を自分一人でバーっと歩いているときに、誰かと一緒にものすごく楽しそうにしてる人とすれ違ったときに、くっきりと自分だけの世界が見えたり、感じたりするんですね。私はあんまり自分から話しかけたりできないし、輪の中に自分で入っていこうとか思わない方でもあるので、集団の中でポツンといると、さみしくはないけど、自分だけ違う人種なのかなとか、たまに思ったりもします。夏目はきっと、常にそういうことを感じてたんだろうなと思って。ここはパッと思いついて書きましたね」

原作同様に、孤独や寂しさを感じていた主人公が、守りたいものや故郷と呼べるものができていく過程も描かれてますよね。

「そうですね。最初は自分が求めるものに対する反動というか、自分が欲しかったものじゃないものが返ってくることが続いて、だったら求めないって閉じていたんだけど、藤原夫妻や多軌を始めたとした友達と出会って、ちょっとずつ開かれていって、感情を表せるようになってきた。緑川さんもあとがきなどで書かれてたんですけど、そこがこの曲でも表現できたらいいなと思ってましたし、レコーディングでは、別れの曲でもあるので、電気をちょっと暗くしつつ、夏目や妖(あやかし)のことを思いながら歌いました」

Uruさん自身の思い出は使ってないですか?

「私もいろんな人と出会ってきましたし、別れもあったけど、思い出すと、あの時、ああだったから、いまこうなんだよなって思うことはあります。ただ、今回、自分のことはあまり思い出さなかったかもしれないですね(笑)。でも、お祭りのシーンが原作の中にたくさんあって。小さいときの夏の思い出とか、小学校の頃の夏休みのこととかを思い出したりはしたかな。お祭り、子供の時、楽しみだったな、とか。りんご飴を買ってもらって、食べようとしたら、落ちて砂まみれになって食べれなくて泣いたっていう切ない思い出とか(笑)」

大切にしたい写真みたいな感じで切り取られたもの、持っていたいものっていう意味でつけてますね

(笑)タイトルはどうして、「remember」にしました?

「ほんとは<さよなら>にして、さよならじゃないって歌ってるようにしようと思ってたんです。本当は分かってるけど、でも、<別れの日でない>って言ってるし、きっと、忘れようとも思わないし、ずっと覚えてるんだろうなって思って。一緒に過ごした時に何をしたとか、どんな言葉を話してたとか、どんな表情をしてたとか。そういう、ちゃんと一緒にいたんだっていう確かな記憶は絶対に覚えていたい、忘れたくないしっていう。大切にしたい写真みたいな感じで切り取られたもの、持っていたいものっていう意味でつけてますね」

この「remember」がUruさんらしいバラードだとしたら、2曲目の「ごめんね。」は今まで見せてこなかった面の1つですよね。

「そうですね。これまでもカップリングで、こういう明るい曲も歌ってるよっていうのをアピールしてきてるんですけど、ライブでも自由に体を揺らして聞いてもらえるような曲をもっと歌いたいなと思っているので。ずっと前からあった曲ではあるんですけど、歌詞は自分で歌うのは照れ臭いような、恥ずかしいようなところがあって」

(笑)照れ臭い、恥ずかしいというのは?

「ここまで女の人の幸せな気持ちを書いたのが、もしかしたら初めてかもしれないので。作詞が私で、こういうテイストだからこそ、恥ずかしくて、照れ臭いっていうのがありますね」

ごめんねが言えない彼氏を許しちゃう彼女の気持ちを歌ってます。

 

「本当は喧嘩をしてごめんねって言えない女の人が主人公の歌詞だったんですよ。でも、もうちょっと可愛らしさと愛しさを感じられるような曲にしたくて、ごめんねを言われる方の側に転換した曲なんですね。リリースはしてないけど、こういう曲もたくさん作っていて。Uru=バラードっていうイメージはあると思いますし、こういう歌詞も書くんだって驚く方もいるかもしれないんですけど、アップテンポや明るい曲もあるので、ちょっとずつ、楽しみにしてもらえたらなと思います」

小出しにしてくってことですもんね。また、本作はデビュー前にYouTubeで行なっていた名曲カバーの新録として、山崎まさよし「One more time,One more chance」をカバーしてます。

「ずっといい曲だなと思っていて。いろんなところで流れていて、自分もいつの間にか知ってた曲です。山崎まさよしさんの歌い方を自分が歌ったらどういう風になるのかなっていうちょっとした興味もあったし、とにかく、名曲なので、ただ単純に歌ってみたいなと思って」

歌詞はどう捉え、どんなアプローチで臨みました?

「すれ違って、別れられても仕方ないような自分だった時に、別れてしまって。でも、別れたときに大切さに気づくっていう感じですかね。この曲は感情の入れ方というか、テンションの持って行き方が難しくて。最後にサビが繰り返されるんですけど、最初は同じトーンで、同じテンションでずっと歌ってたんです。でも、通して聞いてみると、ちょっと聞き苦しいというか、ずっと感情を吐露しているので、苦しすぎるなって感じて。途中で抜いてみたりしてるんですけど、山崎さんは本当に喋るみたいに歌われてるので、自然にすっと入ってくるような感じがすごいなと思っていて。その感じも、出せたらいいなと思ったんですけど、自分なりのアプローチで歌わせて頂きました」

このピアノバージョンは戦いが終わった後とか、しばらく時間をおいて、振り返ったときにっていうイメージで歌いました

もう1曲、アニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」のEDテーマに起用された「フリージア」のピアノと歌だけによるセルフカバーも収録されています。

「山崎まさよしさんの曲をUruが歌うんだったら自分流に変えられるんですけど、Uruが歌ってる曲をUruが歌うっていうのは、ただ単に原曲からピアノとヴォーカルだけを抜き出したものだったら、別に聴かなくていいかなってなってしまう。だから、シンプルなピアノバージョンならではの感情の入れ方、聞き方が変わるような雰囲気を出すことが難しかったですね。基本的なイメージはあまり大きくは変わらないんですけど、この曲を流す情景として、どんなシーンに流れているかなっていうところを考えて。原曲はアニメに限らず、戦って、いろいろなものが炸裂したもののバックに流れているけど、このピアノバージョンは戦いが終わった後とか、しばらく時間をおいて、振り返ったときに流れているっていうイメージで歌いました」

それも「remember」や「One more time〜」とつながる、記憶の1つですよね。全4曲が揃ってご自身としてはどんな1枚になりましたか?

「ミニアルバムではないですけど、ずっと大切にしていきたいシンプルなものや、自分の新しい一面を見せたい曲だったり、自分が詞と曲を書いた自分らしい曲が入っていて。今のUruを知ってもらえる1枚になったし、たくさんたくさん聞いてもらいたいなと思いますね。あと、大事にしたい部分は変わらずに大事にしつつ、今後は見せてなかった部分も少しずつ開いていけたらなって思っていて。いつか知ってもらえたらなと思います」

その他のUruの作品はこちらへ

Uru

聞く人を包み込むような歌声と、神秘的な存在感で注目を集めるシンガー。
2013年よりYouTubeチャンネルを立ち上げ、新旧問わず数々の名曲をカバーする動画をアップする事をスタートし、楽曲の歌唱、演奏、アレンジ、プログラミング、動画の撮影、編集など、そのすべてを一人で行い、2016年6月のメジャーデビューまでに100本に及ぶ動画を公開。
デビュー時点で総再生回数は4400万回以上、チャンネル登録者は14万人越えというデビュー前の新人としては異例の実績を作り上げた。
2016年6月のデビュー以来、リリースを重ねるほどにその名前を浸透させている。
ライブは、幾重にも重ねられた幻想的なステージ演出が話題を呼び、過去6回の単独公演はすべてチケット発売とともに即日完売。
12月5日には、早くも次作のシングル「プロローグ」(TBS系 火曜ドラマ「中学聖日記」主題歌)をリリースする事も決定している。

オフィシャルサイト
http://uru-official.com