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東京ゲームショウ2018で見えたeスポーツのこれまでとこれから

東京ゲームショウ2018で見えたeスポーツのこれまでとこれから

国内ゲーム大会から国際アジア大会、そしてeスポーツへ

さて、いままで東京ゲームショウではeスポーツとどのように関わってきたのか、簡単に振り返ってみよう。細かいものはいくつかあったと思うが、最初に競技性の高い大規模な大会として行われたのは、2010年と2011年の対戦格闘ゲーム大会、”闘劇”だ。

▲『フォートナイト』は、有名実況者と4人1組となって対戦するエキシビジョンマッチを開催。本作はまだ正式なプロリーグが国内で発足していないため、このような形になった

闘劇は2003年から2012年までの10年間続いた大会で、第8回と第9回は東京ゲームショウの会場で行われた。アーケードゲーム雑誌が大会運営に関わっていたこともあり、扱われる対戦格闘ゲームはすべてアーケード版で、全国のゲームセンターで予選を行い、決勝トーナメントをここで行う、という仕組みだ。

2012年からは、Cyber Games Asiaがスタートする。これはアジアの強豪と日本のトッププレイヤーが戦う大会で、『サドンアタック』、『Alliance of Valiant Arms』、『World of Tanks』といったPCゲームを中心に開催された。このあたりから、eスポーツという言葉を意識した展開になり、この特設ステージは2015年まで続く。また、2014年にはPCゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』のプロリーグ、League of Legends Japan League(通常LJL)サマーシーズン決勝が東京ゲームショウ会場で開催された。

少し横道に逸れるが、『リーグ・オブ・レジェンド』は世界でいちばんプレイヤー人口が多いeスポーツタイトルで、現在は1億人を突破したとも言われている。参考までに他のスポーツの競技人口と比べると、ゴルフが6500万人、テニスが1億1000万人と言われているので、『リーグ・オブ・レジェンド』がいかにバケモノクラスのeスポーツであるかわかる。

▲いちばん盛り上がったのは『ストリートファイターV アーケードエディション』の大会だ。優勝した、ときど選手の圧倒的な強さに会場は大盛り上がり

話を戻そう。2016年になるとステージ名がe-Sportsステージとなり、明確にeスポーツとわかるものに変更された。扱われたタイトルは『サドンアタック』、『Alliance of Valiant Arms』といったPCゲームはもちろん、家庭用が中心の『ストリートファイターV』、スマホ向けの『逆転オセロニア』、『ハースストーン』の大会が開催され、その注目度は一気に上がった。

▲今年発売された新作『ドラゴンボール ファイターズ』はプロゲーマーの競技者も多く、注目の大会となった

2017年にはe-Sports Xという名称となり、対象タイトルが一気に増加した。ブルーステージとレッドステージの2つの舞台を用意して、一般日はそれぞれフル稼働。『ファンタシースターオンライン2』、『ウイニングイレブン 2018』、『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』、『モンスターハンターダブルクロス』、『パズドラレーザー』、『ストリートファイターV』、『オーバーウォッチ』、『カウンターストライクオンライン2』、『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』とメジャーなタイトルで競技を行いつつ、世界中で大会が行われているものもしっかり抑えるなど、明確にeスポーツを打ち出したものになった。

そして今年、2018年は前述のとおり。一般メディアは一斉に「東京ゲームショウ2018の目玉はeスポーツ」と報じるほど、どの大会も大きな盛り上がりを見せた。多くのファンが駆けつけ、選手のパフォーマンスに酔いしれながら声援を送る光景は、ふつうのスポーツ観戦と何ら変わらない。

選手らは毎日練習し、対戦試合に勝てるようパフォーマンスを向上させて、さらに独自の美学で魅せるテクニックも持っている。友人に誘われるがままにeスポーツ大会を観戦したら優勝選手のかっこよさに憧れ、そこからゲームを始めて今年は大会に出場した、というファンもいる。こうした流れが大きくなってくれば、eスポーツは日本でもっともっと盛り上がってくるだろう。

▲スポーツゲームの定番、『ウイニングイレブン 2019』もプロライセンス発行ゲームのひとつ。日本未発売のPC版による対戦も行われた

日本人プロゲーマーがもっと世界で活躍するには!?

東京ゲームショウ2018で発表された、注目のeスポーツ情報をいくつかお伝えしておこう。まずはセガゲームスから。その名もズバリ『ぷよぷよeスポーツ』がPlayStation®4とNintendo Switch™向けに発売される。『ぷよぷよ通』をベースに、eスポーツ向けに特化したものになっているとのこと。今後はこれをベースに大会が行われていく。バンダイナムコエンターテインメントからは国内最大級の格闘技イベント、RIZINにおいて、eスポーツ種目『鉄拳7』の試合が決定したと発表された。リアルな格闘技戦と対戦格闘ゲームの試合が同じ興行で行われるということで、どのような相乗効果を生むか非常に興味深い。

▲Samsung SSDブースでは『レインボーシックス シージ』のエキシビジョンマッチが行われた。2015年に発売されたタイトルだが、ここにきて本作のeスポーツ人気が非常に高まっている

ということで、あくまで東京ゲームショウのなかでのeスポーツをまとめてみたが、eスポーツ全体を語り始めると本当にキリがない。前述の『リーグ・オブ・レジェンド』はeスポーツ界隈において非常に大きなタイトルだし、FPSはeスポーツではなくてはならない重要なジャンルだし、対戦格闘ゲームのルーツはゲームセンターの大会だし……と価値も来歴も違う。さらにいえば、PCゲーム、家庭用ゲーム、スマホゲーム、アーケードゲームと、それぞれでまた文化が違ったりもする。プロライセンスと賞金制度に関しても課題はあり、ジャンルもプラットフォームも多岐に渡っているので、「結局、eスポーツって何なの?」と感じる人もいるかもしれない。

「何なの?」と聞かれたら、”e”が付いているだけでふつうのスポーツと何ら変わらない、と答えたい。スポーツに野球やサッカー、マラソンなどいろいろあるのと同様に、eスポーツもさまざまなジャンル(ゲーム)がある。そのなかで、みんなが興味のあるものを観戦して、ときには自分自身も楽しんでみればいいだけのことだ。

今後、eスポーツがさらにメジャーな存在になるには、世界に通用するトッププレイヤーの出現を待たなければならない。いまのところ、対戦格闘ゲームにおいては多くの日本人プロゲーマーが活躍しているが、世界規模で見ると盛り上がっているのはMOBA(『リーグ・オブ・レジェンド』など)やFPSといったジャンル。そのシーンでも日本人が活躍すれば、さらに注目されるようになるはずだ。

そのためにはどうしたらいいのだろうか。

2016年、eスポーツ系のコースを設立した専門学校が登場し、大きな話題になった。ここはプロゲーマーを育成するだけでなく、運営や広報、配信スタッフなどeスポーツ全般に関わる仕事を教えるものになっており、すでにここから実際の現場で働く若者を輩出し始めている。選手だけでなく、運営側もさまざまな専門知識を必要とするため、こうした専門学校の登場により助かっている現場も出てきている。 

さらに、毎日新聞とサードウェーブは全国の高校生を対象とした、全国高校eスポーツ選手権の開催を発表した。世界的に人気のあるeスポーツのプロシーンに追いつくには、高校を出てから学ぶのでは「遅い」とされており、一般的なスポーツ同様、もっと若いうちからeスポーツに慣れ親しんでおく必要がある。そこでこの試みである。まずは高校から部活動としてeスポーツ部を発足してもらい、eスポーツ版甲子園と呼ばれるほど大会が盛り上がれば大成功だろう。そこからさらに中学校でも部活動発足の動きが出てくれば、日本人の世界チャンピオンがいろいろなタイトルで誕生する……。いますぐは無理だとしても、5年後、10年後には何らかの結果が出ているはずだ。ともあれ、それでも「よくわからん!」という人は、まずはeスポーツを観戦してみよう。今年のe-Sports Xの配信アーカイブはもってこいと言える。その熱狂は必ずや伝わるはずだ。『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』の大会を取材した知人のライターは、これまで同タイトルの競技シーンをあまり追いかけていなかったとのことだったが、最後の試合は「感動のあまり泣いた」とのことで、「これからはプロリーグを追いかけたい!」と鼻息荒く語っていた。それだけのものをeスポーツは持っているのだ。

東京ゲームショウのオフィシャルサイトのリンクから大会の配信アーカイブを観ることができるので、ぜひチェックしてみよう。

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