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体も心も氷点下! 恐ろしくてクールな雪山ゲーム5選

体も心も氷点下! 恐ろしくてクールな雪山ゲーム5選

涼しくなってきたこの頃、富士山からは早くも初冠雪の便りが届いているが、雪といえば昔から雪山や極寒の地を舞台にしたゲームは多い。純白に覆われた世界が美しい一方で、生命の危険を感じる過酷な状況が生じやすく、ドラマティックになるからだろうか。視界を遮る吹雪など、ゲームシステムとして演出された不自由さだけでなく、ときには身を切るような寒さまでもプレイヤーに体感させることがある。グラフィック表現も豊かになった近年の作品では、しんと静まった銀世界の清々しさ、舞い散る牡丹雪に弾む気持ち、ホワイトアウトの恐怖や孤独など、いろいろな雪から受ける感情も色とりどりになった。今回は、ゲーム体験をより豊かにしてくれる、あらためてプレイすべき雪山の作品を5つ、さまざまなジャンルからピックアップ。それぞれ、寒さ、壮絶、絶景などの独自のチャート、そして印象深いシーンも併せてお届けする。

文 / 小泉お梅


①“やる海外ドラマ”『Until Dawn (アンティル・ドーン) -惨劇の山荘-』

ソニー・インタラクティブエンタテインメント/PlayStation®4/ホラー・アドベンチャー/発売中 /パッケージ版7,452円(税込) ・ダウンロード版 6,372円(税込)

オフィシャルサイト

『Until Dawn (アンティル・ドーン) -惨劇の山荘-』は2015年に発売されたホラー・アドベンチャーゲームで、海外ドラマをプレイするかのようなスタイルが話題を呼びました。探索シーンとムービー、選択肢がシームレスに続いていくシステム、そして吹き替えは経験豊富な声優陣によるフルボイス……と、プレイヤーを引き込む要素もたっぷり。人気ドラマ『ビバリーヒルズ青春白書』や『ゴシップガール』よろしく、男女のグループのなかで別れたり、くっついたりという愛憎の設定もありました。

ですが、本作の軸はホラー。副題が語るように、物語ではある山荘で起きた事件を描いています。事の始まりは、1年まえの冬のバカンス。登場人物のひとり、ジョッシュは彼の家が所有する山荘で、同級生や妹のハンナとベス(ふたりは双子)とともに休暇を楽しんでいたものの、その妹たちが行方不明になってしまいます。それから1年経ったいまも、彼女らは見つかっていません。ジョッシュは“命日”の供養に、仲間たちを再びあの山荘へ招きますが……?

▲1年まえ。妹のハンナは想い人にドッキリを仕掛けられ、傷心のあまり外へ飛び出してしまいます。姉妹のベスが追いかけますが、その先でふたりに残酷な運命が降りかかります

▲山荘と麓を結ぶ専用ケーブルカーの駅。そびえる山々が美しい

山荘では着いた早々、いわゆるスクールカーストの最上位“ジョック”でありモテ男のマイクと、“クイーン・ビー”つまり女王であるジェスのカップルがイチャイチャ。元カノだったエミリーは、新しい彼氏のマットがいるものの、ジェスに嫉妬しているようで女同士の仁義なき戦いが勃発します。そこで、クールダウンも兼ねてマイク&ジェスのカップルは離れのコテージに移動しますが、何者かに襲われて!?

▲外は暗く、いつも吹雪いています。キャラクターはときおり、寒さに身をよじるような仕草を見せてくれます

▲カップルがイチャつき始めたら? ホラー作品のお約束ですから、もうおわかりですね

▲さらわれたジェスを追って飛び出した、彼氏のマイク。着の身着のままタンクトップ1枚なもんだから、見ているコッチも確実に寒くなります

屋敷に残った仲間たちの身にも、危険が迫ります。彼らを襲った犯人として、殺人鬼の存在が浮かび上がりますが、逃げようにもケーブルカーは使えず、気温も著しく下がる夜間の下山は困難。救助を呼んでも猛吹雪の悪天候ゆえ“夜明けまで”は来られない……。雪山の上で孤立した状況です。こんなとき、あなたならどうしますか……? 本作は選択した行動のひとつひとつが“バタフライエフェクト”のように、のちの状況に影響を及ぼしていきます。

▲R2ボタンで物を拾ったり、右スティックでヒネったり。実際の手の動かしかたと同じなので、単純な動作でもリアリティがあります。ところどころで拾えるアイテムの“トーテム”は、収集要素であると同時に、プレイヤーに映像で何らかの暗示を見せてくれる、攻略のヒント的な役割もあります

▲崖っぷちで、シカに囲まれる場面も……

▲底冷えのしそうな地下室をバスタオル1枚で逃げるサム。隠れてじっとしたい場合、コントローラを動かさないという操作もあります

本作は、どこへ行っても寒そうでしたし、ずっと暗いので夜明けが待ち遠しくなりました。雪山ではないですが、チャプターの合間に登場するカウンセラーの先生の薄ら笑いにも背筋が寒く……。日本語キャストの演技も魅せてくれました。終盤からは意外な方向へ話が転がって、ハリウッド映画色も濃くなりますね。ラストではキャラクターが生存、あるいは死亡していたらどうなっただろうか、もし自分が雪山であんな目に遭ったらと考えさせられました。さらに、閉鎖された雪山の怖さをしっかりと刻み込まれました。山荘に行かない選択肢があるならそっちを選びたいです。 

『Until Dawn(アンティル・ドーン) -惨劇の山荘-』
【寒さ】★★★★☆
【壮絶さ】★★★★☆
【絶景】★★☆☆☆
【雪の質感】ぼた雪

©2015 Sony Interactive Entertainment Europe. Developed by Supermassive Games.


②長年の想像が実を結ぶ『かまいたちの夜 輪廻彩声』

5pb./PlayStation®Vita・PC/アドベンチャー/発売中/パッケージ版7,344円 (税込)・ダウンロード版6,480円 (税込)・PC版8,424円 (税込)

オフィシャルサイト

『かまいたちの夜』といえば、泣く子も黙る名作サウンドノベルですね。1994年にスーパーファミコンで初代が発売されて以来、さまざまなハードに移植されてきましたが、今回の『輪廻彩声』では初めてイラストとボイスが付きました。シナリオは原作どおりで、主人公の青年・透くんが訪れたペンションでおぞましい事件に巻き込まれていきます。

▲透くんと、彼と同じ大学に通う友人の真理ちゃん。楽しいスキー旅行になるはずだったのに……

これまでのシリーズでは人物はシルエットだったので、想像をかき立てられる部分がありました。プレイ済みの方はキャラクターそれぞれに、自分なりのイメージを抱いていたと思います。それが今回、イラストでひとつの答えが提案された形に。私も初めは、「思っているのとちょっと違う」ということも出てくるかなと思っていたのですが、意外と「真理ちゃんはやっぱり可愛かった」とか、「美樹本さん、こんな感じだったのか」、「OLの3人娘をハッキリ見分けられる」など、新しい発見に驚く部分も多くて、新鮮な気持ちでプレイできました。

▲スキーウェアがよく似合う真理ちゃん。スタイルも抜群です。うん、この子になら……

▲美樹本さん、お若いというか、思いのほか小ぎれい。3人娘もキュートですが、正直、こんなに可愛らしかったとは……

▲田中さんは『探偵物語』を彷彿とさせる服装で、個人的には意外な印象でした。でも確かにあからさまにアヤシイ!

舞台となるペンション・シュプールで、死体が見つかることから物語が一気に動き出すわけですが、現場となった一室に踏み入ったとき、凍えるような感覚を覚えました。風の音やグラフィックの効果もあるのですが、文章での表現もすばらしく、それだけでも冷気が感じられるほど。寒風吹き込む窓、風を受けてバタバタ乱れるカーテンなど、透くんの見るものが淡々と綴られていくのですが、語り口が静かに感じられるぶん、余計に怖さが際立っています。いままでラウンジは温かい雰囲気だったのに一気に寒さが強調され、そこからの温度差をものすごく感じました。

▲原作では遺体が何となくわかるCGでしたが、本作ではそこもイラスト化。窓から吹き込む雪の白と、血痕とのコントラストが凄惨さを物語っています

▲忘れちゃいけないのが、不気味な脅迫状。最初はただのイタズラだと思っていたのに……

登場人物たちは犯人がわからないことから疑心暗鬼に陥っていき、単独行動を取る人も。主人公の選択肢次第では、さらに犠牲者が増えることにもなります。ここで事件をどう推理するかが重要になってきますが、本作はボイスや立ち絵のおかげで、キャラクターの心境や状況がわかりやすくなっている部分もありました。

▲孤立は犯人の思うつぼ……?

▲本作にももちろん、フローチャートがあります。推理やストーリー分岐の確認に役立ちますね

『かまいたちの夜』は、やはりテキストに底力があるからか、体感温度の低さがバツグン。ボイスやイラストが付いても、気温や空気感など想像の余地はしっかり残されているように思います。また、キャラクターの声と顔が具体的にわかることで、より親しみも沸くし、作品としてもとっつきやすくなっているので、シリーズ未経験の方の入門としても最適です。人物以外にもシーンの構図や演出がアレンジされている部分があったり、セルフパロディがあったりとシリーズファンの方は両方の違いを楽しめるかと思います。

本作にはさまざまな結末が用意されていますが、どれも驚きがありますのでぜひすべてのエンディングを網羅してみては。選択肢によっては遭難したりして、たっぷりの雪の怖さを存分に味わえるルートもありますよ!

『かまいたちの夜 輪廻彩声』
【寒さ】★★★★☆
【壮絶さ】★★★★★
【絶景】★☆☆☆☆
【雪の質感】ドカ雪

©Spike Chunsoft / 我孫子武丸 / Estuarium / MAGES.


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