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【全曲レビュー】声優・森久保祥太郎、10年間の集大成。『BEST ALBUM~髄から叫び凛と咲く~』3枚組・全44曲の一大叙事詩と向き合って…

【全曲レビュー】声優・森久保祥太郎、10年間の集大成。『BEST ALBUM~髄から叫び凛と咲く~』3枚組・全44曲の一大叙事詩と向き合って…

森久保祥太郎のランティス移籍10周年を記念し、その集大成となるベストアルバム『森久保祥太郎BEST ALBUM~髄から叫び凛と咲く~』がリリースされた。彼が2001年に最初に作ったアルバム『髄(Zui)』をタイトルに入れ、その音楽活動の全てを網羅したことを感じさせるベストアルバム。収録曲全44曲をここに紹介する。

文 / えびさわなち


<Disc-1>

1.It’s me
作詞・作曲:森久保祥太郎・井上日徳 編曲:井上日徳

2015年リリースのシングル「PHANTOM PAIN」収録。彼の音楽の姿勢とスタイルを高らかに宣言するような、宣誓する音。せめぎ合う音が超常バトルを起こすような印象を感じさせるこの曲は、骨太に響く歪んだギターの音と唸るようなシャウトで聴かせるダークなラウドロック。この1曲に、彼の指針、そしてその後ブレることのない強い意志を感じることの出来るナンバーなだけに、3枚組という一大叙事詩であるこのベストアルバムにとっては“最強の始まり曲”だ。

2.Let’s get started
作詞・作曲:森久保祥太郎 編曲:井上日徳

2012年にリリースされたアルバム『凛~rin~』収録のラウドチューン。少しもブレない彼の音楽の真髄を、ベストアルバム冒頭の2曲で感じさせるとはさすが。歌詞の言葉がアッパーな音に乗って力強く響く。ポジティヴなメッセージと唸りをあげるギターリフと軽快なビートに彩られたライブユースな1曲に、求めるものを諦めない彼のハートと変わらぬ音楽への熱い想いを感じさせる。

3.Power Я
作詞:森久保祥太郎 作曲:森久保祥太郎・井上日徳 編曲:井上日徳

2014年リリースのミニアルバム『TRIBALISM~sunrise side~』収録。この曲も含め、本作でタイトルの最後に「Я」のついている楽曲は、2001年に発表したアルバム『髄(Zui)』収録曲のセルフカバーとなっている。デジタルな音をミックスして、ラップで圧倒する序盤から感情的でメロディックな歌へと姿を変えていくミクスチャーデジロック。グルーヴする歌声と、パワフルなメロディが印象的な1曲だ。デジタルビートもギターも、歌声さえもリズムを刻む強気な音の波に心が躍る。

4.D.I.G
作詞・作曲:森久保祥太郎 編曲:井上日徳

2012年リリースの『凛~rin~』収録曲。速いビート感で圧倒するデジタルロック。硬質な音とギターの生音とのバトル感あるトラックに駆けあがるようなビートが忙しなく展開していけば躍動するグルーヴに思わず踊り出してしまいそう。ヘヴィでタフでラウドなデジタルロックに乗るボーカルは、もはやそれさえも“楽曲を作る”パーツ。“トラック”“生々しいバンドサウンド”“歌声”で掻き鳴らす三位一体のパワーチューン。

5.My Destination
作詞・作曲:森久保祥太郎 編曲:井上日徳

2009年リリースのアルバム『叫~kyo~』収録のメロウで哀愁ある1曲。鼓動のように刻まれるギターのリフと切々と歌い上げる森久保のボーカルとが絶妙に絡みあえば、哀愁の中に宿る「消えない炎」を思わせる。何か足りない、と焦燥しながらも前へ踏み出す強さを宿している印象が強い綴られた言葉は、きっと彼にしか綴ることのできない想い。これは過去を背負ってでも前へ進む、ひとりの男の叙事詩。

6.臆病者 Я
作詞・作曲・編曲:井上日徳

2014年リリースのミニアルバム『TRIBALISM~sunrise side~』に収録された、『髄(Zui)』のセルフカバー曲。ラウドで重厚なギターリフ、という彼らしさはそのままにスタイリッシュなデジタルサウンドとのミクスチャーでの無機質なクールさがありながらも歌声でエモーショナルな熱を加えて彩った1曲。ソウルフルなボーカルで聴かせることでグルーヴを感じさせる。

7.Cloudy sky
作詞・作曲:森久保祥太郎 編曲:井上日徳

2ndアルバム『凛~rin~』収録曲。「曇り空」を意味するタイトルながら、綴られているメッセージはどんな困難にも止めることのできない、前へ進もうという強い想い。雲なんて吹き飛ばせ、という勢いを、ミディアムなラウドロックの中に感情と共にぶつけた1曲なのだ。冒険へと向かう船の帆を押すような、迷う者の背中を押して太陽を見せるような生命力に溢れた曲だ。

8.TRUTH
作詞:森久保祥太郎 作曲・編曲:井上日徳

2016年リリースのシングル「TRUTH」収録のタイトル曲。ゲーム「SideKicks!」のオープニング曲として作られたこの曲は、作品からインスパイアされ、摩天楼から見下ろす景色を意識して作られたラウドながら跳ねるビートが印象的なヘヴィロック。厳かなほどのコーラスワークとダークな色彩感ある楽曲で表情豊かにドラマティックに聴かせるアッパーチューンである。

9.SHAKE!!
作詞:森久保祥太郎 作曲:森久保祥太郎・井上日徳 編曲:井上日徳

2015年リリースのシングル「PHANTOM PAIN」に収録された1曲。グルーヴし、ダンサブルなナンバーはラウドながら森久保のベースミュージックであるソウルミュージックのテイストを散りばめ、サイケデリックなギターのリフも印象的なナンバーだ。好きなことに夢中になることは誰にも止められないのだ、と。心赴くままにいけばいい。軽妙な言葉の奥から届くメッセージに熱くなる。

10.Home sweet home
作詞・作曲:森久保祥太郎 編曲:井上日徳

アルバム『叫~kyo~』収録曲。森久保自身がW主演で臨んだ特撮映画『時空警察ハイペリオン』のDVDエンディング曲でもあるバラード。パワフルなボーカルで力強く聴かせるバラードの熱と、メッセージに宿る温かさとを強く感じさせる1曲になっている。囁いたり、優しく、切なく歌うのではなく、生命力が湧き出てくるようなパワーボーカルで聴かせるバラードで森久保のボーカルの真骨頂を見た。

11.~interlude~ 「Detox」
作詞:森久保祥太郎 作曲・編曲:井上日徳

アルバム『凛~rin~』収録曲。“間奏”を意味したり、空気を変える場面で用いたりする「Interlude」。アルバムでは「MIRROR」と「Fatboy」の間に収録され、ふたつの曲の世界観の境目となって両曲を繋いだ1曲だ。セッション感のある生々しいグルーヴと叩きだされる轟音とがミックスされ、感情的に言葉を吐きだすようにシャウトする森久保が印象的な、駆け抜けるナンバー。

12.Catharsis-Dinner
作詞・作曲:森久保祥太郎 編曲:井上日徳

アルバム『叫~kyo~』収録。轟き唸るギターのイントロからシャウトが響く熱いヘヴィロック。ダイナミックな音が躍るロックは層の厚いギターのリフのリズミックな印象とボーカルを聴かせるパートとでコントラストをつけながらサビではギターとボーカルとで圧倒的なパワーを感じさせる展開での豊かな表現に耳を奪われる。まさに極彩色のメインディッシュに相応しいロック!

13.G行為 Я
作詞:森久保祥太郎 作曲:森久保祥太郎・井上日徳 編曲:井上日徳

2014年リリースのミニアルバム『TRIBALISM~sunset side~』に収録された、『髄(Zui)』収録曲のセルフカバー。発売の数か月前にリリースされたミニアルバム『TRIBALISM~sunrise side~』の対となる作品であり、スタイリッシュでヘヴィなデジロックへの挑戦という森久保の新境地は、この曲からも感じられる。デジタルビートとラウドに鳴り響くギター。そして軽快に軽妙に、奔放に踊るボーカルが未開の新ジャンル生む斬新な1曲だ。

14.Parallel World
作詞:森久保祥太郎 作曲:森久保祥太郎・井上日徳 編曲:井上日徳

2009年リリースのシングル「Parallel World」のタイトル曲。掻き鳴らされるギターと畳み掛けるドラムとベースのビートとで押し寄せる疾風怒濤のサウンド感のこのナンバーは、森久保W主演映画『時空警察ハイペリオン』挿入歌でDVDのオープニングも飾った。この曲を聴けば、躍動するハイペリオンたちの活躍やダークな音の奥にバトルさえも見えてきそう。テンションのアガるサビメロに胸が熱くなる。

15.Ride Free
作詞・作曲:森久保祥太郎 編曲:井上日徳

2008年リリースランティスで最初のシングル「Ride Free」収録のタイトル曲。イントロから森久保節全開、と言わんばかりの重厚に絡み合うギターの旋律と、力強い歌声で紡ぐメロディ。低く響く声とハイトーンで重なるコーラスの声。森久保のボーカルの魅力を最大限に引き出すユニゾン部分に耳を奪われる。カラフルながらパワーの漲る様が凝縮されたようなボーカルスタイルを堪能できる1曲だ。

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