Interview

【インタビュー】竹内まりやによる楽曲も歌いこなす美声。声優・早見沙織、劇場版『はいからさんが通る 後編』主題歌で“幸福なコラボ”再び!

【インタビュー】竹内まりやによる楽曲も歌いこなす美声。声優・早見沙織、劇場版『はいからさんが通る 後編』主題歌で“幸福なコラボ”再び!

精力的な声優活動の傍ら、アーティストとしての活動も3年目を迎えた早見沙織。9月19日リリースの5thシングル「新しい朝(あした)」は、劇場版『はいからさんが通る 後編〜花の東京⼤ロマン〜』の主題歌となる表題曲に加え、自身によるソングライティングの洗練著しいカップリング2曲が収録される。2ndアルバムの発売とライブツアーの開催までを控えた今、作品に込めた思いと楽曲制作の裏側について話を聞いた。

取材 / 澄川龍一 文 / 寺田龍太


普遍的なメッセージが込められた「新しい朝」

劇場版『はいからさんが通る 後編』の主題歌となる「新しい朝」は、『前編』の主題歌「夢の果てまで」と同じく、竹内まりやさんの作詞曲になります。

早見沙織 まりやさんから歌詞をいただいた時、一緒に歌詞の内容に関するご説明のお手紙をいただきました。それを読むと、この曲は私の歌であり、『はいからさん』の主題歌でもあるけれど、「さまざまな困難を経ても立ち上がって今を生きていく人々の強さ」という、誰しもに届く普遍的なメッセージも込められたというんです。すっと耳に染み込んでくる美しいメロディはもちろん、作品にさらなる広がりを持たせるような歌詞も含めて、とても壮大な楽曲だと感じました。

「夢の果てまで」は作品のアフレコ前に録音されたそうですが、今作のレコーディングのタイミングは?

早見 今回もアフレコの前に録りました。私たちの日々のあれこれにマッチする歌詞だけど、紅緒を演じた後に聴き直したら、やはり『はいからさんが通る』の内容にもすごくフィットしましたね。

だんだんと成長していく紅緒を演じてみて、いかがでしたか?

早見 『後編』は紅緒が女性として社会人になっていく過程が中心に描かれていて、観ていて気持ちの良い展開ですよね。そういった部分で変わるところと、まったく変わらない紅緒らしさの対比が面白かったです。許婚が戦死するという絶望的な状況でも、ある種の安心感を持って観られる。そうした紅緒の変わらない良さを素直に演じていきました。

竹内まりやとの幸福なコラボレーション

一聴するとシンプルな展開で、歌詞の言葉数も少なめなバラード楽曲ですが、様々な思いや感情が乗ったような早見さんの歌唱が印象的です。

早見 実際、歌っている最中に自分自身でもグッと来たテイクを採用してもらいました。色々な人に届けられる曲だけど、歌う段階で自分に刺さりすぎて、途中でうるっときてしまって。自分のこれまでの節目節目を思い出して、すごくこみあげるものがありました。まりやさんからは「沙織さんの感じるままに歌声で表現してもらえれば」というお言葉もいただき、こうして2度目の機会をいただけたのはすごく幸せなことだったと思います。

「生き続けてゆくの」「いのちある限り 道は続いてく」といった力強い言葉選びも特徴的です。

早見 この歌詞をまりやさんがお書きになったという、少し俯瞰した視点での感動もあるんですよね。あれだけ多くの名曲を歌われてきて、さぞや色んな出来事があったであろうまりやさんの人生の、その1ページほどしか想像できない私ですら、その長い道のりを感じさせられるパワーがあるというか。

実際に歌う側としては大変そうな印象もありますが。

早見 聴くだけだったらどんなによかったか、とも思いました(笑)。特に序盤ですが、壮大だからこそ素朴な歌い方を意識しています。ロングトーンで歌声を響かせるよりは、メロディと歌詞の持つ純粋なエネルギーをシンプルに届けるようなかたちになりました。

MVは実写で、ストーリーの解釈を観る人に委ねるような映像となっています。

早見 短編フィルムのような、ドラマ仕立ての映像ですよね。最初に監督から構成をいただいたときには、もう少し先まで物語が描かれていましたが、実際に完成した映像を観たら、すごく良いところで終わっている。観る人に想像の余地を残しているのが良いな、と思いました。この歌詞がまったく違う物語にもフィットして、より楽曲の幅を広げてくれましたね。

楽曲制作を重ねる中で見えてきた変化

カップリングの2曲はご自身による作詞曲になります。1曲目の「メトロナイト」は7、80年代のシティポップ風のファンキーなサウンドで、「夢の果てまで」のカップリング「SIDE SEAT TRAVEL」とも相通ずるテイストです。

早見 これはこれで毎回変わらないプレッシャーのあるところで(笑)。今回は6、7曲ほどカップリング候補を提出し、今までの提出分とあわせて会議に乗せたところ、バラードを重ねるよりはテイストの違うものを、ということでこの曲に決まりました。この曲は最初にサビだけ歌詞ができていましたが、AとBにまで歌詞が展開できなくて、編曲さんにはメロディだけお渡ししたんです。返ってきたアレンジが都会的でアーバンなサウンドに仕上がっており、そのイメージをヒントに歌詞と世界観を組み上げていきました。全体のモチーフのまとまりは編曲に助けていただいたところがありますね。

「SUNNY SIDE TERRACE」も渋谷系以降のお洒落さにソウルミュージックのグルーヴィーな歌唱を加えたような楽曲で、早見さんの楽曲アプローチの幅の広がりを実感できる一曲です。

早見 こちらは最初から短編映画的に、情景をイメージしながら作ることができました。確かに今だから作れた曲という気はしていて、全部含めて一枚のシングル、という意識で聴いていただければ嬉しいです。

デビュー以来、どのシングルでもご自身によるソングライティングを続けられております。経験を積んだことで、作曲の仕方などに変化は出てきましたか?

早見 変わってきているかもしれません。楽曲制作の段階を把握できるようになった中で、今まで無造作に作っていた部分を意識的に作り込んでいく機会は増えたと思います。できるアプローチが増えたことで、逆に全然できないこと、今後身に付けるべきことも分かってきて。プラス面とマイナス面の両方が見えてきましたね。

待望の2ndアルバムとライブツアーを控えて

5thシングルのリリース後、12月19日に2ndアルバムが発売予定とのことですが、どのような作品になりそうでしょうか?

早見 私から出さなきゃいけないものを大慌てで頑張っている最中です(笑)。ただ、「ここの仕掛けは面白いな」とか、「良いアレンジの雰囲気になったな」とか、私が楽しいと思ったものを詰め込んだアルバムにはできそうですね。前回のアルバムから2年を経てきた中で、自分自身が楽曲により深く関わったからこそ感じられるようになった、面白さや仕掛けのようなものがぎゅっと詰まった一枚になると思います。

アルバム楽曲は細部にご自身のこだわりが詰まった、ポップミュージックでも一筋縄ではいかないサウンドに仕上げてくる印象です。

早見 「Jewelry」からそうなのですが、お芝居でも自分の中でも、人間の多面的な部分に関心を持っているところがあって。一概に良い部分と悪い部分だけではない、人間の多面性のようなものをうまく楽曲に落とし込んで、素敵なアルバムにしたいと考えています。自分自身が揺さぶられた一瞬の表現みたいなものを大事にして、お芝居も音楽も続けていけたらと思います。

今後の活動のご予定は?

早見 アルバム発売後の12月23日にスペシャルライブがあり、年明けにはライブツアーがあります。昔から応援してくださっている方なら「何が起こってるんだ」と驚かれそうなぐらい、冬から春にかけては突然濃密な展開になってしまって(笑)。12月のスペシャルライブはリリース記念の開催でもあるので、シングル曲はもちろん、プラスアルファでアルバム曲も歌えたらいいなと考えています。

劇場版アニメーション『劇場版 はいからさんが通る 後編 ~花の東京大ロマン~』

2018年10月19日(金)公開予定

©大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会

早見沙織 オフィシャルサイト

劇場版アニメーション『はいからさんが通る』オフィシャルサイト