Interview

山田裕貴×齋藤飛鳥(乃木坂46)が映画『あの頃、君を追いかけた』共演で感じた“役者とアイドル”の魅力

山田裕貴×齋藤飛鳥(乃木坂46)が映画『あの頃、君を追いかけた』共演で感じた“役者とアイドル”の魅力

台湾で2011年に公開され、社会現象を巻き起こすほどの大ヒットを記録した青春恋愛映画『あの頃、君を追いかけた』。舞台を日本に移したリメイク作で、主人公の浩介を演じるのは、話題作に次々と出演中の山田裕貴。そして、浩介に10年間も一途に思いを寄せられる真愛に抜擢されたのは、本作が映画初出演となる乃木坂46の齋藤飛鳥。座長とヒロイン。役者とアイドル。撮影を終え、映画が完成し、数多くの取材を一緒に受けてきた2人はお互いのことをどう見ているだろうか——。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 増永彩子


齋藤飛鳥の最強の武器。「一瞬で人を惹きつける魅力がある。」(山田)

お二人は本作が初対面になります。出会う前はどんな印象を持ってました?

山田 乃木坂46の齋藤飛鳥さんだなって。最初は「『インフルエンサー』を聴いてました」とか、「『NARUTO』の主題歌も聴いてました」とか、そういう話くらいしかできてなかったと思います。

齋藤 山田さんは、いろんな役をやられているから、どういう人なのか想像ができなかったです。どの役もハマってらっしゃるから、怖っ! って(笑)。

山田 実際はどういう人なのかなって思うよね。

実際にお会いしてからはイメージが変わりました?

山田 初めましてが本読みの時だったんですけど、「今、ここにいるのは女優の齋藤飛鳥さんだ」と思って、果敢に喋りに行こうとしてたんです。でも、やっぱり、最初はビクビクしちゃって。大人しそうだったし、クールに見えるから。でも、撮影が進んでいくうちに、本当の笑顔かわからないですけど、笑顔が見られるようになってきて。本物だと自負してるんですけど、僕は!

齋藤 ふふふふ。たまに、ほんとの笑顔でした。

山田 騙されてたわ~。

齋藤 ウソですよ。ちゃんと笑ってました(笑)。

山田 良かった。あと、「芝居、やりづらくないですか?」って聞いてきてくれるようなところもあって。しっかり考えたり、悩んだりしているのも伝わりました。僕としては、「もうちょっと頼ってくれてもいいよ〜」って思いながらも、あんまり「どうしたの?」とか「大丈夫?」って聞かれるのも嫌なんだろうなとも思ってて。そこは距離感を保ちながら、何か話をしてくれた時には聞こうと思ってました。お芝居への熱みたいなものはすごく感じてたので、案外、心の中ではメラメラ燃えてるものがあるのかな、僕と似てるなと!

齋藤 私は最初、男の子たちが全員、最初から空気感が出来上がっていて、すごい仲良くて、いいなって思う反面、私には初対面の人とすぐに打ち解けられるような要素がないから、仲良くなれないんだろうなって思っていたんです。だけど、撮影していくうちに、すごく熱い想いがある人だっていうのがわかって。いろんな役を演じられていたのも、山田さんが多重人格なわけではなく、お芝居に対してすごい愛を持っているからなんですよね。そこはすごく、尊敬できるというか。やっぱりアイドルって、どこかが足りなかったり、いつも本業の方には追いつかないなっていう気持ちがあるので、俳優一本で突き進んでいらっしゃる姿はカッコいいなと思いました。

撮影しながらさすがトップアイドルだと感じた瞬間はありました?

山田 めちゃくちゃありましたよ。やっぱり、一瞬で人を惹きつける魅力があるんですよ。自分のセリフを受けたあとの顔とか、笑ってる顔とか。「すげえな!」って思う瞬間がたくさんありました。あと、最近、取材を一緒にさせてもらってて感じたことなんですけど、僕が喋ってる範囲と同じ範囲で喋ってくれるんです。なんと言うか、同じ流れで、端的にわかりやすく喋ってくれる。

齋藤 あははは。分析するところがおかしい。

山田 やっぱり俳優だから、人をよく見ちゃうんだよね(笑)。

齋藤 急に!?

山田 僕と同じスタート地点から喋って、終わらせてる。ものすごく頭がいい。さすが文学少女だなと。だから、優等生という役柄もぴったりなんだなって思いましたし、作品の中でも一瞬の輝きがすごかった。映り方が素敵って、最強の武器だと思うんです。

山田さんの座長っぷりはいかがでしたか?

齋藤 お芝居の面とか、技術の面でも、経験値が圧倒的に違うので、見ているだけで、「ああ、座長だな」と感じました。私も含めて、あんまりお芝居をしたことない方や、映画に初めて出る方を自然と引っ張ってくれて、現場でも、みんなが楽しくできるように、いろいろ盛り上げてくださいました。作品の中でも、男子チームと女子チームが仲良くなっていく段階が描かれているのですが、そこも考えながら、少しずつ関係性を作ってくれたんです。私は普段、乃木坂46のメンバー以外と関わることがあんまりないので、最初は結構、戸惑っていたんですけど、山田さんのおかげで、あんまり辛くなることもなく、すっと受け入れられたし、私のこともすっと受け入れてくださいました。

齋藤さん自身もヒロインの真愛と同じように、どんどんみんなと打ち解けていきました?

齋藤 そうですね。仲良くなっていく感じは映画とシンクロしていたような気がします。

山田裕貴が、一番“素”に近い役。「生き写しと言っていいくらい(笑)」

それぞれの役柄についてはどう捉えてました?

山田 浩介は、松本穂香ちゃん演じる幼馴染の詩子にも、「芸術家と犯罪者が二人いる」って言われるんですけど、二人いるから迷ってしまう真愛がいる。そこは、話の中の一番のポイントであり、意識するべきところだったと思います。「芸術家」と「犯罪者」って、言葉として出ちゃうとそのイメージを持たれがちですけど、誰もがそういう面(二面性)を持っていると思うんですよね。だから、そういう面のある、“普通の男の子”からは外れたくなかったんです。でも、例えば、裸族であったりとか、普通の人では考えられないような部分も持ってるんだけど、それも、本人の中では当たり前に生きてるっていうか。「当たり前に自分を生きる」っていうことを素直にできる男の子なんだっていうのは外さずに演じていたかなと思います。

齋藤 真愛ちゃんは、10年間ずっと思われ続けるくらいですから、相当魅力的な人だなと思いました。“学園のマドンナ”経験は一度もないので、どうしたらいいのかなって、最初は考え込んでしまって。でも、この作品が少女漫画を原作にしたキラキラの恋愛ものだったら、役作りを必死になって頑張らなきゃいけなかったんですけど、この映画はそうじゃなくて。もっとリアルな学生の姿があったほうが、作品のトーンに合うんだろうなって思ったし、監督さんからもそういう要望は全くなかったので、割と等身大のままいこうと。山田さんや他のキャストさんとのやりとりで生まれるものがそのまんま絵になったらいいなっていう気持ちで演じました。

ご自身と共通する部分はありました?

山田 めちゃくちゃありますね。僕も浩介と全く同じく、「すごい人間になりたい。俺がいると少しだけ世界が変わるような人間」ってずっと思ってた。大金持ちになりたいとか、女の子にモテたいとかじゃなくて、「すごい人間だね」って言われたいって思ってて。「一回きりの人生なんだから、教科書に乗らなきゃ意味ねーじゃん」とも言ってたと思うんですよ。だから、本当に生き写しと言っていいくらい(笑)、シンクロ率を感じてます。いま、ちょうど、浩介と同じく、高3から10年後の年齢なんですけど、案外、10年で人ってそんなに変わらないんだなっていうことも感じていて。考え方や受け入れられる容量、視野がちょっと広くなったりはしてるけど、全く他人事には思えなかったですね。

これまでにいろんな役をやってきましたけど、一番素に近いですか?

山田 そうですね。だから、入り込みやすかったです。

齋藤さんが感じた共通項は?

齋藤 クールだって言われる部分は似てますけど、真愛ちゃんは、人格が優れすぎですよね。私だったら、こんなに人と真正面で向き合ったりできないだろうなと思って。ただ、私も山田さんと同じく、セリフで、私も同じこと思ってるなとか、普段言ってるなっていうところは何個かありました。例えば、「あなたは私のことを美化してる」とか、「好きになられて不思議な気がする」とかいつも思ってるので、まんまだと思って。それは共感しました。

劇中ではたくさんの名言も紹介されてますよね。個人的に好きな名言はありますか?

山田 劇中でも出てくる「目に見えないものを信じなさい」っていう言葉は、水木しげる先生の名言だと知らずに、人に言ってましたね(笑)。あとは、これも映画の中のセリフですけど、「俺がいると世界が少しだけ変わる人間になりたい」かな。あと、「全部自分のせい」とか。何をしても、全部自分の行いが返ってきたり、人に影響を与える、みたいな。自分の心の中にも留めてます。飛鳥ちゃん、なんか言ってたよね。四字熟語。明鏡止水だっけ?

齋藤 よく覚えてますね。台湾で灯篭に書いた言葉ですね。私は劇中でも出てきたアリストテレスの思想が好きで共感できるところがあって。「人格は単発的な行動ではなく、普段の習慣で判断すべきだ」って。本当にその通りだなと思ってて。私は気分で人に優しくしたり、冷たくしたりしてしまいがちだから、単発的な行動はダメだなって思ったりしました。

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