Interview

『BanG Dream!』超人気メディアミックスの仕掛け人に聞く。クリエイターとブシロード会長が語った作品愛─「ポピパは来年、いろいろと面白いことがある」

『BanG Dream!』超人気メディアミックスの仕掛け人に聞く。クリエイターとブシロード会長が語った作品愛─「ポピパは来年、いろいろと面白いことがある」

10代、20代、30代、40代という幅広い層でファンを獲得

上松さんからは、『BanG Dream!』は道半ばまで来ているというお話が出ました。『ガンダム』で例えると初代ができた段階だと。

木谷 僕も5割くらい来ていると思います。

上松 よかった! ほっとしました(笑)。

木谷 売上で考えると全然ではありますが、例えば、『ガルパ』のプレイヤーの年齢層が下がってきているんです。だからインカムの伸びは比例していなくても、3年後が楽しみではあるんです。息子は今中学3年生なんですが、隣の隣の席の友だちから『ガルパ』を薦められたと言うんですよ。「あっ、そう」とか言っておけよと返したんですが(笑)、中学生男子が触り始めるところまで下がってきているというのは事実ですね。

上松 じゃあ、曲調を若くしていくのも大事かもしれないですね。

中村 あまり難しくしないように。

上松 逆に45歳を超えたファンはどのくらいいますか?

木谷 10%もいないと思います。ただ、そこはこれからどんどんと増えていく層なので。人口で言えば1学年に200万人がいる世代ですからね。だから、その層が好きな曲をカバーでやるというところはありますね。

上松 とすると、一所懸命若作りしようと思っていたんですがこのままで良さそうですね(笑)。

木谷 だから、ライブでも半分が立っていて、半分が座っているような形式もアリだと思います。だって去年生まれた子供は94万人ですからね。となると、いちばん人口が多い層を常に離さないという意識は持つ必要があります。そのとき、曲だとその層もつかみやすいんですよ。だから音楽はすごいと思います。

僕が「走り始めたばかりのキミに」が好きなのも70、80年代を感じさせるからなんです。いや、中村先生の詞はすごいですよ。普通に聴いているとわからなくても、よくよく聴いてみるとすごくいい詞だとわかる。「走キミ」の詞が本当に好きなんですよ。

上松 前からずっと推していますよね。僕ももう少し木谷さんに気に入られる曲も作るようにします(笑)。

木谷 いやいや、気にしなくていいですから。

でも、全年齢層対応のバンドに向かっていますね。

木谷 そうですね。年齢という縦の軸と、あと、男女という横の軸で考えています。ガールズバンドは今、全国にいっぱいいて、『BanG Dream!』はまさにそのものじゃないですか。自分も昔やっていたということなら思い入れを持ってくれるでしょうし。

上松 まさに(中村と自分を指し)ここですね(笑)。青春こじらしてぶつけていますから。

木谷 だから、10代から20代、30代、40代まではファンがいますね。

TVアニメ『BanG Dream!(バンドリ!)』第1期より

今の時代は親の影響でバンドを始める人が多いですし。

上松 そう。親がやっているのは大きいですよね。

木谷 昔の若い人にとってのメカや車が、今の人にとっての楽器になる可能性はありますよ。

ブームではなく、バンドが定着するという展望も見えてきます。ずっと続くものとして。

上松 そうなってほしいですね。

木谷 その中でも『BanG Dream!』は安泰でしょう。真似が出てこないので。

上松 こんなに声優さんに弾かせるのは無理です(笑)。

木谷 ただ、レベルアップは必要なんですよ。この間も現場に難易度の高いお題をまた出したところです。まだ言えませんが(笑)。

カラーがつき始めていた藤永を起用することでドラマを

そんなプロジェクトの最新、最前線にあたるのがポピパの11thシングル「ガールズコード」だと思いますが、どのような方向性で作られたのでしょうか?

上松 ずっとRoseliaを担当していた藤永(龍太郎)がポピパをやったらどうなる?というところがひとつありました。それこそ、作家的なモチベーションも大事だし、ポピパの空気も変えたかったし。

Roseliaの前はポピパの曲を数多く作編曲していた藤永さんが、久しぶりにポピパのために作曲するという点でも。

上松 そうですね、「帰ってきた」というところもあるし、「Roselia側から来た」という感じもある。僕なんかは全部のバンドに曲を書いていますが、藤永は特化していたのでマニアの人たちの中では話題になるかもしれません。

木谷 「Roselia=藤永」のイメージはついていましたよね。

上松 作家を固定すると寿命が短くなりがちなので、(『BanG Dream!』プロジェクトという)戦いが長いことに気づいてからはできる限り回していく形に変えているんです。

歌詞についても教えていただけますか?

中村 まずコードというのは和音のことではなくて、女の子のお約束、あるいは、符号というような意味にとってもらえれば。バンド以外の日常、休日を描くというコンセプトで、つまり等身大の高校生を描こうとしたんですけど、それってなかなか難しいことですよね。で、例えばaikoさんが「キラキラ」で「羽がはえたことも」と歌っていますが、それって一聴するだけだったら、どういうことなのか歌ってる本人しか分からないんです。でもそういう本人たちにしかわからないコード、というのが等身大に繋がる気がして、その手法を使いました。

聴いている側はよくわからないが、という歌詞?

中村 はい。ヒゲはマシ アイスはマシマシ、って本人たちにしか何のことかわからない。わからないんだけど何かあるんだろうな、って聴く側が想像できる歌です。ただね、ヒゲはマシ アイスはマシマシ にしても、アプリをやっていれば、なんのことかわかる。贅沢なメタ構造のようなものですね(笑)。

書き下ろしカップリング曲の「切ないSandglass」についても教えてください。

中村 歌謡曲テイストの入った楽曲ですよね。

上松 そう、この曲は自由にプロデュースしていいということだったので、これまでやってないことをやろうと考えたんです。それでノスタルジックさを感じさせる和風なメロディは誰でできるかと思ったとき、「ポピパだ」と思いました。

中村 いい曲ですよね(笑)。

上松 青春ですよね。夏が終わった感も少し出ていると思います。詞でも季節を書かれていますよね。

中村 いや、これは上松さんから、季節を描いてくれ、ってリクエストがありましたよ。

上松 そうでした!(笑)

中村 青春の中で終わっていく季節のこと、ということで書いていますね。最初、タイトルは「Sandglass」と迷ったんですが歌謡曲テイストがあったので現タイトルに。

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