LIVE SHUTTLE  vol. 295

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UVERworld 6人の固い絆が生んだ果てしなき熱量と友情──UVERworld LIVE TOUR 2018“誠果生誕祭”での真っ向勝負

UVERworld  6人の固い絆が生んだ果てしなき熱量と友情──UVERworld LIVE TOUR 2018“誠果生誕祭”での真っ向勝負

ホール、アリーナはもはや言わずもがな、野外フェスだって、もちろんドームだって、今の彼らがステージに立てば瞬く間にその空間は唯一無二なるUVERworldの世界に変わる。それは重々了解したうえで、それでもなおライヴハウスならではの剥き出しな空気感にはやはり、たぎらずにはいられない。しかもメンバー自身がクローズアップされ、その日のテーマとなるがごとき“生誕祭”となればなおさらだ。

取材・文 / 本間夕子

開演前から“生誕祭”ならではの独特の空気感が漂う

3枚組全48曲収録という特大ボリュームでも話題を呼んだベストアルバム『ALL TIME BEST』を携えて全国20ヵ所を回るホールツアー〈UVERworld LIVE TOUR 2018〉もいよいよ終盤、旅のスタートからちょうど2ヵ月後となった2018年9月25日。すなわち誠果(Sax.& Manipulator)のバースデーに彼らが選んだ舞台はZepp DiverCityだった。ライヴハウスも東京公演も久々とあって3,000人もの観客が詰めかけた場内は募る期待の熱量で開演前から途方もなく暑い。まだ無人のステージ後方にはいつものようにLEDスクリーンが設えられて“HAPPY BIRTHDAY SEIKA”の文字と共にデジタル表示の現在時刻が映し出され、着々とカウントアップする数字がオーディエンスの目を釘付けにしている。そうして予定時刻の10秒前に差しかかるとフロアが一斉に秒読み開始。すっかり常態と化した光景ながら否応なしに張り詰め、昇り詰めていくこの空気感は何ものにも代え難い。

登場SEの「TYCOON」が充満するなか、最初に誠果と真太郎(Drums)が現われた。ステージ前方まで出てきてサックスを高々と掲げる誠果。直後、真太郎のドラムソロが力強く場を揺らすや、克哉(Guitar)、信人(Bass)、彰(Guitar)もやってきてポジションについた。やにわに駆け込んできて一発、大きくジャンプを決めるのはTAKUYA∞(Vocal)だ。天に突き上げられた彰のギター、“チャカチャーン!”と切っ先鋭く鳴った音色が狂騒の幕を切って落とした。「DECIDED」だ。フロントに等間隔で設置された台に5人がそれぞれ乗っかって、横一線に並んだ様のなんと絵になることか。のっけから克哉は猛りを隠さず、フレーズとフレーズの合間を縫っては客席に向かって“来いよ”と両手でジェスチャー。信人は信人で1曲目だというのにガツガツと頭を振ってはビートのつぶてを連射する。そして、ここぞとばかりに轟くサックス。2コーラス目以降、持ち場を離れてステージを自在に行き交うメンバーを追いかけているだけでも、こちらのヴォルテージの針がぐんぐんと上がっていくではないか。

「誠果さんの、こう見えてドSな部分」がセットリストに見事に反映

「ヤベェところまで行こうよ。今日はむちゃくちゃにやっちゃっていいかな? 最近ツアーでやってない曲とか! 新しい曲とか! 懐かしい曲とか! 今日は俺、やらされるんでね」

「ナノ・セカンド」「WE ARE GO」と畳み掛け、曲の終わりにはオーディエンスひしめくフロアに背中から倒れ込んだかと思えば、たくましい男Crew(UVERworldファンを彼らは親しみを込めて“Crew”と呼んでいる)たちの腕に支えられ、まるで水面を優雅にたゆたうボートのごとく仰向けのままステージまで無事送り届けられたTAKUYA∞が、戻って開口一番、冗談混じりにそう告げた。すかさず誠果が“よろしく!”とばかり人差し指・中指を揃えた左手をチャッとTAKUYA∞に差し向ける。そんなおどけたやり取りがなんとも“生誕祭”らしく、おかしくも嬉しい。ちなみに“生誕祭”のセットリストは誕生日を迎えた当事者が決めていい、というのがUVERworld内ルール。従ってこの日の選曲、曲順はすべて誠果の一存で決められたらしい。記載のセットリストをご覧いただければ直ちにご理解いただけるだろうが、これがもうアッパー&アグレッシブナンバー目白押し。のちのMCにて真太郎曰く「誠果さんの、こう見えてドSな部分」が見事に反映された、なんとも前のめりなセレクトだ。ゆえに演奏するメンバーにもガチの体力勝負が要求されるが、それを真っ向から受けて立つことが誠果への何よりのプレゼントに違いない。

“最近ツアーでやってない曲”が生で聴けたりするのも“生誕祭”の醍醐味

「このセットリスト、この空気感、このテンションでライヴするのは今日で最後だからな! 俺たちの大事なサックス奏者・誠果のバースデー、今年一番の夜にしようぜ!」

TAKUYA∞が呼びかけて、なだれ込んだのは「Fight For Liberty」。今回のホールツアーではおそらくまだ一度も演奏されていないこの曲に一段と大きな歓声が起こった。二度はない、たった一回限りの今日に捧げる誓いがひしと伝わって場内の興奮に拍車をかける。軽やかなサックスのタンギングが楽曲全体をいっそうリズミカルに牽引してZepp DiverCityを灼熱のダンスホールと化した「LIMITLESS」。不敵と不穏をない交ぜにしたようなUVERworldの中でも振り切れて尖った一曲、「誰が言った」の痛快な破壊力。「Wizard CLUB」で披露する楽器隊5人の分厚い打楽器プレイはその後「Collide」「WE ARE GO」と繋がってバンドの重要な武器となったパーカッション使いの原点を感じさせて、今なお新鮮だ。こうした“最近ツアーでやってない曲”が生で聴けたりするのも“生誕祭”ならでは。UVERworldにとって“生誕祭”とは“祝ってもらうヤツが祝ってくれる人を幸せにする日”だからこそ、誠果も格別の想いを持ってこれらの曲を選んだのだろう。なかでも本日唯一のバラードとなった「優しさの雫」は懐かしさも相まって、つくづく沁みた。

この曲の演奏に入る直前のMCでTAKUYA∞はUVERworld結成当初を振り返り、他に空いているパートがないからと「オマエ、サックスやれよ」というTAKUYA∞のひと言で、誠果が「うん!」と、未経験者にも関わらずすぐさま買いに走ったのが始まりだと明かしたが、それをニコニコと聞いている誠果の首にかかっているのがまさにそのときのサックスだとはなんと美しい話だろう。加えてバラードをあまり作ったことがないというTAKUYA∞が“こんなにいいサックスがバンドにいるならそれをフィーチャーした曲が欲しいな”と彰と一緒に作業して形にした曲、TAKUYA∞にとって生まれて2番目に作ったバラードとなるのが「優しさの雫」なのだという。この曲が1stアルバム『Timeless』に収録された当時、誠果は自ら裏方に回ることを選んでいた。少なからぬ紆余曲折を越えて今、彼は正式メンバーとなり、サックスプレイヤーとしてマニピュレーターとして、バンドに欠かせない武器になった。そんな彼の来し方を柔らかく包み込むように織りなされるアンサンブル、間奏のサックスソロが朗々と会場を渡る。優しく、温かな極上のひとときだ。

Zepp DiverCityの天井を突き破らん勢いで「全部やって確かめりゃいいだろう」と3,000人が叫び、「La la la」と声を揃えた「PRAYING RUN」や、銀テープの雨が晴れやかに降り注いだ「シリウス」といった現在のライヴの主軸を担う鉄板曲も今日はことさらソリッドかつシャープに迫ってくる。そう思えたのは、やはりツアーという日々の研鑽の賜物だろう。最新シングル曲「ODD FUTURE」もますますブラッシュアップされ、かたやヘヴィ&ラウドな「WE ARE GO」、かたやシリアスなロックチューン「Fight For Liberty」といったハードな面構えの楽曲に挟まれながら、新境地の本領を存分に発揮していて頼もしかった。

盛り上がりがMAXに達したオーディエンスを今度は心地よき“楽園”へと誘う

「ここで一発、単なる“おめでとう”に100倍勝る情熱的な一体感を誠果にお見舞いしてやろうぜ! おい、誠果! 全員の“おめでとう”を受け取りにいけ!」

TAKUYA∞に促され間髪入れずに誠果の吹き荒ぶような「零HERE」のメロディが場内を爆発的に沸騰させる。大合唱にビリビリと震える空気。これまでに体験してきたものをさらに上書きしてとめどない「IMPACT」が後半戦のピークをどこまでも押し上げていく。ステージもフロアもまだこんなに力を残していたのか? いや、明日など考えない覚悟ですべてを振り絞り、出し切ろうとしているのだ、きっと。果敢にオーディエンスの中に突っ込んでいくTAKUYA∞、克哉も彰も客席に負けじとギターをかきむしっては咆哮する。とっくに全身汗みずくで、それでもひたすらストイックに弦を弾く信人。ここまでほぼノンストップで叩き詰めながら、まるで衰えを見せない真太郎のドラムプレイにも目を見張ってしまう。彼の生み出す重くて、速くて、ダイナミックなリズムが熱狂を支える要となっているのがわかる。

そうして、まだ余韻が醒めやらぬなか、満を持して披露されたのが11月7日にリリースが決定した新曲「EDENへ」だ。7月期のドラマ『インベスターZ』のオープニング曲としても話題を呼んだこの曲は、言うなればUVERworldの未来への招待状だろうか。大胆に打ち込みを取り入れ、必要最小限のギリギリまで余計なサウンドを削ぎ落としつつ、神話級のスケール感をたたえた音像が聴き手を別世界へと誘う。もとより電子音はUVERworldの音楽をUVERworldの音楽たらしめるに不可欠な要素であり、聴き手にとっても馴染みのもの。「ODD FUTURE」のような昨今流行のトロピカルハウス風のアプローチを独自の解釈で取り入れた楽曲や、EDMを前面に押し出した「奏全域」など、その在りようはつねに進化してきたが、それらを以てしてもこの「EDENへ」は新しい。“楽園”というワードに付随する、恍惚とする一方で切実さもはらんだ多幸感、酔いしれるようでいて目の覚めるような聴き心地。彼らが大作『TYCOON』の先に見据えた“次”、その一角に触れた気がしてそら恐ろしくも胸が高鳴ってしまう。

UVERworldを心から愛してくれて、こんな自分をも大切にしてくれる誠果への想いをまっすぐに口にし、「みんなにも本当の意味で心から幸せにしてやりたいって思う人が隣りにいるような、そんな誕生日を迎えて欲しい」とラスト2曲を前にして語りかけるTAKUYA∞の言葉を3,000人が噛み締める。またここから共に歩んでいくための始まりの合唱「Ø choir」、そして「在るべき形」がエンディングを飾った。ひとつの台に一緒に乗り、TAKUYA∞が誠果の肩をがっちりと抱く。バンドメンバー以上の、人として、かけがえのない仲間としての“在るべき形”を見ているのだと思った。このふたりだけではない、6人それぞれの間に結ばれた絆が混じり気なく伝わってくるから、我々はUVERworldとその音楽に惹かれてやまないのだろう。

「ありがとうございました! マジでヤバかった。最高やった、ホンマに。メンバー6人がいて、熱いCrewがいて、そんな中に俺がいられていることを感じられた夜でした。これからも個人としてもUVERworldとしても、いい意味でみんなの期待を裏切っていくので、よろしくお願いします!」

誠果が残した言葉と笑顔に喝采はいつまでも続いた。

この翌日、〈UVERworld LIVE TOUR 2018〉の最終公演である沖縄2公演の開催が台風24号の影響により見送られることが告知された。この2公演の今後については追ってさらなるアナウンスを待ちたい。なお、同じく台風によって延期となった8月23日の愛媛公演は10月10日に振替公演が行なわれる。いずれにせよUVERworldの旅はこれで終わりではない。11月5日には東京・豊洲PITにて真太郎の“生誕祭”が、11月9日からは全国8都市にてアリーナツアー〈UVERworld ARENA LIVE 2018〉が開催される。さらに11月7日にはニューシングル「GOOD and EVIL/EDENへ」もリリースされる。気が早いが来年も彼らはきっと立ち止まりなどしないだろう。6人が前進し続ける限り、共に走っていくだけだ。

“UVERworld LIVE TOUR 2018” 誠果生誕祭
2018年9月25日@Zepp DiverCity

SET LIST

TYCOON(SE)
M01.DECIDED
M02.ナノ・セカンド
M03.WE ARE GO
M04.ODD FUTURE
M05.Fight For Liberty
M06.LIMITLESS
M07.誰が言った
M08.PRAYING RUN
M09.シリウス
M10.優しさの雫
M11.CORE STREAM
M12.Wizzard CLUB
M13.CORE PRIDE
M14.Q.E.D.
  零HERE(SE)
M15.IMPACT
M16.EDENへ
M17.Ø choir
M18.在るべき形

リリース情報

SINGLE「GOOD and EVIL/EDENへ」
2018年11月7日発売
初回生産限定盤(CD+DVD)SRCL-9904 ¥1,667(税別)
通常盤(CD)SRCL-9906 ¥1,204(税別)

UVERworld(ウーバーワールド)

TAKUYA∞(vocal,programming)、克哉(guitar)、信人(bass)、誠果(sax,manipulator)、彰(guitar)、真太郎(drums)。
滋賀県出身。バンド名は“自分たちの世界を超えて広がる”というドイツ語を変形させたUVERとworldから名付けられた。2005年にアニメ『BLEACH』主題歌「D-tecnoLife」でデビュー。2008年に発表された12thシングル「儚くも永久のカナシ」で初のシングルウィークリーランキング1位を獲得。さらに同年末には日本武道館、大阪城ホールでの単独公演、2010年には初の東京ドーム公演を実現。2012年からはアリーナツアーも敢行。2014年3月、サポートメンバーだった誠果がメンバーとして加入し6人編成に。2017年8月2日に約3年ぶりとなる9thアルバム『TYCOON』を、2018年7月には『ALL TIME BEST』をリリースしている。

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