LIVE SHUTTLE  vol. 24

Report

浜崎貴司 shibuya duo MUSIC EXCHANGE 2016.04.16

浜崎貴司 shibuya duo MUSIC EXCHANGE 2016.04.16

ベスト盤「SIRUSI」発売記念ライブ~今回はソロだけどバンドだぞ!

浜崎貴司初のソロ・ベスト・アルバム『シルシ』の発売記念ライブがshibuya duo MUSIC EXCHANGEで行われた。
18年に及ぶソロ活動の集大成でもあり、浜崎の核ともいえる、今この時を生のほとばしりと共に生きる歌が並び、観客を圧倒していく。
ソロとしては久々のバンド形式でのライブでもあり、新しいバンド・サウンドの中で行われたステージは、常に進化し続けている今現在の浜崎を伝える。
過去と現在と未来が交錯しながら、観客一人一人の胸に、深く確かなシルシを刻んだ一夜の様子をお届けする。

取材・文 / 兼田達矢


2月にリリースされた初めてのソロ・ベスト・アルバム『シルシ』のお披露目ライブ。“今回はソロだけどバンドだぞ!”というサブタイトルがわざわざ付けられていて、それは「バンドで鳴らすということがポイントです」というメッセージなんだろうと思われる。
もっとも、そのサブタイトルは略して“ソロバン”と呼ばれていたようで、その略称を叫んでみたいだけだったのかもしれないが、それに倣えば「ソロだけどバンドだぞ!」と主張したい気持ちはさしずめ“ソロバン感情”と言えるはずで、だからこちらはソロとバンドを「だけど」という逆接関係でつないだことの収支を頭の中ではじきながらステージを見守ることになった。

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浜崎がFLYING KIDSというバンドのフロントマンとしてシーンに登場したことは周知の通りだが、バンド解散、10年後の再結成を経て、現在の彼はバンドでの活動とソロ活動を並行して展開している。
さらに言えば、ソロ活動部分では一人きりで日本中を旅する弾き語りツアーを続けながら、ほぼ一人でバンド・サウンドを作り上げたレコーディング・アルバム、あるいは様々なアーティストとの弾き語りコラボ・アルバムを発表するなど、ソロ・アーティストとしての活動の可能性を掘り下げる活動を続け、その18年間の成果をまとめたのが今回のライブのお題でもある『シルシ』という作品だ。

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さて、注目のバンドはドラム、ベース、キーボード、そして女性ボーカル、それに自身のボーカルとギターを加えた編成で、アレンジの主役は基本的にはキーボードが担っている。だから、日本語ファンクのひとつのスタイルを作ったFLYING KIDSが放つグルーヴ音楽の印象と比較すれば、メロディックなボーカル音楽のアンサンブルと言えるかもしれない。
ただ、そうは言っても、そこに浜崎のボーカルがのっかれば、メロディックという言葉から連想されるスムースで耳馴染みの良いサウンドとはひと味違う、彼らならではのアクの強さを感じさせる音楽になってしまうわけで、その意味ではいかにも浜崎貴司のソロ表現と言えるだろう。

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特に、ロマンチックな「恋サクラビト」や「トワイライト」、さらにはアルバム『ガチダチ』からの2曲が続いた中盤はじっくりと歌を聴かせる構成で、静かではあっても印象的なひとつのクライマックスに。
そして一転、サポート・メンバーのアカペラ・コーラス「somo-somo」と「ダンス☆ナンバー」のメドレーから始まったアッパーな終盤はバンド・アンサンブルの後押しを受けて一気に駆け抜けていった。
『シルシ』のオープニング曲でもある「BAILA BAILA」は抑えきれない発情の解放を促す歌だし、最新オリジナル・アルバムのタイトル曲でもある「ゴールデンタイム」は“生きてれば、それがもうOK!”という曲。そして、生きることに気合を入れ直すナンバー「君の笑顔」で本編が締めくくられると、『シルシ』というアルバムはベスト・セレクション・アルバムでありながら、きちんと1本筋が通っていたんだなあということに改めて思い当たる。
つまり、この日のライブは、「18年の間にいろいろソロ作品を作ってきて、現在はますます生のエネルギーが高まってるんです」というメッセージをそれこそ生身の演奏で伝えるライブだったというわけだ。

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その上で、例えば「オンナLIFE」につながるMCで浜崎が「バンドの場合は個人的な内容の曲を持っていくと“そんなに空気悪くならなくてもいいじゃない”と思うようなこともあるんだけど、その点ソロは自由というか、個人的なこともどんどん歌えますからね」と話した通り、バンドでの音楽作りに付きものの、メンバーとのコミュニケーションの面倒を避けるためにソロでの音楽作りに向かうアーティストは少なくないが、彼はソロ活動でも誰かしらとのコミュニケーションを通して音楽を作ることを繰り返す。
この日のバンドも、「多分、それから何かが始まる感じがするんですよね」と『シルシ』リリース時のインタビューで語っていたように、単なる決算報告ではなく、次なるステップの準備として彼のなかでは位置付けられている。

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実際、この日の演奏は積み重ねてきたものの成果というよりは予感のひとつの形といった印象で、だから「ソロだけどバンドだぞ!」という“ソロバン感情”と彼が実際に手に入れるものとの勘定が合うのはこれからのお楽しみだが、18年間のソロ活動をまとめた作品のお披露目ライブを“過去のまとめ”的なものではなく現在進行形のメッセージとして届けるところに浜崎貴司の真骨頂がある。
あるいは、「浜崎貴司のソロはこういうものです」という固定的なイメージではなく、人との関わりのなかで発生する動的な現象として彼は自分のソロ活動を受け止めているのだろうというふうにも思える。それはまさしくバンドマンの感受性で、その意味では「自分はバンドマン」という18年目の決算報告がいかにもバンドマン的に伝えられたライブだったと言えるだろう。

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アンコールでは、まず浜崎が一人で登場。『シルシ』の最後と同様、「幸せであるように」を弾き語りで披露した。その曲は言うまでもなく彼の代名詞的ナンバーだが、熊本で繰り返し大きな地震が観測されていたこの夜に、東京で思いをひとつにするのには最も相応しい1曲だった。
そして、あらかじめ伝えられていたセットリストはそこで終わることになっていたが、彼はそういう夜だからこそメンバーを再びステージに呼び込み、2007年に限定シングルの形でリリースされた「BEAUTIFUL!!」というナンバーを演奏。♪生きる素晴らしさだけを今夜は探そう♪と歌って、ステージを締めくくったのだった。

ベスト盤「SIRUSI」発売記念ライブ~今回はソロだけどバンドだぞ! セットリスト

1.サンクチュアリ
2.おかしなこと
3.呼吸のしるし
4.オンナライフ
5.オリオン通り~MUSASINO
6.時はただ今だけをのせて
7.恋サクラビト
8.トワイライト
9.ウィスキー
10.君と僕
11.somo-somo~ダンス☆ナンバー
12.サーフライダー
13.BAILA BAILA
14.ゴールデンタイム
15.君の笑顔

E1.幸せであるように
E2.BEAUTIFUL!!

ライブ情報

4/24(日) カレーと音楽 (カシミールを飲みながら)
@千葉・柏 BOMBAY CAFÉ チケット ※ SOLD OUT

4/29(金・祝) GreenKiss スペシャルライブ
@千葉・流山おおたかの森S・C

5/4(水・祝) きたかまフェス 2016
@神奈川・浄智寺 円覚寺 佛日庵 北鎌倉ツドイ

6/4 or 6/5 ニクオン(肉音)2016
佐藤タイジ&浜崎貴司 @東京・墨田区 錦糸公園
※出演日いずれか 出演時間も後日発表

6/10(金) 弾き語りツアー 終わりなきひとり旅
ゲスト:スティーヴエトウ @奈良ビバリーヒルズ

6/11(土) 弾き語りツアー 終わりなきひとり旅 浜崎貴司 誕生日SP
ゲスト:山内総一郎 @京都 磔磔

6/19(日) YATSUI FESTIVAL!2016
FLYING KIDS出演 @渋谷LIVE会場
※FLYING KIDS出演会場 後日発表

6/25(土) GBGB 2016
FLYING KIDS出演 @ヤマダグリーンドーム前橋

7/2(土) 出前GACHI ~熊本・玉名場所 vs.スガ シカオ
@熊本 玉名市民会館

7/9(土) ロックロックこんにちは!
@大阪城ホール

リリース情報

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『シルシ』
発売中

VICL-64527 ¥3,000円+税

1.BAILA BAILA ※新曲
2.サンクチュアリ (SEIなるふたり)
3.呼吸のしるし
4.MUSASINO
5.オンナLIFE
6.時はただ今だけを乗せて
7.ダンス☆ナンバー
8.恋サクラビト (featuring 小泉今日子)
9.トワイライト (NEW VERSION)
10.サーフライダー / MCU feat.浜崎貴司
11.オリオン通り / 斉藤和義&浜崎貴司
12.君と僕 / 浜崎貴司 × 奥田民生
13.ウィスキー / 浜崎貴司 × おおはた雄一
14.君の笑顔 / 浜崎貴司 × YO-KING ※新曲 [日本アイコムオリジナルCMソング]
15.ゴールデンタイム
16.幸せであるように (GACHI 高野山開創1200年 LIVE ver.)

浜崎貴司

1965年6月11日生まれ。栃木県出身。1990年4月、FLYING KIDSのボーカリストとして「幸せであるように」でメジャー・デビュー。ジャパニーズ・ファンクを確立させ、98年2月にバンド解散。同年12 月、ソロ活動をスタートした。コンスタントに作品を発表しながら、多彩なアーティストとのコラボレーションも展開。2008年からは、弾き語り共演ライブイベント“GACHI”をシリーズ化。そこで共演したミュージシャンとコラボして書き下ろしたアルバム『ガチダチ』を2013年1月発表。翌2014年4月には、全楽器を演奏する究極のソロアルバム『ゴールデンタイム』を発表。2015年9月には、高野山開創1200年記念の特別公演“スペシャルGACHI”を開催して話題に。2011年からは、単身ギター一本で全国をまわる弾き語りツアー“LIFE WORKS LIVE ~Since2011/終わりなきひとり旅”を行い、昨年には100公演を越えた。2007年にはFLYING KIDSが再集結し、並行して継続中。2016年2月24日に初のソロ・ベスト・アルバム『シルシ』をリリースした。

オフィシャルサイト http://hamazaki.org/

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