モリコメンド 一本釣り  vol. 86

Column

マカロニえんぴつ 青春の甘酸っぱさ、優れたポップネスとロックバンドとしての強さを併せ持つ4ピースバンド

マカロニえんぴつ 青春の甘酸っぱさ、優れたポップネスとロックバンドとしての強さを併せ持つ4ピースバンド

メンバー全員が音楽大学出身。高度な音楽知識に裏付けられたアレンジメント、卓越した演奏技術を活かし、ロックバンドとしての迫力、パワーを押し出しつつも、幅広いリスナーにリーチできるポップミュージックへと結びつける——どこまでも貪欲、どこまでも欲張りに自分たちの音楽の可能性を追求し続ける、豊かな魅力を備えた4ピースバンドである。

2012年に結成されたマカロニえんぴつ。はっとり(Vo, G)、高野賢也(B, Cho)、田辺由明(G, Cho)、長谷川大喜(Key, Cho)、サティ(Dr)で活動をスタートさせた5人は、地道なライブ活動を重ね、2015年1月に1stミニアルバム『アルデンテ』をリリース。洗練されたコード進行とドラマティックな旋律、“鳴らせ響くまで/ここにいるって”という歌詞(←まだ出会っていないリスナーに対する思いが強く感じられるフレーズである)が融合した「鳴らせ」を含む本作によって彼らは、バンドシーンに確かな存在感を示した。

バンドの転機となったのは、2017年2月にmurffin discs内のレーベルTALTOに移籍したことだろう。Murffin discsには、SUPER BEAVER、sumika、Czecho No Republic、the quiet roomなどが在籍。個性と才能を併せ持った先輩バンドの活動を目の当たりにしたことが、マカロニえんぴつのメンバーに大きな刺激を与えたことは想像に難くない。その最初の集大成とも言える作品が、2017年12月にリリースされた初のフルアルバム『CHOSYOKU』だ。それまではスピード感に溢れた4つ打ちのロックナンバーを主体していた彼らだが、本作ではAOR、シティポップ、ソウルミュージック、ジャズ、ブルースなどのテイストを取り入れた多彩な楽曲を表現。この変化は“新しい要素を取り入れた”というよりも、“メンバーがもともと持っていた音楽性が前面化してきた”といったほうがいいだろう。結成以来、2000年代以降の日本のバンドシーンにアジャストしようとしてきた彼ら。より多くのリスナーを獲得するためには正しいスタンスだったと思うが、同時にそれは4人の音楽性を狭い枠に押し込めていた部分もあったかもしれない。ジャンルの枠を超え、自分たちの持っている音楽を自由に発揮しはじめた最初の作品こそが、『CHOSYOKU』だったのだと思う。

もうひとつの大きな変化は、2017年9月にオリジナルメンバーのドラマー・サティが脱退したこと。アンサンブルの要であり、楽曲のアレンジに関しても多くのアイデアを出していたという彼が抜けたことで、残った4人のメンバーはさらに一致団結。それぞれの音楽的なセンスと技術をフルに活かし始めたのだ。

10月3日にリリースされた2ndシングル「レモンパイ」からも、現在の彼らのテンションの高さ、そして、音楽的な覚醒が続いていることがダイレクトに感じられた。表題曲「レモンパイ」は、華やかな鍵盤のフレーズから始まるミディアム・ポップ・チューン。古き良きソウルミュージック、R&B(特に60〜70年代のモータウン・レーベルの楽曲)をセンス良く取り入れたバンドサウンド、どこまでもポップに振り切ったメロディ、軽やかなラップがひとつになったこの曲はまちがいなく、幅広い層のリスナーの琴線を揺らすはずだ。タイトルが示唆する通り、青春の甘酸っぱさを映し出すリリックも魅力的。“僕はこの子を好きかもしれない”と瞬間のドキドキ感、“距離を縮めたいけど、この関係を壊してしまうかもしれない”という戸惑い。あの多感な季節に誰もが感じたはずの繊細で複雑な思いを呼び起こしてくれる「レモンパイ」は、このバンドの優れたポップネスを改めて証明することになりそうだ。

カップリング曲「OKKAKE」は、オーセンティックなギターロックとブラスサウンドが絡み合うアッパーチューン。テーマはずばり、“バンド”。次々と解散していくバンドたち、そして、そのバンドを応援してきたファンへの思いを綴り、“ずっと歌っていてあげるね/流行らなかった名曲を”というフレーズを響かせるこの曲には、絶対にこのバンドを続けていくんだという強い意志が刻み込まれている。

10月26日からスタートするバンド史上最長(全16公演)の全国ツアー「マカロックツアーvol.6 〜甘すぎた青春の忘レモン編〜」には、Czecho No Republic、パノラマパナマタウン、FINLANDS、PERICAN FANCLUB、Benthamなどがゲストとして参加。魅力的なバンドととの対バンによって4人は、ライブバンドとしてさらなるレベルアップを果たすことになるはず。優れたポップネスとロックバンドとしての強さを併せ持ったマカロニえんぴつはここから、本格的なブレイクに向かって突き進むことになるだろう。

文 / 森朋之

その他のマカロニえんぴつの作品はこちらへ

オフィシャルサイトhttp://macarock.wixsite.com/home

vol.85
vol.86
vol.87