Interview

「“型”にはめられたら、つまらなくなる」。千葉雄大が映画『音量を上げろタコ!』で“イメージ”をぶち壊す!

「“型”にはめられたら、つまらなくなる」。千葉雄大が映画『音量を上げろタコ!』で“イメージ”をぶち壊す!

自他共に認める“可愛い”のプロフェッショナルである千葉雄大。そんな彼の最新作は、ドラマ『時効警察』『熱海の捜査官』や映画『インスタント沼』『俺俺』など、オリジナル脚本によるシュールなコメディ作品で知られる三木聡監督の映画『音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』。阿部サダヲ扮する世界的なロックスター・シンのレコード会社担当マネージャーとして、「グチャグチャドロドロになって振り回される」という役回りに挑み、自身初のぶっ飛んだキャラクターで新境地を開いた心境を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 斎藤大嗣


“殻”を破ったという意識はない。野心も破壊衝動だってある。「なんでもやりますよ」

まず、本作のオファーを受けたときの心境から聞かせてください。資料では「こういう作品に飛び込みたかった」というコメントを寄せてました。

三木さんの作品ももちろん、音楽を軸にした映画にも興味がありましたし、何よりも、こんなにハイテンションな映画は今まであまりご縁がなかったので、今回、呼んでいただけて嬉しかったです。

ハイテンション・ロック・コメディに挑むに当たって、不安や戸惑いはなかった?

楽しみしかなかったですね。「どうにでもしてくれ!」という気持ちでした。

ぶっ飛んだキャラクターばかりが登場する映画ですが、千葉さんが演じた坂口も一筋縄ではいかない役柄ですよね。どう演じようと考えてました?

阿部さんや吉岡さんとご一緒しての綿密なリハーサルもあったので、現場に入る前に膨らみはできたかなと思うんですけど、監督からは「コロコロと手のひらを返すような役どころだ」と言われていて。だから、全力で変えていこうっていう気持ちもありつつ、個人的にはそこに軸みたいなのがあるといいなと思ったんですね。坂口は野心家です。腰巾着みたいにへこへこついて行くのも、コロコロと変わるのも、全ては野心のためで、そうした方がうまくいくっていう作戦かもしれない。自分の中でのそういう軸を持っていたので、あまりブレずに思い切りできたかなと思います。

千葉さん自身は野心はありますか?

今まではあまり言わない方だったんですけど、最近はやりたいことは口に出すようにしています。野心か…。何だろうな。役者としては、待つことが大事かなって思ってて。作品は出会いだと思うんですよ。リアルな話になりますけど、1つの作品が決まってて、後からお話をいただいた作品もやりたいっていうこともある。いくらやりたいと思ってもできないし、そのタイミングは神様が決めたことだなって思うようにして、出会いの奇跡を待つようにしています。怖いことだけど、時には大事かなと思うし、基本的には「いただいたものはなんでもやります!」っていう姿勢は変わらない。でも……なんだか、揺らいでますね。どんな野心を持ってるのか、自分のことはよくわからないんですよね。周りの役者さんに「特殊だよね」って言われることもあるんですけど、その特殊性もわからないんです。

可愛い顔と「なんでもやります」っていう姿勢のギャップですかね。

一番新しく言われたのは、「笑ってるときに死んだ目をしてる。いるだけで気持ち悪い」って。褒め言葉として受け取ったんですけど(笑)。そういう多面性のある役をもっとやっていきたいなっていうのが野心の1つです。

三木監督作品でやりたかったことは達成できた?

そうですね。多面性のある役柄で面白かったですし、付属して、ピザまみれになったりとか、ナマズが降ってきたりとか、下着になったりとか、オプションがいっぱいあったのは嬉しかったです。やっぱり、この仕事をしてて思うのは、型にはめられるとつまらなくなるというか、息苦しくなるんですよね。そこをなんとかいい具合にぶち壊したいっていう気持ちがあったので、そういった意味ではありがたい作品でした。

本作では特に殻を破って挑戦したというシーンはありますか?

殻を破ったという意識はないんです。ただ、きっと殻だと思われてたんだろうなっていうシーンは結構、あります。下着姿にしても、ナマズにしても、結構、ケアしていただいて(笑)。三木さんにも「これ、本当に大丈夫ですか?」って言われたり。「いやいや、本当に大丈夫です。気を遣わないでください」って感じなんですよ。僕はなんでもやりたいなって思う方なので、殻を破ったっていうよりは、そういう機会をいただけたことが嬉しかったですね。この作品を観て、「こいつに、こういうこともやらせていいんだ」って、面白がってくれる人がいらっしゃったら嬉しいです。

「ぶち壊した」のは自分の殻ではなく、パブリックイメージだということですよね。本作は劇中でいろんなものをぶち壊してますが、千葉さんは破壊衝動はあります?

あります! 喋っちゃいけないところですごいしゃべりたくなったり、大きい声出したくなったりしますね。例えば、僕は真面目な学生だったので、普通に授業を受けたいんだけど、後ろで騒いでる人とかがいて。でも、注意する勇気もないっていう時に、架空の世界を作って、自分が机をドンって叩いて、「てめーら、うるせいんだよ!」って言ったらどうなるのかなって想像して消化してた部分はあります(笑)。それが破壊衝動かどうかはわからないけど、ぶち壊したいっていう気持ちはありました。

この現場では台本にないけどやってみたかったことがありますか?

基本的には全部、脚本やリハーサルに忠実に演じてて。アドリブに見えるようなところも、丁寧に積み上げて作り上げてる。ただ、レコード会社の社長である田中(哲司)さんに追い詰められるシーンで、最初はイヤイヤっていう感じでやってたんですけど、これ、受け入れたらどうなるのかなって思って。最終的には受け入れる形がOKになったので、やりたいことはやれたかなと思います。あのシーンは結構、楽しかったです。2人とも、生まれたままの姿に近かったですし、バスローブを着てうろうろしていると、急に男優感も出て(笑)。照明もミステリアスな感じだったので、面白かったですね。田中さんに「すいません」って言いながらやってました。

インパクトの強いシーンでした。他にも濃いキャラクターばかりが出てきますが、特にお気に入りのキャラクターやシーンはありますか?

みなさん強烈ですからね。松尾さんとふせさんのご夫婦の感じがすごく素敵だって思いながら見てました。掛け合いも素敵ですし、そこに誰か1人が入った時の化学変化も素敵だなって。あと、シンがふうかと出会って、2人の関係性がどんどん築き上げられていく中での、ふうかのオーディションについていく流れも好きです。異国情緒ある商店街のシーンで、僕はそこにいるんですけど、傍観してて。そこの2人の雰囲気や出来上がりは面白かったと思います。

三木監督は千葉さんの役が狂言回しとして変化することで、しっちゃかめっちゃかな物語に筋を通す、大事な役だとおっしゃってました。さらに、「期待以上に応えてくれたし、千葉くんの芝居に一番驚かされた」とコメントしています。

試写が終わった後に、「ストーリーテラーの役を担ってくれたね」って言っていたただいたんですけど、撮ってる時はあんまりそういう感じはしてなくて。みなさん、演技もメイクも扮装も振り切ってて羨ましいなと思っていたし、僕も振り切っていたつもりだけど、またちょっと役割は違ったのかなって。でも、監督にそういっていただけて、確かに、言われてみれば、僕は結構、いろんなところを渡り歩いて、いろんなシーンを見ていて。シンとふうかの流れを一番見てる存在だったんだなと。

阿部サダヲは大好きな先輩であり、特別な存在。「安心して一緒にいる時間を楽しめるんです」

千葉さんは音楽好きとしても有名ですが、本作の音楽面に関してはどう感じてます?

ジャンルが結構、幅広いなと思いますね。HYDEさんからあいみょんさん、それに、ネバヤンさん(never young beach)とかも入ってて。その幅の広さは面白いし、シンとふうかの差も面白いなって思います。

特に好きな曲はありますか?

この映画をやるまではあいみょんさんのことを存じ上げなかったんですけど、この映画を通して知って、自分で買って、移動中とかも聴いたりするようになるくらい、影響を受けてます。あと、阿部さんはグループ魂の曲も聞かせてもらってるんですけど、それとはまた違ったかっこよさがあったし、あいみょんさんが書いた吉岡さんの主題歌もいいけど、元チャットモンチーの橋本さんが書いた、声が小さいときの曲もすごく好きで。本当にお二人ともアーティストとしてかっこいいなと思います。

千葉さんは今作では歌ってませんが、いつかやってみたい気持ちはありますか?

映画だったらちょっとやってみたいかなって思う瞬間はありました。阿部さんはグループ魂でも歌われてますけど、吉岡さんはトレーニングされてるところを拝見したりもしていて。大変だとは思うんですけど、うらやましい部分もありました。

もしもやるなら?

バンドがいいかな。バンドの友達はたくさんいるので、コネを使って、曲を作ってもらって。バンドをやってみたいです(笑)。

阿部さんとは映画『殿、利息でござる』(16)に続き、2作目の共演となります。

本当に大好きな先輩で、その間もご飯にご一緒させていただく機会もありました。今回、お仕事できて嬉しかったですし、アーティストとマネージャーのようなレコード会社の担当っていう近しい立場の役柄っていうのも嬉しかったですね。勝手に安心してました。

阿部さんのこと大好きな理由は?

僕、あんまり先輩とご飯に行くことがなくて。役者の中では阿部さんくらいなんです。お芝居の話は全然しないんですけど、僕の作品を見てくださってくれていて。優しいし、自分の中ですごく居心地がいい。安心してその時間を楽しめるんですよね。可愛がってもらってる感は、ないっていうと語弊があるし、あるっていうとおこがましいんですけど、連絡をくださるときもあるので、嬉しいなって思います。僕の中では特別ですね。

コメディの演じ方で刺激を受けたり、学んだりしたところはありましたか?

僕がいうことじゃないんですけど、やろうと思ってやる面白さではなく、脚本に忠実にしてるはずなのに、独特の感じが出て面白いっていう感じだと思うんですね。そういう感覚的なものは、阿部さんにしかできないことなので、僕が真似してもうまくいかない。だから、いつもすごいなって思いながら拝見してます。

吉岡さんとは初共演になります。

一緒のシーンは少なかったんですけど、出来上がったのを見て、歌うシーンとか、シンと出会って変わっていく過程は、純粋に『かっけぇな!』って思いましたね。

ふうかはシンに「やらない理由を探すな」って叱責されます。千葉さんは過去を振り返って、やらない理由を探して逃げたことはありますか?

学生時代は逃げまくってたと思います。まず、やりたいことがなかったんです。特に何も活動はせずに、ただ淡々と毎日を過ごしてた。それは逃げてたというのとは、ちょっとニュアンスが違うかもしれないんですけど、漠然とやりたいことがあっても、「いや、無理かな」とか、「田舎だしな」とか、やりたいことに対して嘘をついてたかなって思います。例えば、僕、バンド好きだったんですけど、振り返ってみると、学生時代の友達はみんな音楽をやってたのに、なんで一緒にやろうと思わなかったんだろうって。もしも一緒にやっていたら、もうちょっと積極的な高校時代だったのかなとか。人に対して積極的になれないっていうところは、カッコつけて逃げてる部分があったのかなって思います。

完成した作品を観て、ご自身ではどう感じました?

面白いシーンはたくさんありますが、個人的にはぐっとくるところも多かったなって思ってて。後半は特にぐっとくるし、音楽も素晴らしいので、気持ちよく劇場を出てもらえると思います。特に、『やらない理由を探すな』と言われるふうかにご自身を重ねて観てもらうと、ちょっと背中を押されて、元気をもらえるんじゃないかと思います。

スタイリスト / 寒河江健(Yolken)
ヘアメイク / 堤紗也香


【募集終了】抽選で1名様に千葉雄大さんの直筆サイン入りチェキをプレゼント!

応募期間

※募集期間は終了致しました。

10月9日(火)~10月16日(火)23:59

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千葉雄大

1989年、宮城県生まれ。2010年『天装戦隊ゴセイジャー』で俳優デビュー。連続テレビ小説『わろてんか』(17/NHK)TVドラマ『高嶺の花』(18/NTV)などに出演。主演を務めるTVドラマ『プリティが多すぎる』(NTV)が10月18日(木)より放送開始。映画では『黒崎くんの言いなりになんてならない』(16)『帝一の國』(17)『亜人』(17)など多くの話題作に出演。本作のほか、『スマホを落しただけなのに』(11月2日公開)『走れ!T校バスケット部』(11月3日公開)が控える。

オフィシャルサイト
http://www.japanmusic.jp/2010/08/post-74.html

オフィシャルブログ
https://lineblog.me/chibayudai/

フォトギャラリー

映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』

10月12日(金)ロードショー

【STORY】
何かと息がつまる現代社会に“歌”と“LOVE”で猛烈なエネルギーを注入するハイテンション・ロック・コメディ!
驚異の歌声を持つロックスター・シン(阿部サダヲ)。その存在自体がロックであり、カリスマ的人気を誇っているが、実は彼には秘密があった。彼の歌声は「声帯ドーピング」というオキテ破りの方法によって作られたものだったのだ。 長年にわたる声帯ドーピングの副作用で、限界が近づく喉に焦りと恐怖を抱える彼が出会ったのは、異様に声の小さなストリートミュージシャン・ふうか(吉岡里帆)だった。2つの歌声が出会ったとき、ぶっちぎりのミラクルが起きる!?

出演:阿部サダヲ、吉岡里帆、千葉雄大、麻生久美子、小峠英二(バイきんぐ)、片山友希、中村優子、池津祥子、森下能幸、岩松 了、ふせえり、田中哲司、松尾スズキ
監督・脚本:三木 聡(『俺俺』、「時効警察」シリーズ)
製作:映画「音量を上げろタコ!」製作委員会
制作プロダクション:パイプライン
配給・制作:アスミック・エース
©2018「音量を上げろタコ!」製作委員会

オフィシャルサイト
http://onryoagero-tako.com/

関連コミック

音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!

三木 聡
角川文庫

歌声が小さすぎることが悩みのストリートミュージシャン・明日葉ふうかは、シンという男と出会う。以来なぜかふうかに構うシンだったが、彼の正体は驚異的な歌声を持つカリスマロックスターで、その声は「声帯ドーピング」という禁断の方法によって作られていた。喉に限界を迎えようとしているシンを、ふうかは救おうとするが――。正反対のふたつの歌声は奇跡を起こせるのか。映画監督・三木聡が贈る、暴走ラブストーリー!