Interview

和田唱 ソロ活動スタート! その理由と楽曲に現れた変化、バンドへの愛とは。作品に注いだ思いとともに、“一人旅”の熱い想いを語ってもらった!

和田唱 ソロ活動スタート! その理由と楽曲に現れた変化、バンドへの愛とは。作品に注いだ思いとともに、“一人旅”の熱い想いを語ってもらった!

TRICERATOPSの和田唱が、ソロ活動を本格的にスタートさせた。先行シングル「1975」「地球 東京 僕の部屋」を発表して、アルバムの制作も順調に進行中。早速、インタビューに応じてくれた和田は、バンドでの取材とはまったく違う表情で答えてくれた。それはソロ活動の緊張感と、作った音楽を100%自分の作品として伝えられる歓びが同居する、まさにソロ・アーティストの顔だった。
それゆえこのインタビューは、和田唱のモノローグ・スタイルでお届けしたい。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 荻原大志

TRICERATOPS=自分と思ってたんですけど、良くも悪くもしばられてたのかなって。

ソロをやるにあたって、自分でもどうなるのか、ホントにわからなかったんですよ。どのみち自分が作るんだから、そんなにTRICERATOPSと違わないものができるんじゃないのかなと思ってたんです。同じソングライターが作るんだから、「違いって、そんなに出せなくね?」みたいに。でも、いざ曲作りをしてレコーディングを進めてみたら、なんか違うものができてきていて。歌詞は特にそう感じましたね。

今までは個人的なことを歌うと、TRICERATOPSとして出した場合、林(幸治)と(吉田)佳史はこの歌詞についてどう思うんだろうって、どこかで考えてた。そうすると、ちょっと遠慮というか照れというか、この歌詞に二人はホントに共感してプレイするんだろうかって思って。個人的なことって、今までもしかしたら出しづらかったのかもしれないですね。やっぱりTRICERATOPSっていうバンドに楽曲提供してるような感じが、少なからずあったんじゃないですかね。

TRICERATOPS=自分と思ってたんですけど、良くも悪くもしばられてたのかなって。やっぱり僕のギターがジャーンって鳴ってなきゃいけないのかなとか。今回はそういうところから解き放たれて、ギターではなく、シンセでそれをやったりしてます。

21才でメジャーデビューして、そこからまた21年やって、42才になった。そういうサイクルで、何か新しい世界に行く時期だったんじゃないかな。

元を正すと、この長い音楽人生の中のどこかの地点で、ソロアルバムをいつかは作ることになるのかなって漠然と思ってました。「何がなんでも一生バンドだ」っていうことではなくて、どこかでソロがあってもいいんじゃないかなって。

ただそれがなかなか実現せず、それよりもバンドを大事にしてきた。でもね、20周年を迎えたあたりに、ここからバンドがさらに上にいくためには、20代の頃以上にメンバーひとりひとりが燃えたぎってる感じがないとダメだと思うようになりました。3人全員がメラメラ燃えてるときに、ひとりじゃ到達できないところに行けるんですよね。何倍もに膨れ上がるっていうマジックを持ってるのがバンドです。反発心もあれば、楽しんでる感じも共存していて、同時にいろんな感情が渦を巻いている。それがいいんですよね。その感じをすごく求めてて、それを今やるなら、ひとりでやったほうがいいなと思ったんです。

僕は21才でメジャーデビューして、そこからまた21年やって、42才になった。そういうサイクルで、何か新しい世界に行く時期だったんじゃないかなとも思いますね。

ソロアルバムへ自分の気持ちがフッと向いたときに、歌詞ができるようになったんですよ。

都内のカフェで3人で会って、第三者を入れずに今後のことを話し合ったんですよ。

実は僕、一年ぐらい前まで曲ができなくて、特に歌詞ができなくて、「将来、どうしようかな」みたいな(笑)ことも考えてた。もしかしたら僕の最終ゴールって、ステージでスポットを浴びてっていうことよりも、意外と楽曲提供とかプロデュース的なことをするほうが向いてるんじゃないかなってことすら思ってたぐらい。

でもバンドをとりあえず止めて、「それぞれひとりひとりが旅に出ようぜ。ひとりひとりがギラギラしようぜ」って言ったときに、やっぱりいいソロアルバム作ろうっていうところに自然といきました。そしたら急に、ワクワクしてきちゃったんですよ。

それまではバンドを大事にしてたんですね。もう1枚いいものを作ろうっていう思いが常にあって、15周年を過ぎて、20周年までは頑張ろうってずっと思ってたんです。ところが、全然歌詞も書けなくて、困っちゃって。「やばい。俺、もう枯れたか」と。でも不思議と、バンドを一回止めてソロアルバムへ自分の気持ちがフッと向いたときに、歌詞ができるようになったんですよ。

毎日起きたら、「詞を書こう!」っていうモチベーションが湧くんですよね。次の日もまた、「昨日のここ、違うな」って直して、直して。で、乗ってきたから、次の曲にとりかかっちゃおうかなみたいな。だからずっとモチベーションが保たれてるんですよね、今に至るまで。

ギタリストが、ギターを否定してる(笑)。

今、レコーディングを進めているんですけど、気付いたのが、自分で思ってたよりポップスの方向に行ってる。ポップスって言っても、J-POPとは違うんですけど。J-ROCKとも違ってて。

今のJ-ROCKシーンって、全体的にギターがジャーンって鳴ってる。これって、海外とすっごく大きな差がある。海外はもうとっくに、そういうところを卒業してる。でも日本の音楽文化は、未だにギターがジャーンで、一度もストップしてないんです。これはフェスとかに行くと、よくわかります。

もちろん根本的にそういうのが好きな自分はいるんですよ。ただ「もういいじゃん」っていうのもどっかにあって、それに対するアンチは、今回かなり出たかもしれないです。ギタリストが、ギターを否定してる(笑)。今、自分で言ってて、「あれ? 俺の職業ってなんだっけ?」って思っちゃいましたけど、とにかくそういう“隙間を埋めるためのエレクトリック・ギター”っていうのには、とことんアンチでいってやろうかなっていうのは、今回、ありました。

隙間を残してカッコいい音を作ろうと思って。“埋めないサウンド”は、TRICERATOPSの前のアルバムぐらいからすごく研究してますけど、今回のソロはそれを推し進めた感じですね。だから、バンドで作ってても、方向性はここにいってたはずです。

パッと聴き、ひとりで全部録ったようには思えないようなアルバムにしたかった。

現時点でどこまでいってるかっていうと、あと5曲ミックスを仕上げればおしまいです。だからアルバムの全体像はもう見えてます。今すごくワクワクしてますね。レコーディング期間はずっと幸せで、スタジオで音を構築していく、あの感じが好きなんですよね。ひとりだとそれが存分に味わえるじゃないですか。 

今回は、エンジニアの森川くんっていって、いちばん新しいトライセラのアルバム『SONGS FOR THE STARLIGHT』を録ってくれたエンジニアなんですけど、その彼とホントにふたりきりの作業です。

楽器も全部、自分ひとりで演奏してます。でも、“ひとり多重録音のアルバム”っていうと、「家で録った、荒削りなロックンロール」みたいなものをイメージする人が多いと思うんですけど、僕はもっと完成度の高いものを目指してます。荒削りなロックンロールとは違うところに行きたかったんですよね。パッと聴き、ひとりで全部録ったようには思えないようなアルバムにしたかった。洗練されたポップスに聴こえるようなアルバムにしたかった。

ボーカリストやソングライターが楽器をプレイするっていいんですよ。曲のことをいちばんわかってるから。

実は僕、ドラム、ヘッタクソなんですよ。だから今回のドラムは、足と手とバラバラに録ったんです。普通にやったらよれよれになっちゃう。でも足と手とバラバラだったら、まだできるじゃないですか(笑)。バスドラムだけ録って、次にスネアを録って、シンバルを録って。ポール・マッカートニーもそうですけど、ボーカリストやソングライターが楽器をプレイするっていいんですよ。曲のことをいちばんわかってるから。そんなに上手じゃないんだけど、いちばん曲に合ってる演奏ができる。僕はそれをすごく信じてる。

うまいベースやうまいドラムっていう、スタジオミュージシャン的なプレイが好きな人っているじゃないですか。でも僕はそういう人たちと違って、普通のリスナーなので、歌をメインに聴く。楽器っていうのはあくまで二の次なんですよ。その歌や曲がグルーヴしていればいいわけであって。必要以上にテクニカルなうまいプレイに、僕はホントに興味ないんです。ヘタウマのかっこよさっていうのが絶対あるんです。僕のピアノなんて、めちゃシンプルです。ジャーン、ジャーンっていうジョン・レノン・スタイルなわけですよ。でもやっぱり「イマジン」のあのピアノは、他の人が弾いちゃったら違うと思う。その曲に必要な最低限のプレイっていうのがあって、それ以上やっちゃいけないんですよ。だからピアノも、たどたどしいながらも自分で弾いてます。

レコーディングはすごい楽しかったです。毎回、冒険ですよね。全部ひとりでやるから、時間がかかる。レコーディングしたものを家に帰って聴いて、「ちょっとやり直したいなあ」と思ったら、次にスタジオに行ったときにやり直す。進んではちょっと戻るという作業の繰り返しでした。

「1975」っていう曲は、僕の生まれ年がテーマなので、たぶんTRICERATOPSでは出せなかったと思う。なぜなら佳史は1970年生まれだし、林は1976年生まれだから。

ひとりのアルバムを作るんだっていうのがリアルになったときに、今まで閉まってた歌詞のドアが、自然とパカって開いたんでしょうね。不思議なもんですね。

「1975」っていう曲は、僕の生まれ年がテーマなので、たぶんTRICERATOPSでは出せなかったと思う。なぜなら佳史は1970年生まれだし、林は1976年生まれだから。それで「1975」っていうと、まるで俺だけ主役みたいになっちゃう。そういうのってソロじゃなかったらできない。だからソロの第一弾ならではのタイトルだなって思いました。その「1975」で、ドアがかなり開いた感じはありますね。

僕は生まれてからずっと東京なので、70年代の終わりごろの東京の感じって、ちょっと覚えてる。今でも東京に住んでて、“ずっとつながってる自分”っていうのを昔からよく考えるんですよ。景色が変わっても、あそこからずっと俺、続いてるんだよなって。俺自身も、背が伸びて歳とって、でも変わらぬ俺がここにいて、これからもつながっていく。この不思議を、よく考えるわけです。 

今まで分岐点っていっぱいあったよな。あのとき、こっちに行ってればどうなってたのかな、こっちに曲がってれば違う今があったのかな。いろいろ後悔したりね。でも結局人生って、この道が正しいんだってことですよね。結局、ここしかなかったわけだから。

分岐点はあったにせよ、結局、ひと通りしかないわけで。すべての人がそうですよね。何かを学ぶために、神様があっちに曲がらせなかったわけだから、これでいいんだよなっていう。そういう歌を作りたかったんですね。これで正しい、この道程を肯定する歌。そこに、自分が育ってきた東京を感じさせるような歌が作れたらいいなと。うん、そうしたら扉が開いたっていうのはありますね。

まだ子供はいないですけど、「あ、これって、子供に対して歌ってる感じだ」って思えるような曲もあるんです。

「地球 東京 僕の部屋」は、世界観が「1975」と似てるところがある。これもまた自分のことを歌ってます。アルバムの曲は全部そんな感じで、たとえば「矛盾」っていう曲では、パブリックイメージを壊したくない自分もいるんだけど、ちょっとつっかかりたい自分もいたりする(笑)。歌詞はホントに、僕のまんまだなと思います。

だから今回のアルバムは、僕のストーリーになってるんじゃないかな。自分の未来について歌ってるような感じもあるし、まだ子供はいないですけど、「あ、これって、子供に対して歌ってる感じだ」って思えるような曲もあるんです。もちろん聴いてくれる人が、自分の大切な人っていうふうにとらえてもらってもいいんですけど、歌に出て来る「君」を自分の子供っていうふうにとらえると、すごくいい世界観になるなって思えるようなものが、2曲3曲、あります。

不思議なもので、歌詞を書きながら、「ん? これって子供に対して歌ってる感じもあるよな」って。子供がいないのに、どこかで自分の過去現在、未来までを歌ってるような感じがするんですよね。

主人公の設定は、全部自然な、普通の自分って感じでした。

いつも歌詞を書くときに、ミュージシャンとしての自分を主人公にすると、どうしても共感を呼べない可能性を考えちゃうんですよ。リアルかもしれないけど、共感を呼べないんじゃないかなって。そういう葛藤は今まで常にありましたね。そういう意味でいうと、今回は、そこにあんまりとらわれなかったです。主人公の設定は、全部自然な、普通の自分って感じでした。

ただ、気をつけたのは、自分自身でありながらも、バラエティに富んだものにはしたいなっていうことでした。アルバムとしての起承転結、カラフルさを意識しましたね。自分もそういうアルバムを聴きたいので、同じ景色にならないようにしようという。嬉しい歌、楽しい歌もあれば、悲しい歌もある。その課題はクリアできたかなと思ってます。

俺ほどTRICERATOPSしかやってこなかったヤツはいないんだぞ(笑)。言っとくけど、僕はバンドを愛してるんだよっていうことは知ってて欲しいですね。

今回、おおげさに「ソロになりました!」っていう感じでもないんですよ。とても自然です。もしかしたらバンドが解散してないからっていうのもあるかもしれないですけど。もし解散してたら、この“ソロ感”はハンパないと思うんです。もっと緊張してると思います。

なにしろバンドを21年間、やりましたからね。僕がソロって言ったときに、ちょっと否定的なこと言う人もいたわけです。「なんで、ソロ? トライセラをやってよ。トライセラのアルバム作ってよ」って。「いやいや、それができないからソロをやってんだろ」っていう(笑)。でもね、よく考えてみてよ。俺ほどTRICERATOPSしかやってこなかったヤツはいないんだぞ(笑)。言っとくけど、僕はバンドを愛してるんだよっていうことは知ってて欲しいですね。なにしろ僕は、今もTRICERATOPSって書いてあるキーホルダーをキーチェーンにつけてますからね(笑)。

僕のは“一人宇宙旅行”っていうんです。何が起こるかわからない。

レコーディングもたったひとりでやって、ライブもたったひとりのツアーを11月と12月にやります。ちょうどチケットが売り出されたところです。

弾き語りっていうと、どうしても退屈しちゃうイメージがあるので、そこはうまいこと、普通の弾き語りじゃない弾き語りにしたいと思ってます。より自然体でできたらいいなっていうのがあって。バンド仕様の自分だと、どうしてもショーアップしちゃう自分がどっかにいるわけですよ。「ハロ〜渋谷〜!」みたいなこと言っちゃったり(笑)。そういう自分って普段の自分じゃないのにね。そうやって今まで来ちゃったから、ここらでちょっと軌道修正する必要がある。もう40代ですし、もうちょっと普通の、いつものままの自分を出したい。ある意味、それは自分に試練を与えることでもあると思ってます。

ライブでアルバムの音を再現しようとは思ってません。こういうアルバムを作っときながら、あえて弾き語りでやります。

奥田民生さんが“ひとり股旅”、田島貴男さんが“ひとりソウルショー”、僕のは“一人宇宙旅行”っていうんです。何が起こるかわからない。孤独な旅ですよ、まさに。でも一人じゃないんだって思いたいから、ぜひライブに遊びに来てください!!

2018年10月24日リリース
1stソロフルアルバム
『地球東京僕の部屋』
TTLC-1011 ¥3,000(税込)
流通:SPACE SHOWER NETWORK


ライブ情報

【和田唱1st SOLO LIVE TOUR”一人宇宙旅行”】

11月2日(金) 札幌cubegarden
11月4日(日) 東京日本橋三井ホール <SOLDOUT!>
11月17日(土) 金沢GOLD CREEK
11月23日(金) 浜松窓枠
12月1日(土) 仙台レンサ
12月9日(日) 福岡イムズホール
12月15日(土) 名古屋BOTTOM LINE
12月16日(日) 大阪BIGCAT <SOLDOUT!>
追加公演
12月30日(日) マイナビBLITZ赤坂大阪

和田唱

1975年東京生まれ。トライセラトップスのボーカル、ギター、作詞作曲も担当。
ポジティブなリリックとリフを基調とした楽曲、良質なメロディセンスとライブで培った圧倒的な演奏力が、幅広い層から大きな評価を集める。アーティストからのリスペクトも多数。
SMAP、藤井フミヤ、松たか子、Kis-My-Ft2、SCANDAL などへの作品提供も多い。
2018年はソロ活動を開始。10 月には1st アルバムをリリース、11月から全国ソロツアーをスタートする。

オフィシャルサイト
http://www.triceratops.net

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