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笑いすぎて泣きました…SNS漫画の極北にして、コミックエッセイ界の最終兵器・まめが描く、爆笑傑作『凡人すたいる。大盛り詰め合わせ』

笑いすぎて泣きました…SNS漫画の極北にして、コミックエッセイ界の最終兵器・まめが描く、爆笑傑作『凡人すたいる。大盛り詰め合わせ』

凡人の周りに、こんなヘンな人ばっかりが集まるはずがない!

シュールな絵柄で描かれる淡々とした日常の中に、とにかくヘンな人(著者含む)が息をつく間もなくてんこ盛りな本書は、「どこにでもいる凡人のエッセイ漫画ブログ 凡人すたいる」など大人気ブログをまとめたもの。タイトルに「凡人」とあるけれど、著者のまめさんは絶対凡人なんかじゃないと思う。だって、凡人の周りに、こんなヘンな人ばっかりが集まるはずがない!

著者・まめさんの経歴には「3人の子どもを育てる40代のシングルマザー」とある。しかし、子どもたちのエピソードは第3章に出てくるのみ。第1、2章では、会社の同僚や、街で出会った人、そして著者自身の「日常面白エピソード」が、笑い波のごとくこれでもかとばかりに押し寄せてくる。

たとえば、食品工場のアルバイトで出会った、ヨガのおかげで「睡眠時間短くても平気」と自慢する森さん。「きのう2時間しか寝てない」けど「超すっきり」と豪語した後、仕事中に居眠り。繰り返される、寝てない→けど超すっきり→からの居眠りのループに思わず「森さん、お願いだからちゃんと寝てきて!!」と著者と一緒に叫びそうになる。弁当を前にして寝ぼけながら行う動作(しかも、何パターンもある)がまた爆笑ものなのだ。

街で出会った人の描写も秀逸。バス停で見知らぬお婆ちゃんに話しかけられ、このままいくと…バスの車内でもずっと話し続けることになる……! そう警戒しつつ、相手をする覚悟を決める著者。ところが、お婆ちゃんはバスに乗った途端、スッと別の席へ。そのときのホッとするような、それでいてさみしいような。どことなく漂う哀愁がたまらない。

©まめ/KADOKAWA

©まめ/KADOKAWA

面白エピソード引き寄せ力に、たぐいまれなる非凡さを発揮

もちろん、子どもたちも面白成分たっぷり。決して写真を撮らせてくれないクールな長男をはじめ、おもちゃのスマホを「汚したくないから」と、1枚に薄く剥がしたティッシュで覆って遊び、「見づらい」と嘆く小学生の娘。小学生時代にクラス替えが嫌だというので「お母さんも会社で異動があるよ。いっしょだね」と声をかけたところ、「お母さんはお金がもらえるから違う!」と言い放った次男(絶賛反抗期中)。「ぐうの音も出なかった」お母さんの心中、お察しします……。

特別なことは何も起こらない。描かれるエピソードの数々は、あくまで「日常」だ。なのに、その全てが面白い。観察力が人並み外れているのはもちろんだが、ヘンな人やヘンな出来事を誰よりも貪欲に求めている著者だからこそ、引き寄せられる「非凡」な何かがあるのだと思う。

これまでSNSで発表してきた作品に、描き下ろしも加えた本書は、「大盛り詰め合わせ」のタイトルにふさわしい大ボリューム。少しずつ読もうと思っていたのに、気づけば一気読みしてしまったほどの中毒性がある。ジワジワ、ニヤニヤ笑えるエピソードをベースに、そこはかとない哀愁もあり、そして数ページに1度、思わず声が出てしまうほどの爆笑ものが! ほのぼの系のコミックエッセイとは一線を画すシュールでユーモラスな作風の中に、「日常」の深みが感じられる作品だ。 最近笑ってないなあという人に、とにかくオススメしたい1冊だ。

文 / 中田千秋

書籍情報

『凡人すたいる。大盛り詰め合わせ』

まめ(著)
KADOKAWA/メディアファクトリー

凡人の、凡人による、非凡な大傑作! インスタグラム、ブログなどで人気を集め、cakesやママスタセレクトなどのWEB連載でも常に抜群の支持を得る、まめ。3人の子供を育てるシングルマザーにして、コミックエッセイ界の最終兵器(?)でもある彼女が描くのは、ちょっとシュールで、圧倒的にユーモラスな日常生活の数々。仕事場の同僚、町中のおばさん、家族……日々のあれこれが、こんなにもジワジワくる! 話題と爆笑を誘い続けるSNS漫画の極北的コミックエッセイが、完全描き下ろしの長編エピソードなど60P以上を収録し、渾身の初書籍化!!!!
【目次】第1章 私が出会った面白い人の話/第2章 自分でもどうかと思う私の話/第3章 嘘みたいだけど本当な家族の話/あとがき