冒険Bリーグ  vol. 1

Column

「エビバディ!エビバディ!」頼れるナイスガイ、シェーン・エドワーズが川崎にやってきた!

「エビバディ!エビバディ!」頼れるナイスガイ、シェーン・エドワーズが川崎にやってきた!

『冒険Bリーグ』へようこそ!ライターの大島和人です。3シーズン目を迎えるBリーグを巡る連載コラムを担当します。Bリーグの魅力を横から目線、下から目線で多彩にお伝えするこの企画。記念すべき第一回は、開幕戦で気になったナイスガイの紹介です。

取材・文 / 大島和人 写真提供 / B.LEAGUE


10月4日、千葉ジェッツと川崎ブレイブサンダースの一戦でB1の2018-19シーズンが開幕した。川崎は日本代表のニック・ファジーカスがベンチ入りこそしたものの、足の状態が100%でないという北卓也ヘッドコーチの判断によりプレーしなかった。しかしエース不在の中でも5人が二けた得点を挙げ、81-72で緒戦を飾っている。

開幕戦には100名以上のメディアが集まっていた。篠山竜青、辻直人、富樫勇樹といった日本代表のスター選手には、カメラや記者が群がって同じ話を聞くことになる。だから自分は他の選手に話を聞きたかった。

それともう一つ、新加入選手の人となりを知っておきたかった。初対面の、性格を事前に知らない選手の取材をお願いするのは記者として少し怖い。でもそこから意外な発見が得られることも多く、スリリングで「ハイリスクハイリターン」な取材だ。

試合後に呼んでもらったのが川崎のシェーン・エドワーズ選手だった。彼は201センチ・100キロのオールラウンダー。開幕戦では15得点8リバウンド7アシストの活躍を見せていた。現在31歳で、2試合だがNBAのリーグ戦出場歴もある。NBAの下部リーグであるDリーグ(現Gリーグ)を皮切りにイタリア、オーストラリア、スウェーデン、ドイツ、フィリピン、インドネシアと世界中でプレーしてきた選手だ。

エドワーズは試合の中で最大の見せ場を作った。彼は第4クォーター残り4分17秒の山場に、ショットクロックが24秒ぎりぎり、しかも悪い体勢から3ポイントシュートを決めている。本人は「とにかくショットクロックが残っていなかったので、何でもいいから打とうと思いました」と照れながら振り返るが、点差を一時的に「16」まで広げ、千葉にとどめを刺す一撃だった。

彼も試合後は満足顔でこう口にしていた。
「とてもいい試合だったと思います。みんながハードにプレーをして、全員がエナジーを出して、とてもいいチームプレーができました」

エドワーズは主にパワーフォワード(4番)、スモールフォワード(3番)でプレーするオールラウンダーだ。ガードに任せず自らボールを運んでいくスキルがあるし、いいパスを送る判断力もできる。

それ以上に際立っていたのはディフェンスで、サイズで上回る千葉のギャビン・エドワーズ、マイケル・パーカーを苦しめていた。エドワーズは跳躍力に恵まれ、細身でもバランスが良く、身体を寄せられても腕が伸びる。千葉の強みである速攻にもしっかりついていって、イージーなフィニッシュを許していなかった。

ディフェンスの話を振ると、こう返してきた。
「自分はチームのためにどんなことでもやるタイプですが、ディフェンスは特に強いプライドを持って、自分がマッチアップする相手を止めることを意識しています」

話を進めていくうちに、エドワーズの真面目さや誠実さが伝わってきた。そんな人間性が、献身的なプレーにつながっているのだろう。彼がフレンドリーに、いい感じに話を「膨らませてくれる」ので、記者と彼のトークは少しずつ内容が広がっていく。

チームについてはこう話してくれた。
「川崎は馴染みやすいチームです。フロントスタッフも含む皆さんのおかげで上手く溶け込めています。チームメイトはみんないい奴で話しやすくて、彼らのお陰で馴染めたと思います」

まあ、外国籍選手は誰でもそんなことを言う。もう少し掘り下げようと「誰か仲良くなった日本人選手はいますか?」と聞いてみたら、エドワーズらしい答えが返ってきた。

彼は「エビバディ!エビバディ!」と連呼して、こう続けた。
「全員と仲がいいですね。チーム内がいくつかのグループに分かれているところもありますけれど、川崎はそういうのがない。全員が遊びに行ったり、全員でいつも行動していて、全員仲がいいんです」

他の競技も含めて、外国籍選手から初めてこういう種類のコメントを聞いた。

自分の殻に閉じこもるタイプの選手が外国で成功することは難しい。少数でも「打ち解けられるその国の選手」が見つかれば、十分にいい兆候だ。でもエドワーズはそれ以上を意識している。実に興味深いプレイヤー、そしてナイスガイが川崎にやってきた。

B.LEAGUE(Bリーグ)オフィシャルサイト
https://www.bleague.jp/

著者プロフィール:大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。大学在学中にテレビ局の海外スポーツのリサーチャーとして報道の現場に足を踏み入れ、アメリカの四大スポーツに接していた。損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年から「球技ライター」として取材活動を開始。バスケの取材は2014年からと新参だが、試合はもちろんリーグの運営、クラブ経営といったディープな取材から、ファン目線のライトなネタまで、幅広い取材活動を行っている。

vol.1