Interview

Rie fu 日本から離れた場所で見つけた音楽との向き合い方

Rie fu 日本から離れた場所で見つけた音楽との向き合い方
 Rie fuにとって、2014年はデビュー10周年の年であった。その10周年を記念して「I」を発売、その対となる第2弾アルバム「O」が2016年4月にリリースされた。対という意味には周年を意味する、数の10に加え、 “inside/outside”の頭文字という意味もあるという。
Rie fuは現在日本を離れて久しく、さらにこの4月には今まで拠点としたシンガポールからイギリスに移ると聞いた。日本から離れた場所(outside)で、真摯に自分と向き合い、音楽を追求して完成したニュー・アルバム「O」は、母国語である日本語の美しさを教えてくれる愛溢れる傑作だ。

取材・文/山田邦子 撮影/ M.キセキ
撮影協力:Plate Tokyo


ニュー・アルバム「O」のリリースを記念して行われた今回のライブはいかがでしたか?

これまでのシングル曲に加え、制作秘話というか、曲が出来た経緯などをお話ししながら新しいアルバムからの曲もピックアップしてお届けしたんですが、最後に「Song for Me」という曲を歌ったんですね。この曲にはアルバムでいちばん伝えたいことが詰まっているんですが、ライブが終わった後にたくさんのご感想をいただいたんです。悩んだりしていたことへの答えになりましたというような言葉は、本当に嬉しかったです。

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このアルバム「O」は、2年前、つまりデビュー10周年の時にリリースされたアルバム「I」と対になる作品でもあるんですよね。

本当は同じ年に出せたらよかったんですけど、のんびりしてたら2年経っちゃいました(笑)。でもこの「O」を作るまでのネタというか、自分の中でいろんなインスピレーションを貯めてから出したかったので、アジアツアーなど、まさに”OUTSIDE”の旅が出来たこの2年間は、とても充実した期間でもあったんです。

ではあらためて、「I」と「O」、それぞれの作品について聞かせていただけますか?

まず「I」はINSIDE、「O」はOUTSIDEという大きなテーマがあって。「I」、つまりINSIDEは個人的ですごく静かな暗いものが多くなるのかなと思ってたんですが、意外にもパーッとしてたんですよね(笑)。思ったより自分の中って明るいんだなというか、エキセントリックだったりサイケデリックなものもあったりして、結果的にはすごくやりたい放題というか、おもちゃ箱をひっくり返したようなものになりました。そして「O」は、OUTSIDEに向いているんだけど割と優しいというか、トーンが静かなんですよね。

「O」はどうしてそういう方向に向かったんでしょう。

この2年、アジアでライブをしていていちばん知られていた(私の)曲は「Life is Like a Boat」だったんです。「Nobody knows who I really am」というフレーズで始まるんですが、誰も私のことを知らない、こんな虚しい気分は初めてっていう孤独から始まる歌なんですね。そこにいちばん共感していただけていました。誰もが感じているけど自分しか感じていないんじゃないかって悩んでしまうような孤独だったり、そういう暗闇みたいな部分が、実はOUTSIDEに向かうキーワードなのかなってことを実感したんですよね。

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こうやって、10周年にINSIDEとOUTSIDEでアルバムを作ることは決めていたんですか?

そうですね。まずビジュアルで「10」という形が頭の中に出てきて、それがアルファベットだと「I」と「O」だなと。INSIDEとOUTSIDEで対になるテーマでもあるなと思ったし、私自身もちょうどシンガポールに移住する=OUTSIDEに向かうというタイミングでもあったんですよね。

じゃあずっと日本にいたら、こういった作品は生まれてなかったと。

間違いないですね。それはなぜかと言うと、日本というものを客観的に見れたからなんです。OUTSIDEとはいえ、外で見てきたものを日本で発表するのではなく、外から見た日本という国や自分の母国語、文化、それこそJ-POPというものだったりを日本で発表する。そういう視点は、OUTSIDEに出たから発見できたものなので。

J-POPは、いまや日本の音楽だけを指す言葉じゃなくなってるようですしね。

そうですね。海外ではアニメとかコスプレとかのカルチャーと併せて楽しまれてるので、私も、シンガポールのそういうイベントで歌ったりしました。やっぱり、日本の音楽への憧れみたいなものはすごく大きいと思いますよ。でもいろんな国に行くたびに、日本は違う惑星だと思うくらい特殊なんだなってことを思い知らされてます。OUTSIDEから見るほどに、こんな人種はいないなあって実感するというか。生活水準も美意識も高くて、カルチャーにしても世界に誇れる部分がたくさんある。だけど社会問題として、豊かだからこそ膿のようなものが出ているような印象もある。これもまた日本ならではだなぁって思いましたね。

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海外では、やはりアニメの主題歌になった「Life is Like a Boat」や「I Wanna Go To A Place」でRie fuを知る方が多いですか?

そうですね。そういうアニメなどに興味があるお客さんがほとんどです。

それこそ10年ほど前の楽曲ですよね。嬉しい反面、それだけじゃないのになあっていうような気持ちはないですか(笑)。

それはいつも思ってるんですけど(笑)、「Life is Like a Boat」がエンディングで流れているアニメ“BLEACH”はすごい人気なので、海外ではいまだに再放送されたりしているんですよ。だから本当にタイトル通り、その曲がボートになって私の音楽を運んでくれてるんだなぁって思うんです。その曲しか知らなくても、それでライブに来てくれたり、ライブで歌ってる他の曲に興味を持ってくれるきっかけになってくれるんだから、やっぱりありがたいことだなあって。