Interview

yonige 約1年ぶりの新作『HOUSE』。日常の中から仕上げた曲たちと現在の二人の心境について訊く

yonige 約1年ぶりの新作『HOUSE』。日常の中から仕上げた曲たちと現在の二人の心境について訊く

ソングライターでギター&ヴォーカルの牛丸ありさとベースのごっきんの2人からなるロックバンド、yonigeがメジャーデビュー作となった1stフルアルバム『girls like girls』から1年ぶりの新作となるミニアルバムをリリースした。
2018年の年始に大量オンエアされた<au“三太郎シリーズ”「笑おう」篇>のTVCMソングに起用された「笑おう」のアルバムバージョンや今夏のフェス会場限定シングルとしてリリースした「リボルバー」を含む全7曲が収録された本作に彼女たちは『HOUSE』というタイトルをつけた。“HOUSE”とは文字通り“家”や“生活”のことで、まだハッピーエンドもバッドエンドも迎えていない物語の途中、淡々とした日常の風景の一場面を描いた作品になっている。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 石ヶ森三英

キャッチーなものを求められてたと思うんですけど、それを全部無視して、自分のやりたいことやろうって思って(牛丸)

メジャーデビューから約1年経ちましたが、どんな日々でしたか?

ごっきん インディーズからメジャーに変わったからと言って、みんなが求めるような劇的な変化は感じてないです。

牛丸 私は肩の力が入りすぎてたんで、曲作りが全然楽しくなくて。肩の力を抜く作業が必要でしたね。

肩の力を抜いて最初にできた曲は?

牛丸 「リボルバー」です。3月くらいから始まって、4月に完成したのかな。なんか、自分の中で、曲作りの方程式みたいなのがあって。インディーズの時はキャッチーにするためにわかりやすいワードをサビに入れたり、同じ言葉を繰り返したり、タイトルの言葉が歌詞の中に入ってるとかをやってたんですけど、それを1回全部やめようと思って。

うちらがマジで最強って思ってたんですけど、「リボルバー」を聞いた時に、それが再発した感じはして(ごっきん)

キャッチーな曲作りを止めようと思ったのはどうしてですか?

牛丸 それに飽きたというか、前はすごい楽しかったんですけど。求められたらやりたくなくなるっていう感じで、今回はそれを全部やめましたね。キャッチーなものを求められてたと思うんですけど、それを全部無視して、自分のやりたいことやろうって思って。キャッチーじゃないものを作りたいっていうところからオケを作って、歌詞は後付けでした。

ごっきん 18、19くらいの時って、若さゆえの異常な無敵感があって。うちらがマジで最強って思ってたんですけど、「リボルバー」を聞いた時に、それが再発した感じはして。これ絶対、最強だよって思って。だからMVも早く出したかったし、ライヴでも早くやりたいなって思いました。

依存しそうになるけど、自分のプライドもある、みたいな2人の関係の曲っていう感じです(牛丸)

歌詞はどう乗せていったんですか?

牛丸 最初は全く何もなかったんですけど、去年は、すごく辛い恋愛とか、バッドエンドなこととかじゃなくて、『HOUSE』っていうタイトルにもあるように、生活っていうのを重視してて。「リボルバー」は人によっては失恋の曲ってとらえる人もいると思うんですけど、私は失恋のつもりはまったくなくて、2人が生活してる中での曲っていうイメージ。依存しそうになるけど、自分のプライドもある、みたいな2人の関係の曲っていう感じです。だから、バッドエンドとか、そういうのは書きたくないなって思って書きました。

失恋ソングかなと思ってました。

ごっきん べつに別れるとか別れへんとか、激動的な感情じゃないと思ってて。そこには焦点合ってないなと思ってます。

本当に日常の2人ってことなんですね。タイトルはどうして「リボルバー」に? 歌詞には出てこない言葉です。

牛丸 何かを中心に回転する、相手に依存しそうになってしまうっていう意味でつけました。ゲーム、ラーメン、プロレスとか、自分の趣味じゃないものにのめり込むとか、まあ、相手にのめり込むってことですよね。昔、自分の趣味だけを押し付けて私の趣味にはまったく興味ない人いたなって思って。そういうのを思い出しながら書いて。まあ、その人を私は結局嫌いになったんですけど、この曲の中では嫌いになりたくなくて。依存しそうになりながらも、依存って相手のことを所有物みたいに思っちゃうと思うんですけど、結局ちゃんと他人なんだってことを認識するというか。

〈ふたりは別々の夢を見る〉とか〈会わなくたってどっかで息してるならそれでいいな〉と歌ってますもんね。

牛丸 別にそれも悲しい気持ちじゃなくて、ちゃんと相手はひとりの人間で、自分のものじゃなくて他人なんだっていう。全然ネガティヴな感情じゃなく、そう受け入れなきゃっていう感じというか。成長したい感じ、ですね。

そこにはちょっと大人っぽい視点もありますよね。“君”のことを思いながらも自分の欲望のためだけに使わないし、相手に自分の感情を叩きつけたりもしてない。この人称っていつもどう考えてますか。〈君〉とか〈あいつ〉とか〈僕〉、〈私〉とか。あんまり決めつけずに自然な流れで書く感じですか。

牛丸 〈僕〉か〈私〉かで悩むことはよくありますね。結局〈僕〉のほうが語呂がよくて使いやすかったりするんですけど、「2月の水槽」では絶対女の曲にしたくて。

続く3曲目「2月の水槽」だけ、〈私〉になってます。

牛丸 そうですね。憂鬱な気持ちを書きたかったっちゃ書きたかったんですけど、それだけで終わらせたくなくて、憂鬱だけの曲って悲劇のヒロインぶってる感じがして嫌で。だから、急にコンビニの話とかおじさんの話とかしだすっていうふうにちょっと視点を逸らしてみたり」

べつに不幸だからできた曲とかじゃなくて、幸せそうにしてても拾えるところから拾ってできた曲だから、これまでとは全然ちゃいますね(ごっきん)

これも君を失った喪失感ではないんですね。

牛丸 喪失の話はしてないですね。サビは自分のことを書いたって感じですね。だんだん人目にさらされることが多くなってきて、誰にも知られてなかったら楽だなって思うことがよくあって、最近。でもちょっと恥かかなきゃなって思って。

ごっきん 今までは恋愛のこととか、ヘイトで動いてたっていうか。けっこう普通に日常の話もするんで、私からすると、いつも相手がめっちゃ透けてて。こいつのこういう話や、とかわかるんですよ。で、いっつも牛丸に不幸なことが舞い降りれば舞い降りるほど曲ができるって感じやったんですけど、『HOUSE』の曲は全部、そういうことじゃなくて、日常からかいつまんでできてる。べつに不幸だからできた曲とかじゃなくて、幸せそうにしてても拾えるところから拾ってできた曲だから、これまでとは全然ちゃいますね。

この流れのまま、全曲の解説をお願いしてもいいですか。「顔で虫が死ぬ」を1曲目にしたのは何か理由がありましたか。

牛丸 私は最初、「どうでもよくなる」を1曲目にしてたんですけど、みんながそれがいいって言ったから。結果的にはこれでよかったんですけど。

ごっきん これがいいって言いました(笑)。ウチはダントツこれがM1やと思ってました。この曲から入ったら全部聴いてもらえるって思いました、単純に。すごく好きで。疾走感もあって。めちゃめちゃキャッチーなわけじゃないけどキラーチューンみたいな曲やなって思ってて。一番それが入りやすいなって思ったからこれが1曲目がいいかなって思いました。

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