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[Alexandros]ライブBD & DVD&ニュー・シングルスペシャルレビュー

[Alexandros]ライブBD & DVD&ニュー・シングルスペシャルレビュー

 たとえば、ピアノとかオルガンとかバイオリンとか小太鼓とか、楽器といえばそういうものだと思っていた幼い頃、初めてエレキギターというものを知った時の、「なんかこれ、ほかの楽器と違う!」というドキドキ感。ステージに立ってそれを弾く人を初めて目にした時の、その10倍掛けの「うわ、かっこいい!」という興奮。ギターとかベースとかドラムってかっこいいんだ、ロック・バンドって特別なんだ、すごいんだ、という衝撃。
 今、冷静に考えれば、必ずしもそうとは言えない。楽器が弾ければ偉いのか、人前で歌えれば特別なのかというと、もちろんそんなこたあないし。クラシックやジャズに比べると誰にでもできるわりに、いわゆるデスクトップ・ミュージックに比べると、音を出すのも曲を作るのも手間がかかるし。
 ただし。視界に入ってきた瞬間に、そのような冷静な判断をふっとばし、「うわあギターかっこいい! ロック・バンドかっこいい!」と、こちらをただのガキに戻してくれる人たち、というのも、たまにだけど、存在する。[Alexandros]って本当にそうだなあ、と、2015年12月19日に幕張メッセで行われた、『[Alexandros]TOUR 2015 “ご馳走にありつかせて頂きます”』の幕張メッセを収録した映像作品を観ていると、改めて思う。
 カウントダウンが0になり、ステージ前のLEDが引き上げられ、その後ろで「Burger Queen」(インスト曲)を演奏している4人の姿が現れた瞬間から、二度目のアンコールの最後、川上洋平がひとりステージに残って、本編2曲目でやった「ワタリドリ」をひとりで弾き語りで歌う(そしてその上にスタッフロールが流れる)ところまで、ずっとそうだ。ロック・バンドのかっこよさそのものが、ステージ上に立っている。

   シューゲイザーほど真下ではないけどややうつむきがちに奏でられる、白井眞輝のセミアコ335やフライングV。弾きづらいくらい低く構えた、磯部寛之のプレジジョンやリッケンバッカー。現在のロックシーンにおいてバトルスのデイヴ・コノプカくらいしか比較対象が見つからない、必要以上に高い位置にセットされた庄村聡泰のクラッシュシンバル(しかも以前は1枚だったけど今は2枚になっている)。やや右斜め上からセットされた、川上洋平のマイクスタンド。どれもロック・バンドとしてはオーソドックスなのに……いや、庄村のシンバルはめずらしいか。でもそれ以外はごく普通なのに、どれもめったやたらとかっこよく見える。

 みんな細身で黒づくめ、でもお揃いじゃなくて微妙にバラバラな衣裳の4人がステージにいる時の、全体のフォルムも、プレイに没頭している時、オーディエンスをあおっている時、声援に思わず笑顔を見せる時、シャウトをキメる時のそれぞれの瞬間も、もうすべてがいちいち絵になる。なんだろう、このキマリっぷりは。そりゃあ女子はキャーキャー言うし、男子は「バンドやろう!」と思うよ。

   そして、何よりも、この音そのもの、曲そのもの、歌そのものの吸引力。たとえば、同じ幕張メッセ国際展示場でワンマンをやれる他のバンドと比べて、[Alexandros]の音楽って形容しづらくないだろうか。「パンク」「メロコア」「スクリーモ」「エモ」「ヘヴィロック」「ミクスチャー」「ダンス」みたいなジャンル分けが、どれもあてはまらなくて。

 最初に作品をリリースした頃は、大きく言うとギター・バンドの範疇に入るのかな、と思ったが、2枚目以降の歩みを見ると、そうでもない。USちょっと、UK多めくらいの洋楽からの影響の受け方だが、日本のポップスのようなメジャーなメロディもちょいちょい入ってくる。英語で歌うが日本語でも歌う。でかいステージで爆音でぶちかますにふさわしい、ドラマチックでアグレッシヴなスタイルだが、音圧でねじ伏せていくのではなく、リフやリズムやメロディのひとつひとつが持つダイナミズムをぐっさりと耳に残していく、つまり細部まで聴かせる。
 オーソドックスだけど分類できない。あたりまえなのにあたりまえじゃない。メンバーの音楽的な趣味嗜好を考えると「好きな洋楽をそのまんまやります」みたいな方向を目指しそうなもんなのに、そっちにもいかない。

  不思議なバンドだと思う。で、その不思議さが[Alexandros]の可能性なんだなあ、とも思う。2万3千人の前に立って、ド派手な照明やLEDの演出を伴って、「Coming Summer」で8人のストリングス・チームと共演したり、アンコールでオーディエンスと交互にシンガロングしながら歩いて移動し、フロア中央のサブステージで「Adventure」と「Untitled」をプレイしたり──つまり、この大会場にふさわしいスケールのライブをやっている4人を見ても、「ついにここまで到達したのか!」みたいな感慨は、わいてこない。ハマってるなあ、そりゃそうだよな、こういうでっかいステージに立つバンドだよなあ、と思えてしまう。つまり、まだまだこの先がある、そのように感じるということだ。

   リリースされたばかりのニューシングル『NEW WALL / I want u to love me』を最初に聴いた時、これまでの[Alexandros]の範疇を超えた……つまりギター・バンドのフォルムを超えたサウンド・フォーマットとメロディに驚いたが、考えたら、さっき書いたように、そもそも「ギター・バンドでございます」みたいなことなど言ったことないし、音で示したこともない人たちだったことを思い出した。
 ストレートなリリック&雄大なメロディをドラマチックなアレンジで聴かせる「NEW WALL」も、次はどこに連れていかれるのかわからないトリッキーな曲展開とサウンドの「I want u to love me」も、新しい何かを試しているし、次の何かに踏み込んでいる。つまり、「この先」に進もうという意志が表れている、ということなのだと思う。

文 / 兵庫慎司


NEW WALL / I want u to love me

初回限定盤(CD+DVD) UPCH-7133 ¥2,130+税
期間限定盤(CD) UPCH-7138 ¥1,296+税(2016年7月末までの期間限定生産)
通常盤( CD) UPCH-5872 ¥1,204+税

01. NEW WALL (アプリゲーム「テイルズ オブ ザ レイズ」テーマソング)
02. I want u to love me
(MBS・TBS深夜ドラマ「女くどき飯Season2」主題歌・NEC LAVIE TV-CMソング)
03. Boo!(live at Makuhari Messe 2015.12.19)

※初回限定盤のDVDには、「NEW WALL」MUSIC VIDEO、「NEW WALL Music Video Behind The Scene」を収録


Live BD&DVD
 [Alexandros]live at Makuhari Messe “大変美味しゅうございました”

Blu-ray初回限定盤 UPXH-9013 ¥7,800+税
≪特典≫ 日本武道館LIVE特典映像+三方背ケース付豪華特殊パッケージ+48Pフォトブックレット
Blu-ray通常盤 UPXH-1027 ¥5,800+税
DVD初回限定盤 UPBH-9533 ¥6,800+税
≪特典≫日本武道館LIVE特典映像+三方背ケース付豪華特殊パッケージ+48Pフォトブックレット
DVD通常盤 UPBH-1397/8 ¥4,800+税

収録曲の詳細を見る(ユニバーサルミュージック)

プロフィール

[Alexandros]

[Alexandros]は、2007年本格始動。2015年よりユニバーサル ミュージックとグローバル契約を結び、3月に10th Single「ワタリドリ / Dracula La」をリリースし、オリコンウィークリーシングルランキング初登場5位を記録。6月には約2年ぶりとなる5枚目のフルアルバム「ALXD」をリリース、オリコンウィークリーアルバムランキング初登場3位を獲得。12月に11th Single「Girl A」をリリース、オリコンウィークリーシングル初登場3位を獲得。7月には2度目の日本武道館単独公演を成功させ、全国各地の音楽フェスに数多く出演しヘッドライナーも務める。またMUSE・PRIMAL SCREAM・KASABIAN等の海外アーティスト来日公演のサポートアクトや、アメリカの“SXSW”、イギリスの“THE GREAT ESCAPE”への出演、台湾でのワンマンライブを行っており、オーストラリアSBSラジオのレギュラー番組を担当するなど、海外を視野に入れた活動を続けている。2016年3月30日LIVE DVD&Blu-ray「[Alexandros]live at Makuhari Messe “大変美味しゅうございました”」発売。4月20日2016年第一弾となるDouble A Side Single「NEW WALL / I want u to love me」発売。 オフィシャルサイト:https://alexandros.jp/