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『ゼノブレイド2 黄金の国イーラ』追加コンテンツとは思えない価値とは?

『ゼノブレイド2 黄金の国イーラ』追加コンテンツとは思えない価値とは?

2017年12月に発売された『ゼノブレイド2』(以下、本編とも呼称)で描かれる物語の500年まえに起きた冒険を体験できる追加コンテンツ『ゼノブレイド2 黄金の国イーラ』(以下、本作とも呼称)。プレイボリュームが数十時間にも及び、もはや追加コンテンツのレベルを超えた本作は追加コンテンツ”エキスパンション・パス”の一部としてだけでなく、単独のパッケージソフトとしてもリリースされている。『ゼノブレイド2』については発売当時の記事でその魅力を紹介したが、本稿では『ゼノブレイド2 黄金の国イーラ』のストーリーや、本編のシステムをベースにしつつアレンジされたバトルの魅力を追っていく。

追加コンテンツ”エキスパンション・パス”、単独パッケージ版のどちらもお手頃価格ながら、完全新作と言われても納得してしまうボリュームと完成度を誇る本作。本編をプレイしていなくても楽しめるので、本作をきっかけに『ゼノブレイド2』の世界に触れてみるのもいいだろう。

文 / 村田征二朗

ドライバーとブレイドが描くもうひとつの物語

以前の記事で『ゼノブレイド2』の魅力を紹介した際にも触れましたが、描かれる物語を魅力的にしている大きな要因のひとつは、ファンタジー系の王道少年マンガを思わせる浪漫溢れる世界です。雲の海に浮かぶ超巨大生物“巨神獣(アルス)”。その巨神獣の上でさまざまな種族の人々が国を築き、暮らしている。そんな世界で雲の海から物資を引き上げる“サルベージャー”として暮らすひとりの少年が“天の聖杯”と呼ばれる伝説の存在・ホムラと出会い、大きな冒険に巻き込まれていく、というのが『ゼノブレイド2』本編で描かれた物語です。そして、『ゼノブレイド2 黄金の国イーラ』で描かれるのは、本編よりも500年まえの世界です。本編で主人公の相棒となったホムラとはまた別の、メツという名を持つ天の聖杯が軍事大国を一夜で滅ぼし、世界を震撼させるという事件から物語は幕を開けます。なお、本作は独立したコンテンツとなっており、本編からレベルなどを引き継ぐことはありません。

▲主人公となるのは、戦地を渡り歩いて生き別れた母親を探す傭兵のラウラ。正統の主人公らしい、優しさと思いやりを持った人物です

本編より500年もまえの時代が舞台ですので、登場するのは新規のキャラクターたちです。しかし、亜種生命体“ブレイド”は違います。“コアクリスタル”という不思議な結晶に、“ドライバー”と呼ばれる特別な素質を持った人間が触れることで生まれるブレイドたちは、本編と同じ姿で登場します。非常に興味深いのは、ヒカリやシン、カグツチなどのブレイドたちが違った関係性で描かれているという点です。本編では敵組織のトップとして立ちはだかったシンが、本作では主人公のラウラのブレイドとなっており、敵対していたブレイドたちと仲良く語らい、共闘する姿はなかなかに感慨深いものがあります。

▲あくまでも過去の物語なので、本編をプレイしていないとキャラクターの関係性がわからないということもありません。プレイ済みのプレイヤーにとってはまさしくブレイドたちの意外な過去を見る機会となり、「そんな関係があったのか!」という驚きを楽しめます

▲主人公のラウラとシンの絆を感じさせるやり取りには思わずほっこり。作中に登場するキャラクターがとにかく魅力的です

フルプライスの完全新作としてもリリースできるのでは、と思えてしまう本作は、物語自体の面白さはもちろん、その演出も魅力的です。こちらについても以前の記事で触れましたが、シリアスな一面がありながら、日常的な場面では非常にコミカルなイベントシーンは、まるで日曜日の朝に放送されているアニメを観ているかのような安心感と微笑ましさがあります。

▲戦闘では非常に優秀なブレイドのヒカリ(2枚目中央)は壊滅的に料理が下手で、その回想シーンでは彼女が作った料理(?)にモザイクがかかるなど、単純なやり取りだけでなく見せかたも秀逸です

▲回想シーンとその後のやり取りが終わると、後ろにいた少年のサタヒコの切ったキャベツがとんでもない量になっているなど、ギャグシーンでは笑いどころがふんだんに用意されています。サタヒコが終始真顔でキャベツを切っているのがなんともシュール……!

本編を知っていればニヤリとできて、知らなくても十二分に楽しめる。本作は、そんな外伝的ストーリーの理想的な形になっていると言えます。少年マンガが好きならワクワクせずにはいられない世界設定だけでも非常に魅力的なので、ストーリー性やキャラクター性といった部分だけでもオススメできる作品です。

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