Interview

「コールドケース」シーズン2を心待ちにしていた光石研。 シリーズとキャスト、スタッフへの深い愛を存分に語る!

「コールドケース」シーズン2を心待ちにしていた光石研。 シリーズとキャスト、スタッフへの深い愛を存分に語る!

未解決犯罪の解決に尽力する捜査チームの活躍を描いたアメリカの人気連続ドラマシリーズを、吉田羊主演でリメイクした「コールドケース〜真実の扉〜」。WOWOW開局25周年を記念したビッグプロジェクトは、日本ならではの物語の機微やソリッドな映像美、そしてキャスト陣の名演によって評判を呼んだ。
そのシーズン2がいよいよ10月13日(土)夜10時スタート。主要キャストの1人、ネコさんこと金子徹刑事役の光石研に、「コールドケース」の現場がいかに素晴らしいかを、じっくりと語ってもらった。

取材・文 / 平田真人 撮影 / 荻原大志

客演してくれる役者陣の熱量と魂のこもった芝居に、レギュラー陣5人も触発されて高め合っていく。

シーズン2の第1話と2話を先に拝見しましたが、今季も面白いですねぇ!

いやぁ、手前味噌なんですけど、今シーズンもすごいんですよ。僕も見てビックリしました。実際、現場も…キャストはもちろん、スタッフのみなさんもほとんど一緒だったので、(メインキャスト)5人の結束力もより深まり、日々の撮影におけるスタッフワークも、ものすごく密に高みをめざして取り組まれているのを感じましたね。ただ、撮影開始当初はカメラマンの(山田)康介さんがスケジュールの都合で参加できず、榊原(直記)さんが撮ってくれたんですけど、周りが彼をすごく盛り立てているのを、僕らも見ていたので、「美しい」というと陳腐になっちゃうかもしれないですけど…心底、スタッフのみなさんのことが心強かったです。それはシーズン1を経たからこそ、発揮されたチームワークだったと思っています。

昨年のちょうど今ごろ、シーズン1のソフト化とシーズン2制作決定の記者発表が行われましたが、その席でも光石さんは「スタッフのみなさんと会えないのが寂しかった」と、おっしゃっていたんですよね。

そうなんですよ。常々、いろいろなところで話していて…あらためて誤解を恐れずに言いますと、出来上がりは二の次なんです。まずは現場で、みなさんとどう過ごして、どんな仕事をするかが重要だと思っていて。特に「コールドケース」はスタッフとキャストが一丸で仲が良くて、現場へ行くのが本当に楽しみになるようなお仕事なので、撮影が終わっちゃうと“ロス”状態になるんです。それは、プロデューサーの岡野(真紀子)さんをはじめとするスタッフ陣の現場のつくりかたの賜物だと思うんですけど、本当にどのパートでも気持ちよくお芝居させていただけたので、今も“「コールドケース」ロス”中なんですよね(笑)。

シーズン1と2の間に、捜査一課の5人のみなさんで連絡を取り合ったということは?

新年会をしました。その前にも「会おう」って、みんなで言っていたんですけど、どなたも忙しいから、なかなか実現しないんですよ。そこ(全員のスケジュールが合うこと)が一番問題なんですけど(笑)。

せっかく5人そろうなら、「コールドケース」そのものが撮れるじゃないかと(笑)。

それ、それ(笑)。で、今年の正月にちょっとみんなで会いまして。あ、滝藤(賢一)くんはちょっと体調を崩して残念ながら来られなかったので、4人だったんですけど、それでも楽しい会になりました。

「コールドケース」はシーズン1の撮影当初から、すでにチームワークが良かったと聞いていますが、「この現場は良くなる」といった役者さんならではの直感が働くことって、あるんでしょうか?

う~ん…直感かどうかは分からないんですけど、僕はわりと、その現場の空気に左右されやすい俳優なんですよね。たとえば、ですけど…スタッフ陣のモチベーションがあまり高くない、というとアレですけど、そういう現場だと、やっぱり士気が上がらないですし。わりと僕はそういうところがあって、現場の空気が淀んでいても自分の得意技が出せる、というタイプではないんですよね。どんな状況でもググッと自分を役に寄せられる力量を持っているわけじゃなくて。映し鏡のようにスタッフのみなさんの熱量が僕らに伝わって、それが画面なりフィルムなりスクリーンに出る、と思っているので、そういう意味で言うと…「コールドケース」の現場は僕の気持ちをすごく高めてくれる場所だったんです。直感的に、そういう現場か否かが分かるわけじゃないんですけど、熱量が自分の芝居に反映されるのは確かですね。俳優さんによっては、どんな現場であろうと平然と役に寄せていって、自分の力で現場を引っ張ってくださる人もいらっしゃるので、本当は僕もそうでなければいけないと思うんですけど、まだ未熟なんでしょうねぇ…。

裏を返せば、それほどに現場の空気であったり、芝居場に立たれた時の感触を光石さんが大切になさっているからではないか、と…。

まぁ、かっこよく言えばそうなのかもしれないですけど…。例えが合っているか分からないですけど、タクシーに乗った時、運転手さんとの波長が合う合わないって、わりと瞬間的につかめたりするじゃないですか。現場との相性もそんな感覚と似ていて、ロケバスに乗って最初に着替える時の衣装さんとの接し方であったり、次にメイクさんと接する時に何を話したかとか、助監督さんが呼びに来た時の雰囲気だったり…そういうことが薄皮のようにして僕の体に蓄積されていく、みたいな感覚があるんですよ。で、現場に入ってみて、みなさんと「おはようございます」と挨拶をしている時の表情だったり言い方も、体に合うかどうかみたいな感じで反映されていく──といったような。伝わりにくいかもしれないですけどね。

いえ、何となく分かる気がしました。で、「コールドケース」の場合は最初から、それがしっくり来たという感じだったんですね?

そうなんですよ。本当に始まって間もないころから「昨日はどうだったの?」「先に帰っちゃったけど、撮影いい感じだった?」「そりゃもう大変でしたよ〜」なんていう、やりとりが自然とできていたんです。それが最初からできるのって、実はすごく嬉しいんですよね。「そうなの〜? じゃ、俺たち先に帰れてよかったわ〜(笑)」なんて冗談を言い合えるっていうのは。

連続ドラマW「コールドケース2 ~真実の扉~」より 金子徹を演じる光石研
© WOWOW/Warner Bros. Intl TV Production

その日の撮影分が終わっても、みなさんおしゃべりをなさっていて、なかなか帰らなかったという噂も耳に入っています(笑)。

何か名残惜しくてね(笑)。それくらい「コールドケース」は楽しい現場なんです。

まさに雰囲気が最高の現場ですが、今シーズンは何話目から撮っていったんですか?

2話、3話、4話あたりを並行しながら撮っていきました。ただ、幸せなことに「コールドケース」は最初から10話分すべての台本が出来上がっているので、着地点に向けての準備を進めた上で芝居ができるんですよ。それは役者としては、すごくありがたいことなんです。

今シーズンの特徴としては、捜査一課の面々の仕事以外での関係性も垣間見えるところも挙げられますよね。第2話の冒頭で、ネコさん(金子刑事=光石)と立川(滝藤賢一)が、高木(永山絢斗)をおでん屋へ飲みに行こうと誘おうとしたり。

あ、宮藤(官九郎)くんがゲストの回。確かに、ああいうくだりはシーズン1では描かれていなかったですよね。何気ないやりとりなんですけど、実際も僕たちの距離が縮まっているから、すごく自然とできるんですよ。

ネコさんと立川刑事は飲み仲間であると同時に、劇中でも2年の月日が経過しているというのが、あの描写によって説明なしに伝わってくるんですよね。

そう言ってもらえると、嬉しいですね。そういう意図で、制作陣もちょっとした箸休め的なシーンを足してくださったので。ただ、「コールドケース」に限っては、各回に客演してくださっているゲストの方々がものすごく豪華ですし、それこそたった1話の出演なのに、すさまじい熱量を注いでくださるのが、何より嬉しくて。どなたも褌を締め直して現場へ来てくださったので、芝居も本当に見応えがあるんですよ。それを受け止めるスタッフ陣の度量というか器量というか…第1話をご覧になったから、お分かりだと思いますけど、あの冒頭の横須賀港の学生運動のシークエンスとか、ものすごい画になっていたでしょう?

はい、人の数もそうですし、衣装にしても…ものすごい労力がかかっているのが分かりました。

しかも、ドラマのワンシーンですからねぇ。あの“画”が象徴していると思うんですけど、大なり小なり10話に渡って何かしらをやっているわけですから、本当にどのパートもものすごく大変なんですよ。別の現場で「コールドケース」の制作チームの人と一緒だったんですけど、その方がほかのスタッフに真顔で「本当に『コールドケース』、ハンパなく大変です!」って言っていましたから(笑)。で、その人に「1話の冒頭の学生対機動隊のロケはどこで撮ったんですか?」って聞いたら、横須賀で撮ったと言っていて。

岡野真紀子プロデューサーから聞いたんですが、あれだけの規模でありながら、撮影部から「エキストラもう100人足せないか」と注文があったそうです。

制作部の人もね、「いくら撮影用だと言っても、火炎瓶(※正確には黒煙スモーク缶。ちなみに、一缶何千円もするらしい)を投げられる埠頭なんて、この日本にあると思いますか?」って、真顔で言っていて(笑)。そんなふうに、本当にスタッフもみんな汗をかいて作っているドラマに、ゲストで出てくださる役者さんたちも全力で取り組んでくださるわけですから、面白くならないはずがないんです。当然、僕らレギュラー陣5人もゲストの方々のお芝居に触発されますしね。「俺たちが弛んでるわけにはいかないよな」って。

連続ドラマW「コールドケース2 ~真実の扉~」第4話より
© WOWOW/Warner Bros. Intl TV Production

しかも、佐藤浩市さんが1話だけ客演なさる、という…。

そうなんですよ! 浩市さんだけじゃなくて、吉岡(秀隆)さんまで出てくださるという…。もちろん、お2人だけではないですけど、ゲストのみなさんの熱意と魂には、本当に敬意しかありません。

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