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【レビュー】木村昴、宮野真守、早見沙織…“歌ウマ”人気声優が集結の日本語吹き替え版に注目。ミュージカルアニメ『スモールフット』の爽快感に魅せられる

【レビュー】木村昴、宮野真守、早見沙織…“歌ウマ”人気声優が集結の日本語吹き替え版に注目。ミュージカルアニメ『スモールフット』の爽快感に魅せられる

巨体ながら臆病で、でも心優しいイエティたちと人間たちの出会いとそこから生まれる絆を描くファンタジーアニメ映画『スモールフット』。その公開が10月12日より始まった。ファンタジーアニメと言いつつも、ミュージカル映画でありコメディ映画でもある本作の魅力を改めてここに紹介したい。

文 / えびさわなち


イエティの村で起きた大事件

目の前に広がるのは一面の銀世界。そこは岩と雪と氷の世界。イエティたちが平和に、心満たされながら暮らす氷山の村での日常に誘われ始まる映画『スモールフット』。個人的には、子供の頃からUMA(未確認生物)の特集番組に心を躍らせ、雪山に現れる、人間よりも何フィートも大きな雪男・ビッグフットの存在にワクワクとしてきただけに、もちろんフィクションとは言え、彼らの生活が垣間見えるような風景描写、情景描写に胸が躍ってしまう。

そんなイエティの村で、一日の始まりの任にあたる父親と共に暮らすミーゴが本作の主人公。声優の木村 昴が日本語版の吹き替えを担当し、『キングスマン ゴールデン・サークル』『ローガン・ラッキー』といった映画への出演をはじめ『レゴバッドマン ザ・ムービー』ではスーパーマンの声優も務めるチャニング・テイタムが演じるミーゴを、木村が軽快に、軽妙に、そしてとても素直に吹き替えで演じているのが登場シーンから印象的だ。

そんなミーゴたちイエティの平和な時間は、村の外の雪原に一機の飛行機が不時着したことから一変する。我々人間がイエティを「ビッグフット」と呼ぶように、彼らは人間を「スモールフット」と呼んでいるが、それは伝承の中にある「スモールフットは存在しない」という、村の掟を示した「ストーン」の文言の中のひとつとして、イエティたちの中で知られている言葉だった。けれどミーゴはそんなスモールフットを実際に自身の目で見て、その手で触れて、それが存在することを知ってしまう。疑うことを知らない純粋無垢な彼は、村を治め、掟が描かれた石のローブを纏うストーンキーパーの言葉を疑ったことだってなかった。

そんな彼が知った未知のこと。存在しないと思っていたスモールフットを自分の目で見たという事実やそれに出会った喜びを、村のみんなに伝えようと走るミーゴだったが、掟を守るストーンキーパーの元で、村の仲間たちはその存在を信じてはくれず、彼の話には誰も耳を傾けない。村を追い出されてしまったミーゴは、スモールフットを探し出して自分の話が本当であることを証明するべく旅に出ることに。雪原を進み、ついに人間の街に辿り着いたミーゴ。そこでアニマルTVショーの動画でかつて人気を博し、現在まさにイエティ探しをしていた人間、パーシーと出会う。ここでスモールフットを探していたビッグフットのミーゴ、そしてビッグフットを探していたスモールフットのパーシーが運命に導かれるように対面するのだった。

エンターテインメントの魔術師大集合!

ミュージカル映画である本作は、キャラクターたちの情感豊かな歌声が魅力でもある。ミーゴを演じるチャニング・テイタムに、人間のパーシー役は映画『ピーターラビット』でピーター・ラビットの声を演じたジェームズ・コーデン。そして、『グレイテスト・ショーマン』でアン・ウイーラーを演じたゼンデイヤが、本作のヒロインであり、イエティのミーチー役を、さらに村を治めるストーンキーパーを演じるのはグラミー賞も受賞したラッパーのコモンが担当と、これだけの豪華キャストがそろったミュージカル映画、しかも表現に際限などないアニメーションならではの表現がされているとあって、スクリーンから溢れる躍動感と表情の豊かさは圧巻の一言に尽きる。

『森のリトルギャング』のカーク・パトリックを監督に、『LEGO<R>ムービー』のフィル・ロード&クリス・ミラーや『コウノトリ大作戦!』のニコラス・ストーラーらが制作スタッフに名を連ね、そこに『ミニオンズ』や『怪盗グルー』シリーズを手掛けるヘイター・ペレイラによる音楽が響くとあって、いわゆる欧米の「アニメーションは子供たちが楽しむもの」の範疇をしっかりとがっちりと超越した作品になっていることは疑いようもない。

そんな力の入ったアニメーションの、日本語吹き替え版の声を担当するのもまた、日本が誇る個性豊かな“歌ウマ”声優たち。ミーゴの木村を筆頭に、パーシーには宮野真守、ミーチーには早見沙織、そしてストーン・キーパーは立木文彦がキャスティングされている。名前を並べるだけで、どれほどパワーと豊かな色彩感ある歌声を聴かせてくれるか、期待感が高まるはずだ。

珠玉チューンのオンパレード!

先にあげたように、本作はミュージカル映画。セリフとして伝える言葉に溢れ出る感情が勝って歌になってしまった、と言わんばかりの歌が鮮烈にスクリーンの中に刻まれていく。木村が歌う「PERFECTION」でのミーゴの純粋無垢で天真爛漫な歌声は既にここに書き記したが、宮野の歌うパーシーの「PERCY’S PRESSURE」に至っては、歌うパーシーの顔が宮野そのものに見えて来るようなシンクロ度。節ごとにくるくると表情を変えるパーシーの声の躍動と宿る心情も併せて楽しんでほしい。そしてミーチーの、彼らの村の前に広がる白銀の世界のような透き通る透明感と純白を思わせる歌声を伸びやかに聴かせる早見の声は、曲タイトルの「WONDERFUL WORLD」そのもの。ヒロインたる美麗な歌声の華やぎも注目だ。

しかしやはり特筆すべきは実力派かつレジェンドラッパーでもあるコモンのラップを担う立木だろう。独特のフロウで響くラップを日本語にして歌う。日本語となってもなお、韻を踏み、リズムを刻むラップでなくてはならない。そんなコモンのラップを日本語ラップへ変換したのは元SOUL’d OUTのDiggy-Mo’。彼の手により見事な日本語ラップとなったストーン・キーパーのラップは必聴。これらの歌を聴かずして、今年のアニメ映画、否、「ミュージカル映画」については語れないほどの珠玉の名曲だらけの『スモールフット』なのだ。

“喜”怒哀“楽”を堪能して

喜怒哀楽。豊かに感情が溢れ出て来るミュージカル映画。最初から「歌ありき」の作品なのだから、原曲での彼らのオリジナルの歌も味わいたいが、日本語吹き替え版も、はなから「歌」があってのキャスティング。見事なまでにシンクロし、マッチしたその歌声は見ている者の心を豊かに彩ってくれることは間違いない。特に本作は、コメディでもあるので、とにかく笑える。笑いに笑って、元気になれる。映画館で「笑うのは恥ずかしいかも」と思う隙も与えないほど笑うことのできる作品。“喜”怒哀“楽”映画と言っても過言ではないので、素直に笑い、歌を、そして物語とモジャかわなミーゴたちの冒険を楽しみ、最後はスカッと気持ちのいい爽快感を味わってもらいたい。

映画『スモールフット』

2018年10月12日(金)~
新宿ピカデリー他にてロードショー!

【スタッフ】
監督:キャリー・カークパトリック
製作:ボニー・ラドフォード、グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
製作総指揮:ニコラス・ストーラー、フィル・ロード、クリストファー・ミラー、ジャレッド・スターン、セルジオ・パブロス、キャリー・カークパトリック

【キャスト】
チャニング・テイタム、ジェームズ・コーデン、ゼンデイヤ、コモン、レブロン・ジェームズ ほか

【吹き替えキャスト】
木村昴(ミーゴ)、宮野真守(パーシー)、早見沙織(ミーチー)、立木文彦(ストーンキーパー) ほか

エンドソング:ナイル・ホーラン「Finally Free」
配給:ワーナー・ブラザース映画

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『スモールフット』オフィシャルサイト